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構成・演出:西川扇与一、脚本:齋藤雅文の手で令和の舞姫が誕生 第6回日本舞踊未来座=最(SAI)=『舞姫』6月の公演に先駆け、対談を開催

公益社団法人日本舞踊協会は、第6回日本舞踊未来座=最(SAI)=『舞姫』を
2023年6月3日(土)~6月5日(月)に東京都千代田区の国立劇場小劇場にて上演します。
2023年の第6回公演は“最”。未来座がこれまでホームとしてきた国立劇場は、
2029年秋頃の再開を目標に建て替えが決定。「現在の国立劇場での
日本舞踊未来座=SAI=公演の最後にして、最高の一作」という想いを込めて、本作「最」を上演します。
本作の主役は、踊ることで生きてきた女性たち。日本の歴史のおいて文字通り、
舞い踊り人々を魅了してきた女性たち「舞姫」を描きます。
アメノウズメノミコトやかぐや姫、静御前、出雲阿国、芸妓・遊女、女方といった
それぞれの時代で多くの人々の心を惹きつけた「舞姫」が登場します。

そんな、カリスマ的存在の「舞姫」に出会う現代人の「マイ」を2021年2月に三代目を襲名した
藤間紫が演じ、劇団新派で、女性を生き生きと魅力的に描いてきた齋藤雅文が脚本を担当。
今作は衣裳に古典の日本舞踊の舞台衣裳がふんだんに用いられているほか、「ノーベル製菓 はちみつきんかんのど飴」
「サントリーGREEN DA・KA・RA」「旭化成サランラップ」などお馴染みのCMソングを手掛ける作曲家、
麻吉文の音楽と箏、義太夫、囃子などの邦楽が融合、未来座ならではの音楽が作品を彩ります。
そして芸妓の場面では人間国宝
(重要無形文化財保持者)である井上八千代の指導による京舞をご覧に入れるなど
日本舞踊の多彩な魅力が盛り込まれています。
また、今回初の試みとして、最終日6月5日(月)に特別企画を開催。
30分間の創作舞踊劇場公演、新作公演、未来座公演でのアーカイブ映像上映、
過去の作品出演者によるトークショーで日本舞踊協会の創作の歴史をたどります。
本年10月末の建て替え着工まで、55年間続いた国立劇場最後の年、
舞台上で各時代の「舞姫」たちが舞い踊り、そして令和の「舞姫」が誕生する本作にぜひご期待ください。

2023年4月17日(月)、6月の公演に先駆けて東京都内某所にて出演者が参加してのインタビューが行われました。

【第6回日本舞踊未来座=最(SAI)=『舞姫』インタビューの様子】

(左から)義経役:花柳基さん、 構成・演出:西川扇与一さん、マイ役:藤間紫さん

対談に登壇したのは、マイ役の藤間紫さん、義経役で公益社団法人日本舞踊協会の理事である花柳基さん、
そして本作の構成・演出を担当する西川扇与一さんの3名。

Q:間もなく稽古に入るという今の段階の心境の程は?
また、具体的にどの様な進行具合なのか?

紫さん「今回、第6回という事ですが、私は第1回の未来座「=賽(SAI)=」の「当世うき夜猫」(2017年)、
第3回目の「=彩(SAI)=」の「檜男=ぴのきお=」(2019年)にも出演させていただいて、
今回の第6回で3回目の出演となります。私は新作舞踊に出たのは未来座が初めてだったのですが
そこで先輩方からいろんな事を教えていただいて、凄く思い出深い公演です。
今回で国立劇場が一度建て替えになるという事で、その最後を飾る未来座に主演させていただけるという事は、
とても光栄ですし、まだお稽古には入っていませんけれども、楽しみだなという思いがありますね。」

西川さん「私は今回、構成と演出を担当させていただくのですが、台本や構成は1年がかりで行ってきました。
「日本舞踊未来座=SAI=」という公演タイトルになって今回が第6回なのですが、日本舞踊における創作舞踊、
新作舞踊の歴史というのは実はかなり長いものがありまして、基さんと私が携わっているだけでも、
40作品、40年間分に及びます。そして、いよいよ我々の世代が出演から
作り手となる時代となり、今の元気の良い若い人達に我々のパワーを
どんどんバトンを渡していきたいなと思って今、この作品に取り組んでいます。
振付には我々の竹馬の友というべき藤間恵都子さんを筆頭に、花柳秀衛さん、西川扇衛仁さんという踊
り手としても振付師としても実力のある3名が揃っています。
私の今の心境としては早くお稽古をしたくてしょうがない。そしてなるべく長い事お稽古をして、
万全の状態でお客様にお見せ出来る様に練りこんでいきたいなと思っております。」

