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「天守物語」の地に平成中村屋が初見参『姫路城世界遺産登録30周年記念 平成中村座姫路城公演』製作発表開催

「江戸時代の芝居小屋を現代に復活させ、多くの方々に歌舞伎を楽しんで頂きたい」。
十八世中村勘三郎(当時、勘九郎)が長年抱いていた想いは、「平成中村座」として2000年に
東京・浅草にて実現しました。江戸時代の雰囲気に満ち、舞台と客が密接な一体感を持つ
「平成中村座」の空間は日本国内はもちろん、ニューヨークやパリなど海外の観客までも魅了してきました。
そんな勘三郎が「平成中村座」に込めた想いは中村勘九郎、中村七之助へと脈々と受け継がれています。
過去、関西においては2002年に扇町公園(大阪市北区)、2010年・2015年には
大阪城・西の丸公園において上演され、劇場は「平成中村座」を心待ちにしていた多くのお客様で
連日大変な賑わいをみせていました。
そして2023年、世界遺産登録30周年を記念して「平成中村座」が満を持して国宝・姫路城での開催が
実現する運びとなりました。「平成中村座」が姿を現す場所は姫路城のすぐ前、三の丸広場です。
悠久の歴史を感じるこの地に江戸時代の芝居小屋が甦ります。
きっと訪れる人々をタイムトリップさせてくれるに違いありません。
2023年1月30日(月)、東京都内某所にて出演者他が登壇しての製作発表が行われました。

【『姫路城世界遺産登録30周年記念 平成中村座姫路城公演』製作発表の様子】

フリーアナウンサーの吉崎典子さんの司会進行の下、
歌舞伎役者の六代目中村勘九郎さん、二代目中村七之助さん、そして松竹株式会社専務取締役演劇本部長の
山根成之氏の3名が登壇。登壇者より挨拶がなされます。

山根専務取締役「「平成中村座」は昨年の10月・11月と3年ぶりに浅草の地で公演をさせていただきましたけども、
この度、姫路城世界遺産登録30周年という事で、姫路城の三の丸広場にて公演をさせていただく事になりました。
本当に初めてでございますし、姫路城は大変に美しいお城でございますので、この「平成中村座」があって、
江戸時代にタイムスリップした様なワクワク感をお客様に味わって頂けるものと思っております。」

勘九郎さん「今回、姫路城世界遺産登録30周年という記念すべき年にこの「平成中村座」を選んでいただけた事、
本当に感謝しておりますし、大変嬉しく思います。昨年の10・11月、コロナになりましてから久しぶりに
「平成中村座」を浅草の地でやらさせていただいて、私達もその公演を待っていたんですけども、
その倍というか、お客様の方から「待ってました!」と伝わってきて、やっていた月日はとても幸せに思いました。
今回は正しくご当地の姫路城の演目を昼夜共にかけさせていただきます。と言うのも、この姫路城で
「平成中村座」が出来るかも知れないよ、という話をいただいたその後に兄弟で全国を周る巡業で
姫路城に伺ったんですね。天守に登れば富姫様をお祀りしている事も存じておりましたし、
その帰りの道には「お菊の井戸」が場内に有りまして「これは必ず『播州皿屋敷』『天守物語』の2本は
やらなければいけないなと思って、ずっと画策をしておりました。今回、叶った事を本当に嬉しく思います。
また『鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)』は私達、中村屋にとりましても祖父の十七代目中村勘三郎、
父の十八代目中村勘三郎共に大事にしてきた役でございますし、演目でございます。
三島由紀夫先生がお書きになった作品の中でもとてもユーモアがあってハッピーエンドで
良い気持ちになれる作品は少ないと思います。趣向を凝らしまして「姫路城特別バージョン」みたいな
演出が出来ればと思っております。夜の部の『棒しばり』、これは私も何度も務めさせて頂いておりますけども、
とても分かり易く楽しい踊りでございます。本当に心が軽くなれる様な踊りでございますし、
父も大切にしてきたものを橋之助と共に踊れる事を本当に嬉しく思います。
『天守物語』は七之助から。今回の4演目は2000年に父が「平成中村座」を立ち上げてまして、
色々な演目があるんですけども、「平成中村座」でかけるのは初めての演目でございますので、
何度も歌舞伎座等で他の演目を見ている方も新鮮な気持ちで見られると思いますし、
やっている方も新鮮な気持ちで出来ると思いますので、今からこの公演がとても楽しみでございます。
来年の5月8日には(新型インフルエンザ等感染症の感染症法上の位置づけが)5類になるという事なので、
大向こうも「平成中村座」で解禁出来たら良いなと思っていますし、魅力の一つとしては
江戸時代にタイムスリップした芝居小屋でご飯を食べてお酒を飲んで楽しくやって欲しいなという
気持ちが有りますので、やっとそれが叶うんじゃないかなと、昔の「平成中村座」が返ってくるんじゃないかなと思います。」
七之助さん「私はこの姫路城の前で「平成中村座」が立つという事は、「平成中村座」が
まだ行った事の無い土地なので、「平成中村座」の歴史にまた一ページが加わるなというのを
嬉しく思いますし、『天守物語』ですけども、これはご当地のものだから天守物語をやろうよ、と、
口では簡単に言うんですけども、いざ、やると決まってから見ると「とんでもないものを選んでしまったな」
という様な気持ちでいっぱいですけども、玉三郎の叔父様が手取り足取り、演出にも入って下さいますし、
心強いのでよく聞いて素敵な天守物語を皆で作っていけたらと思っております。」

続いて報道陣との質疑応答へ。

Q:公演中に40歳を迎えるが節目を今公演で向かえる心境は?

