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第35回東京国際映画祭閉幕 クロージングセレモニー&審査委員・受賞者記者会見開催

2022年10月24日(月)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開幕したアジア最大級の映画の祭典である第35回東京国際映画祭が、
11月2日(水)に閉幕を迎え、東京国際フォーラムにてクロージングセレモニーを行いました。
各部門における各賞の発表・授与、さらに小池百合子東京都知事も会場に駆け付け、
【東京グランプリ/東京都知事賞】を受賞した『ザ・ビースト』へのトロフィー授与をおこないました。

【クロージングセレモニー・記者会見でのゲストコメント】

【セレモニー】

©2022 TIFF

特別功労賞受賞:野上照代
「ありがとうございます。なんて言ったって(今年で)95歳ですからね、よく保ったものです。
私は、映画が本当に好きだし、映画という表現をここまで続けてきてくれた色々な監督たちに感謝します。
いろいろな表現があるけれど、やっぱり映画ほどリアルで具体的で真実に迫るものはない、
やはり素晴らしい表現だと思います。今年は、安藤さん(チェアマン)も来られて
素晴らしい会になって良かったと思います、ありがとうございました。」

Amazon Prime Video テイクワン賞プレゼンター:行定勲(監督)
「Amazon Prime Video テイクワン賞、今年の該当作品はありませんでした。
私たちプロの立場であっても、映画の企画が生まれ、完成するまでに至るというのは奇跡的なものです。
私たち自身も完成した作品より、消えていった作品の方が多いのが現実です。
このAmazon Prime Video テイクワン賞は、新人監督に長編映画の企画を実現する
チャンスを与えるという夢のような賞です。しかし、それに見合う実力を、この人に獲らせたい
という想いを、今回のファイナリストの作品から見出すことが出来ませんでした。
審査会議では辛辣な意見も飛び交った「それぞれの作品には良さがある、しかしそれは世界に繋がっていない、
15分という短編には強い作家性が込められるべきで、それを感じられなかった」
どの作品にもイメージの飛躍が我々の想像を超えるものではなかった。
しかし、今はまだ賞に値するものではないが、今回のファイナリストに残った
いつか評価される才能が、この中にいるのではないかと期待したいと思います。
ここ数年、さまざまな短編映画祭の審査委員を務めてきましたが、
昨年のテイクワン賞のレベルには正直驚かされました。こんなにも才能のある作家がまだいるのかと。
実力はあるが商業ベースではない若手を見出す、世の中をもっと広く意識した作品を作ろうとじゃないか、
とする才能をAmazonスタジオが支援をするテイクワン賞にふさわしいのは辛辣な意見を聞いてきた作り手であり、
この賞はそれでも作り続けるという作り手にこれから手を差し伸べるべきだと思います。
今回の結果を是非、来年のAmazon Prime Video テイクワン賞に繋げていただきたいと切に思います。
来年は、更なる飛躍をしていただいて、また若い人たちがどんどん応募してきていただけたらなと思っております。」

<アジアの未来>
作品賞受賞『蝶の命は一日限り』:モハッマドレザ・ワタンデュースト(監督)
「この賞をいただくことはとても感銘を受けることなのですが、今は芸術性の高い映画が
中々色んな映画祭で賞を貰ったりしないので、東京国際映画祭は今でも芸術性を大事にする映画、
芸術の言葉で一つの物語を語る映画を大事にすることということに、私たちは感銘を受けました。
私たちは監督として一つの社会問題を、映画の言葉で表現することはとても重要なことであると信じてます。
この場を借りて、この賞をイランの大変素晴らしい女性たちに捧げたいと思います。
世界の平和、そして戦争がない平和を願って、スピーチを終わりたいと思います。」

