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市川團十郎・ぼたん・新之助 成田屋親子『伝承への道』記者懇談会開催

市川團十郎・ぼたん・新之助 成田屋親子『伝承への道』を2023年3月30日(木)東京国際フォーラムホールCを皮切りに
神奈川、大阪と巡演します。今回、「伝統の継承、未来へ」というものが一つのテーマとなっています。
市川ぼたんと市川新之助が名前を受け継ぎ、いよいよ本格的に「伝承への道」を切り拓いていきたいと、
今回この公演を開催させていただくことになりました。
本作の演目は、座談会では成田屋親子が登場。「子守」清元連中は市川ぼたんが清元の演奏と息を合わせた
軽快な踊りをお見せします。「鳶奴」長唄囃子連中は市川新之助が賑やかな演奏とともに戰物語風の振りを見せるほか、
井戸の鶴瓶棹を手に鳥を捕る振りなどユーモラスに演じます。「男伊達花廓」長唄囃子連中では市川團十郎が
江戸の庶民の憧憬の的であった男伊達、御所五郎蔵を演じ、遺恨を抱えた別の俠客との立ち回りを経て
遊郭の恋人の元へ向かう物語です。市川ぼたんとの共演も見どころとなっています。
成田屋親子が繋ぐ伝統の伝承、そして歌舞伎の様式美と舞踊の華やかさにぜひご期待ください。

2023年2月10日(金)、東京都内某所にて出演者と報道陣との記者懇談会が行われました。

【記者懇談会の様子】

記者懇親会には、十三代目市川團十郎白猿さん、四代目市川ぼたんさん、八代目市川新之助さん3人が登壇。

冒頭、登壇者の市川ぼたんさんと市川新之助さんより挨拶が。
ぼたんさん「私は『子守』と『男伊達花廓』で神室を演じさせていただきます。
この2つの演目に出てくる女の子は私と同じ位の年齢の女の子です。当時の女の子の気持ちになりきって
日々お稽古に励んでいます。皆様是非、見に来て下さい。」

新之助さん「僕は『鳶奴』を演じさせていただきます。お客様が楽しめる様に精一杯努めますので、
是非、見に来て下さい。」

続いて市川團十郎さんより今公演の作品説明が。
團十郎さん「『子守』『鳶奴』『男伊達花廓』のどれにしても、江戸という文化の中であった、
我々の時代では忘れてしまっている様な『子守』、あの時代にお子様がお子様を子守するという
時代背景がございまして、そういったものを日本の文化の中で舞踊化されたものとなります。
私は『男伊達花廓』でございますが、「御所五郎蔵」という演目の中で五郎蔵というものを
一つピックアップして舞踊劇にした形でございます。今回とは前の形とはちょっと違うのに
変えていこうかなと思っています。それは何かというと、今の時代というものに対して
ちょっと意識した考え方を入れて構成をしていこうと思っています。
ですので、大きな挑戦ではないかもしれませんが、私の中では大きな挑戦かなと。
自分達の公演でなければ出来ない事をやっていこうという形で『男伊達花廓』を市川ぼたんさんと
一緒にやらせていただく事になりました。『子守』『鳶奴』は2人が言ってみようか。」

続いてぼたんさんと新之助さんからも作品説明が。
ぼたんさん「(『子守』は)まだお稽古が途中までしか進んでいないんですが、
今私がお稽古している最中ですと、江戸時代の貧しい女の子が小さい赤ちゃんを連れて
鳶に油揚げを盗られてしまって、持っていかれてそこからお話が始まるんですけど、
「何で盗っちゃうのよ!」と鳶に油揚げを盗られて面白い部分もあったり、その後は抱いている赤ちゃんを
下ろして一人自分でお人形を出して遊んだりとかしているんですけども、
江戸時代の貧しい女の子がその様に楽しんでいる姿を見ていただいて
楽しんでいただけたらなという風に思います。」

新之助さん「『鳶奴』は鰹を売っている人がいて、それを鳶に盗られちゃって。
昔は鰹は貴重な物だったんですけども、それで盗られたのに怒って物語が進行していくという感じです。」

團十郎さん「同じ事なんですけども、江戸の時代に今は忘れられてしまった風習、
今だと、とてもじゃないけど言えない「女房売っても初鰹」という時代が江戸の文化にはあったりして。
そういった時代に生きていた時代の情緒というものを今回は『子守』『鳶奴』『男伊達花廓』で
ご覧に入れようという事でございます。」

Q:『男伊達花廓』で今の時代を意識した形とは、具体的に何?

團十郎さん「打ち合わせ段階なんですけど、歌舞伎という日本文化がコロナ禍の影響と時代の流れの中で、
存在意義というものがもう一度確認作業をしなくてはいけない時代に突入していると僕は個人的に思っていまして
その中で松竹の本興行では出来ない試み、この様に自分達だからこそ出来る試み、また出来ない試みがあると思うんですね。
自分達の興行でその様な事にトライさせていただく事によって、松竹さんもそれをやる様になる
という傾向がございます。先ずは自分としてはあくまでも舞台は古典のものをやります。
けれどもそれに対しての舞台で見ている方の見せ方、客席から見ている方の見せ方ではなくて、
別の角度の見せ方を模索しないといけないのかなと思っています。」

Q:公演の中で座談会があるが、フリートークなのか?
今公演のようなものを今後も続けていくのか?