七之助さん「あまり富姫に歳を聞かないでください。(笑)何か40って、ちょっと嫌ですね。
でも節目の年でございますし、初めて「平成中村座」が行く土地でもありますので、
新たなスタートという気持ちで中村座と共に私の歌舞伎役者の人生もまた切り替えて
一歩一歩の良い第一歩になるんじゃないかなと思っております。」

Q:ご当地作品をかけるにあたり、ここが見所という部分は?

勘九郎さん「ご当地もご当地、姫路城に纏わるお話『播州皿屋敷』『天守物語』ですので、
その近くで歌舞伎を新作として作る訳ではなく、昔からある作品を見られるというのは、
中々無いと思うので、楽しみにしていただきたいと思います。
『播州皿屋敷』、これは『番長皿屋敷』と2つありますけども、最初に僕が生で拝見したのが納涼で
叔父の芝翫と扇雀さんがおやりになっていたんですけども、楽しい話ではないですけども、
面白いなと思った作品ですし、これが「平成中村座」の間口だったりとか、仕掛けだったりに
来れるんじゃないかなと思って選びました。歌舞伎独特ですけども、私が最初に見た
芝翫の叔父と扇雀の叔父の息子二人が努めますので、そういう所も楽しんで頂けたらと思います。」

七之助さん「『天守物語』は傑作ですので、改めて見たりして言葉の美しさだったり表現の美しさ、
それはもう凄いものがあるなと。勿論、歌舞伎座とか色んな所でかけられている演目なんですけども、
実際のお城がそこにあるというだけで、お客様が親近感と言えばよいのでしょうか?
『天守物語』って、美術品を見る様に見がちなんですよね。でもそこにはディープな愛情や
人の情愛がとても深く綺麗な言葉で描かれている作品なので、そこで傍観をしているのではなく、
自ら天守を覗き見ている、富姫と図書之助の様子を横から見ている様な感覚にゾクッとさせられる様な
所でやれるんじゃないかなと思うんですね。どの様な演出になるかは分かりませんけども、
観終わった後、ふと振り返るとそこに本物があるというのは、これは中々味わえないですよ。
ライトアップもしているらしいので、そこで天守をちゃんと凝視出来るのか、
お客様一人一人がどの様に思って『天守物語』を観て下さるかですよね。
ハッピーエンドの2人があそこで笑っているのか、それとも……というのを
お客様が持ち帰って下さっていると思うんです。これは土地の力ですよね。
浅草の浅草寺で「平成中村座」がやらせていただいた時も、外へ出たらそこに浅草寺と仲見世があって、
「…まだ歌舞伎の中の世界かな?」というのを正に体現して下さるこのお城の力を借りてやりたいなと思います。」

勘九郎さん「何よりも本当に玉三郎の叔父様に感謝です。今存命の歌舞伎役者で富姫を務めているのは
玉三郎の叔父様だけですからね。それを七之助にやらせてもらえる事は本当にありがたいですし、演出として入って下さる。
泉鏡花の作品、物語を深みまで知り尽くしている叔父様にしか出来ない事なので、本当に快く受けて下さった事には
私達も驚いておりましたし、感謝をしております。」

Q:(新型インフルエンザ等感染症の感染症法上の位置づけが)5類になる事による演出面での影響は?

勘九郎さん「歌舞伎の醍醐味の一つである大向こうも、歌舞伎座でしか出来ないですし、
ブースを設け、距離を置いてマスクをしてという形なので、中々出来ないんですけど、
これが公演時期になってみないと出来るかどうかというのはまだ分からないですけど、
でも、徐々に日常を取り戻せるんじゃないかと思います。そして「平成中村座」の演出の一つとして
客席と舞台が近いので、席の間隔だったりとか客席降りでの芝居がどれだけ出来るかというのも、
変わってくると思います。(舞台に立つ人間からすると5類になるのは)やっぱりありがたいですよ。
最初は定員の半分で時間も短く。舞台からでも分かるんですけども、来て下さるお客様も声援の代わりに
手が真っ赤になる位に物凄い勢いで拍手をして下さるお客様の姿を見ていて、本当に有難いなと
思っていましたけども、これが日常に戻って来て素直に楽しめる空間になれるというのは
「やっとだな」と思いますね。それで大向こうの大合唱とかになっちゃったら大変ですけどね。」

Q:劇場から城が見える様に検討されているそうだが「平成中村座」は姫路城が見える様な位置に建つ予定なのか?

