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日本初演を含む珠玉の6作品が揃い踏み 日生劇場 開場60周年記念主催公演制作発表開催

日生劇場外観

日生劇場客席

1963年にベルリン・ドイツ・オペラ『フィデリオ』のこけら落とし公演で開場して以来、
様々な舞台作品を上演してきた日生劇場は、2023年に60周年を迎えます。
これまでの歩みを胸に、これからもすぐれた舞台芸術を提供し、我が国の芸術文化の
さらなる振興に寄与できるよう邁進していく所存、としています。
60周年を記念した主催公演として、NISSAY OPERA 2023では、日本初演となる
ケルビーニ作曲『メデア』、日生劇場では53年ぶりのヴェルディ作品となる『マクベス』、
ドイツ語版舞台上演日本初演となる三島由紀夫原作『午後の曳航』(東京二期会との共催公演)、
日生劇場ファミリーフェスティヴァル2023では、大人気ファンタジー小説初の舞台化となる音楽劇『精霊の守り人』、
画家・絵本作家ヒグチユウコ作品初の舞台化となる舞台版『せかいいちのねこ』、
“日生劇場版”として新たに改訂演出・振付される谷桃子バレエ団『くるみ割り人形』という祝祭感あふれる6作品を上演します。

2022年6月22日(水)、東京都千代田区の日生劇場にて、日生劇場開場60周年記念主催公演制作発表が行われました。

【制作発表の様子】

日生劇場の1階ピロティ部において行われた60周年記念主催公演の制作発表。
最初に主催者である日生劇場を代表し、ニッセイ文化振興財団[日生劇場]理事長の松山保臣氏からの挨拶が。
松山理事長「私共は1963年にヴェートーベンの「フィデリオ」でこけら落としをしました。
以来、日生劇場ではオペラと児童文化の2つに力を入れ、オペラについては開場以来、
ずっと自主製作公演を続けております。その中で79年には第1回日生劇場オペラ教室、
それから96年からはオーディションによるキャスト選抜を実施し、国内の第一線級の歌手の皆様は元より、
有望な若手の方にもご出演いただく事によって作品の質を高めてまいります。
一本で児童文化ですが、会場の翌年から次の社会を担う子供達の豊かな心を育む事を目的とし、
児童向け無料招待公演を全国で実施してまいりました。その招待者数は昨年度で累計797万人になり、
順調にいけば今年度に800万人目を何処かの街で達成出来ると思います。
これからも子供達の記憶に残るメッセージを分かり易く届けるという作品作りに邁進してまいりたいと思います。
世の中はコロナにより未曽有の危機を迎え、特に芸術・文化活動は一時は不要不急だというレッテルを貼られて
大変な打撃を受けました。しかしいつ開けるか分からない闇の中にあっても、アーティストのみなさんはお互いに助け合い、
励まし合って少しずつ一歩ずつ芸術活動の襷を繋いで来られました。 その姿には本当に頭の下がる思いです
長かったコロナのトンネルに漸く光が差し込んで来た様に思います。そんな中、日生劇場にとって
今まで頑張って来られたアーティストの皆様方と一緒に開場60周年という大きな一歩を踏み出せるという事は大変な喜びです。」

日生劇場開場60周年記念ロゴ

続いて、ニッセイ文化振興財団[ニッセイ劇場]芸術参与であり、今回の60周年記念主催公演の
オペラ『マクベス』の演出を担当する粟國淳氏と松山理事長が、パネルにかけられた大きなベールを引っ張ると、
60周年記念ロゴがお目見え。1963年の開場より60年に亘り、一段一段積み重ねてきた歴史や舞台公演に込めた想い、
また、この先の未来も優れた舞台芸術の提供を通じ、わが国の芸術文化の振興に寄与していきたいという決意を、
日生劇場の象徴の一つである劇場内の螺旋階段と右上がりの「60」の数字でデザイン。
今後、開場60周年記念公演の各種公演パンフレットやポスター、劇場外に掲揚する劇場旗などに使用されるとの事でした。

