世界のエンターテイメントの“今”をお届け!

「キャプテン翼」高橋陽一氏、武井壮、川本翔大選手登壇 マンガ・アニメを入口にパラスポーツに触れるイベント「TOKYOパラスポーツ月間トークイベント」開催

東京都では、8月、9月を「TOKYOパラスポーツ月間」と位置づけ、様々な取組を実施しています。
その一環として、2022年9月19日(月・祝)に「TOKYOパラスポーツ月間トークイベント~
マンガ・アニメで触れるパラスポーツの魅力~」を港区の東京ポートシティ竹芝ポートホールにて開催しました。
NHKがパラスポーツの魅力を伝え、共生社会を目指すトークショー『NHKアニ×パラキャラバン』の公開収録も実施された。
当日の様子をお伝えします。

【「TOKYOパラスポーツ月間トークイベント~マンガ・アニメで触れるパラスポーツの魅力~」の様子】

東京2020オリンピック・パラリンピックが開催されてから1周年となった2022年の8~9月に
8月24日(水)に江東区の有明アリーナにて行われた「東京2020パラリンピック1周年記念イベント」に
代表される、体験や観戦など多様な関わりを通してパラスポーツがもつ魅力を感じてもらうため、
都内各地でパラスポーツのイベントを開催されています。

そのなかで唯一のトークイベントとなったのが「TOKYOパラスポーツ月間トークイベント~マンガ・アニメで触れるパラスポーツの魅力~」。
会場となった東京ポートシティ竹芝のポートホールには事前応募した約100人の観覧者が来場。
ポートホールのホワイエ部では「パラスポーツPRコーナー」として、東京2020アーカイブ資産展示や
パラスポーツの競技用具や日本を代表する漫画家たちが描いたパラ競技作品のカットアウト展示、

アニ×パラに参加した錚々たる面々のサイン

さらに同時開催として、NHKの主催による「NHKアニ×パラ展」過去作品の上映やパネル展示が行われていました。

『第一部』
14時より始まった第一部では、マンガ・アニメやパラスポーツに関わる人物をゲストに迎えた対談として、
元・陸上十種競技日本チャンピオンの経歴を持つ、現在は日本フェイシング協会会長を務める
タレントの武井壮さん、女性アイドルグループ「日向坂46」の元メンバーで、女優の渡邉美穂さんが登壇。
MCを務める中、1980年に少年漫画雑誌「週刊少年ジャンプ」にて連載がなされ、
現在「キャプテン翼マガジン」にて『キャプテン翼 ライジングサン』が連載中で、
2017年6月にはシリーズ通巻100巻を達成している少年サッカー漫画の金字塔
「キャプテン翼」の作者である高橋陽一氏がゲストとして登壇。2016年よりスタートした東京2020パラ大会の公式22競技を日本を代表する漫画家が描くプロジェクト
「TEAM BEYOND HERO PROJECT(以下、HERO PROJECT)」に「ブラサカブラボー」で参加し、
NHKにて2017年11月より放送されているTVアニメ番組「アニ×パラ〜あなたのヒーローは誰ですか〜(以下、アニ×パラ)」の
第一弾「episode1 ブラインドサッカー」の原作を担当した高橋先生。
「当時、ブラインドサッカーにメダルを目指して頑張って欲しいという応援の気持ちで描いた」と話す先生に
武井さんから「先生がこの漫画の中で描かれた技が実際に昨年の東京2020パラ大会の試合で繰り出され、
ゴールを決めた」という驚きのエピソードが話され、更には先日2022年9月1日16:30(木・現地時間)より
行われたブラインドサッカー・ワールドグランプリinフランスの日本代表対ブラジル代表の試合にて
パラリンピック5連覇の超強豪国ブラジルに1-0で日本が初めて勝利するという歴史的快挙の映像が流れ、高橋先生は絶賛。
そして「HERO PROJECT」に多数の著名漫画家が参加している事については「今、スポーツ漫画って
少し減ってきている感じなので、皆さんにスポーツを題材に書いていただいているのは嬉しい」と話します。
「キャプテン翼」世代ど真ん中の武井さんは勿論の事、高校時代にバスケットボール部で
県大会出場経験を持つ渡邊さんは「黒子のバスケ」の作者、藤巻忠俊氏が描いた作品に興味を持った様子。

