世界のエンターテイメントの“今”をお届け!

News

「ONE TEAM PROJECT」東京2020応援衛星「G-SATELLITE」完成!

ⒸTokyo 2020 Ⓒ創通・サンライズ

東京2020組織委員会は2019年12月3日(火)、「ONE TEAM PROJECT」の「宇宙から東京2020エール!」企画第2弾「G-SATELLITE 宇宙へ」で使用する超小型衛星「G-SATELLITE(ジーサテライト)」の完成および東京2020大会に向けた企画を発表しました。

本プロジェクトでは、日本を代表するテレビアニメ「機動戦士ガンダム」のガンダム、シャアザクを搭載した、超小型衛星「G-SATELLITE」を2020年3月中旬(予定)にISS(国際宇宙ステーション)から宇宙空間に放出し、東京2020大会の期間前から期間中にかけて、地球周回軌道を飛行しながら、東京2020大会への応援メッセージを地球に向けて発信していきます。

同日、東京都港区のバンダイナムコ未来研究所にて東京2020大会応援衛星の完成記者会見が行われました。

【完成記者会見の様子】

「ONE TEAM PROJECT」の説明後、プロジェクトメンバーを代表し、東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻教授の中須賀真一氏から挨拶が。

中須賀教授「思い起こせば、去年の夏でしたか、東京2020組織委員会の方から”ガンダム衛星”を作れないか?との話を頂きまして、それからいよいよ完成という事になりまして、我々も少し一段落してホッとしてる状況です。今回は小さな衛星の中にガンダムとシャア専用ザクの小さなモデルを入れて、それが宇宙空間で出てこなければいけない。確実に出てくる機構をどう作るか?沢山のカメラを積んでいるなど、新しい要素がいっぱいあります。もう一つ衛星で大事な事は、宇宙空間で”死なない”という事なんですね。このガンダム衛星は、結構、世界に広がっていて、講演とかに行くと「ガンダム先生だ!」って言われてビックリしました。いよいよ完成して、これからJAXAさん(宇宙航空研究開発機構)にお渡ししてISSから放出。そうすると、今度は僕らは運用という、この衛星を動かす仕事が待っています。そこまで気を抜かずに頑張っていきたいと思います。」

続いてアニメーション映画監督で機動戦士ガンダムの総監督、富野由悠季氏からの挨拶。

富野監督「中須賀先生が全部言ってくれたので、申し上げる事が無いのですが、「ガンプラファン」に申し上げておきたい事があります。通常よりも小さいガンプラを使ってそれを宇宙に放出して、「なんだこりゃ?」という感覚をお持ちの方はきっと大勢いらっしゃると思います。実を言うとホンマ物の宇宙にガンプラを持っていけるという事がかなり大きな意味がありまして、基本的な材料工学の問題、塗料の問題、それから形状の問題、小さな衛星の中でどれだけの機能が再生出来るかという実証実験が出来る。ガンプラを本物の宇宙に晒したらどの様になるのかという事は、やはりこういう機会が無いと絶対に出来ない訳です。実証実験の機会を与えられました。こういう機会を頂けた事を心から感謝します。本当にありがとうございました。」

次に特別ゲストの登壇。

宇宙飛行士で東京大学航空宇宙工学「中須賀・船瀬研究室」の学生の山崎直子さん、そして作曲家でヴィジュアルロックバンドLUNA SEA/X JAPANのギタリストのSUGIZOさんから挨拶が。

山崎さん「いよいよ宇宙世紀の幕開けですね。オリンピック、パラリンピックによるスポーツの平和の祭典を「G-SATELLITE」が宇宙から応援する、そのプロジェクトに私自身も期待しています。」

SUGIZOさん「子供の頃から常に宇宙に気持ちを寄せていた身としては、この場に先ず呼んで頂いた事を心から光栄に思います。こういった形でガンダムと実際の宇宙開発とそして、オリンピック・パラリンピックが繋がるプロジェクト。そこをサポート出来るという事はとても重要な使命を感じております。」

いよいよ超小型衛星「G-SATELLITE」のお披露目。ステージ上手よりカートに乗せられ登場。
実機はJAXA筑波への引渡し準備中の為、今回はエンジニアリングモデルが公開されました。

「G-SATELLITE」を目の前にしたゲスト二人は
山崎さん「この小さな人工衛星の中に本当に数々の機能が組み込まれている事に感動します。このエンジニアリングモデルは実際に色々な試験を繰り返したモデルですよね?宇宙に運ぶまでに沢山の方が準備をしてくれた、頑張った痕がここから伝わって来ます。」

