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東京2020大会延期後初となるIOCバッハ会長が来日

東京2020組織委員会は、2020年11月16日(月)~11月18日(水)の3日間、国際オリンピック委員会(IOC)・
国際パラリンピック委員会(IPC)の合同プロジェクトレビューを開催しました。
また、合同プロジェクトレビューの開催にあわせてIOCのトーマス・バッハ会長が来日し、16日(月)、17日(火)の2日間に、
選手村、国立競技場の視察、組織委員会会長との合同記者会見などが行われました。

【国際オリンピック委員会によるオリンピック・オーダーの授与】

2020年3月24日(火)に史上初となる東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の1年間の延期が発表されてから約8ヶ月、
2019年7月24日(水)に行われた東京2020オリンピック1年前当日イベント以来となる、IOCトーマス・バッハ会長の来日。
11月15日(日)~17日(火)の日程でバッハ会長が東京都内の様々な式典や視察を行いました。
15日午前に千代田区の首相官邸にて菅義偉内閣総理大臣との会談が行われた後、新宿区の日本オリンピックミュージアムにて
IOCによるオリンピック・オーダーの授与が行われました。

1906年にピエール・ド・クーベルタン男爵がオリンピズムの普及、発展に顕著な功績を残した個人、団体に対して授与したことから始まった
オリンピック・オーダーの授与。日本では1964年東京大会の招致並びに大会成功に尽力した東龍太郎元IOC委員が
1975年に受章して以降、現在まで約60名に授与されているものです。そして今回、63人目の受賞者となるのは前内閣総理大臣の安倍晋三氏。

最初にバッハ会長からのスピーチが。

写真:フォート・キシモトJOC

バッハ会長「2013年にブエノスアイレスで開催されたIOC総会で2020年のオリンピック開催地に東京が選ばれたことは、
安倍晋三氏にとって特別なオリンピックの旅の出発点となりました。リオ2016年の閉会式では、オリンピックへのあなたの献身は
新たな高みに達しました。あなたがスーパーマリオに扮してオリンピックスタジアムの真ん中に現れた瞬間を私は絶対に忘れません。
2020年東京オリンピックの延期という歴史的な決断を下すことができたのは、私たちが築いてきた
密接な個人的な絆があったからに他なりません。 これは、私たち全員にとって困難で、広範囲に及ぶ決断でした。
あなたの友人であり、師匠でもある森喜朗会長の素晴らしいリーダーシップのもと、
組織委員会の素晴らしい仕事に感謝し、私たちは再びスポーツの歴史を一緒に築き上げようとしています。
2020年東京オリンピックの開会式でお会いするのを楽しみにしています。安倍晋三、あなたの世界のスポーツへの
卓越した功労と、近代オリンピックの創設者であるピエール・ド・クーベルタンが描いた
オリンピックの理想への忠実さが認められ、私はあなたにオリンピック・オーダーを授与します。」

写真:フォート・キシモトJOC

そしてバッハ会長より安倍前総理大臣へオリンピック・オーダー(金賞)が贈られます。

続いて受賞した安倍前総理大臣よりスピーチが。

写真:フォート・キシモトJOC

安倍前総理大臣「ありがとうございます。最初の受賞者は、東京が初めてオリンピックを開いたときの
IOC 会長、かのアベリー・ブランデージさんだと聞きますと、背筋の伸びる思いがいたします。
本年の5月29日。航空自衛隊の飛行編隊「ブルー・インパルス」は東京上空を飛び、
医療に従事するすべての人々に、感謝の気持ちを伝えました。その光景は、56年前、
初代ブルー・インパルスが見せてくれた夢を、わたくしの胸によみがえらせずにはいませんでした。
いま人類は、疫病との闘いに、歯をくいしばり、唇をかみしめて、互いが、互いを思いやりながら、
夜に、日を継いで、耐え、勝利の日を、待ち望んでいます。
2021年7月23日、東京の空高く、いまふたたびブルー・インパルスが天翔ける時、世界の、どんなところに住まう方も、
一度は絶望の淵にくれた人々でさえ、天を、青空を、はるかに仰いでくれるでしょう。その日、東京にラッパが鳴る。
ファンファーレは世界に響き、ひとの心に凍りついた恐怖を解かし、希望に置き換えてくれることでしょう。
TOKYO2020 は、全人類に希望のビーコンを送ります。どんなにうちひしがれても、何度でも、また立ち上がる、
人間の気高さを称える大会になります。オーダーにかけて、わたくしはそう申し上げ、
受賞の言葉といたします。ほんとうに、ありがとうございました。」