そして高橋先生は東京2020パラ大会が終わってから感じた世の中の変化を
「これまでどうしてもパラリンピックはオリンピックと比べ、関心度が低かったりした印象があったが、
今回は東京大会という事で、僕等は漫画やアニメでワンクッション置く事で身近に見る方が
近づいて来れたのではないかという自負があり、日本や世界の皆さんが身近に感じていただけたのではないか」とコメント。
次に渡邊さんから高橋先生へ7つの質問が投げかけられます。夫々の答えに〇×、もしくはどちらでもないという答えを出す高橋先生。
第4問には、車いすテニスの国枝慎吾選手が凄いので、車いすテニスを題材に書いてみたいとの興味深い答えが。
そして第6問では、漫画家ならではの悩みとして、ブラインドサッカーであるが故に「眼力や視線」という描写が出来ず、
ほぼ口の形や動きでキャラクターの顔の感情表現がなされたという苦労点が。

そして第7問に関しては、今回の企画で少なからず、多くの人にパラスポーツを届けるという事では
貢献出来たかと思っているので、漫画やアニメ等がスポーツと一体となって
広がっていくという事が出来るんじゃないかなと思います、と、「キャプテン翼」がこの世に出て
40年余り、世界中のサッカーのスター達が大空翼達を見て育ったのと同じく、パラスポーツにも
どんどんと世界に発信していく力があると武井さんと共に話す高橋先生。

最後に第1部の感想として
渡邊さん「アニメや漫画を通してパラスポーツや選手達の心境を知る事が出来、この事を沢山の人に知って欲しいし、
こういう機会を大事にしたい。」
高橋先生「パラ大会が終わってから一過性の物で終わらせないで次のパリ2024大会に向けても
継続的に今回の様な企画をしてもらって、引き続き興味を持ってもらい、パラ大会だけではなく
国枝選手の様に他の世界大会で活躍するパラアスリートにも興味を持ってもらえたら嬉しいなと思います。」
とのコメント共に第1部は終了しました。」

『第二部』
15時よりスタートした第2部は、10月28日(金)17:45よりNHK BS1で初回放送予定の
「NHKアニ×パラキャラバンin東京スポーツ月間」の公開収録が行われました。
フリーアナウンサー、スポーツライターで久下真以子さんによる司会進行の下、
第1部に続き、武井さんと渡邊さんが登壇。そして第2部のゲストアスリートとして、
東京2020パラリンピックにて自転車男子3000m個人パシュート(C2クラス)で4位入賞、
同じく、男子個人1,000mタイムトライアル(C1-3クラス)で6位入賞を果たし、
その両方で日本記録を更新する快挙を成し遂げたパラ自転車競技日本代表の川本翔大選手が登壇。
川本選手は東京2020パラ大会でも使用した愛車のレーサーバイクにて会場後方から颯爽と登場し、客席からの拍手を浴びます。

早速、自転車競技を題材とした累計発行部数2,700万部を突破している渡辺航氏原作漫画のアニメ
「弱虫ペダル」とコラボした2019年7月に放送されたアニ×パラ「episode7 パラサイクリング」において、
主人公の小野田坂道が所属する総北高校自転車競技部の合宿中に出会った実在のパラリンピアンとして描かれる
川本選手の姿を登壇者と来場者とで「episode7 パラサイクリング」を鑑賞する事に。
自身がアニメキャラになった事について川本選手は、アニメの弱虫ペダルを見ていたので嬉しかったが、
周りから、体格は本物そのものだが、アニメで喋っていると声が全然違う(声優の小野友樹氏が担当)とのコメントが。
アニメならではの演出に照れる川本選手。しかし、自身がアニメのモデルになると聞いた時は完成が楽しみだったとの事。
鑑賞中に久下さんから投げかけられた、アニメの様にインターハイ出場レベルの高校生と実際に対決したら勝てるか?との問いに
僕はロードレースが苦手なので多分、負けると話す川本選手ですが、アニメに登場出来るなんてズルいし良いなと
登壇者一同から羨ましがられていました。

武井さん絶賛の川本選手の右太もも

そして劇中で坂道が川本選手に会った第一声が「足が無いんだ」だった事に対して、実生活でも有る場面なのかという問いに、
川本選手「元々義足を着けていなかったのでよく言われましたが、全然気にせずにやっていました。」と話す傍から、
右足一本で驚異的なスピードを出す太ももを幾度となく絶賛する武井さんが、レース中のスピードを聞くと、
トラックでの駆け下り走行時には最高60㎞/h、ママチャリでも30㎞/hは出るのでは?と川本選手。