<コンペティション>
観客賞受賞『窓辺にて』:今泉力哉(監督)
「私の作品はすごく、個人的な本当に小さな悩み(を題材に)恋愛映画をずっと作り続けているのですけれども、
世界には戦争だったりとか、ジェンダーの問題だったりさまざまな問題がある中で映画の題材にならないような、
小さな小さな…本当に小さな取るに足らない悩みとか、個人的な問題とかを、恋愛を通じてコメディ的な笑いも含めて
描こうと思って今まで作り続けています。どうしても映画に限らずですけれども、小説とかそういうものっていうのは
大きな問題を取り上げてそれについて語るものとしての側面があると思うのですけれども、自分は主人公も受動的だったり、
自ら行動できなかったりとか、見過ごさられるような小さな問題について映画きたいというのをずっと作り続けています。
自分が映画を作ってきて、こうやってこの場に立って至れるのを嬉しく思いますし、今後も続けていければと思います。
まだまだ、戦争だけではないですし色々な問題がありますが、ネガティブに全部捉えるわけではなく、
そこにある小さな喜びとか、そういうものについてこれからも、自分なりにできることを考えて行こうと思います。」

最優秀芸術貢献賞受賞『孔雀の嘆き』:サンジーワ・プシュパクマーラ(監督)
「日本の政府・日本のみなさんに大変多くなサポートいただきましたことを心から感謝したいと思います。
私たちの困難の間、みなさんから非常に強力なサポートを得ることができております、ありがとうございます。
また、私の映画のまさに源となりました妹、兄弟に感謝しております。この映画を全てのスリランカの人に
捧げたいと思います。私たちは税金で教育を受けることが出来ております。そういった意味で私はこの映画そのものを
スリランカの人々に捧げたいと思います。」

最優秀男優賞受賞『ザ・ビースト』:主演ドゥニ・メノーシェ
「東京国際映画祭は大好きな映画祭です。賞をいただくことができて光栄です。日本が大好きで、
日本の文化を素晴らしく思っております。世界中が「日本的」だったらもっと住みやすくなるに違いありません。
ですから受賞を大変喜ばしく思っております。残念ながら、今私はモントリオールにいます。
また日本に行くことを楽しみしにしており、いつか日本で映画を作りたいものです。」

最優秀女優賞受賞『1976』:主演アリン・クーペンハイム
「このような素晴らしい賞をいただいて大変嬉しく驚くと共に、大変光栄に思っております。
映画祭審査委員のみなさん、そしてこの役を私に託してくれたマヌエラ・マルテッリ監督、
『1976』の素晴らしいチームの仲間たち、非のうちどころのない愛情に満ちたチームワークは
改めてお礼を申し上げます。本当はみなさんと一緒に祝いたいのですが、私は文字通り地球の裏側にいるのです。
とても遠いチリのサンティアゴからみなさんに暖かい抱擁を送ります。あなた方一人一人の幸運を祈ります。」

最優秀女優賞受賞作監督:マヌエラ・マルテッリ監督(『1976』)
「私の作品を上映する機会を与えてくださった東京国際映画祭のみなさま、心から感謝しております。
そしてまた、この素晴らしい日本という国、そして素晴らし日本のみなさまに心から感謝しております。
実は、10歳の時にこの主演のアリンさんにインタビューをする機会があったんです。
それで今彼女がこの作品で賞を獲ったと行くことが、とても感激しております。」

審査員特別賞受賞:『第三次世界大戦』ホウマン・セイエディ監督(代理:主演マーサ・ヘジャズィ)
「残念ながら監督がこの場に来られなかったので代わりにメッセージをいただいているので私が読ませていただきます。
“日本のために、そして全ての私の幻想のために。この世界は山であり、私たちの行動は呼びかけである。
呼びかけは声として入ってくる、声には呼吸がないが、声は聞くことができる。私の声は、あなたの元に届くでしょう。
私は今、この瞬間みなさんと一緒にいることができません。それは私が望まなかったからではなく、そうせざる得なかったからです。
けれど私の声は、そこにあります。あなた方と一緒にいられなかったこと、あなた方の文化や伝統に触れられなかったことが、
とても悲しいです。しかし私は何年も前からみなさんの声を聞いているのです。俳句読む度に、村上春樹や
カズオ・イシグロの本を開く度に、黒澤映画をみる度に、私はみなさんのことをよく知っています。
そしてもうすぐみなさんに会いに飛んでいきます。世界平和を願い、日本のみなさんに会えることを願い、
私たちを受け入れてくれたこと深く感謝の気持ちをお送りします。」

