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舞台『神の子どもたちはみな踊る after the quake』開幕!

日本が世界に誇る小説家、村上春樹の2000年に新潮社から刊行された短編小説集『神の子どもたちはみな踊る』。
阪神大震災をテーマにした作品ばかりを集めた短編集ですが地震そのものを描写したものではなく、地震のニュースを見た人たちの心の中で何が起こったのかということをテーマにしています。
待望の日本初演となる本作はその短編集の中から特に人気の高い「かえるくん、東京を救う」「蜂蜜パイ」の二つを取り上げ舞台化したフランク・ギャラティ版(2005年に米国上演)の脚本を使用し、小説と演劇を融合させた田に類を見ない演劇作品になっています。

本作は演出家の蜷川幸雄が演出した舞台『海辺のカフカ』に続く奇跡のコラボレーションとして構想されながら、氏の逝去で中断していた企画。2014年に蜷川が演出した舞台『わたしを離さないで』(原作:カズオ・イシグロ)の脚本を手がけ厚い信頼を得た倉持裕が演出を後任することとなり、遂に待望の企画が実現。
キャストには、アジアで絶大な人気を誇る国際派俳優の古川雄輝、多方面での活躍を見せる松井玲奈、『海辺のカフカ』ナカタ老人役で世界中から絶賛された木場勝己など、実力と人気を兼ね備えた面々が集結しました。
1995年に西日本を襲った阪神・淡路大震災。激しい揺れを感じながら、人々の心の中で何が崩れ落ち失われたのか。地震のあとに救いと再生はあるのか――。阪神間に育った作家・村上春樹の思いは深く複雑なものがあったといいます。

初回の公演に先立ち、2019年7月31日(水)、東京都千代田区のよみうり大手町ホールにてプレスコールと囲み取材が行われました。

【プレスコールの様子】

“ぼくのことは「かえるくん」と呼んでください。”

作家の淳平は大学時代からの友人小夜子と、その娘沙羅に、熊のまさきちの物語を聞かせていた。

淳平と小夜子にはもう一人、高槻という共通の友人がいる。三人は大学時代を共に過ごし、後に小夜子と高槻は結婚。二人の間に生まれた一人娘が沙羅だった。
沙羅は神戸の地震以来、毎晩「地震男」の悪夢に怯えている。淳平は「かえるくん、東京を救う」という小説を執筆しており、その小説の中の世界が舞台に繰り広げられる。

信用金庫に勤めるサラリーマン片桐のもとに、ある日突然、巨大な蛙が現れた。
その「かえるくん」によると、地底で眠っていた「みみずくん」が神戸の地震で目を覚まし、東京に新たな大地震を起こそうとしているという。それを阻止するために片桐に力を貸してほしいというのだ。

片桐は混乱しながらも、かえるくんと一緒に闘うことを決める。

そして淳平は、はるか昔に捨てた故郷、神戸を襲った地震について思いを馳せていた。
眠りについた小夜子と沙羅を見守るうち、淳平はある決意を固める――。

プレスコールにて披露されたのは大きく2つのシーン。
一つ目は物語冒頭、古川雄輝さん演じる淳平が沙羅(プレスコールでは横溝菜帆さんが出演)に「くまのまさきち」の話を即興で語って寝かし付ける場面から淳平が書いた小説、「かえるくん、東京を救う」の世界へと物語の大きく空気感が変わって行く場面。

2つめは「かえるくん、東京を救う」を読み進める松下玲奈さん演じる小夜子が木場勝己さん演じる「かえるくん」と、川口覚さん演じる片桐と共に「かえるくん」の計画に聞き入るシーン。

約20分弱のシーンながら、プレスコールという事を見事に忘れて話にのめり込んで行くストーリー展開とキャスト陣の演技の巧さは見事。特に「かえるくん」を演じる木場さんの名演はその場の空気を見事に制し、やもおも言わさぬ深みと”笑い”を舞台に与えてくれます。

【囲み取材の様子】

登壇したのは淳平役の古川雄輝さんと小夜子役の松井玲奈さんの2名。

稽古等、本作において難しかった所はありますか。

古川さん「僕、舞台をやるのが3年半ぶりでかなり久し振りなんですけども、感覚的に色々と忘れている事があったりとか、「舞台ではこういう表現をして良いんだ…」とか、そういう新たな発見が色々とありまして、映像作品と違い、稽古があるので、稽古は役者として凄く学べる場でもあるので、課題も沢山有りましたけども、真剣に楽しくやらさせて頂いています。」

松井さん「2つの作品が混ざり合っているので、どういう風にこれが舞台になるのか不思議でした。そこに木場さん演じる「かえるくん」というキャラクターが、作品全体を凄く上手く繋いで行くというか、その感覚は見ていて面白いというか、私達も「かえるくん」が喋る話にのせられていく、一緒に転がって行く感じがして、稽古で見ていても凄く楽しいなと思って、稽古場に行くのが毎日楽しかったです。」