そして今制作発表の主役である6名の演出家が自身が演出する作品の説明と共に挨拶します。

「オペラ『メデア』」演出:栗山民也
栗山さん「もう2か月前位ですか、ウクライナの劇場にミサイルが撃ち込まれました。
確か、1,000人余りの市民が避難していたその場所でです。私は丁度その時、新宿の劇場で
ある芝居の初日を迎える時でした。初日を観ながら頭の中はウクライナの劇場の事でいっぱいでした。
ずっと舞台に関係していまして、劇場というのは人々が集い、人間について、そして世界について考え、
学び、そして夢を見る場所だと思っておりました。それから劇場ってどんな場所なんだろうとずっ~と考えています。
「メデア」という作品ですが、僕は何時もは演劇の世界にいまして、今までに2,3回、メデアを上演しないか?
という話があってその度にエウリピデスの原作を読んでいました。紀元前に書かれた物語ですけども、
本当に現実の今、しっかりと息をしている作品です。物語の普遍性を感じます。
このメデアの物語を読むと決まって頭に浮かぶイメージがありまして、それはピカソの「ゲルニカ」です。
軍事化の世の中に死んだ我が子を抱きしめて呆然と空を見上げている母のスケッチがあります。
その母の目が縦になっているんですね。ピカソはその女性の目を縦に変えた。ヨーロッパの評論家が
この絵を見てこれは女の涙である、と評したんですね。僕はその言葉を読んで、
そんなロマンチックな事じゃないんじゃないかと思いました。人間の怒りと悲しみ、その究極をピカソが
目に描いたんだと思います。今の日本ですけども凄く分かり易い事を受け入れる時代になってしまったなと
つくづく思いますけども、不条理である、そして矛盾に満ちている。それが人間の姿だと思います。
例えば表と裏、悲劇と喜劇、愛する事、憎む事、そして正気と狂気、これがメデアの中心だと思います。
永遠のテーマを秘めたこの作品、心に残る作品にしたいと思っております。」

「オペラ『マクベス』」演出:粟國淳
粟國さん「マクベスという作品は、オペラ演出家として1回は演出してみたいなとずっと思っていた作品です。
それはやはりシェイクスピアの作品としても凄く好きな作品なんですけども、それをオペラとして
ヴェルディが音楽で音楽劇、メロドラマとして表現をするにはこれ以上の物は無いのではないかと、
私個人的に思っている作品だからなんですね。それは何かというと音楽と言葉のメロドラマという方式の中で
シェイクスピアの世界を2時間半の中にそれだけのエッセンス、音楽と言葉の力を合わせる事によって
また違う形でシェイクスピアのお芝居とは違う舞台表現というのを出来ている作品だと思います。
具体的にどういう事かと言いますと、これはヴェルディが初期の頃に書かれている訳なんですが、
ついついマクベスを聞いてしまうと、もうビゴレットとかトラビアータという、もっと成長した
ヴェルディの作品なのかなとつい思ってしまう訳なんですが、ヴェルディが若い時に書いている作品でありまして、
という事はハナッからヴェルディがオペラというのは劇であり、そこで歌い手というのは勿論役者で、
歌い手であるのは当たり前。そこに芝居、ドラマをちゃんと作れなければならない。
そこに彼(ヴェルディ)の手紙のやり取り等を見ていますと、あえて言うなら、音楽家を喜ばせるより
今回は台本作家を喜ばせろ、言葉と意味という物をちゃんと表現しろ、と。
今丁度オーディションをしている最中なんですけども、ほぼキャストは決まり始めています。
気持ちとしては早く稽古をしたいなと、オーディションの段階からそう思ってしまう感じですね。」