”最優秀監督賞&東京グランプリ/東京都知事賞受賞:『ザ・ビースト』ロドリゴ・ソロゴイェン(監督)
「最優秀監督賞と東京グランプリ/東京都知事賞の2つをいただけるなんて本当に嬉しいです。
この2つの賞を受賞できることを心より光栄に思います。東京国際映画祭と審査委員のみなさん
ありがとうございます。授賞式に参加できないのは残念ですが、『ザ・ビースト』や映画祭、
そして素晴らしい東京という街を楽しんでいただければと思います。本当に嬉しいです。」

スペシャルプレゼンター:小池百合子東京都知事
「今年のコンペティション部門は107の国と地域から、1,695本の応募がありました。
毎年数多くの新しい才能がここ東京から世界へ羽ばたいていることを大変うれしく思います。
映画には、人々の心をつなげる大きな力があります。この映画祭を通じて相手の個性や
考えを尊重し一人ひとりの夢、希望が育まれることを期待しています。」

【受賞者記者会見】

アジアの未来作品賞:『蝶の命は一日限り』モハッマドレザ・ワタンデュースト(監督)
「イランの歴史を遡ると、文明的に優れた国だし女性の立場はとても大切で力を持っていました。
近代は女性は少しずつまるで覆いを被せられたようになっている。それでもイランの男性は
自分のパワーやエネルギーは女性からもらっていると思っている。
(検閲があることでもっとクリエイティブになるかどうか?に対して)
今は自由に女性を描くことができないときがありますが、表現の仕方を変えれば
描けるのではないかと考えています。ただクリエイティブな人たちは検閲が好きではないし、反発はあります。」

コンペティション部門審査委員特別賞:『第三次世界大戦』マーサ・ヘジャーズィ(女優)
「この作品はテーマがとてもグローバル。どの文化や考え方で育ってきても
この映画と関係を持つことができるのが魅力だと思います。」

コンペティション部門最優秀女優賞:『1976』マヌエラ・マルテッリ(監督)
「こういった映画が作られるまで50年もかかったのは、まだ私たちは父権的な社会に
生きているということだと思います。チリの独裁者政権について、あの時代
(1976年)を女性目線で描かれた映画はなかった。つまりいまだに不平等な世界に
生きているということだと思います。まだまだたくさんやるべき仕事があると思います。」

コンペティション部門最優秀芸術貢献賞:『孔雀の嘆き』サンジーワ・プシュパクマーラ(監督)
「東京国際映画祭は小さい時から知っている映画祭なので、素晴らしい賞をいただけたことを
心から光栄に思っています。おそらく、スリランカの映画がこうした国際映画祭で受賞するのは
初めてのことだと思うので、スリランカの映画産業にとっても大きな意味のある賞だったと思います。」

コンペティション部門観客賞:『窓辺にて』今泉力哉(監督)
「映画を作っているときはスタッフや出演者等作ってくれる人たちへの感謝もありますが、
脚本を作っているときや撮影中、仕上げをしているときも楽しさより苦しさを多く感じるというか、
ほとんどの作り手よりも現場があまり好きじゃなかったりと、苦しみながら作っています。
自分はお客さんが観てくれたり届いたときの喜びのために映画を作っているというか、
それでまた映画を作る力になっています。今回の観客賞を素直に喜びたいなと思います。」

審査委員長ジュリー・テイモアのコメント
「『ザ・ビースト』は音楽、撮影、物語、脚本、役者、そして演出も本当にすべてに感動したし
心を動かされる、これこそまさに「映画」だと感じさせてくれる作品でした。
最後まで競っていた『第三次世界大戦』は本当にワイルドで、『パラサイト半地下の家族』や
『ゲット・アウト』やチャップリンの『独裁者』のような映画で、本当にショックを受けましたし
驚かされました。イランでホロコーストの映画が撮影されていて、現場の作業員が
収容所の無理やりエキストラにさせられていたり、主人公の男性が困難な状況にある中で
ヒトラーにさせられたり非常に珍しい映画。ぜひ2本とも配給されてほしいと願っています。
私たちは馴染のあるものに慣れてしまっている傾向があるが、それは問題だと思います。
そうではなく、自分ではない他の人の人生を経験し歩むことで自分を豊かにしてくれるのが映画だと思います。」