そして最後に森喜朗東京2020組織委員会会長からもスピーチが。

写真:フォート・キシモトJOC

森会長「安倍晋三前総理の金のオリンピックオーダー受賞を心よりお慶び申し上げます。私の目には安倍前総理の演説姿が
お祖父様である岸信介首相、お父様である安倍晋太郎外相の姿に重なって見えました。
新型コロナウイルス感染症により、大会は1年延期となりましたが、私たちの願いと夢は変わりません
2016年のリオデジャネイロ大会閉会式では、安倍前総理がスーパーマリオに扮した、安倍マリオが世界を驚かせました。
ゲームの世界では、マリオにはヨッシーという頼れる仲間がいるそうです。私の名前は喜朗ですが、これからも
”安倍マリオ”と”森ヨッシー”のように助け合いながら、東京大会の成功に向けて、IOCや関係者の方々と共に、力を尽くしていきたいと思います。」

『バッハ会長・森会長合同記者会見』

Photo by Tokyo 2020

IOCによるオリンピック・オーダーの授与式終了後、東京都庁での小池百合子東京都知事との会談を経て、
東京都内某所にてバッハ会長、ジョン・コーツ第32回オリンピック競技大会(2020/東京)調整委員会委員長、
森会長、武藤敏郎東京2020組織委員会専務理事・事務総長が登壇しての記者会見が行われました。

Photo by Tokyo 2020

その中で、世論として東京2020大会の開催に懐疑的な部分がある中で、大会に対する
開催国の国民の支持はどういった意味を持つのか?この時期の訪日の意義は?という問いに、
バッハ会長「最初に理解しなければならないのは、世界の人々は明日について不安を覚えている
非常に不確実な暗いトンネルの中にいるという事なんです。そういった中で、
9か月後のこの大イベントに不安が有ると思います。私共としては、この大会が如何に
トンネルの先の明りになれるのか?というしっかりとした説明をしなければなりません。
スポーツの果たす役割がそのうちの一つの良い理由です。我々はスポーツの果たす役割を
目の当りにしてきました。心身の健康にとってスポーツがいかに重要な物かというのが示されたかと思います。
特にこのようなパンデミックの最中で色々と制約されている中ではスポーツは正に偉大なる予防策なんだと思います。
オリンピック大会はその中においても一番上にあるといえる存在ではないでしょうか?
また「Friendship and Solidarity Competition(友情と絆の大会)」という素晴らしい体操の国際大会が行われ、
世界的にもいろいろなスポーツイベントが成功裏に開催されております。
今から9か月後、更にコロナの対策が我々の「道具箱(Tool Box)」に入っている事が分かってるからなんです。
またさらに確信を持つ事が出来るのは、恐らくワクチンが入手可能になるだろうという事についてです。
我々にはちゃんと「道具箱」があり、日本のパートナーの皆さんと手を携えて安全な環境で大会を行うために必要な
道具箱は整っているんだと申し上げられますし、団結、人道性、協調性のシンボルとなり、
正にコロナ禍のトンネルの先の明かりとなる訳なのです。」とコメントしました。

【バッハ会長会場視察】

『選手村視察』

選手村メインストリート

翌日の11月17日(火)には、バッハ会長は15時過ぎより中央区晴海の選手村を初視察。

Photo by Tokyo 2020

バッハ会長、コーツ委員長を初めとしたIOC委員団が遠藤会長代行、川淵三郎東京2020大会選手村村長、
上村春樹東京2020大会選手村村長代行そしてJOCアスリート委員の千田健太さん、トライアスロンのオリンピアンで
北京2008大会、ロンドン2012大会、リオ2016大会出場の上田藍選手、パラバドミントンの里見紗李奈選手らに出迎えられ、
握手の代わりに肘によるタッチが行われます。と、なにやらバッハ会長のスーツの懐よりアスリート達に何か手渡された様子。
どうやらIOCのエンブレムのピンバッジがプレゼントされたとの事でした。
「大会時には此処に来る事は許されませんから皆さん、今のうちに楽しんで」と報道陣に声をかけるバッハ会長。