SUGIZOさん「生粋のガンダムファンとしては、宇宙空間に耐えられる超高性能ガンプラが輝いて見えます。とても感動しています。」

続いて、衛星開発を担当した、東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻特任研究員の青柳賢英さんより「G-SATELLITE」についての説明が。

青柳さん「衛星の周囲には太陽電池が4面貼られていて、内部にリチウムイオンバッテリーが搭載されています。衛星と地上の通信には側面のアンテナを使用し、電光掲示板を搭載し様々なメッセージの表示が可能となっています。

「G-SATELLITE」には合計7台のカメラが搭載され、様々な角度からガンプラの画像を撮る事が可能になっています。ISSから衛星が放出される際、ガンプラは衛星内部に格納されています。

「ガンプラ・カメラパネルはテグスにより保持がされ、ニクロム線の断熱により展開がされます。展開操作は地上からのコマンド操作にて実行される事になります。

「ガンプラと共に応援メッセージを表示する電光掲示板は様々なメッセージが表示可能。」

「G-SATELLITE」は外装にも拘り、外装パネルに金メダルを意識したゴールドカラーが用いられ、刻印も施しています。衛星がISSから放出された後、約1~2年で地球大気圏に突入する予定で宇宙デブリ(ごみ)になる事はありません。

「この「G-SATELLITE」エンジニアリングモデルは既に幾つかの環境試験を実施済みで、現在、JAXA筑波へ引き渡す準備を整えている状況となっております。」

次に「G-SATELLITE」衛星搭載ガンダム・シャアザク製作担当者の山中信弘さんより衛星搭載ガンプラについての説明が。

山中さん「宇宙環境は極めて温度差が大きく、それに絶えうる様な素材を使わせて頂いています。実際の宇宙空間ですと耐原子状酸素がガンダムに当たっていくと、どんどんと塗料の表面を犯していってしまうんですけども、それに絶えうるコーティングを施しています。本体内部に使用するリード線、フルカラーLEDも宇宙空間に対応の物を使用し、全て真空対応の部材を使っています。」

「今回、小型の衛星に2体搭載する為、1/200スケールで製造しました。本体は通常のガンプラの射出成形ではなく、光造形を行い、造形後に炉に入れて一度、焼くという工程を踏み、焼結させる事によって耐熱温度が上がるという特殊な材料を使用しています。」

「搭載されているLEDはマルチカラーの物で、オリンピック期間中は5色(青・黄・黒(消灯)・緑・赤)、パラリンピック期間中は3色(赤・青・緑)を表示可能で、明滅、調光も出来ます。」

「そして未発表の機能としてボディ内に高真空対応モーターと位置検出センサーを仕込み、
首が稼動出来る様になっています。」

山中さんの説明を聞いたSUGIZOさんは
「約40年前に生まれたガンプラがこの2019年になって、ここまで進化したのかと思うと感動せずにはいられません。遂に宇宙空間に耐えられるガンプラは実は物凄く快挙だと思います。本当にお疲れ様です。そしてもう一つ感動するのが40年前は死闘を繰り広げて来たガンダムとシャアザクが今、この時代は肩を並べて寄り添っている。この和平の象徴というか、未来は人類はこうあるべきだという、とても素晴らしいメッセージも僕は感じました。同時にザクのモノアイとガンダムのメインカメラの光のギミック、あそこがオリ・パラ色に輝くというのは、本当に愛に満ちた表現だと思います。とても感動します。」
と、ガンダム世代の気持ちを話しました。

次に衛星で収録したデータのデジタル発信企画について、東京2020組織委員会イノベーション推進室エンゲージメント企画担当部長の天野春果さんから企画の説明。

天野さん「まずは大会応援メッセージです。ガガーリンやアームストロング船長もそうでしたが、偉業を成し遂げる時には宇宙からのメッセージが凄く大きな意味が有ります。なので我々もそこに拘ろうという事で、地上で収録した応援メッセージ音源データを衛星の内蔵メモリーに搭載し、ガンダムに搭乗する、アムロ・レイ、シャアザクに搭乗するシャア・アズナブルの声で「ファーストメッセージ」を贈るという計画になっています。このファーストメッセージの書下ろしを富野監督にお願いしました。」

富野監督「こういうチャンスを頂けなければ、低軌道衛星にガンプラを持って行けないという事実をクリア出来た訳ですので、”こんなに嬉しい事はない”訳です。その後は「大人の事情」に任せて、真実を高らかに歌い上げるメッセージを作りました。しかし、今回は発表する事が出来ません。宇宙からの電波で受信して頂きたいと思います。なにしろ、ガンダムとザクに乗っている二人は戦闘中という想定がありますので、「そこから抜け出してきたという会話」を作るにはかなり大変だったんですよ。」