「オペラ『午後の曳航』」演出:宮本亜門
宮本さん「栗山さんのお話から色々と考えてしまいまして、実際に我々、舞台に関わっている物達だけでは
無いと思いますが、コロナ禍で皆さんは何故舞台をやるのか?と、なぜ我々はそれでも生き続けるのか、
何を大切にしていくのかと、徹底的に打ちのめされ、考えた時期が世界中の人にあったと思います。
その後に今は戦争という事が起きている。我々は一体何をすべきなのか。私は「9.11」の時に
NYに居た事もあって、丁度世界貿易センタービルが崩れ落ちる瞬間を見て絶望的になって、
開演する筈の舞台が出来なかった。まあ、結果的には10日後に上演をしたんですが、その時と同じで
コロナの事も戦争の事も含めて、やはり舞台というのは意味があるのか無いのかという問いを本当に深く
我々はきっと考えている時期だと思います。だからこそ、正直に言うと重いです。
ですが、そこには感動や喜びや生きる希望は必ずある事でむしろ、最近の舞台を拝見していても
いよいよ増々エネルギッシュに、だからこそやるんだと。
多くの人が演劇から去っていっています。スタッフもキャストも正直に言うと生活が楽じゃないからでしょう。
ブロードウェイもそうで、大変な状態です。それでも舞台を続ける意味というのは、
増々自分に思いを課せ、そして出演者、スタッフ達と最高のものを作っていきたいと思います。
その中で特に私は15年位前、日本人キャストによる演奏会形式のCDが出されてそれを聞いたのが『午後の曳航』です。
僕は三島由紀夫が大好きです。「金閣寺」も「癩王のテラス」もやりました。三島さんの壮絶な生き方、
一切の表裏を出すことなく、醜い物も美しい物も露骨に全てを出していく姿に僕は何時も勇気を貰っています。
そんな事もあって、何時かやりたかった『午後の曳航』をやっと出来るという事で興奮しております。
特にハンス・ヴェルナー・ヘンツェの曲なんですけども、丁度2010年にイタリアでフェスティバルがありまして、
その時に上演されました。私も何が何でも観たいと思って観に行った時に『午後の曳航』
というタイトルになっておりまして、そこから新たに再開をした作品、そしてその深み、
露骨に全ての事を生々しく出している姿に感動をして、何時か自分が出来たらと思っていたので、今日は正直嬉しいです。
そして来年「こんなものが日本人の手で出来たんだ」と、三島さんの思いが少しでも受け継ぐ事が出来たらば、
という思いで皆さんに是非、劇場に遊びに来ていただきたいと思っています。
内容はとても痛いです。そして恐ろしいです。そして美しいです。人間の本質を露骨に表に出している作品ですので
今の現代人の悩みそのものと言えるかもしれません。大好きな日生劇場60周年おめでとうございます。」

「音楽劇『精霊の守り人』演出:一色隆司
一色さん「自分が生まれる前からこの劇場は現役で。本当に凄い事だなと思いながら。
『精霊の守り人』をやるにあたって色んな事を思っているんですけど、「日生劇場ファミリーフェスティヴァル」というのは、
開場当時から「ニッセイ名作劇場」として、全国の子供達に演劇を提供して来た伝統のある事業で、
それをずっと脈々と受け継ぎながら今日に至る訳ですけども、60周年記念に『精霊の守り人』が選ばれたという事も
何か意味があるのではないかと思って自分なりにこの作品と改めて向き合う日々を過ごしております。
私の周りにも「ニッセイ名作劇場」を観て影響されて演劇の世界に入ったんです」という方が沢山おりまして、
余りにも周りにそういう方が多いのでホントなんだなと。人生を変えてしまう位の
パワーとエネルギーというものが劇場にはあって、そのパワーを信じながら何かを皆さんに届けたいなと思っています。
『精霊の守り人』は原作の上橋先生と映像化をNHKでやった時に演出としても入っておりまして、
色々と上橋先生ともお話をさせていただいているんですけども、この今の時代に何を届けられるのか、届けたいのか、
また、届ける意味があるのかという事を今日に至るまで何度かお目にかかりながらかなり議論を重ねてまいりました。
実際に作品の物語としては何物でもない人が自分の運命と向き合ってそれに立ち向かって行きながら周りの人を巻き込み、
それが一つの大きな力となって世界を変えていく、そういうお話なんですね。
だからそういうエネルギーを持っているという事はとても大切で、人間のエネルギーの素晴らしさを
歌っている賛歌だなという風に思って皆さんにお届けしたいなと言う風に考えております。
未来の我々の世代、2022年の今年、世界で色々な事が起きていて、我々が人間として如何あるべきか
問われている時代だと思うんです。その中で未来の我々を担っていく子供達、またそれを育んで下さっている大人達、
全ての世代に劇場から何かを持って帰ってもらえる様な作品を目指して一所懸命作っていきたいと思います。」