「小説家・松井怜奈」から見て、この作品の魅力はどこでしょうか。

松井さん「本当におこがましいですけど、村上さんの作品は「3」という数字が凄く大事という事を聞いていて、特に、私と古川さんが演じる「蜂蜜パイ」の物語の中では、3人の関係性が如何変わって行くのかという。それが凄くキーポイントになっているなと思っていて。舞台の台本を読んだ時、難しいな…と思ったんですけど、小説を読んでもやっぱり難しくて。でも稽古をしていく中で、「これはどういう事なんだろう?どういう風に村上さんはこの物語を伝えたかったんだろう?」と、読む側に考える部分、「余白」を与えてくれている、それがあるというのは凄く良い事だなと思っていて、読み終わった後も楽しめるという。そこがこの作品を読んでいて楽しい所だなと私は思いました。」

古川さんから見た村上作品の魅力をお願いします。

古川さん「多分、色んな比喩表現とかがあって、その捉え方って人夫々だと思うんですよ。こんかいも「まさきちと、とんきち」という熊の話が出てきたりするんですけど、それは、実は僕が演じている淳平と高槻というキャラクターがいて、その人達に例えているんじゃないかとか。でも、どっちがどっちと決まっていないですし、それは読む人によっても舞台を見る人にとっても変わってくるので、ハマる人は深読み出来る「これはどういう事なんだろう?」と考える事が出来るので、はまる人ははまるのかなと思いました。」

初共演となるお互いの印象はいかがでしょうか。

古川さん「松井さんは凄く透明感が有って知的なイメージもありますし、小夜子という役柄もそういう役なので、凄く演じている上で凄くピッタリだなと思っていますし、プロフェッショナルだと思っていて、何事にも全力で取組んでいて素晴らしいなと思います。」

松井さん「古川さんは淳平という役にぴったりだなと思っていて、稽古場でも淡々と稽古に打ち込んでいる姿を見ていたんですけど、昨日のゲネプロで古川さんがステージに立った瞬間に稽古場の二倍も三倍もパワーアップしてお芝居をしている姿を見て、そのエネルギーに私達も付いて行かなきゃという感じで、凄く引っ張っていって貰える感じがして頼もしかったです。」

淳平と小夜子は自身の性格に近い?遠い?

古川さん「僕は少し近いかもしれないですね。元々の人とのコミュニケーションの取り方とかそういうのは苦手な方ではあるので。僕、帰国子女で日本に帰ってきた時に日本の文化や日本人とのコミュニケーションの取り方を忘れていて、その時期に「人と如何接したら良いんだろう…」みたいな部分があって、そういう意味ではちょっと淳平と似ているのかなと。」

松井さん「小夜子というキャラクター自体は、私も原作を読んだ時に多分、自分が周りの方から思われているイメージに凄く近いんじゃないかなという風には感じていて、実際、演じていてもフィットするというか、そこに辿り着くまでに色々と悩んだりもしたんですけど、
とても自分に近いからこそ、演じ甲斐があってとてもやっていて楽しいキャラクターだなと思っています。」

【舞台『神の子どもたちはみな踊る after the quake』公演概要】

公式サイトはこちら

<公演期間>
東京公演:2019年7月31日(水)~8月16日(金)
愛知公演:2019年8月21日(水)・22日(木)
神戸公演:2019年8月31日(土)・9月1日(日)

<会場>
東京:よみうり大手町ホール
愛知:東海市芸術劇場 大ホール
神戸:神戸文化ホール 大ホール

<公演時間>
約1時間40分(途中休憩無し)

<料金>
東京:9,800円
愛知:10,500円
神戸:S席9,800円 A席7,800円
(全席指定・税込)
※未就学児童入場不可
※本公演のチケットは主催者の同意のない有償譲渡が禁止されています。

<出演者>
淳平:古川雄輝
小夜子:松井玲奈
片桐/高槻:川口覚
沙羅(子役):横溝菜帆/竹内咲帆 (Wキャスト)
かえる/語り手:木場勝己

※愛知公演・神戸公演には横溝菜帆が出演。

<STAFF>
原作:村上春樹
脚本:フランク・ギャラティ
演出:倉持裕
翻訳:平塚隼介
音楽:阿部海太郎
美術:中根聡子
照明:杉本公亮
音響:高塩顕
衣裳:太田雅公
ヘアメイク:宮内宏明
演出助手:松倉良子
舞台監督:足立充章
東京公演主催:ホリプロ/読売新聞社
東京公演後援:TOKYO FM
愛知公演主催:CBCテレビ
神戸公演主催:関西テレビ放送/キョードーマネージメントシステムズ
神戸公演後援:(公財)神戸市民文化振興財団
協力:新潮社
企画・制作:ホリプロ

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