Photo by Tokyo 2020

アスリート3名と話し込むバッハ会長 Photo by Tokyo 2020

そして一団は居住棟内へ。今回視察が行われたのは、「SUN・PARK・PORT・SEA」の選手村の4つに分けられた街区の内の「SUN」。
当初、密になるのを避ける為、バッハ会長はアスリート達と距離を置いて説明を聞きながら部屋を見ていたそうですが、
次第に千田さんや植田さん、里見さんのアスリート組から積極的に意見を聞き、現場目線で室内を観察。

レインボーブリッジや対岸の芝浦エリアを眺めるバッハ会長、コーツ委員長、アスリート3名 Photo by Tokyo 2020

(左から)遠藤会長代行、川淵選手村村長、コーツ委員長、上田選手、バッハ会長、里見選手、
千田さん、小谷実可子東京2020組織委員会スポーツディレクター、上村村長代行 Photo by Tokyo 2020

フェイシングのオリンピアンであるバッハ会長は、自身が出場したモントリオール1976大会の選手村滞在時を思い出し、
同大会に出場していた上村村長代行に「当時二段ベッドの上と下のどっちに寝たんだい?」と話し、
その後、未公開エリアである選手村メインダイニングも視察しました。視察終了後、報道陣に対しバッハ会長は、
「素晴らしい選手村です。アスリートの人達もきっとハッピーですよ。過去大会の選手村の話も少ししていたんですが、室内は快適で明るさも十分、
競技後に疲れて部屋に戻ってきたらレインボーブリッジが真正面に見えて、思わず”東京と恋に落ちる位”、素晴らしい。」と居住棟を絶賛。

バッハ会長が視察した「SUN」街区居住棟

部屋内でのソーシャルディスタンス確保はどうするのか?という問いには
バッハ会長「室内スペースは十分にあり、ソーシャルディスタンスは十分にとれると思います。
ですからアスリートはリラックスした気持ちで安全に過ごせると思います。」と話し、
選手のワクチン接種は必要参加条件か?との問いには
「いいえ、必要条件とはしません。ただ、ワクチン接種の可能性がある時には、IOCは「是非そうしたらいかがですか?」と
特に選手村へ入るアスリートには強くアピールはします。それは彼等の健康の為にも良いし、
仲間のアスリートとの連帯と尊敬を示す事にもなりますし、ホスト国である日本の皆さんとの連帯を示すという事にもなります。
来年にワクチンが利用可能になっていて、出来るだけ多くのアスリートがワクチン接種を受け入れてくれる事を希望しています。」と話されました。

バッハ会長の選手居住棟視察終了後、川淵選手村村長、上村選手村村長代行、そして北島ビレッジゼネラルマネージャー(VGM)の囲み取材が行われました。

Q:バッハ会長からコロナ対策への関心は寄せられたのか?村長として選手村のコロナ対策への意気込みは?

川渕選手村村長「詳細な説明がなされたのでバッハ会長は満足されていました。今現在、
居住棟の一部屋に対してベッドが2つというのが基本ですけども、一部屋一人となったらそれこそ
居住棟を新たに何処かに借りなければならないとなって、その辺が今後どういう風に推移していくのか
というのについては、関係者にとって一番大きな問題だろうと思います。
僕は選手村の村長としては、バッハ会長からの強いお言葉を頂いて、安心安全でアットホームな
この選手村に帰ってきたら疲れがとれるという風な施設にするべく、ベストを尽くすという事しかありません。
コロナ感染者が出たという最悪の場合でも、様々なケースに応じた運営をしていきますので、
全体に被害が及ばない軽症で済むような配慮が取られています。ですのでアスリートは安心して選手村で生活出来ると思います。」

上村村長代行「バッハ会長からは本当に良く出来ているね、と話され、現場目線で施設を見て安心されたんではないかと思います。
コロナ対策を万全にして、来年の大会を迎えるという強い気持ちを感じられる所もありました。」

Q:お二人ともオリンピアンだが、改めて居住棟を見ての印象や、自身の出場大会の選手村との違いは?