「舞台版『せかいいちのねこ』」脚本・演出・振付:山田うん
「ヒグチユウコさんの絵物語「せかいいちのねこ」。絵本ではなく絵物語、とっても珍しいスタイルの本でして、
本を開くと、そこには素晴らしくエネルギッシュなとても生命力に溢れた絵画が載っていまして、
更にビックリする位に綺麗な余白が載っています。そして言葉。とても独特な、絵本ではなく、児童書ではなく、
宙に何か、生命をフワッと投げた様な独特な本を書かれていて、その世界観を舞台版にします。
舞台というのは、自分でページを捲るというよりも、舞台側から物凄くフワッとページをどんどんと捲って
新しい世界がどんどんと生まれていく体験の場です。まるで私達が生きている世界の様に、
私達が開かなくてもどんどんと扉が開かれていく、そういう場所に相応しい、生命のポテンシャルがとても高い動き、
台詞、歌、音楽、色彩美術、小道具。そういった舞台全体の躍動と静寂というものが全体が大きな生き物の様な
独特な舞台を作り上げたいなという風に思っております。日生劇場は私も本当に大好きな劇場で、
先ず、この玄関を入って来て、階段を上って劇場の中に入った瞬間に「ここは何処なんだろう」という、
場所の不思議さがあります。海の中の様な、そして都会の中の様な水族館の様な。
何とも言えない劇場体験というのが幕が開く前に始まっています。その幕が開いてから閉まるまで、
ず~っとドキドキが止まらない様な、子供達にとって新しい劇場体験になる様な作品にしたいと思っております。
主役は縫いぐるみの猫です。そして出て来るのは本物の猫です。人間は殆ど出てこないのですが、
そこには人間の圧倒的な眼差しがあって、「幸せとは何だろう」「本物の猫とは何だろう」
「本物の猫に成れたら幸せになれるんだろうか」「何故か、あちら側がとても美しく見える優しく見える」
という様な他人への憧れ、比較、色々な人間の眼差しが入った物語になっています。
子供達、親御さん達がお家に帰っても語り合える様な心に残る作品を作りたいと思っております。」

「バレエ『くるみ割り人形』」:改訂演出・振付:髙部尚子(谷桃子バレエ団芸術監督)
「我々、谷桃子バレエ団は2007年より「白鳥の湖」を特に多くファミリーフェスティヴァルで
上演させていただきまして、眠れる森の美女も今まで上演させていただきました。今回、60周年という事で、
さて何をやりましょう?という話になりまして、チャイコフスキーの3大バレエの一つである『くるみ割り人形』。
これは日生劇場さんの方では上演しておりませんでしたので、初めて谷桃子バレエ団の
『くるみ割り人形』を日生劇場さんでやらせてください、という事でこの度『くるみ割り人形』をやる事になりました。
60周年という事で何か特別な事は出来ないだろうかという事で、何時もはこの場所(1階ピロティ)で、
ファミリーフェスティヴァルの舞台の本番前に必ずワークショップをやっておりまして、
子供達にバレエの歴史であるとか、バレエの簡単な足や手のポジション、また、バレエは台詞が無い物ですから、
身振り手振りで台詞があるという事を子供達にこの場所で何時もワークショップをしてから
舞台を観ていただくという形を取らせていただいています。
今回は子役のオーディションをやってみようという事になりまして、内外を問わず、沢山の子供達に
応募をしていただいて、谷桃子バレエ団の団員達と一緒に新しい『くるみ割り人形』を作ってみようと。
私共の師匠であります、谷桃子先生は7年前に他界されましたけども、谷先生が1960年代に
ロシアのボリショイ劇場からいらしたメッセレブ先生、ワルラーモフ先生。このお二方が日本のバレエ界に
『くるみ割り人形』を伝えた方で、特にメッセレブ先生にはとても良くバレエを指導していただきまして、
沢山のロシアバレエを谷バレエ団に残して下さいました。その中でも1968年に谷先生が初めて
『くるみ割り人形』を上演しました。谷先生がお亡くなりになる前に私に「実は『くるみ割り人形』はもしかしたら、
私が一番振付をしっかりと作った作品なの。だから大事に踊っていって頂戴ね」と言われた事を今でも思い出しますけども、
この作品はそれ程、「白鳥の湖」等に比べては、我々のバレエ団では、数多く上演をして来た訳ではないのですが、
今回、日生劇場さんでの上演機会を頂戴しまして、また新たな子供達と作る新しい『くるみ割り人形』が
出来たらなと思っております。頑張って団員一同「心で踊るバレエ団」という事で日々、頑張っております。」

