「チャレスポ!TOKYO」有明アリーナにて開催
東京都と公益社団法人東京都障害者スポーツ協会は、パラスポーツの魅力を
より多くの人々に知っていただくため、参加体験型スポーツイベント「チャレスポ!TOKYO」を
2022年10月8日(土)に東京都江東区の有明アリーナで開催しました。
障害のある方も参加しやすいプログラムが多数用意された当日の様子をお伝えします。
【「チャレスポ!TOKYO」の様子】
2017年9月に第1回目が行われ、以降、千代田区の東京都国際フォーラムを会場とし、
多岐にわたるパラスポーツの競技に身近に触れて体験をしてもらおうという主旨の元、
今回で6回目の開催となる「チャレスポ!TOKYO」。
今回は初めて会場を江東区の有明アリーナに移しての開催となり、
8月24日(水)に行われた「東京2020パラリンピック1周年記念イベント」が開催された同地にて
パラスポーツを身近に体験出来るイベントの開催、そして10月の3連休初日という事もあり、
多くの来場者が訪れました。有明アリーナ館内ほぼ全域を使用したイベントのハイライトとなる部分をご紹介。
【体験ブース】
有明アリーナ内のメインアリーナとサブアリーナに分かれた12の種目が夫々の競技団体により
体験ブースが展開されていました。その中にはパラリンピックの未採用競技もあり、
様々な競技にじかに触れる楽しさを来場者は楽しんでいる様子。
「パラカヌー」
競技用のカヤックやヴァ―と呼ばれる艇に乗り、パラリンピックでは波の立たない
200mの直線距離をいかに速くゴール出来るかを競うスプリント競技。
下肢に障害がある選手が対象となり、障がい度合いにより3つのクラスに分かれ、
最も軽度となるL3クラスでは一般的な自転車の走行速度と同じ約18㎞/hを記録する程のスピード。
この日はカヤックのシート体験とローイングマシンを用いてのパドル操作の体験が行われていました。
「車いすカーリング」
”氷上のチェス”の別名があまりにも有名な冬季オリンピック・パラリンピックにおける花形競技。
これが車いす競技となると、花崗岩で出来た約20㎏のストーンを使用し30m先の
ハウスへの中心へとストーンを近づけるという所は一緒ですが、必ず男女混合の4名出場となり、
通常のカーリングと異なり、ストーンを投げる際には助走はせず静止状態から手や
デリバリースティックと呼ばれる競技用具を使用しストーンを滑り出します。
更にはあの独特な掛け声と動作でストーンをハウスへと導く印象的なスウィ―ピング動作が
無いという独自性が競技の奥深さを物語ります。来場者はデリバリースティックの使い方と
ストーンの動作にかなり苦戦をしていた様子。
「車いすテニス」
日本車いすテニス界のレジェンド、国枝慎吾選手を始め、上地結衣選手等の活躍が
東京2020パラ大会に留まらず、数々の世界選手権において日々報道される人気種目。
今回はコート幅の狭い状態での体験となり、ラリー時の車いすの移動幅を少なくし、
打ち返しに集中出来る環境に。そのせいか、ブースからボールが飛び出す程のスマッシュを決める参加者も。
「車いすバスケットボール」
約1年1か月前に、正に今回の「チャレスポ!TOKYO」開催地である有明アリーナにて
東京2020パラ男子決勝が行われ、王者アメリカとの大接戦の末に
史上初となる銀メダルを獲得した男子日本代表の快進撃が記憶に刻まれる車いすバスケットボール。
体験ブース内でも男女を問わず常に列が途切れない人気ぶりが競技の魅力を物語ります。
大人が車いすの操作に四苦八苦している隣で猛スピードで操作の要領を習得していく
子供来場者の飲み込みの速さが特に目立つブース。着座状態で腕の力のみで通常と同じ
305㎝の高さのゴールへとボールを投げ入れるのは案外とパワーが必要な様子。
「スルーネットピンポン」
視覚障害者の間で行われているサウンドテーブルテニス(盲人卓球)を基とし、
年齢や障害の有無を超えて、同一ルールの上で誰もが楽しむことができる
バリアフリースポーツ。通常の卓球とは異なり、音のするボールを転がし、
台上4.2センチに張られたネットの下を通す形で打ち合います。
ラケットはラバーの貼られていない木製のものを使用し、卓球台の選手立ち位置側には
ボール落下防止のサイドフレームが取り付けられており、万人が楽しめる様になっています。」
「デフサッカー」
