IllumiNations: Reflections of Earth、伝説へ
アメリカ・フロリダ州にあるウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート(WDW)に4つあるテーマパークのうちの1つ、「EPCOT(エプコット)」。
この地で繰り広げられるナイトタイムエンターテインメント「IllumiNations: Reflections of Earth」が2019年夏に終演することが発表されたことを受け、「EPCOT(エプコット)」におけるエンターテインメントの変遷を見ながら、ショーの魅力に迫ります。
「EPCOT」から見るウォルト・ディズニーの野望
「IllumiNations: Reflections of Earth」が開催される「EPCOT」。
「EPCOT」とはウォルト・ディズニーによって考案された「実験的未来都市(Experimental Prototype Community of Tomorrow)」を略した造語で、ウォルトは理想とする未来都市を現実のものにしようと試みていました。
ウォルトの死後、「EPCOT」プロジェクトはテーマパークとなって、現実のものになります。未来の都市をテーマにした「フューチャー・ワールド」、世界を旅し、文化に触れることができる「ワールド・ショーケース」といった2つのエリアから作られたパークは常設博覧会のような構成となり、誰もがワクワクするものとなりました。
「EPCOT」ならではのエンターテインメント
「EPCOT」では1982年の開園以来、さまざまなエンターテインメントが繰り広げられてきました。
「ワールド・ショーケース」は中心に外周1.9キロにも及ぶ巨大なラグーンがあり、さまざまな国のパビリオンがあるこのエリアならではな魅力的なショーが公演されてきました。
ミッキーたちキャラクターがエンジン付きのモーターパラグライダーにて登場し、風船型の大きなキャラクター(WDW20thアニバーサリーのパレードフロートのような演出)がさまざまな国の衣装をまとって登場するお昼のショー「Surprise in the Skies 」は1991年〜1992年に公演。
夜のエンターテインメントは「ワールド・ショーケース」にある11の国々のパビリオンにちなんだ音楽をレーザーや花火と共に楽しむ「IllumiNations」が公演されました。
ミレニアムを「EPCOT」らしく祝う
ミレニアムを記念して開催されたイベント「Walt Disney World Millennium Celebration」では平和と団結をテーマにしたお昼のパレード「 Tapestry of Nations 」を公演。このパレードは後に子供たちからの願いをテーマに変更し、「Tapestry of Dreams」として長きに渡り公演されました。
夜のエンターテインメントは長らく「IllumiNations」が公演されていましたが、「IllumiNations: Reflections of Earth」へ進化。イベント期間中のみ開催予定でしたが、好評により延長し、2018年現在も公演されています。
「EPCOT」エンターテイメントの完成形
「IllumiNations: Reflections of Earth」
ここからは「IllumiNations: Reflections of Earth」の魅力をご紹介。
人類は火を囲み、物語を伝えゆく
火の灯ったトーチに囲まれた「ワールド・ショーケース」。
ラグーンにて開催される「IllumiNations: Reflections of Earth」はアメリカの人気声優、ジム・カミングスのナレーション「何千年もの間、どの土地であろうと人々は火の周りに集まり、光を分かち合い、物語を共有してきました。その物語はまだ続いています。人は各々、自らの物語を持っていますが、真の冒険はそれらをすべて一つに集めると現れます。」によって、スタート。
真の冒険を読み解く、壮大な旅が始まります。
地球創造
息を吹きかける音とともにトーチは消え、ラグーンは荘厳なムードに包まれます。
一発のパイロ(ショー用花火)により、ショースタート。
数多くのパイロと炎の演出が荒々しく続き、ラグーンの中心は炎に包まれる演出に壮大な音楽が加わり、何かの誕生を予感させます。
国・文化・人の誕生
創造されたばかりの惑星・地球はゆっくりとラグーンに現れます。
時と共に、地球は冷まされ、穏やかな色に。
地球には様々な国の模様、有名なランドマークや人類といったイメージが映し出され、軽快な音楽と共に、多くの花火が打ち上がります。
ラグーンの周囲にあるモロッコとノルウェーを除く9カ国のパビリオンの電飾は順次点灯し、華を添えます。盛大な花火とともに物語は終盤へ。
We Go On そして Promise
楽曲「We Go On」と共に、物語はフィナーレへ。
パビリオンの電飾が消灯した後、ラグーンのトーチは再び灯ります。
地球は展開し、花火と共に新たな大きなトーチが表れます。
「We Go On」、「歩み続けよう」。
これこそが、人類の真の冒険であり、約束なのです。
「IllumiNations: Reflections of Earth」という魔物
ここからは「IllumiNations: Reflections of Earth」の強いこだわりと特別バージョンをご紹介。
ミレニアム故の19+1のトーチ
ラグーンを囲うように設置されたトーチの数は19本となっており、フィナーレで地球からトーチが1本出てくることで、20本のトーチになります。
ラグーンのトーチが19本という妙な数には由来があります。
「IllumiNations: Reflections of Earth」がスタートしたきっかけを思い出しましょう。
ミレニアムを記念し、20世紀が終わる1999年にスタートしたショー故、地球がこれまで歩んできた19世紀分を表すために、トーチは19本になっています。ショースタート時には現在進行形であった20世紀を示す20本目のトーチが地球儀から現れますが、これは終演と共に消灯します。
時は21世紀になりましたが、ショーはスタート時のコンセプトを守り続けています。
ニューイヤーズ・イブ・カウントダウンバージョン
「IllumiNations: Reflections of Earth」には通常バージョンに加え、ホリデーバージョン、独立記念日バージョン、ニューイヤーズ・イブ・カウントダウンバージョンがあります。
ニューイヤーズ・イブ・カウントダウンバージョンは通常バージョン終演後に、特別バージョンとして、特別な演出が行われます。日付変更線を超える日本、中国・・・の順に該当する各パビリオンの後ろから盛大な花火がその国のお祝いの言葉と共に上がります。
最後を飾るのはここ、アメリカです。
1月1日を迎える10秒前からカウントダウンを行い、年を越した瞬間には「ワールド・ショーケース」の全パビリオンから花火が盛大に上がり、蛍の光と共に新年を迎えます。
「EPCOT」のテーマにぴったりのニューイヤーズ・イブ・カウントダウンバージョン、ディズニーファン、テーマパークファンにとって最高の体験となることでしょう。
来年夏に終演が予定されていますので、2018ー2019年のカウントダウンが最後のチャンス。
どうぞ、お見逃しなく。
究極のテーマパークエンターテインメント
テーマパークにて日々開催されるレギュラーエンターテインメントはパークのテーマにどこまで寄りそうことができるのか、という点も重要な体験価値となります。
未来、そして国や文化をテーマにした「EPCOT」。
この地で「IllumiNations: Reflections of Earth」が公演されるのは偶然ではなく必然であり、パークコンセプトと一体となった完璧なテーマパークエンターテインメントと言えるでしょう。
歩み続けることを約束してきた「IllumiNations: Reflections of Earth」。
後継ショーも「EPCOT」らしい作品になることを期待しています。
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