続いて、ステージ上に置かれた障がいの部位や度合いにより様々な形状をとるパラサイクリングの自転車試乗が登壇者により行われました。
川本選手が室内トラック競技で使用するバイクはカーボン製で重量は7㎏と超軽量。渡邊さんも軽々と持ち上げる程。

続いて渡邊さんが乗車したのは足を使う事が出来ない選手用のハンドサイクルのモデル。
バスケットボールをやっていた体力に自信のある渡邊さんですが、着座位置から地面までが数㎝という
フォーミュラ―カー並みの超低重心姿勢と、腕の力のみで操舵と前進をするハンドサイクルに四苦八苦の様子。
特に旋回にコツを要する様で、続いて乗車した一般参加者も普段の自転車との操作感覚の違いを話しています。
次に武井さんが重度脳性麻痺や四肢障がいで2輪に乗る事が出来ないパラリンピアンが使用する3輪のトライシクルに試乗。
川本選手曰く、この日用意された競技用自転車の中で最も操縦が難しいというトライシクル。
そろりと走り出す武井さんですが、いざ旋回しようとすると、川本選手のアドバイスである
シビアな旋回をしないと転倒するというトライシクルの性格を身をもって体感した様で
旋回方向内側に全く倒れる事が無く、高い重心のまま遠心力により外側へもっていかれ倒れそうになると力説する武井さんでした。

続いて川本選手の東京2020パラ大会の男子個人3000mパシュート(C2クラス)の試合を振り返り、
一時は世界最高記録を叩き出した川本選手の力走に拍手が送られていました。

更に続くのは川本選手の身体能力に迫る「アニ×パラキャラバン対決」。
右片足だけでバイクを漕ぐ川本選手に登壇者達が挑戦したのは、片足でのけんけんリレー。
会場中央の約10mのコースを1往復半、約30mを川本選手は1人に対し、アニ×パラチームは
来場者2人+渡邊さんの3人で挑みました。2年程前までラグビーをやっていたという
スポーツマンの男性来場者とバスケの練習時にけんけんトレーニングを行っていた渡邊さんは
自信ありげですが、そこで川本選手のパラサイクリングに出会うまでの多数のスポ―ツ経歴が
当時の写真と共に紹介され、特に世界身体障がい者野球大会に日本代表選手として出場したと
紹介されると「大谷翔平の二刀流どころではない」と武井さんが興奮。

久下さんのホイッスルで飛び出した川本選手とアニ×パラチーム。川本選手の圧勝だろうという会場の予想を裏切り、
ビデオ判定レベルの接戦に「パラリンピアンへの忖度ゼロだ」と唸る武井さんのみならず、客席が沸き立ちます。
最終的に川本選手が「感覚的には勝った」との事で、勝者は川本選手に。片足ならではの方向転換時の
ハンディキャップを押しのけての勝利であると武井さんが評価しています。

リレー対決の後、アニ×パラキャラバンの名物コーナー、オンライン出演の脳科学者で理学博士の
茂木健一郎氏による脳科学の面から見る川本選手の凄さが解説され、生まれてすぐに左足を切断した
川本選手は、生涯の途中で四肢切断をした人に現れる「幻肢痛(PhantomPain)」が無く、
切断部位が痒くなる等も無い事を聞いた茂木さんは川本選手の脳は最初から足は1つという事を
前提に発達して来た為に片足である事に違和感が無いという意見を出し、是非、川本選手の脳波を調べたいと話していました。
更には、途中で流れたVTRの中に川本選手には事前告知されていない、ある人物が映し出されるサプライズも。

そして第2部最後を飾るコーナーがバーチャルサイクリングによるeスポーツバイクでのレース体験。
川本選手も練習で実際に使用しているサイクルトレーナーを使用し、渡邊さんと来場者代表2名、
そしてオンライン参加の茂木さんがe-sports BIKE「Zwift」のVR世界で1㎞の周回コースにて川本選手に挑むレース。
カウントゼロと共に5名が一斉にスタートしますが、大本命の川本選手がパワフルに漕ぐ横を
まるでパワーアシストがなされているのか?と思う程のスピードで追い抜いていくのはオンライン参加の茂木さん。
コース途中で上り坂に入ると、サイクルトレーナーの後輪モーターに負荷がかかり、挑戦者から笑顔が消えます。
そして川本選手が本気を出し……結果は10月28日の放送で。