基さん「日本舞踊未来座には、「SAI」というコンセプトがあります。
このコンセプトは何かと言いますとそれは「Succession And Innovation」、継承と革新です。
この頭文字をとってSAIと命名しています。日本舞踊未来座ではこのSAIに毎回漢字をあてているんですけども、
今回の「最(さい)」、これは”最”前線の舞踊家による、”最”高の舞台を、”最”後の国立劇場で、という意味での
「最(SAI)」でして、今の日本舞踊協会の持てる力、全てを出しての公演に、と思っております。」

Q:今年10月末より約6年もの期間、建て替えが行われる、日本伝統芸能の聖地である国立劇場。
日本舞踊に携わる御三方も様々な思い入れがあるかと思うが、特に印象に残っている事は?

基さん「本当に育てていただいたという思いです。
先人達の魂と汗と全ての血が注ぎ込まれた舞台の中で我々が芸を磨かせていただけたという事を
有難く思っています。さらにこれは次への飛躍の為の6年間だと思って、精進をしようという風に思っています。
さあ、次に新しく開場になる時にどんな踊りが自分は踊れるか、そこを試されている時だなという風に思っています。」

西川さん「私も同じ通りですが、この劇場で踊ったり作ったりした事が一番多い訳で、
これからの6年間は寂しいなというのが本音です。6年後に戻って来た時に、
基さんじゃないけれど、どんな風に立てるのかなと。
新たな劇場に素晴らしい作品を我々が提供出来る様に、それまでの間にまた色んな公演を出来ればなと。
そして新しい国立劇場になるまで待っててくださいね!という感じですね。」

紫さん「お二人に比べたらひよっこな私ですが、この国立劇場で襲名披露を行ったので、
個人的にも凄く思い入れの強い劇場ですね。
勿論、古典舞踊もそうだし、こういう創作舞踊もそうだし。後は舞踊協会の公演で
他流派の先輩方や同年代の方と一緒に踊らせていただいた場所でもあるので、
自分にとっての大切な場所だなというのはありますね。
6年間、無くなってしまうというのは舞踊家にとっても結構な痛手だと感じますが
それをバネに、じゃないですが、逆にこの6年間は舞踊家の底力の見せ所じゃないかと思います。
国立劇場がお休みしていたことを感じさせない位、それ位頑張っていかなければいけない時期、
舞踊家に課せられたものなのかなと思いながら頑張っていきたいと思います。」

Q:『舞姫』の登場人物を見るとアメノウズメから芸妓まで、実に数千年に渡っての歴史の中で
名だたる女性が顔をそろえる中、基さんが演じる義経が唯一の男性だが、その意図は?
また、作品内容としてはオムニバス形式がとられる?

西川さん「紫さん演じる「マイ」は現代人であり、このマイという女性が日本古来からの
様々な舞姫達と、言ってみればタイムスリップをしてめぐり逢い、感化されて、
最終的にはマイという少女がこの令和の時代から先の舞姫になっていくという展開を
皆さんにお届けしたいのです。ですので、マイという女性が時代を追ってアメノウズメから芸妓まで、
時代を彩った舞姫と関わることによって舞姫としての魅力、しなやかさ、たおやかさというものを身につけていき、
マイ自身が今の時代の新たな舞姫になっていくんだ、という思いを込めています。
基さんは同世代では最も活躍されている舞踊家の一人ですので、「あの基さんが出るんだ!」という作品の”重石”ですよね。
基さんが居るだけで舞台が変わるという存在感を発揮していただきたいと思います。」

基さん「今回、僕が(キャストの中で)最年長なんですね。いよいよそういう世代となったんだなという感慨があります。
義経に関しては、義経の心と存在を受けて、「しづやしづ しづのをだまき…」と静御前が舞うわけですから
その二人の関係をどう表現するのか、そこが大事なんですね。作品中の女性達の心を躍らせる象徴になれば良いなと思っています。」

Q:日本舞踊であることから、当然ながら踊りという部分が作品内で1番に来るかと思うが、
印象的なフライヤーのデザイン等を筆頭に『舞姫』のビジュアル面で訴えたいと思う部分は?