来年開場60年を迎える日生劇場。日本を代表する演出家陣が顔を揃える豪華な60周年記念公演に目移りする事間違いなしです。

【NISSAY OPERA 2023】

(左から)指揮:園田隆一郎、演出:栗山民也、メデア役:岡田昌子/中村真紀

【オペラ『メデア』】
ギリシャ悲劇の傑作を原作としたオペラ『メデア』はケルビーニの代表作。ロッシーニの登場以降埋もれていましたが、
1952年にマリア・カラスがタイトルロールを演じたことで、オペラ史に返り咲きました。
人物の情念が緻密に描かれ、演劇と音楽が見事に融合したその作品構成は、ブラームスから
「劇的音楽の頂点」と絶賛されています。ケルビーニ作品の日本における上演歴はほぼ皆無で、
『メデア』の上演は、これが日本初演となります。指揮は、オペラ・シンフォニーの両分野で
国際的な活動を展開する園田隆一郎、演出は、日生劇場開場50周年記念特別公演『リア』を演出して以来、
栗山民也が10年ぶりに登場いたします。メデア役には岡田昌子、中村真紀を起用。
2人のディーヴァとともに、王女「メデア」の壮絶な復讐劇にどう取り組むのか、ご注目。
本作品は日生劇場での上演後、全国各地でも上演予定。

『あらすじ』
舞台は古代コリントス。国王・クレオンテは、数々の冒険に出かけて偉業を打ち立てたジャゾーネに、
娘のグラウチェを嫁がせることにした。しかし、ジャゾーネの前妻・メデアの存在がグラウチェの心に暗い影を落とす。
ジャゾーネがクレオンテに謁見した際、メデアが現れ、かつてジャゾーネと交わした愛と、
奪われた二人の子どものことを訴えるが、ジャゾーネは拒絶する。メデアは悲嘆と怒りのあまり、ジャゾーネへの復讐を誓う。

(左から)指揮:沼尻竜典、演出:粟國淳(日生劇場芸術参与)

【オペラ『マクベス』】
〈良いは悪い、悪いは良い〉──国を救ったかつての英雄は、魔女の予言を信じ権力を求めるあまり、
やがて独裁者へと変貌する。そして、その暴力が自らを破滅へと導く──。シェイクスピア四大悲劇の名作が、
オペラの巨匠ヴェルディによって、圧倒的な迫力の音楽で描き出されます。
日生劇場でのヴェルディ作品は、1970年『ファルスタッフ』(ベルリン・ドイツ・オペラ)以来53年ぶりで、
新制作上演します。指揮は、2017年から2020年にかけて、びわ湖ホールにてワーグナーの
『ニーベルングの指環』全作上演を達成した泰斗・沼尻竜典。演出は、イタリア・オペラの第一人者である
日生劇場芸術参与・粟國淳。日本を代表する二人のマエストロがタッグを組んで挑む、ヴェルディの傑作オペラにご期待ください。
一般公演のほか、中高生向け鑑賞教室公演を実施予定。