勘九郎さん「(姫路城との)距離が近いんですよ。でもやはり見えた方が良いし、
工夫をして下さっているみたいです。スタッフの皆さんには本当に感謝ですけども、
大きい天守の方は桟敷席に座れば見られるかな。椅子になったら天守の一番上までは
見られないからというので若干、振ってくれるんです。小天守の方は椅子席からでもバッチリ見られる様に
工夫をして下さっているみたいです。どの席からでも楽しめると思います。」

Q:国宝であり、白鷺城として知られる姫路城を前にして公演を行う意気込みは?

勘九郎さん「それはもう本当に光栄です。公演が決まってからこの間、姫路城に行ってきたんですけども、
(公演が)決まる前に行った時にも、正に「平成中村座」が建つ所に芝生があって、
ここで中村座が出来ないかなとずっと思っていたんですね。夢じゃないですけど、とても嬉しい気持ちでございます。
世界遺産登という事もありますし、白鷺城とある通り、とても魅力的で、お菊の井戸や富姫様が祀られているという、
異世界の者も住んでいる様な魅力と魔力も持っているお城なのでとてもワクワクいたします。」

七之助さん「こんな素晴らしいお城の前でやらせていただける、そして私、恥ずかしながら去年、
姫路に巡業公演でお邪魔させていただいた折に初めて姫路城に入らせていただきまして、凄く混んでいて。
この時、実は姫路城公演は決まっていたんですが、まだ『天守物語』をやるというのは、やれたら良いねという様な感じで。
(姫路城に)上ったんですけど昼夜公演の間だったので、あまりに混み過ぎていて実は僕、天守に上がっていないんです。
今回、次に行く時が初めて富姫役の私が天守に上がるという事でドキドキしながら新鮮な気持ちで
務められるんじゃないかなというのはありますね。」

【『姫路城世界遺産登録30周年記念 平成中村座姫路城公演(関西テレビ放送開局65周年記念事業)』公演概要】

公式サイトはこちら

<公演期間>
2023年5月3日(水・祝)~5月27日(土)

<会場>
姫路城三の丸広場内 特設劇場(JR・山陽電鉄姫路駅下車徒歩15分)

<上演時間>
『第一部』(正午開演)
①播州皿屋敷:約45分
休憩:30分
②鰯賣戀曳網:約65分

『第二部』(午後4時開演)
①棒しばり:約40分
休憩:30分
②天守物語:約100分
※休憩時間は予定。今後前後する場合有。

<料金>
松席(1階前方 桟敷席):15,500円
竹席(1階・2階 いす席):15,500円
梅席(2階 いす席):13,500円
桜席(2階 いす席):11,000円
お大尽席(2階正面 いす席 お土産付き):36,000円
(全席指定・税込)
※3歳以下膝上無料。ただしお席が必要な場合は有料。
※車椅子でご来場予定のお客様はキョードーインフォメーションへ予めご連絡下さい。

『チケット発売』
一般発売:2023年3月4日(土)10:00~

「プレイガイド」
チケットホン松竹
チケットWeb松竹
チケットぴあ「Pコード:517-465」
ローソンチケット「Lコード:51816」
イープラス
ほか

「問い合わせ」
キョードーインフォメーション:0570-200-888(11:00~18:00 日・祝日は休み)

<出演者>
「播州皿屋敷(一幕)」
浅山鉄山:中村橋之助
腰元お菊:中村虎之介
岩渕忠太:片岡亀蔵

「鰯賣戀曳網(一幕二場)」
鰯賣猿源氏:中村勘九郎
傾城蛍火:中村七之助
博労六郎左衛門:中村橋之助
傾城薄雲:中村鶴松
亭主:片岡亀蔵
海老名なむあみだぶつ:中村扇雀

「棒しばり(長唄囃子連中)」
次郎冠者:中村勘九郎
太郎冠者:中村橋之助
曽根松兵衛:中村扇雀

「天守物語(一幕)」
天守夫人富姫:中村七之助
姫川図書之助:中村虎之介
朱の盤坊:中村橋之助
亀姫:中村鶴松
小田原修理:片岡亀蔵
舌長姥/近江之丞桃六:中村勘九郎
薄:中村扇雀

<STAFF>
原作:浅田一鳥(播州皿屋敷)
作:三島由紀夫(鰯賣戀曳網)、岡村柿紅(棒しばり)、泉鏡花(天守物語)
演出・振り付け:二世藤間勘祖(鰯賣戀曳網)
演出:坂東玉三郎(天守物語)
主催:姫路市/関西テレビ放送
企画協力:ファーンウッド/ファーンウッド21
製作:松竹株式会社
特別協賛:奥村組
協賛:日本たばこ産業/但陽信用金庫/姫路酒造組合/姫路信用金庫/西兵庫信用金庫/播州信用金庫/兵庫信用金庫/まねき食品/ジーピーエム
後援:山陰中央テレビジョン放送/岡山放送/テレビ新広島/テレビ愛媛/高知さんさんテレビ/テレビ西日本/播磨リビング新聞社/Kiss FM KOBE

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