世界のエンターテイメントの“今”をお届け!

東京2020スクリーニング実証実験開催

東京2020組織委員会は(以下、組織委)、安全・安心かつ円滑な東京2020大会を運営の為、
2020年10月19日(月)~10月21日(水)に東京都江東区の東京ビッグサイトにて行われた
スクリーニング実証実験の3日目の模様を報道陣に公開しました。

【実証実験の様子】

2018年9月に江東区青海にて行われた第一回目のスクリーニング実証実験。
前回は警視庁と組織委との合同で開催し、来場者の手荷物を検査する場所である
PSA(観客・関係者用歩行者スクリーニングエリア)、VSA(車両スクリーニングエリア)が
公開されました。それから2年。新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、
東京2020大会が1年間の延期が発表され、その中で2021年の大会開催に向けて
現在、組織委が検討している新型コロナウイルス感染症対策を含む様々な施策案の検証が
2020年10月19日(月)~10月21日(水)の3日間に渡り行われました。

東京ビッグサイトの東展示棟野外エリアに設置されたのは特設のPSA。
競技会場等における入場時のスクリーニング運用を想定した警備JV(大会警備共同企業体)代表の
セコム株式会社と綜合警備保障株式会社の企画によるスクリーニング実証実験が行われました。
3日間に渡った実証実験は、運営側のスタッフ人員が175人、外部からの視察者を含めると、
来場人数は880人に上り、総勢1000人以上が参加。44のシナリオ(実証内容)が行われ、
参加警備企業別で目標となる「スループット値(時間あたりの検査可能人数)」を確定させると共に、
今回はセコムと綜警以外の警備JV加盟企業も参加し、検査手順の演練、目標スループット値の
達成の為の必要項目の精査が行われました。

『観客PSAにおける運用』
最初の観客用PSAの実証実験には約20名が参加。待機レーン上には1.5mの間隔を取った
ソーシャルディスタンスのマークが足元に貼られ、社会的距離を確保しています。
PSAの警備スタッフはフェイスシールド、マスクを装備し、ソーシャルディスタンス保った立ち位置で対応。

非接触型検温器による体温測定を受けた後、全身型X検査機を通過。
次に異物持ち込み防止の為、入場者自身によるペットボトルの試飲検査、持ち込み禁止物の対応、
そして外国からの入場者に対応する複数のサインボードと英語による言語対応がなされます。

『関係者PSAにおける運用』
次に関係者用PSAの実証実験。観客用と同じく、20名程度のスタッフが参加。
こちらは1mのソーシャルディスタンスがとられたシールを足元に配置。
こちらでは検温をサーモグラフィーによって計測。そしてNEC製の顔認証システムを
通過し手荷物検査という流れ。

『ダイバーシティに対応した観客用PSA』
最後に車椅子での来場者や障害を持った来場者等、多様性に配慮した観客用PSAの実証実験。
この実験では参加者は手首に後述の「体調確認シール(仮)」を張り付け、非接触検温器を使用せず、
検温スタッフのシールの目視により体温を判断。

車椅子来場者は健常者とは別のレーンに案内され、通常手順と同じ検査を受けてPSAを通過します。(介助者・付き添い人も同様)
PSAへのスロープは角度・長さと共にフルフラットタイプの車椅子、また手押しでの
上り下りに配慮した物が設置され、問題無く進行が可能になっています。

『観客・関係者PSAでの感染防止対策』
特設会場の野外にはスタッフが新型コロナウイルス感染症対策の為に着用するマスク、ビニール手袋、
エタノール配合のハンドジェルが展示されていましたが、その中でも報道陣の注目を浴びていたのが、
手首に貼る使い捨て型の「体調確認シール(仮)」。