『あらすじ』
スコットランドの将軍マクベスは、戦場からの凱旋の途上で魔女たちに遭遇し、「いつか王になる」という予言を受ける。
野望に燃えるマクベスは、夫人と共謀して、国王ダンカンと、同じく魔女から「王の父」になると予言を受けていた
戦友バンクォーを殺害する。血によってスコットランド王の地位を手に入れたマクベス。しかし、即位の宴席で、
手に掛けたバンクォーの亡霊を見たマクベスの心は、しだいに恐怖によって支配されていく。
かつての英雄は、独裁者として暴政を敷くようになり……。

(左から)指揮:アレホ・ペレス、演出:宮本亞門

【オペラ『午後の曳航』】
東京二期会との共催公演。戦後ドイツを代表する作曲家ハンス・ヴェルナー・ヘンツェが、敬愛する三島由紀夫の
同名小説を原作にオペラ化。1990年ベルリン・ドイツ・オペラで初演されました。その後、
指揮者ゲルト・アルブレヒトの企画で日本語版が2003年読売日本交響楽団により演奏会形式で初演。
2006年にはその改訂版がザルツブルク音楽祭で初演されました。今回、日生劇場では、
作曲家同様に三島文学を深く愛する宮本亞門による演出で、2005年改訂ドイツ語版を上演します。
宮本亞門が三島由紀夫原作のオペラを手掛けるのは、日仏両国で絶賛を博した『金閣寺』に続き2作目となります。
ドイツ語版としても、また舞台上演としてもこれが日本初演となる本作にご期待ください。

『あらすじ』
少年黒田登は、父を亡くし、夜毎、自分の部屋の秘密の穴から寝床に居る母房子の姿を覗いていた。
ある日、登と房子は航海士の塚崎竜二と出会う。登は、屈強な身体の竜二に強く惹かれるが、
房子と竜二がベッドで抱き合う様子を覗き穴から見てしまう。
やがて房子と竜二は結婚する。海を離れ、房子の経営するブティックを手伝うようになった竜二を、登は軽蔑する。
ある夜、房子と竜二は、登の部屋からの覗き窓を見つける。寛容な態度をとる竜二に対して、
登はさらに憎悪を募らせ、少年達とともに竜二に裁きを与えることを決意する。

【日生劇場ファミリーフェスティヴァル 2023】

上橋菜穂子作・二木真希子絵 「精霊の守り人」(偕成社)

演出:一色隆司(NHKエンタープライズ)

【音楽劇『精霊の守り人』】
舞台となるのは、異界と人の世界が交錯する世界 ──
これまでTVドラマやアニメ、ラジオドラマなど様々な形で親しまれてきたファンタジー小説の名手・上橋菜穂子による
「守り人」シリーズから1巻目の「精霊の守り人」を、NHKエンタープライズとの共同企画により、世界で初めて舞台化します。
突然、身体に精霊の卵を産み付けられた幼いチャグム皇子と、皇子を守る凄腕の短槍使い、女用心棒・バルサの冒険を、
スペクタクルあふれる音楽劇としてお届けいたします。
演出にはTVドラマ「精霊の守り人」(第3部)や大河ドラマ「麒麟がくる」の演出を手掛け、舞台作品でも活躍する
一色隆司を迎え、舞台ならではのバルサとチャグムの物語を立ち上げます。本作品は日生劇場での上演後、全国各地でも上演予定。

『あらすじ』
凄腕の短槍使いである女用心棒のバルサは、ふとしたことから、新ヨゴ皇国の二ノ妃から、息子である
皇子チャグムを守るように頼まれる。精霊の卵を体内に宿したことで、帝である父からも、
卵を狙う異界の魔物<ラルンガ>からも命を狙われることになったチャグムを守るため、
幼なじみのタンダや大呪術師トロガイに助けられながら、バルサは戦い続ける。
人の世である<サグ>と、精霊たちの世である<ナユグ>が重なる世界で、大きな流れに翻弄されながらも
懸命に抗うバルサとチャグム。果たしてバルサはチャグムを守り切り、無事に卵を孵すことが出来るのか……。