團十郎さん「今回は子供達もいますから、台本的なものを構成します。
大体、大人達でやる場合はお客様の雰囲気と空気によって、進行が変わっていく事も多々ございますが、
子供達がいるので、演目というものや文化というのをフィーチャーしながら、フォーカスを入れてやっていく。
状況によっては私なりがあえて脱線してお客様が感じ易い言葉を配列するという風になるのではないかと思います。
ウチの子達に限らず歌舞伎俳優さん達、若い方達がどんどんと出て来てらっしゃるんですけども、
やはり伝えていかなければいけない事って、お客様も歌舞伎を知っていらっしゃる方、
日本の文化に詳しい方、日本の古典的な言葉を理解される方ってどんどんと減って行っていますよね。
歌舞伎はあくまで伝統文化ですから、そういったものを守っていく、伝承していくという事は重要な事で、
襲名披露興行でも11月・12月は古典や成田屋の演目であったりしましたし、1月に新橋演舞場で
させていただいた事は、古典でありながらも新しい事に挑戦して今の時代でも少しでもフィットする
歌舞伎は何なのかという事を模索しながら、常に両輪でやっていかなければならないという事が
我々の一つの役目なので、それを常に意識していく上でこの『伝承への道』というのは日本舞踊ですから。
歌舞伎というのは日本舞踊が出来ないと実はできないんですよ。何ひとつ、芝居の動き等、
基本的な事を若い人達、次の次の世代に参加をしていきながら何か見える世界が有ったら良いなと思います。
そして座談会には、私も子供の時、今回の様な座談会で話すのは非常に違和感があるというか
ちゃんと喋れない自分がいる。しかしこの子達はある程度言語化する練習が出来始めている。
非常に有難い事だなと思うので、それと同じように舞台の上で演じる、踊りを踊るという事と同時に
舞台の上で一個人として物事を喋るという経験を積み重ねるべきではないのかと、私は客観的に思っていまして、
彼女や彼が喋れる環境を作っていく事を第一の設定として構成していこうと感じています。」

Q:自身の『子守』の思い出は?

團十郎さん「特に麗禾は歩き出すのが早かったんですね。1歳ちょっと位から一緒に歩いて
毎朝8時には家を出て階段の上り下りとか凄くしていたので、それを『子守』と言わないので、
彼女に対しては子守という経験は余り無いんですね。せがれの方は、麻央にしても私にしても、
ずっと抱えている映像が多いんですが、私の場合は何故か前に抱える。昔は背中におんぶが多いじゃないですか。
背中よりも前の方が安全なのかな?ですからせがれはよく抱えていまして……ずっと寝ている人だよね君はね。
ですから手間がかからなかったなという感じです。」

Q:普段の父親と、師匠としての市川團十郎との違いは?

新之助さん「お父さんの時は優しいです。お稽古の時も丁寧に教えてくれて、違いは……………。」

團十郎さん「パス!」

ぼたんさん「お稽古ではなくて、普通に遊んでくれていたりとか、ご飯を一緒に食べに行ったりとか、
そういう時のお父さんは凄く優しくて、私達の事を凄く思ってくれているなと、私は凄く感じています。
お稽古中のお父さんは勿論、私達の事を考えて沢山色んな工夫をして私達に直した方が良い所を沢山指摘してくれて。
家では優しいけど稽古の時はちゃんと言う事は言ってくれる、頼もしくて素敵なお父さんだという風に感じますし、
違いはいつもの優しいお父さんと、稽古で指摘してくれる時は勿論変わると思うんですけども、
自分に対する思い、私を想ってくれるお父さんが、(師匠の時は)私の思ってくれている感情が
違う様に自分には思っているので、そういう所がお稽古の師匠としての所だったりとか、
家でのお父さんの違いかなと私は思います。」

Q:市川團十郎白猿襲名を一番実感した瞬間は?

團十郎さん「顔寄せ手打ち式ですね。恐らく團十郎家じゃないと役者総出の手打ち式は
無い筈だったと思うんですけども、父もその様な事をしたと思うんですよ。
ですからそこでやはり僕の先輩達や同輩、後輩が並んで下さって、その中にお客様が入って
團十郎白猿という事が、一つ、團十郎になったという事なので。
これから全国の都市で襲名披露公演が様々ございますから、まだ、海老蔵だったのか團十郎なのかというと、
團十郎なんですけど、自分自身も「…團十郎なのか?…」という部分もありますし、
手打ち式で感じた事と1月の千秋楽が終わった時に3か月間團十郎として過ごしたんですよね。
「ああ、團十郎なのかもしれないな」という様な感覚になったと思います。」

Q:自身から見て2人の成長ぶりは?