西川さん「今回、脚本の齋藤雅文先生は、劇団「新派」に在籍されている方で、
僕は齋藤先生の「男性が描く女性の姿」がすごく好きなので、ご相談をして脚本を書いていただきました。
それが一つ特筆すべき点で、次は音楽ですね。三味線音楽だけでなく多様な音楽で踊る事も我々にとっては日本舞踊である、と思っています。
(音楽を担当する一人の)麻吉文さんは、今回の公演で協会としては4本目を作っていただくのですが、
普段は歌劇やCMソングに至るまでとても音楽の活動の幅が広いんですね。
僕と趣向が凄く合うのでお互い色んなアイディアを出しながら作っています。麻さんの打ち込み系の音楽に、
我々が一番なじみのある邦楽のアコースティックな音というのが融合して新たな音楽になってくれればなと。
邦楽の部分でも一流の方に集まっていただきました。人間国宝になられた義太夫節の三味線演奏家の鶴澤津賀寿さんもそうですし、
下野戸亜弓さんは静御前がうたった今様にも造詣が深い筝曲家です。
藤舎清之さん・望月美沙輔さんは我々が普段踊る時にも演奏をお願いしている邦楽の囃子方で、
彼等が度重なるディスカッションをしてどんどん深みのある、楽しくドラマチックな音楽が今できています。」

「今回、さらに特筆すべきこととして、舞踊ということでは、日本舞踊のまさしく「踊」が
中心ではありますが、もう一つの大きな特徴である「舞」をご覧に入れることがあります。
それは芸妓の場面ですが、この場面を井上八千代先生(人間国宝・京舞井上流五世家元)にご指導をいただきます。
そして、女方というものも出てきます。なぜ女方がいるのか?というと、出雲阿国は阿国歌舞伎で
ムーブメントを起こしますが女性による踊りが盛り上がりすぎてお上から禁止令が出ます。
そこで登場したのが男性が女性を演じる女方という技法なんですよね。この女方もずっと時代を引っ張ってきた存在で、
女方たちも舞姫の一人であるという視点なんです。女方達の場面には女性が踊る阿波踊りの「連」が出てきます。
女性をとても女性らしく見せてくれる阿波踊りと女方に成りたての男達の対比の様な楽しい部分も作りました。
日本舞踊の中で阿波踊等の民俗芸能ってあまり取り上げて来なかったので、
今回は思い切ってやってみようという試みでもあります。また去年ユネスコの文化遺産にもなった
「風流踊」のエッセンスを、我々日本舞踊の素踊りの技法に取り入れてやることも考えています。
要するに日本人が持っている踊りの要素は出来るだけ集めようと。日本人が踊る踊りは日本の踊り。
ですから、京舞も我々の日本舞踊の一つなんだよという事を示したいと思います。」

Q:今のお話を通した上でマイが日本舞踊の全てを結集した様な踊りを物語上では踊る事になるのか?

西川さん「それらを受けて体の中に入れて、新たなる自分なりの踊りをマイは踊っていく、新たな舞姫が誕生するんです。」

Q:台本を読んで稽古が始まる前の今の段階で思う、自身のマイという役への思いは?

紫さん「マイは、最初は現代の普通の女性から始まるので、逆に役作りをしすぎずに、
今のありのままの私で良いのかな、なんて思う様になっていて。一方で、私は現代から時代を遡っていって、
令和から未来に一本の線を繋げていく役所なので、今の日本舞踊をやられている方々の思いとか、
そういうものを背負って立たなくてはならないのだな、というプレッシャーをとても感じているので。
(国立劇場での約60年の日本舞踊の歴史と)先輩方の思いや情熱に応えたいという思いはありますね。」

最後に6月の公演に向けた意気込みとファンへのメッセージを。

基さん「日本舞踊協会が全力を挙げての素晴らしい舞台にしたいと思いますので、
一人でも多くの方にご覧いただきたい。「ああ、良い時間が過ごせた」
「日本舞踊っていいな」と思っていただける様に、心を込めて踊りたいと思いますし、
必ずそういう舞台に致しますので、是非ご覧下さい。」