「デフ」とは英語で「deaf(聞こえない人、聞こえにくい人)」という意味。
ルールは通常のサッカーと同様で、聴覚障がい者のサッカーとして、
聴覚障がい度合いによるクラス分けは無く、選手は競技中に補聴器を外す義務がある為
「音の無いサッカー」という愛称が。試合中、選手はアイコンタクトや手話で意思疎通をします。
※一般社団法人日本ろう者サッカー協会ホームページより引用
「トライアスロン」
リオ2016パラ大会より正式種目となったパラトライアスロン。
スイム・バイク・ランの3種目の合計タイムを争う”鉄人競技”の一端を楽しんで貰おうと、
アイマスクをして、伴走者である「ガイド」と共に歩いたり、ハンドサイクル、
片腕操作専用のバイク、ランに使用する競技用車椅子と様々な障がい別の競技ツールが体験可能。
「フライングディスク」
昭和50年代にスペシャルオリンピックスの種目としてアメリカから輸入された競技。
直径23.5㎝、重さ約100gのプラスチック製の円盤を使用し、3枚を連投し距離を競う「ディスタンス」と
10枚を連投し、輪の中を通過させた枚数で競う「アキュラシー」の2種目があります。
この日は輪の他にペットボトルタワーやナインパネルが用意され、
より万人に楽しめる様にセッティングされていました。
「ブラインドフットボール」
5人制競技であり、フットサルと同じサイズのフィールドで選手はアイマスクを装着し全盲状態でプレー。
内部に金属が封入され、転がると音が鳴るボールを使用し、競技中はゴールを決めたシーン以外は
客席も静まり返る、静かに進行するサッカー競技。サイドラインを割る事が無い様に
サイドフェンスが設置され、これを使用した独特なプレースタイルが見られるのも魅力。
圧倒的に聴覚情報が頼りとなるこの競技体験はボールに触る事よりも、パートナーや
ブースの説明者から発せられる音や、言葉による指示を認識する事に時間を割いて、
コミュニケーションの重要さを説いてました。
「ぺガーボール」
スペイン語で「引っ付く」を意味する「pegar」が語源である
ポンチョを着た鬼(ペガー)を追いかけボールを当て、多くボールがくっ付いた方が勝ちという
明瞭簡潔なレクリエーションスポーツ。1チーム5人で20m×20mのフィールド上で
先攻・後攻各20秒(公式ルール)の制限時間の中で攻撃側は1人5個のボールを手に鬼にボールを接着させ、
それを数ターン行い、接着したボールの数で競う明瞭さが、特別支援学校をはじめ、
教育機関等で近年注目を浴びる万人が参加可能なスポーツ。
「ボッチャ」
すっかりパラスポーツ体験におけるメジャー競技の様相を見せるボッチャ。
今回は十分なブース面積である事からフルサイズのコートが用意され、白熱した競技体験に。
想像以上に転がらない特性のボッチャのボールに苦戦する来場者。
パラ大会日本代表「火ノ玉ジャパン」主将の杉村英孝選手の様にビタビタのコントロールは至難の様です。
「ボルダリング」
東京2020大会では青海アーバンスポーツパークにて行われた「スポーツクライミング」の中で
スピード・リードと共に行われた1種目であり、高さ5m以下の岩や壁を、色や形、大きさが異なる
ホールドをつかみ、ロープを着けずに登るフリークライミングの一種。
今回は高さ約3mの壁面が2つ用意され、ホールドの位置や数によって難易度が3つ用意されていましたが、
90度を優に超えるオーバーハング設置となった壁面に開始数段で悲鳴を上げる来場者が後を絶ちません。
【展示ブース】
メインアリーナ1階および2階コンコース部等には13競技、および関連7団体の競技パネルや
競技用品展示がなされ、東京2020アーカイブ資産展示やパラアート展示等、
パラスポーツ以外の展示物も一堂に並びます。
その中には非常に貴重な代物も。東京2020大会マスコットを決める全国の小学生による投票で
最終候補に残った、投票総数205,755票の内、109,041票を獲得したマスコット案「ア」(ミライトワ・ソメイティ)のみならず、
6万1423票の「イ」、3万5291票の「ウ」の視覚障がいの児童や特別支援学校の生徒達が投票の際に使用した
触覚用フィギュアの展示がなされ、東京2020マスコットのファンの視線を釘付けにしていました。
【ステージプログラム】
メインアリーナのステージでは、競技紹介やクイズ、音楽パフォーマンスなど、
計10本のステージプログラムが行われました。その中から代表的な物を紹介。
