東京2020オリンピック・パラリンピックの開催延期が決定。
公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、2020年3月24日(火)、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催延期を発表しました。
遅くとも2021年夏までの開催を目指すとの事です。
同日夜、東京都内某所においてIOCトーマス・バッハ会長との電話会談を受けての会見が行われました。
【会見の様子】
午後9時50分を過ぎて始まった遅い時間帯の会見でしたが、東京2020組織委員会の会見では過去最多級の数の報道陣が東京都内某所に殺到。
そんな中登壇したのは、森喜朗公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長、武藤敏郎公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会事務総長。
初めに森会長から経緯の説明が。
森会長「3月22日(日)IOCの臨時理事会が開かれ、東京2020大会の延期の可能性を含めたシナリオプランニングに着手し、4週間に渡って議論が行われるとの発表があった所です。これを受けまして、2020年3月24日(火)午後8時から約45分間、私は、安倍晋三内閣総理大臣とトーマス・バッハ国際オリンピック委員会(IOC)会長と電話会談を行ったところ、概要は以下の通りです。(小池百合子東京都知事、菅義秀内閣官房長官、橋本聖子東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣他同席。)
(1)双方は、アスリート、IF(各国国際競技連盟)、NOC(各国オリンピック委員会)等の
意向に鑑み、大会中止が選択肢にないことで一致しました。
(2)その上で、双方はアスリート及び観客の安心・安全を確保することが最も重要であり、この観点から、現在の世界の状況が継続的に悪化していることを鑑み、予定通り本年7月に開催することは不可能であり、更に年内に開催することも不可能であり、延期とせざる得ない旨一致しました。
(3)上記の理解の下、双方は東京オリンピック・パラリンピック競技大会の実施に向けて、IOCと東京2020組織委員会、政府、東京都を始め、内外の関係機関が一体となり、遅くとも2021年夏までの実施に向けて具体的に検討していくことで一致しました。
また、オリンピック聖火はこの困難な時において、世界の希望の道標となる願いを込めて、日本に留まる事についても合意されました。また、大会名は「東京2020オリンピック・パラリンピック競技会」とする事でも合意を得ました。この決定を受けて3月26日(木)から予定されておりました東京2020オリンピック聖火リレーはスタートをせずに今後の対応を検討いたします。今後大会延期日程に合わせた新たな聖火リレーの日程を定め、多くの方々にもお集まり頂いて、盛大なグランドスタートが迎えられる様、準備を進めたいと思います。」
続いて質疑応答へ。
【質疑応答(大会・聖火関係を抜粋)】
走行が決定していた聖火ランナーはリレー再開時にはどの様な処遇になるのでしょうか。
武藤事務総長「ランナーの方々は当然走る資格を持って、またそれに準備をされて期待していたと思います。今後延期の日時が確定して聖火リレーが再開される時には、今のランナーの方々に優先的にリレーが出来る様に配慮をしていきたいと思います。それぞれの方のご希望はあるかと思いますけども、基本的にはランナーの意志を尊重していきたいと思っています。」
遅くても2021年夏の開催との事ですが、夏を避けた時期の開催も検討対象なのでしょうか。
森会長「結果としてそういう事もあるかもしれませんけれども、概ね来の夏を目処に。これから国際大会等々のスケジュールも色々ございますが、それを調整していけば自ずとどういう時期の範囲に入るかと言う事をこれから進めていければと思います。」
森会長は26日に福島に来られるのでしょうか。
また聖火は今後どの様に保管・展示をされていきますか。
森会長「26日(木)のグランドスタート行事は取り止めとなりました。私が福島に行かなければいけない理由は無くなりましたが、もし、内堀福島県知事から来てくれ等があれば、それはお伺いいたします。聖火の今後については、電話会談が終りましてから我々と安倍総理が話をしている中で総理からの提案で福島県に置いておきましょう、という事になりまして、私から内堀知事に御電話をした所、大変喜んでおられました。ですから、当面は福島県に聖火を置くという事になるでしょう。ただ、来年までずっと福島に置いておくのか?という事について、これからどの様にするかは新たな聖火リレーの日程等も合わせてやっていく事かと思います。」