川渕選手村村長「僕は東京1964大会しか知らないのですが、それとくらべると何と豪勢で行き届いた施設かな、と。
至れり尽くせりで、僕等の時にそれを望むのは無理としても、やはり時代の流れというものを感じました。
ありとあらゆる物が完備されている。そういった意味ではバッハ会長が「どのオリンピックの選手村よりも素晴らしい」という
満足を示して頂き、選手村村長としては大満足です。」

上村村長代行「私はバッハ会長と同じモントリオール1976大会で選手村に一緒に居た経験がありますが、
「あの時よりは大分良いよね!」と言いながら、バッハ会長は「君は二段ベッドの上に寝た?下に寝た?」
という話までされまして、上には寝れませんから下に寝ました、と話し、
ダンボール製のベッドに座って「昔と違うけど良いよね」という話もされました。」

Q:選手村開村までの準備段階で、村長としてやってみたい事は?

川渕選手村村長「僕自身はあまり、ああして欲しいこうして欲しいというのは無くて、村長としての務めを
最大限キチッとやりたいという思いだけで、色んな要求をしたり、キツイ事を言う気は全くありません。
穏やかな気持ちで村長を務められれば良いなと思っています。」

Q:バッハ会長からの選手村についての要望はあったのか?

北島VGM「視察されてのバッハ会長の第一声は「完成してよく出来ているね」と入っていただき、むしろ
アスリートの方々から見て選手村はどうだい?と3人のアスリートから話を聞いている部分が多かったと思います。
コロナ対策については、細かい所をこれから議論していく段階というのをバッハ会長は認識していますので、
細かい部分の話は一切ありませんでした。ただ、コロナ対策をとる上でアスリートにとって色々な制約が出るというのを
心配されて「アスリートが是非快適に過ごせる様に配慮して欲しい」というトーンで話を頂きました。」

そしてバッハ会長と共に選手村を視察したアスリート3名からのコメントが出されています。

千田さん「はじめて選手村に入りましたが、東京のど真ん中に居るとは思えないような圧倒的な規模と
海に囲まれた開放感に驚かされました。いま、組織委員会の方々は、選手が活き活きと輝き万全の状態で試合に臨めるよう、
全力を尽くして様々な準備をしてくださっているものと思います。選手もまた来年の大会に向けて日々厳しい環境の中で
努力を重ねていると思います。それぞれがそれぞれに強い思いを持って進み、新しい形の大会を皆の力で実現させられればと願っています。

上田選手「広大な敷地の中に立ち並ぶ選手村は、道路も広くてとても明るく、居住棟の中央に位置する中庭は多くの木々や芝生で
緑豊かな風景が広がっていて、試合前の緊張感をほぐしてくれたりするんだろうなと想像していました。
トライアスロンのレース会場も見えて、本番をイメージしながら、心身ともにリラックスできる憩いの場になりそうだと思いました。」

里見選手「選手村に入る広くてまっすぐな道路の先には、レインボーブリッジがとてもきれいに見えていていました。
素敵な景色が目の前に広がっていてとても解放感がある選手村だと思いました。来年の大会時には、ここで様々な国の選手が集い、
親交を深め、世界の最高峰を目指して切磋琢磨しているのかと想像すると本当にワクワクしてきます。」

『オリンピックスタジアム視察』
選手村を見終えたその足でバッハ会長が向かったのが新宿区にあるオリンピックスタジアム(国立競技場)。
広大なフィールドトラック面を1人で歩かれたとの事です。

【国際オリンピック委員会によるオリンピック・オーダーの授与概要】

<日時>
2020年11月16日(月 )13:15開始

<会場>
日本オリンピックミュージアム

<受章者>
安倍晋三前内閣総理大臣

<主な出席者>
トーマス・バッハ:国際オリンピック委員会会長
ジョン・コーツ:東京2020調整委員会委員長
渡邉守成:国際オリンピック委員会委員
猪谷千春:国際オリンピック名誉委員
山下泰裕:日本オリンピック委員会会長(IOC委員)
籾井圭子:日本オリンピック委員会常務理事
森喜朗:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長
遠藤利明:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長代行
武藤敏郎:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会事務総長
伊藤雅俊:日本スポーツ協会会長

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