ヒグチユウコ作「せかいいちのねこ」(白泉社)

脚本・演出・振付 山田うん

【舞台版『せかいいちのねこ』】
画家・絵本作家ヒグチユウコの絵本「せかいいちのねこ」を初舞台化いたします。本物のねこになりたい
ぬいぐるみのニャンコは、旅の途中で出会う動物たちから、様々な考え方や価値観があることを知ります。
ニャンコの成長していく姿を通じて、本当の幸せとは何か、愛とは何かに気付かせてくれる作品です。
舞台化にあたっては国内外で活躍している山田うんを脚本・演出・振付で起用。ヒグチユウコの
幻想的な独自の世界観を、人形劇団ひとみ座の人形とCo. 山田うんのダンサーたちとが融合し、
静と動の絶妙な速度感で物語る舞台を創造します。本作品は日生劇場での上演後、全国各地でも上演予定。

『あらすじ』
ねこのぬいぐるみ「ニャンコ」は持ち主の男の子からとても愛されている。ただ、赤ちゃんの時から
一緒にいた男の子はもう 7歳になり、皆から男の子がぬいぐるみに飽きるのはそろそろだと言われ、ニャンコは不安を抱える。
仲間のぬいぐるみから「ねこのヒゲ」を集めて身体に入れれば本物のねこになれる、という話を聞き、
ニャンコはヒゲ集めの旅に出る。男の子に永遠に愛されるために本物のねこになりたいと願ったニャンコだったが、
道中で出会った様々なねこたちの優しさや愛情に触れて、本物のねこでなくとも自分は幸せだったことに気付く。

©STAFF TES

©STAFF TES

改訂演出・振付 髙部尚子 (谷桃子バレエ団芸術監督)

【バレエ『くるみ割り人形』】
チャイコフスキー三大バレエとして名高い「くるみ割り人形」を谷桃子バレエ団を迎えて上演。
長く愛されてきた同団の谷桃子演出・振付版を、芸術監督 髙部尚子氏が今回の公演のために
新たに“日生劇場版”として改訂演出・振付し上演します。指揮には井田勝大、
演奏にシアターオーケストラトーキョーを迎えてのオーケストラの生演奏とともに、
はじめてバレエを鑑賞する方にも分かりやすい解説付きでお届けします。
また、日生劇場主催のバレエ公演としては初めての子役オーディションを実施。
未来のバレエダンサーたちと共に作る舞台をご期待ください。

『あらすじ』
ドイツの古い町でのお話。
あるクリスマスの夜のこと、シュタールバウム家では盛大なパーティーが開かれている。
この家の娘クララは兄のフリッツと共に沢山の友人や、客人たちとパーティーを楽しんでいる。
そこへ父親の友人である人形使いのドロッセルマイヤーが、子どもたちを楽しませる為に沢山のプレゼントを持ってやってきた。
クララはドロッセルマイヤーからくるみ割り人形をプレゼントとして受け取る。
楽しいパーティーが幕を閉じ、みんなが寝静まった夜。くるみ割り人形と一緒に
居間のソファーで眠ってしまったクララのもとに現れたのは……。すてきな夢の物語が始まる。

【各公演概要】

【日生劇場開場60周年記念 NISSAY OPERA 2023『メデア』公演概要】

<公演期間>
2023年5月27日(土)・28日(日)

<会場>
日生劇場

<上演時間>
約2時間30分(休憩を含む)
(全3幕、イタリア語上演、日本語字幕付、日本初演・新制作)

<料金>
未定

<出演者>
メデア:岡田昌子/中村真紀
ほか
指揮:園田隆一郎
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団

<STAFF>
作曲:ルイージ・ケルビーニ
台本:フランソワ=ブノワ・オフマン
イタリア語訳詞:カルロ・ザンガリーニ
演出:栗山民也
美術:二村周作
照明:勝柴次朗
衣裳:前田文子
主催:公益財団法人ニッセイ文化振興財団[日生劇場]
協賛:日本生命保険相互会社