白熱のeスポーツ対決が終え、最後に登壇者からの挨拶が。
渡邊さん「パラスポーツについてあまり知識が無かったんですけど、選手の皆さんが
如何いう気持ちでスポーツとむきあっているのかというのも知れましたし、
私もより一層これからパラスポーツについて知りたいと思ったし、今度は生で見て
その迫力を体感したいなとより一層興味が湧きました。」

茂木さん「パラリンピックは前から注目していたんですけど、地元東京で開催されたそのレガシーが
見た人皆の脳に刻みこまれていて、これをなんとかパリに上手く繋げていきたいですよね。
パラリンピックのアスリートのチャレンジって、皆にとってのチャレンジなので、
やはりチャレンジをする事が大事なので、東京2020のレガシーを活かしながら川本選手、
なんとかパリでの金メダル、お願いします!」
武井さん「様々な所でトレーニング等が公開されて見学や体験が出来たりというのが、
パラスポーツでは広まっているので、皆さん、是非会場にお越しになっていただいて。
僕は殆どのスポーツをプレーして、プロの選手達とも対戦をしてきましたけども、
その時と同じような感動が彼等パラアスリート達の戦う場所には、夫々に存在するので、
パラスポーツという限定された世界だけではなくて、僕等がまだ感じていない楽しみがこれだけあるという事を
皆さんに知っていただければ、その時間を共有するだけで共生社会に一歩近づくと思いますし、
そしてパラアスリート達が持った個性や体の特性というものを知って触れ合う事で、
彼等が”何が出来ないか”じゃなくて、どれだけ彼等が活動出来て凄い能力を持っていて、
どんな人間なのかというのをドンドンと理解が深まって、彼等を障がい者の方、という風に見ていた自分が変化していきます。
彼等の魅力に触れて我々が共生社会という言葉を使わなくても当たり前に一緒に暮らしている、
全ての楽しみを一緒に共有出来る事を僕は願っているので、一緒にパラスポーツを楽しんで
共生社会の入り口にしていただけたら嬉しいなと思います。」
川本選手「次のパラリンピックでは、金メダル、世界新記録を出して”次は”塗り替えられない位、
良いタイムで走れる様、明日から練習に励みたいと思います。自転車やパラ種目を
生で見に来てもらえれば面白いので是非、よろしくお願いします。」

パラスポーツの理解を深める約3時間のイベントとなった「TOKYOパラスポーツ月間トークイベント
~マンガ・アニメで触れるパラスポーツの魅力~」。
続く9月23日には、町田市の南町田グランベリーパークにて
「TOKYOパラスポーツパーク in 南町田」が開催予定となっています。

【「TOKYOパラスポーツ月間トークイベント~マンガ・アニメで触れるパラスポーツの魅力~」開催概要】

公式サイトはこちら

<開催日時>
2022年9月19日(月・祝)13:00開場・14:00開演

<会場>
東京ポートシティ竹芝 ポートホール

<一般観覧者>
約100人

<登壇者>
『第一部』
高橋陽一:漫画家、葛飾区名誉区民
武井壮:タレント・元陸上十種競技日本チャンピオン/日本フェイシング協会会長
渡邉美穂:女優/「日向坂46」元メンバー

『第二部』
川本翔大:パラリンピアン/パラ自転車競技男子・リオ2016パラ大会:個人1kmタイムトライアル(C2クラス)13位、
個人3kmパシュート(C2クラス)8位、団体チームスプリント(C2クラス)8位、個人ロードタイムトライアル(C2クラス)13位
個人ロードレース(C2クラス)31位、
東京2020パラ大会:1000mタイムトライアル(C1-3クラス) 6位、3000m個人パシュート(C2クラス)4位、
男子個人ロードタイムトライアル(C2クラス)9位、男子個人ロードレース(C1-3クラス) 28位
茂木健一郎:脳科学者/理学博士、ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー、東京大学大学院客員教授※オンライン出演
久下真以子:フリーアナウンサー、スポーツライター

<実施体制>
主催:東京都
協力:ちょっと先のおもしろい未来実行委員会

 - News, life