【第35回東京国際映画祭各賞受賞作品・受賞者】
「コンペティション部門」
東京グランプリ/東京都知事賞:『ザ・ビースト』(スペイン/フランス)
審査員特別賞:『第三次世界大戦』(イラン)
最優秀監督賞:ロドリゴ・ソロゴイェン監督『ザ・ビースト』(スペイン/フランス)
最優秀女優賞:アリン・クーペンハイム『1976』(チリ/アルゼンチン/カタール)
最優秀男優賞:ドゥニ・メノーシェ『ザ・ビースト』(スペイン/フランス)
最優秀芸術貢献賞:『孔雀の嘆き』(スリランカ/イタリア)
観客賞:『窓辺にて』(日本)

アジアの未来作品賞:『蝶の命は一日限り』(イラン)
AmazonPrimeVideoテイクワン賞:該当者なし
特別功労賞:野上照代

【第35回東京国際映画祭動員数<速報値・2日は見込み動員数>】
◆上映動員数/上映作品本数:59,414人/169本*10日間(第34回:29,414人/126本*10日間)
◆上映本作品における女性監督の比率(男女共同監督作品含む):14.8% (169本中25本)
◆その他リアルイベント動員数:50,842人
◆ゲスト登壇イベント本数:157件(昨年:65件、241.5%増)
◆海外ゲスト数:104人(昨年:8人、1300%増)
◆共催提携企画動員数:約20,000人

【第35回東京国際映画祭開催概要】

公式サイトはこちら

<開催期間>
2022年10月24日(月)~11月2日(水)[10日間]

<会場>
シネスイッチ銀座、丸の内TOEI(中央区)、角川シネマ有楽町、TOHOシネマズ シャンテ、TOHOシネマズ 日比谷、
ヒューマントラストシネマ有楽町、丸の内ピカデリー、有楽町よみうりホール、東京ミッドタウン日比谷 日比谷ステップ広場、
マルキューブ、有楽町micro、東京宝塚劇場、東京国際フォーラム(千代田区)ほか、都内の各劇場及び施設・ホールを使用

<実施体制>
主催:公益財団法人ユニジャパン(第35回東京国際映画祭実行委員会)
共催:経済産業省 国際交流基金アジアセンター(アジア映画交流事業)、東京都(コンペティション部門、ユース部門)
後援:総務省/外務省/千代田区/中央区/独立行政法人日本貿易振興機構/国立映画アーカイブ/
一般社団法人日本経済団体連合会/東京商工会議所/一般社団法人日本映画製作者連盟/
一般社団法人映画産業団体連合会/一般社団法人外国映画輸入配給協会/モーション・ピクチャー・アソシエーション(MPA)/
全国興行生活衛生同業組合連合会/東京都興行生活衛生同業組合/特定非営利活動法人映像産業振興機構/
一般社団法人日本映像ソフト協会/公益財団法人角川文化振興財団/一般財団法人デジタルコンテンツ協会/
一般社団法人デジタルメディア協会
支援:文化庁

<協賛>
オフィシャルパートナー:日本コカ・コーラ株式会社/Prime Video/株式会社カプコン
プレミアムスポンサー:三井不動産株式会社/三菱地所株式会社/株式会社木下グループ
スポンサー:株式会社 アイム・ユニバース/株式会社バンダイナムコホールディングス/大和ハウス工業株式会社/
株式会社 帝国ホテル/株式会社IMAGICA GROUP/株式会社スター・チャンネル
トランスポートパートナー:東京地下鉄株式会社/東京都交通局
メディカルサポーター:ICheck株式会社
コーポレートパートナー:松竹株式会社/東宝株式会社/東映株式会社/株式会社KADOKAWA/日活株式会社/
一般社団法人映画演劇文化協会/一般社団法人日比谷エリアマネジメント/東京ミッドタウンマネジメント株式会社/
DMO 東京丸の内/Ligare
メディアパートナー:株式会社J-WAVE/株式会社WOWOW/日本映画専門チャンネル/ウォール・ストリート・ジャーナル/
LINE株式会社/株式会社つみき/株式会社ムービーウォーカー/ぴあ株式会社/株式会社 ニッポン放送/Variety/
ハリウッド・リポーター(※協力年順)
フェスティバルサポーター:西尾レントオール株式会社/株式会社トムス・エンタテインメント/株式会社クララオンライン/
株式会社レントシ―バー

©2022 TIFF

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