向かって左のペットボトルにはお湯が、左のペットボトルには水が入っており、左の体調確認シール(仮)は熱に反応しています

平熱時は赤色の目盛り部分が反応するのみですが、一程度以上の体温を感知すると黒いシールの表面が
オレンジ色に変わって「CHECK」の文字が浮かび上がり、体調を一目で判別出来るというも物。
今回初お目見えのアイテムですが、来年の大会本番に導入されるかどうかは未定との事。
高気温が予想される来年夏の東京2020大会期間。高い外気温下で精度低下が懸念される
非接触検温を補うでのて来場者の体調確認のスピードアップが期待されています。

今回の実証実験で得られた点としては、計44のシナリオを演練した中で、来場者の手荷物が有る場合と
無い場合では、「スループット」に掛かる速度・時間が二倍以上になるという事が判明。
大会本番は夏の暑い時期であり、熱中症の予防の観点からスムーズな入場が不可欠と警備局では判断をし、
また、様々な事象でボランティアスタッフの配置が一切無くなってしまったといった場合には、
どれだけスループット値が落ちるのかという確認が行われ、手順は配置を精査した結果、
ボランティアスタッフ配置時と比べ、若干落ちる程度に留まったとの事。
また、VSA実証実験では初めて特殊車両(清掃車・タンクローリー・ガスボンベ積載車・食材搬入車)のチェックが実施され、
実証実験に協力したサプライヤーからも大きな反響が得られたとの事です。

【囲み取材の様子】

スクリーニング実証実験終了後、 組織委を代表し、岩下剛東京2020組織委員会警備局⻑と
この3日間の実証実験を体験したスタッフを代表して、大会警備JV加盟社職員の丹野こずえさんの囲み取材が行われました。

冒頭、岩下警備局長から。
「この実証実験を通じて私達は3つの目的を持って行いました。一つはコロナ対策。
課題は沢山有りますけども、入場時のソーシャルディスタンスや、来場者の検温、更には警備員の
マスクやフェイスシールドといった物を一通り試しまして、貴重なデータを取る事が出来ました。
二つ目は警備スタッフのスキルアップ。既に我々が調達済みの大会本番で実際に使うX線検査装置・探知機を用い、
警備JVの皆さんに実際に演練してもらい、この3日間でスキルアップをしました。
スキルは参加した本人達がしっかりと習得しましたので、それを自社の警備員に落とし込んでいく。
そし今回参加出来なかった多くの警備会社の方々には、今回作成した警備教材を配布し訓練をして頂き、
高いレベルでスムーズな入場をして頂ける様に今回、大きな成果を得られたと思います。
3つ目は、東京2020大会を安全・安心に実施する為に組織委、特に私共警備局が準備をしている事を
報道を通じて大会を楽しみにしている多くの方々にお伝え願えればと思います。
これについて私達はキャッチフレーズを作っておりまして、日本語では「入場は手荷物少なくストレスフリー
(サブタイトル:大きな感動をお持ち帰り頂きますので、手荷物は最小限でお願い致します。)
英語では「Packless waitress(subtitle:Fan in light lean with delight)」です。」

続いて丹野さんから。
「今回3日間、警備JVの16名が集まって初めて実技での訓練を行いました。
今まではEラーニングだったり、座学での教育研修の機会はあったのですが、こうした警備JV
統一のユニフォームを着て実際に訓練を行うというのは今回が初めてでした。
今回参加している16名は各社の指導者という立場であり、これから1万数千人の大会警備員に対して、
今回行った訓練と同様、大会本番初日から非常に高いレベルでの検査を実践出来る様に
各社に持ち帰って訓練を行っていきたいと思います。」

Q:新型コロナウイルス対策が今回、新たに実証実験内容に加わったが、
新たに浮かんだ課題とその修正は何時を目途にやっていきたいか?

岩下警備局長「検査の在り方自体には何ら変わる物が無いと考えています。
今回は様々なシナリオで、どのくらいの時間を要するのかというのを計りましたので、
これを基にすべての警備員が実践出来る時間に落とし込むのが大きな課題であります。
コロナ対策に関しましては、今回は様々な機材や方法を試して、それぞれにどの位の
時間が掛かったり、負荷があったりするかをデータとして集めましたので、
このデータを検討に活用し、国・東京都・組織委で作るコロナ対策調整会議での議論、
更には、国内外で行われているコロナ禍でのスポーツ大会の実践状況等を
総合的に検討して、東京大会本番時にどの様な取り組みをすべきか各方面と協議をし、
最適解を見つけたいと考えています。」

Q:新型コロナウイルス対策を踏まえた実証実験を実際に行ってみてどう感じたか?