「車いすバスケットボールエキシビジョンマッチ」
前述の通り、東京2020パラ大会の車いすバスケットボール男子決勝の舞台となった
有明アリーナのフィールドでこの日の登壇ゲストが子供達と車いすバスケのエキシビジョンマッチを展開。
パラ応援大使を務めるお笑いコンビの「パックンマックン」、同じくお笑い芸人の「おばたのお兄さん」、
車いすバスケットボールプロチーム「パラ神奈川SC」キャプテンの西村元樹選手、
同じくパラ神奈川SC所属で東京2020パラリンピック銀メダルメンバーの古澤拓也選手が
事前応募により選ばれた都内在住の小中学生10名との混合チームになり対戦。
ただし、その内の5名は「センターポールキッズ」という経験者達という顔ぶれに
大人げない全力パワープレーで挑む登壇ゲスト陣。ミニバスケと同じ面積のコートと
ゴール高が小学生用の255㎝に設定され、このステージだけの特別ルールで3チームに分かれて
対戦しますが、試合が進む毎にめきめきと上達する初心者小学生チームと、
圧倒的なパフォーマンスを見せるセンタポールキッズの面々に対し、
大人の体格とパワープレーで必死に食らい付くゲストチーム。
そこにプロの超絶妙技をそこかしこで見せる2選手と、来場者は目移りしっぱなし。
最後の試合では、東京2020大会マスコットのミライトワ、ソメイティが応援に駆け付け、
更には解説を担当していたシドニー2000パラ大会車いすバスケットボール男子日本代表キャプテンの
根木慎志さんも飛び入り参加し、ステージ前は熱気ムンムンの様相に。
試合終了後にコメントした子供達の言葉は「車いすで走りながらボールを投げるのが難しかった」と話し
根木さんは「小中学生、現役選手、コメディアン等、色んな違いがある中、車いすバスケを通じて
皆がコートの中で輝いている様がこれから社会が目指していく姿だ」とステージの意義を話していました。
「ペガーボールチャレンジ」
午後に開催されたのがサブアリーナにブースを設けていた「ペガーボール」のステージ。
パックンマックンとおばたのお兄さんが登壇し、更にゲスト選手のパラカヌーのパラリンピアンの瀬立モニカ選手、
車いすテニスのパラリンピアンの菅野浩二選手も参加。
公式ルールから柔軟にルールを変更しても良いというフレキシブルな競技実施により、
こちらも事前応募にて選ばれた子供達が攻撃側となり、ミライトワとソメイティが応援する中、
バスケットコートを使用した広いフィールドを鬼役の大人達が目の色を変えた子供達の
ボール攻撃から自身の持ちネタを交えながら必死に逃げ回り、スポーツの魅力を楽しんでいました。
子供達には純粋に楽しく、大人達は子供時代の鬼ごっこやドッジボールを思い出す感慨深いステージとなった様子。
「エンディング」
この日最後のステージプログラムは登壇者勢揃いとなり、各々から感想が述べられました。
マックンは「楽しかった。明々後日頃にくる筋肉痛が心配。人間の隠れた力を出せるスポーツ競技がパラスポーツ」と話し、
パックンは「パラスポーツは障がいのある方だけのスポーツじゃなくて皆のスポーツとして
今日認識が出来た。皆と仲良くチームとなって対等に戦える力を持つ物」と、パラ応援大使として力説。
おばたのお兄さん「世代を問わず、同じスポーツでも中々差が出てしまう事が多い中、
パラスポーツは割とそういう事が少ないのかなと感じたので、皆で楽しめる素晴らしい物」とコメント。
菅野選手は「一日楽しく過ごせてお客さん側と言う感じでありがとうございました。
僕自身、明日から韓国で試合で連戦が有るので応援していただければと思います。」と話し、
瀬立選手は「私は実は住んでいるのが江東区なので、このエリアに有明アリーナという
素晴らしい場所がオリパラ後も活用されているのが凄く嬉しかったです。
皆さんにもパラスポーツを知って貰えて凄く嬉しかったですし、私自身もパリに向けて
アスリートとして頑張っていきます。」と抱負を話しました。
根木さん「パラスポーツって誰もが楽しめるスポーツだと思うし、僕は東京2020パラ大会の
開会式で凄く素敵だなと思った事があって、「片翼の小さな飛行機」は、
彼女は片方の翼しかなくて、飛行機だけど片翼しかなくて飛べないと悲しんでいる。
でも飛びたいという夢があるというのを喜怒哀楽で表現しながら、最後は勇気をもって
チャレンジをして、大空に飛び立つという開会式からパラ大会はスタートしたんです。