天野さん「そしてファーストメッセージにはBGMがついており、LUNA SEAの「THE BEYOND」が流れます。」

SUGIZOさん「富野監督は男性とのコラボは嫌らしいんですけども、僕としてはありがたく御一緒させて頂きます。」

富野監督「マジメな話、この歳になりますと、こういう”青少年”にご協力頂けて、今日この様な場所に立っていられるという事は、とっても嬉しい事です。こういう機会に出会えた事はありがたいと思っています。」

SUGIZOさん「”50歳の青少年”でございますが、それこそ、僕が正に「ファースト・ガンダム」のリアルタイム世代でそこから育ってきまして、こうして宇宙に思いをはせ、ガンダムをずっと愛し続けて、今はガンダムの音楽を作れる立場になり、そしてかなりレアなケースで宇宙から僕の音を地球の皆さんに届ける事が出来るという事は、一つ一つ世の中が進化して、僕等が子供の頃にはせていた夢が実現化しているんだなと。その実現化をして下さった皆さんの背中を追いながら、これらも音楽と宇宙を結びつける立場として邁進していきたいと思います。」

富野監督「何よりも重要な事は、宇宙から発信しますので、90分で地球を一周しちゃうんですよ。世界配信なんて生易しいもんじゃないんですね。90分毎にやる訳ですから。」

ⒸTokyo 2020 Ⓒ創通・サンライズ

天野さん「次に大会前カウントダウンメッセージです。オリンピックに関しては開幕10日前から、パラリンピックに関しては3日前から、アムロとシャアの名言を活用して大会を盛り上げるメッセージを毎日配信していこうという企画です。そして大会中になると、メダルを獲得した選手を中心に祝福のメッセージを「G-SATELLITE」から発信することになっております。日本勢の活躍時のみならず、世界新記録等を出した外国人選手が活躍した際には、電光掲示板は日本語・英語・フランス語表記が可能ですので、発信していきたいと思います。

ⒸTokyo 2020 Ⓒ創通・サンライズ

3つ目は3D地球儀です。これは応援企画とはまた違うんですが、実際に「G-SATELLITE」が
地球上のどこを飛んでいるのかというのを世界の皆さんに知ってもらおうという事で、3D地球儀マップを作成し、2020組織委員会の公式ホームページ上にアップされます。

最後はさらに遊び心を持った企画をやりたいなという事で、日本の上空を「G-SATELLITE」が
通過する際に「G-SATELLITE」に”搭乗”しているアムロとシャアの会話が傍受出来るとという
企画を考えました。オリ・パラに関わる会話が東京2020公式YouTubeチャンネルにて公開予定です。」

『キームービー初公開』

そして場内モニターには、「ONE TEAM PROJECT」の進行を纏めた約2分間のキームービーが初公開されます。

「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」制作チームが製作を手掛けた本ムービーの感想をゲストに問うと、
山崎さん「感動しましたね。私もSUGIZOさんと一緒でファースト・ガンダムをリアルタイムで見て凄く好きで、今だと子供達と一緒に見直したり、「THE ORIGIN」を見たりしている中で、こうして本当にガンダムとシャアザクが本当に宇宙に行くんだなと。アムロとシャアの会話の傍受企画もありましたが、どんな会話をするんだろうと楽しみが深まりました。我々、ISSで実験をしたり、こうした衛星を放出する時もいっしょですけども、常に一つの機器実験の裏にある、沢山の方々の顔を思い浮かべたり、その思いを感じながら実験をするんですね。今回もこの「ONE TEAM」の想いが本当に宇宙に届くんだなと思うととても嬉しいです。」

SUGIZOさん「考えてみたら、「ONE TEAM」って、このタイミングで”ドンズバ”な名前でしたね。40年前は戦っていたアムロとシャアが、以前は戦っていた国々、宗教、国境、文化、あらゆるものを超えて宇宙に一度、僕等が出たら地球市民として一つなんだなという事をこの映像からも凄く感じましたし、その感覚とオリ・パラが結びついたという事は、先ず、感動無しにはいられませんね。」