丹野さん「今回、フェイスシールドを着用して手荷物検査を行いました。
今日の気温(約20℃)でなんですけど、警備中に話をしたりすると視界が曇ったり、
顔面が熱く感じたりという状況がありました。実際に大会本番となると、
非常に気温の高い状況下で何千人というお客様のご案内をして、フェイスシールドを付けて
警備業務をするという事を考えると、手荷物検査時に下を向いた際、自分の汗が
フェイスシールドに落ちる、またはお客様のお荷物に垂れてしまうという事が無い様、
そういった対策だとか、熱中症対策もこれからは考えていかなければならないと感じています。」

Q:今の丹野さんの話を聞いて、対策をした方が良い点は?

岩下警備局長「今回はフェイスシールドのみならず、様々な機材について実践をしてもらいました。
今後また実践する機会もあろうかと思いますので、この意見をしっかりと集約して
特に大会本番の高気温下での対策を考えるべきと思いますので、こうした場面で
再度検討し考えていきたいと思います。コロナ対策も非常に重要ですけども、熱中症は死亡リスクもある
疾病だと思いますので、暑さ対策もしっかりやらないといけないと考えております。」

Q:今回の実証実験で効果的、または逆にさほど効果が見られなかった事は?

岩下警備局長「検温については今後どの様にこれと向き合っていくかというのは、
組織委全体の課題だと思っています。私達はこれに先んじてそれぞれの手法をやったら、
どの位の負荷がかかり、どのくらいの時間がかかるのかという事を検証しました。
ただ、色々と聞きますと、サーモグラフィーにも沢山種類が有りますし、
検温器にも様々有ると考えています。今回はその一つのデータを取った訳ですけども、
これで十分という事は無いと思いますので、他の手法も含めて考えていかないといけないと思います。
それぞれがどの様な効果があるのかという点につきましては、専門家の意見を賜りながら
決めてくべき課題だと思っています。」

Q:正直、東京2020大会が本当に開催されるのかと不安な人達も居るが、
チケットを購入した人達や日本国民にどんなメッセージを伝えたいか?

岩下警備局長「今年3月に東京2020大会の延期が決まった訳でありますけども、
私達はその翌日から、新しい大会に向けてやるべき事とというのを計画し、
現状、それを線表通りに進めているという所であります。昨今、
プロ野球ををみても順調に回復が進んでいるようでありますし、Jリーグ、大相撲等、
プロスポーツが行われていますし、来月には体操の国際競技大会が行われます。
世界では、全米テニスのオープンが開催され、コロナの情勢が厳しい国でも対策に気をつけて
イベントが出来ているという実態があります。こうした事を踏まえると私達は確実に
東京2020大会が行われるとという事を確信し、引き続き3月に定めた線表通りに
準備を進めていく事だと思います。今回のスクリーニングにつきましても、観客用PSAの事も
しっかりと演練しておりますので、私達は満員収容で東京2020大会が行える事を前提に
全ての準備を進めている事を皆さんにご理解頂きたいという風に思います。」

約2年ぶりに実施されたスクリーニング実証実験。来年の大会本番ではどの様に結果が生かされるのでしょうか?

【スクリーニング実証実験2020実施概要】

<日時>
2020年10月19日(月)~10月21日(水)

<会場>
IBC(東京ビッグサイト 東展示棟)

<主催>
公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会警備局

<企画>
セコム株式会社/綜合警備保障株式会社

<運営>
セコム株式会社/綜合警備保障株式会社

<参加者数>
運営スタッフ:175人
来場者数:880人

©Tokyo 2020

 - News, life