武藤事務総長「聖火リレーについては、本日、延期と決まりましたので、26日のグランドスタートセレモニーも含め、聖火リレーそのものも実施しません。当面の聖火リレーの予定は白紙になり、延期された新たな実施期日が決まれば、基本的には同じ様に聖火リレーを再開するという事でございます。」
一部報道がされた車に聖火が灯されたランタンを載せてリレールートを周るという事を含め
全ての聖火リレー実施方法が白紙になったのでしょうか。
武藤事務総長「仰る通りです。今回の聖火リレーそのものが白紙となりました。次の大会の期日が決まれば、少なくとも121日間をかけて全国を周る事になるという聖火リレーの基本的な骨格は維持されるであろうという事を前提に今までのルート、聖火ランナーというのが基本的には尊重されるような形で新たにやっていくと。その時には新型コロナウイルス感染症が克服されて、皆様の応援を得ながら元気に聖火リレーが出来るという事を祈念しています。」
聖火リレーの骨格は維持されるとの事ですが
リレーが周る都道府県の順番に変更はありますか。
武藤事務総長「その様な議論まで、正直な所至っておりません。本当に急遽こういう形になりました。つい二日目、「違ったシナリオを」とバッハ会長も仰っておられましたが、完全に延期という事になれば、その延期という結論がまず、大枠でございますから、121日間という時間、それから現時点での聖火リレールート、走行をするランナー方々がそっくりそのまま出来るか?というのは、その時になって慎重に見直しをしてみないといけないかと思います。「変えたい」という風に特に考えている訳ではありません。現状の姿を先ずは尊重していく様になるんだろうと思います。」
森会長「今まで、各県の聖火リレー実行委員会の皆さんが一所懸命議論された事を我々は白紙にした訳です。ですから尊重をしてあげる事が大事だと私は思います。ランナーに選ばれて喜んでおられる方々もいますし、全部根本から変えますよという事は、私はそういう乱暴なやり方はとるべきでは無い。リレーコースから何からを各県にお願いした訳ですから、それを尊重するという事は大事だと思います。」
聖火ランナーや関係者には今回の聖火リレー実施が無くなった事をもう伝えたのでしょうか。
またグランドスタート2日前の決定は遅過ぎるのではないかという声もあります。
武藤事務総長「勿論、伝える事になっております。関係者が全国に沢山居ますので、今晩、全員に事項が伝えられるか?というのは、我々が苦労をしている所なんですが、出来るだけ速く、我々の口から丁寧にご説明したいと思っております。ご承知のように、コロナウイルスで世界で沢山の方がお亡くなりになっているような状況下で総理とバッハ会長が急遽、会談をして決定した事でございます。残念ながら聖火リレーのグランドスタートの直前になってしまいました。そういう意味では期待していた人達の期待に添えなかったという事でありますが、是非そこはご理解を頂いて、我々も挽回をする努力をしたいと思います。」
夏以降や2年先などの選択肢がある中
1年程度の大会延期は何を一番重視して決められたのでしょうか。
森会長「事前に総理から冒頭で発言する事について「このように言おうと思うが、何かあるか?」と、いう事の照会はありました。わたしからそれをどうこうした方が良いとは申し上げておりません。仰るように2年先とか色んな意見があったと思いますが、これはあくまでも外側の意見であって、内側である私共の中で、その様な事を相談した事はありません。最初に決めた通り、先ずは4週間の間に何か基本的な事を安倍さんとバッハさんが決めてくれるんだろうなと考えていましたから皆さんの方が色々な事を予想記事とか色々な事をお書きになっていたわけですが、例えば2022年になったら、果たして「2020年」と言えるのかな?「TOKYO2020」と言えなくなっちゃうんじゃないですか?名称まで変える事は考えないと思います。」
聖火リレートーチや各入賞メダル等に「2020」が刻印されていますが
作り変えになるのでしょうか。
武藤事務総長「2020という呼称も、バッハ会長が「今回の東京大会はTOKYO2020なんだ」という風に言って頂いてますから、作りなおす必要は無いと考えています。」
過去5回、戦争を理由に開催中止となったオリンピック。
今回の開催延期は夏季・冬季を通して過去に例が無い、オリンピック史上初の出来事に。
今後の動向が注目されます。
【IOCトーマス・バッハ会長との電話会談を受けての会見概要】
<日時>
2020年3月24日(火)21:51開始
<会場>
東京都内某所
<登壇者>
森喜朗:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長
武藤敏郎:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会事務総長
高谷正哲:スポークスパーソン
©Tokyo 2020