西川さん「今回の『舞姫』は美しい女性、凛としたしなやかな女性、兎に角、女性の美しさや強さをお見せしたい。
その為には、お客様も沢山女性の方に来ていただいて、ご自分にその姿を映していただいたり、
その思いを感じ取っていただいて、元気をもらって客席から帰っていただける様な舞台にしたいと思っております。
今回は、土・日・月の公演で各部、作品についての解説がある部や、
本編上演前に過去の公演映像や対談をご覧いただける部もあります。是非お楽しみ下さい。」

紫さん「本当に多くの方に見ていただきたいのはもちろんの事、6回目という事で、
私はとても負けず嫌いなので、1回目・2回目・3回目・4回目・5回目よりも絶対にパワーアップした
未来座の公演にする、という思いが今あります。是非来て下さい。」

【あらすじ】

さまざまな時代に現れた舞姫たち。それぞれに美しく、凛とした光を放ちながら人々を魅了し続けてきた。

神に捧げ、民衆を鼓舞し、あるいは男たちを翻弄し、
時にはたったひとりの愛しい人を想いながらひっそりと舞う。

各時代を彩った舞姫たちを「日本舞踊が常に生き、未来へと生き続けていく」象徴として描く舞踊絵巻。

【第6回 日本舞踊 未来座=最(SAI)= 『舞姫』公演概要】

公式サイトはこちら

<公演期間>
2023年6月3日(土)~6月5日(月)

<会場>
国立劇場 小劇場

<上演時間>
約120分(休憩20分含む)

<料金>
8,000円
(全席指定・税込)
◆25歳以下割引・障がい者割引(全公演対象)
当日会場受付にてお一人様 1,000 円キャッシュバック
*前売・当日に関わらずキャッシュバックいたします。公演当日に限ります。各証明書を日本舞踊協会受付でご提示ください。
◆アカデミック優待(対象公演/4日18:00公演)
4,000円/学生、教職員の方を割引対象とします。公演をご覧いただく前に、作品についての解説がございます。
詳細・お申し込みは下記の公式HPのURLからアクセスしてご確認ください。
一般のお客様は通常料金でご覧いただけます。(通常料金8,000円)

『チケット発売』
好評発売中

「プレイガイド」
ヴォートルチケットセンター:03-5355-1280(平日10時~18時)
チケットぴあ(PC&スマートフォン):https://w.pia.jp/t/miraiza-sai
※セブンイレブンでも直接ご購入いただけます。
イープラス(PC&スマートフォン):https://eplus.jp/miraiza-sai/
※ファミリーマートでも直接ご購入いただけます。
国立劇場チケットセンター(窓口取扱いのみ):国立劇場(東京都千代田区隼町4-1) 電話 03-3265-7411

「問い合わせ」
公益社団法人日本舞踊協会:03-3533-6455(平日10時~17時):maihime@dance-holic.com

<出演者>
マイ:藤間紫

アメノウズメ:花柳昌太朗
カグヤ:藤間蘭翔
静:花柳喜衛文華
阿国:藤間翔央
遊女:水木扇升
女方:花柳寿太一郎
芸妓(Wキャスト)若柳杏子、泉秀彩霞

義経:花柳基

勝見嘉之
西川扇左衛門
花ノ本寿
花柳克昂
花柳邦秀雅
花柳梨道
藤間翔
藤間仁凰
藤間豊彦
若見匠祐助
若柳吉優

吾妻君彌
尾上博美
中村梅
西川申晶
花柳多智雛
花柳まり草
花柳基紫瑞
坂東映司
藤間扇里
若柳佑輝子

中村梅壽
西川沙生
西川扇里治
錦川日向子
花柳絵美舞也
花柳紗鳳華
花柳與扇
坂東舞花
坂東蘭寿
藤蔭慧
若柳弥天

<STAFF>
脚本:齋藤雅文
構成・演出:西川扇与一
振付:藤間恵都子、花柳秀衛、西川扇衛仁
京舞指導:井上八千代
音楽:麻吉文、下野戸亜弓、藤舎清之、望月美沙輔、鶴澤津賀寿
美術:豊住ゆかり(国立劇場)
照明:品治尚貴
音響:白石安紀
舞台監督:川上大二郎
コラム執筆:小林直弥
装画:鶴田一郎
『「舞姫」制作委員会』
担当理事:吾妻徳穂、中村梅彌、花柳基、松本幸四郎、水木佑歌
担当委員:西川扇与一、藤間達也、若柳絵莉香、松本幸凜、水木紅耶
主催:公益社団法人日本舞踊協会

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