何を言いたいかと言うと、皆素敵な翼を持っていて、でも目には見えない。
今日はパラスポーツを通じて工夫をされた色んなスポーツでこの会場にいる皆が輝いたと思うんですよね。
僕達やアスリートも競技や今回の様なイベントを通じてだったりとか、
皆が輝く存在であるという事をスポーツを通じて伝えていきたいので、またお会い出来たらなと思います。」
西村選手「僕達自身、車いすバスケというスポーツに特化してやっているので、こういう風に
色々なパラスポーツの方々と触れ合える機会は本当に貴重だし、これが
パラスポーツ全体で盛り上がっていくキッカケにもなるのかなと思っています。
来年2023年1月に日本一を決める天皇杯があるので、プレーヤーとしてはそこでの優勝を目指して
頑張りたいと思います。また僕はチーム代表としても活動しているので、
チームをもっともっとスタッフや選手が輝ける場にしていって、パラスポーツと区切って考えず、
一スポーツとして車いすバスケやその他の競技も盛り上げて行けるように頑張りたいなと思っています。」
古澤選手「今日は僕達は車いすバスケの競技を代表して来たんですけど、他の競技を
色々と体験して、改めてパラスポーツに魅力を一緒に楽しめたのかなと思っています。
西村選手の通り、僕等はクラブチームで日本一を目指す、というのと、
次のパリ2024パラ大会でメダルを獲れる様に、チームの一員に選ばれる様に
頑張っていきたいと思っています。」と、各登壇ゲストの感想が述べられると、
ミライトワとソメイティがステージに再登場。
最後はNHK2020応援ソングプロジェクト「パプリカ」のフルサイズソングにのせて
マスコット2人がダンスを披露。
ステージ前の客席やメインアリーナのスタンド席から来場者のカメラやスマートフォンの
シャッター音が鳴り響く中、有明アリーナいっぱいに愛らしさと魅力を振り撒いていました。
【チャレスポ!TOKYO開催概要】
公式サイトはこちら
<開催日時>
2022年10月8日(土)10:00~17:00
<会場>
有明アリーナ
<ゲスト>
菅野浩二:パラリンピアン/車いすテニス男子 東京2020パラ大会混合ダブルス(諸石/菅野ペア) 銅メダル、混合シングルス4位
瀬立モニカ:パラリンピアン/パラカヌー女子カヤック・シングル(KL1クラス) リオ2016パラ大会8位入賞、東京2020パラ大会7位入賞
根木慎志:解説者/シドニー2000パラ大会車いすバスケットボール日本代表キャプテン
西村元樹:プロ車いすバスケットボールプレーヤー/パラ神奈川スポーツクラブキャプテン
古澤拓也:パラリンピアン/東京2020パラ大会車いすバスケットボール銀メダル
パックンマックン(パトリック・ハーラン/吉田眞):お笑いコンビ/パラ応援大使
おばたのお兄さん:お笑いタレント
「その他」
ミライトワ:東京2020オリンピックマスコット
ソメイティ:東京2020パラリンピックマスコット
<実施体制>
主催:東京都/公益財団法人東京都障害者スポーツ協会
協力:有限会社エヌ・プランニング/公益財団法人スペシャルオリンピックス日本/一般社団法人センターポール/
一般社団法人全日本テコンドー協会/一般財団法人全日本ろうあ連盟/一般社団法人東京都車いすフェンシング協会/
東京都障害者フライングディスク協会/東京都スルーネットピンポン協会/東京都セルプセンター/
一般社団法人東京都トライアスロン連合/ 東京ボッチャ協会/東商アソシエート株式会社/
一般社団法人日本車いすカーリング協会/一般社団法人日本車いすラグビー連盟/
一般社団法人日本ゴールボール協会/一般社団法人日本肢体不自由者卓球協会/
一般社団法人日本障害者カヌー協会/一般社団法人日本障がい者乗馬協会/
特定非営利活動法人日本障害者スキー連盟/一般社団法人日本身体障害者アーチェリー連盟/
一般社団法人日本知的障害者チアリーディング協会/公益財団法人日本チャリティ協会/
一般社団法人日本パラアイスホッケー協会/一般社団法人日本パラサイクリング連盟/
一般社団法人日本パラ水泳連盟/特定非営利活動法人日本パラ・パワーリフティング連盟/
特定非営利活動法人日本ブラインドサッカー協会/一般社団法人日本ペガーボール協会/
公益社団法人日本ボート協会パラローイング委員会/学校法人藤村学園東京女子体育大学/
株式会社リクルート/ 一般社団法人レプロ東京