【日生劇場開場60周年記念 NISSAY OPERA 2023『マクベス』公演概要】

<公演期間>
2023年11月11日(土)・12日(日)

<会場>
日生劇場

<上演時間>
約3時間30分(休憩を含む)
(全4幕、原語[イタリア語]上演、日本語字幕付、新制作)

<料金>
未定

<出演者>
未定

指揮:沼尻竜典
管弦楽:読売日本交響楽団

<STAFF>
作曲:ジュゼッペ・ヴェルディ
台本:フランチェスコ・ピアーヴェ
演出:粟國淳
美術・衣裳:アレッサンドロ・チャンマルーギ
照明:大島祐夫(A.S.G)
振付・ステージング:広崎うらん
主催:公益財団法人ニッセイ文化振興財団[日生劇場]
協賛:日本生命保険相互会社

【(共催公演)日生劇場開場60周年記念 東京二期会オペラ劇場 NISSAY OPERA 2023提携『午後の曳航』公演概要】

<公演期間>
2023年11月23日(木祝)・24日(金)・25日(土)・26日(日)※予定

<会場>
日生劇場

<上演時間>
未定
(全2幕、原語[ドイツ語]上演、日本語字幕付、舞台上演日本初演・新制作)

<料金>
未定

<出演者>
東京二期会

指揮:アレホ・ペレス
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団

<STAFF>
作曲:ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ
台本:ハンス=ウルリヒ・トライヒェル
演出:宮本亞門
主催:公益財団法人東京二期会
共催:公益財団法人ニッセイ文化振興財団[日生劇場]

【日生劇場開場60周年記念 日生劇場ファミリーフェスティヴァル 2023音楽劇『精霊の守り人』公演概要】

<公演期間>
2023年7月29日(土)~8月6日(日) 12回公演予定

<会場>
日生劇場

<上演時間>
約2時間(予定・休憩を含む)/推奨年齢:6才~(予定)

<料金>
未定

<出演者>
未定

<STAFF>
原作:上橋菜穂子作「精霊の守り人」(偕成社)
脚本:井上テテ
演出:一色隆司(NHKエンタープライズ)
企画・制作:公益財団法人ニッセイ文化振興財団/NHKエンタープライズ
主催:公益財団法人ニッセイ文化振興財団[日生劇場]
協賛:日本生命保険相互会社

【日生劇場開場60周年記念 日生劇場ファミリーフェスティヴァル 2023 舞台版『せかいいちのねこ』】

<公演期間>
2023年8月19日(土)・20日(日) 4回公演予定

<会場>
日生劇場

<上演時間>
約1時間40分(予定・休憩を含む)/推奨年齢:5才~(予定)

<料金>
未定

<出演者>
人形劇団ひとみ座
Co. 山田うん

<STAFF>
原作:ヒグチユウコ作「せかいいちのねこ」(白泉社)
脚本・演出・振付:山田うん
美術:松生紘子
照明:櫛田晃代
衣裳:飯嶋久美子
音楽監督:ヲノサトル
主催:公益財団法人ニッセイ文化振興財団[日生劇場]
協賛:日本生命保険相互会社

【日生劇場開場60周年記念 日生劇場ファミリーフェスティヴァル 2023 谷桃子バレエ団『くるみ割り人形』~日生劇場版~ 公演概要】

<公演期間>
2023年8月25日(金)・26日(土)・27日(日) 6回公演予定

<会場>
日生劇場

<上演時間>
約2時間(予定・休憩を含む)/推奨年齢:3才~(予定)

<料金>
未定

<出演者>
谷桃子バレエ団

指揮:井田勝大
演奏:シアターオーケストラトーキョー

<STAFF>
原作:E.T.A.ホフマン
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
台本原案:マリウス・プティパ
原振付:レフ・イワーノフ
演出・振付:谷桃子
改訂演出・振付:髙部尚子(谷桃子バレエ団芸術監督)
主催:公益財団法人ニッセイ文化振興財団[日生劇場]
協賛:日本生命保険相互会社

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