團十郎さん「今、2人にどの様に稽古をするのかという話がありましたが、人間が違うので2人によって変えています。
勸玄は勸玄に、麗禾には麗禾に、という風に教え方を変えています。その中でこういう状況では、
こういう風にさせない方が良い、なんていうのは2人の中である事は僕の中では見えているので、
それに対して、指摘をするんじゃなくて、羊飼いの様に羊を寄せていく様な感覚で2人を見ているんですけども、
麗禾が「團十郎娘」を60年ぶりに、60年前に十一代目市川團十郎が襲名をした時に(三代目市川)翠扇の叔母様が
歌舞伎座で女性としての出し物をして以来の偉業に彼女は挑戦をすると。それを前もって彼女には
「60年ぶりに女性が出し物をする事はとんでもなく大変な事なんだ」という話をする事によって、彼女は戦う訳で。
連獅子で我が子を崖から突き落として這い上がって来た子だけを自分の子とするというのがございますが、
この子の場合、稽古初日の3日前に突き落としたんです。でもちゃんとよじ登ってきた。結果、残した。
11歳としてはよく頑張った「團十郎娘」だなと親としては思いました。
せがれの方は、「外郎売」でいうと、私の代役などでやった事もあり、皆さんは随分簡単な事だと認識していて、
「毛抜き」はとてもじゃないけど大変で、「外郎売」は当然だ、という認識で物事を見ている方が多かった。
これは非常に残念でした。演目としては実は「外郎売」の方が大変なんです。
そして「外郎売」の早口弁舌も大変なんですけど、その前後にある動きや先輩との言葉のやり取り、
他の台詞が難しいんですよ。そういうのを見落とされるんだなと僕は客観的に思って寂しい思いをしたんですけど、
そういった事に正直苦戦しました。けれど彼は2020年に襲名をする時に悔しかったと思うんですね。
2019年にお姉ちゃんはぼたんになったのに、自分はコロナ禍だろうと何だろうと出来ない事に
悔しさを覚えていた。それが良い意味で活力となって「外郎売」を立派に100点満点にやったと思いました。
「毛抜き」に関しては、発展途上。やはり自分の世界に入り過ぎる良い面と悪い面があるので、
自分の世界に入りきって良い時の点数と、入りきって悪い時の点数の差が激しく。
この人の場合は崖から突き落とすにはまだちょっと早いと思っています。」

成田屋親子が3都市で見せる伝承の姿。チケットは好評発売中です。

【市川團十郎・ぼたん・新之助 成田屋親子 『伝承への道』公演概要】

東京・神奈川公演の公式サイトはこちら
大阪公演の公式サイトはこちら

<公演日時>
東京公演: 2023年3月30日(木)
神奈川公演:2023年3月31日(金)
大阪公演:2023年4月15日(土)・16(日)

<会場>
東京:東京国際フォーラムホールC
神奈川:神奈川県民ホール
大阪:NHK大阪ホール

<上演時間>
未定

<料金>
東京・神奈川
一等席11,000円/二等席10,000円

大阪:一等席11,500円/二等席6,500円
(全席指定・税込)
※未就学児入場不可

『チケット発売』
東京・神奈川:好評発売中
大阪:一般発売日・2月19日(日)

「プレイガイド」
Zen-A(ゼンエイ):TEL:03-3538-2300 (平日11:00~19:00)http://www.zen-a.co.jp/naritayaoyakokai-info/
チケットぴあ:https://pia.jp/t/【Pコード 東京:516-671 神奈川:516-672】
ローソンチケット:https://l-tike.com/【Lコード 東京:34866 神奈川:34938】
イープラス:https://eplus.jp/
CNプレイガイドTEL:0570-08-9999:https://www.cnplayguide.com/
チケットWeb松竹:https://www1.ticket-web-shochiku.com/t/
チケットかながわ[神奈川公演のみ]:TEL:0570-015-415(10:00~18:00)https://www.kanagawa-arts.or.jp/tc/
tvkチケットカウンター[神奈川公演のみ]:https://www.tvk-ticket.jp/

「問い合わせ」
東京・神奈川:Zen-A(ゼンエイ)TEL:03-3538-2300(平日11時~19時)
大阪:キョードーインフォメーション TEL:0570-200-888(平日・土曜11時~18時)

<出演者>
「座談会」
市川團十郎
市川ぼたん
市川新之助

「『子守』清元連中」
市川ぼたん

「『鳶奴』長唄囃子連中」
市川新之助

「『男伊達花廓(おとこだてはなのよしわら)』 長唄囃子連中」
市川團十郎
市川ぼたん

<STAFF>
制作:株式会社3Top
制作協力:全栄企画株式会社/株式会社ちあふる
協力:松竹株式会社
東京公演主催:読売新聞社/ニッポン放送/tvk(神奈川)
神奈川公演主催:読売新聞社/ニッポン放送/tvk(神奈川)
大阪公演主催:サンライズプロモーション大阪
大阪公演後援:(公財)大阪観光局

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