『くまのプーさん展 WINNIE THE POOH EXHIBITION』を観る~第3章 ディズニープーの展開~
8月6日(水)~25日(月)、東京・銀座松屋で開催されている『くまのプーさん展 WINNIE THE POOH EXHIBITION』(主催:NHKサービスセンター 協力:ウォルト・ディズニー・ジャパン他)の貴重な展示を徹底紹介するシリーズ。
第1章 クマのプーさん原作の世界
第2章 ディズニーとの出会い
第3章は『完全保存版』とその後のディズニープー展開についてご紹介します。
原作からディズニー、そして独自展開へ
プロダクション・アートの数々
原作をアニメーションするにあたり、様々な試行錯誤が見て取れます。
本をそのままアニメ化する動き、キャラクターのアレンジ、背景のバランス
これらに注目して見ると、プーがディズニーによってアニメ化されていった過程が分かります。
100エーカーの森に沈む夕日
クマのプーさん第10章ラストでプーとピグレットが歩いて行くシーンのような美しく神秘的な光景。
アッシュダウン・フォレストの魔法を再現しようとしている様子が分かります。
キャラクタースケッチの数々
各キャラクターのあらゆる動きが描かれています。
前回紹介した、目や顔の向き、動きを見たり、
これまでに展示されていたセル画と見比べたりすればディズニープーの世界がより深く分かることでしょう。
考える際も顔全体を傾けて表現。
あまり絵として見ることはありませんが、まばたきも重要な仕草です。
アニメーションらしい伸びのある動き。
特にクリストファー・ロビン以外のプー・カンガ・イーヨーはぬいぐるみであり、その質感が動きに現れています。
模型によって、キャラクターの形や大きさの比較ができるようになっています。
あらゆる角度からキャラクターを観察し、アニメにします。
Discover the Seasons
『ディスカバー・ザ・シーズンズ』 “Winnie the Pooh Discover the Seasons” (1981年)
77年の『完全保存版』後、初の映像作品として制作された短編。
なかなか表に出ることのない作品です。
原作を元にせず、服なども自由度を高めたディズニープーの新しい時代が始まります。
新たな道を進みながらもプーらしさを保つバランスが求められるようになりました。
プーさんとイーヨーのいちにち
『プーさんとイーヨーのいちにち』 “Winnie the Pooh and a Day for Eeyore” (1983年)
原作から「プー棒投げ」とイーヨーの誕生日を元にした短編。
『完全保存版』DVD/BDの特典映像に収録されています。
プー棒投げ橋を再現。
原作を活かし、アッシュダウン・フォレストを再現する、ウォルト時代のやり方を踏襲しています。
作中でのプーたちの絵のタッチに変化が出てきたのもこのころ。
このような商品化における絵の人気が一因に挙げられます。
ティガームービー プーさんのおくりもの
『ティガームービー』 “Tigger Movie” (2000年)
『プーさんとイーヨーのいちにち』後、TVシリーズ『新くまのプーさん』を経て『クリストファー・ロビンを探せ!』(1997年)で長編として復活したプー。
2000年、プー人気の絶頂期にティガーを主役とした長編『ティガームービー』が制作されました。
「シェパードを美術監督にしたような作品」を目指したこの作品は何といっても背景にあたる森の描写の美しさが特徴。
細かい描写と、温かみのある色使いが100エーカーの森らしさを出しています。
ディズニー一の人気キャラクターとなっていたプーはアメリカ人に受け入れられるような配慮をする必要もなくなり、より本来の姿に近付いていきます。
ティガームービーは初の完全オリジナルストーリーで作られた長編。
原作にないお話の中で、これまで培ってきたプーらしさが存分に発揮されています。
ティガーの多彩な表情は『プーさんとティガー』で落ち込むティガーの姿から着想を得たもの。
キャラクターがこれまであまり見せてこなかった表情を出すのもティガームービーの特徴です。
プー・ピグレット・イーヨーはクリストファー・ミルンが最初に遊んでいたおもちゃたち。
そんな古い付き合いのトリオがドタバタを繰り広げます。
冒険の中でそれぞれが自分らしい騒動と反応を起こしていく、愛のある展開になります。
この作品の作画を担当したのはウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ・ジャパン。
日本人好みの造形で描かれたキャラクターは他作品のスケッチと比べてもどれがこの作品のものか分かってきます。
くまのプーさん完全保存版Ⅱ ピグレット・ムービー
『ピグレット・ムービー』 “Piglet’s Big Movie” (2004年)
ティガームービーに続き、今度はピグレットを主役として作られた長編。
原作のストーリーをオムニバス形式でつなぎ合わせた作品となっています。
ピグレットの家とイーヨーの家
ディズニーでも多くの冒険をしてきた彼らの家は、40年間で生まれた設定が生かされた細かい描写がなされたもの。
温かみのあるタッチも特徴です。
日本公開
今回の展覧会ではプー日本公開時の貴重な宣伝資料も展示されています。
英国以外での知名度が課題だったプーを世に広めるためにどのようなプロモーションが行われたのかを示す貴重な資料です。
2011年の『くまのプーさん』では同時上映として短編『ネッシーのなみだ』が公開されましたが、『プーさんとはちみつ』公開時にも「ネッシー」が上映されていたなど、時代を超えたつながりも感じることができます。
こうしてディズニーを代表するキャラクターになっていったプー。
彼の活躍は映画だけにとどまりません。
次はプーの様々な功績をみていきます。
【『くまのプーさん展 WINNIE THE POOH EXHIBITION』関連記事】
<会場の模様>
『くまのプーさん展 WINNIE THE POOH EXHIBITION』を観る~第1章 クマのプーさん原作の世界~は こちら
『くまのプーさん展 WINNIE THE POOH EXHIBITION』を観る~第2章 ディズニーとの出会い~はこちら
<グッズ関連記事>
『くまのプーさん展』グッズマーケットのアイテムを一挙紹介!はこちら
Happy Hunny days in Ginza は こちら
<リリース記事>
『くまのプーさん展 WINNIE THE POOH EXHIBITION』展示内容を一部公開!はこちら
『くまのプーさん展 WINNIE THE POOH EXHIBITION』会場構成が発表!はこちら
【くまのプーさん展 WINNIE THE POOH EXHIBITION 概要】
東京展[松屋銀座]
<会期>
2014年8月6日(水)~8月25日(月) 10時~20時(最終日17時迄,入場は閉場の30分前迄)
<会場>
松屋銀座8階 イベントスクエア
<主催>
NHKサービスセンター
<協力>
ウォルト・ディズニー・ジャパン、日本航空
<企画協力>
エイチ・ツー・オー カンパニー
<入場料>
一般1,000円
高大生700円
中学生500円
小学生以下無料
<問い合わせ>
松屋銀座 03-3567-1211(大代表)
【投稿者】
プーや
Blog:舞浜横丁
ウォルト・ディズニー・アーカイブス所蔵
(c)Disney Based on the“Winnie the Pooh” works,by A.A.Milne and E.H.Shepard
(c)Disney