「G-SATELLITE」をまじまじと覗き込む中須賀教授

完全に仕事を忘れて衛星に見入る登壇者

また途中行われた質疑応答においてオリンピックと平和、という点についてどの様な考えを持っているか?という質問に、
SUGIZOさん「オリンピックのアスリートこそ平和の大使だと僕は思っています。ともすれば、それが武力やネガティブな方法で国々が張り合ってしまう人類の残念な性ですけども、その闘争心をスポーツに変換して良い意味で争うという事は、僕は世の中にとても必要な、そして未来へ向けてとても大切な行為だと思っていますので、オリ・パラのこの機会にアスリートの方々が「ONE」で一つになるという事を大切に思いながら戦ってもらえるというのは、実は僕等にとってとても重要な意味があると思っています。そこと音楽って切っても切れないので、音楽を通して人々が繋がる、理解しあう、そういう行動への自助になれればと常々思っております。」とのコメントを話されています。

最後に今後のプロジェクトスケジュールが発表されました。

終わりにゲストの二人からの挨拶が。

山崎さん「改めてこの「G-SATELLITE」に関わって下さった皆様、そして応援して下さった皆さん、ありがとうございます。これから宇宙世紀の幕開けだと思います。その中で私達、人間は真の多様性とそして調和を目指していくとおもいます。宇宙、そしてこの東京オリンピック・パラリンピックの場は正に平和の祭典、私達がこれから人類としてどの様に高みを目指して行けるのか、それをアスリートの皆さんと一緒に追い求めて行ける場だと思っています。こうして今回、私も「ONE TEAM」の一員として一緒に応援出来る事をとても光栄に思っております。」

SUGIZOさん「こうして一歩一歩、僕等の夢が実現して行く、化学、未来、宇宙、僕等が子供の頃にはまだまだ遠い話でしたけども、こうやって僕等が進化していけるという事は、同時に僕等の心も進化していけている筈だと信じています。宇宙へ出る事が、そして武力では無くスポーツで競い合う事が実は僕らの未来、人類の未来にとても重要だと、一ミュージシャンですけども、常々そう感じていますので、この素晴らしい「ONE TEAM PROJECT」に参加出来て心から光栄に思います。」

遂に完成した「G-SATELLITE」。たくさんの人の思いを乗せたガンプラが大宇宙に飛び出す日までもう直ぐです。

【超小型衛星 G-SATELLITE】

大きさ:10cm×10cm×34.5cm³(ガンプラ格納時)
重量:2,950g
主な素材:アルミニウム等
姿勢制御:地磁気センサ、ジャイロ、3軸磁気トルカ(電磁石)
電源:太陽電池、内蔵リチウムイオンバッテリ
通信:アップリンク4kbps、ダウンリンク4kbps、32kbps
アンテナは側面2面に搭載
搭載カメラ:7台(メイン、サブ、動画、固定サブ、背面、地球撮影、内部)
電工掲示板搭載(対応言語:日本語・英語・フランス語等)

【衛星搭載ガンダム・シャアザク】

大きさ:50mm×80mm×90mm(ガンダム・シャアザク)
重量:150g
材料:
本体:ハイテンプ
微細部:PEEK
内部接続部:ステンレス・アルミ
塗装:
下地:通常のガンプラ用塗料での塗装
コーティング:耐AO(原子状酸素)コーティング
動作:真空対応フルカラーLEDによる、目、バックパックバーニア部の発光
真空焼付防止密封ギヤヘッド一体型パルスモーター、位置検出センサーによる首の稼動
ガンプラキャリー部寸法:80mm×50mm×150mm

 

【「ONE TEAM PROJECT」「G-SATELLITE 宇宙へ」東京2020大会応援衛星完成記者会見
~五輪カラーに光るガンダム宇宙に立つ!!~概要】

「ONE TEAM PROJECT」「G-SATELLITE 宇宙へ」の公式サイトはこちら

<日時>
2019年12月3日(火)12:30開始

<会場>
バンダイナムコ未来研究所 4階 プレゼンテーションルーム

<出席者>
中須賀真一:東京大学大学院工学系研究科 航空宇宙工学専攻 教授
富野由悠季:アニメーション映画監督・機動戦士ガンダム総監督
山崎直子:宇宙飛行士/東京大学航空宇宙工学「中須賀・船瀬研究室」学生
SUGIZO:ミュージシャン/作曲家/ヴァイオリニスト・LUNA SEAギタリスト/X JAPANギタリスト
青柳賢英:衛星開発担当/東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻特研究員
山中信弘:衛星「G-SATELLITE」搭載ガンダム、シャアザク製作担当者
天野春果:東京2020組織委員会イノベーション推進室エンゲージメント企画担当部長

ⒸTokyo 2020
Ⓒ創通・サンライズ

 - life