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葛飾北斎 岩松院本堂天井絵「鳳凰図」をデジタル技術で再現 『「Digital×北斎」特別展 大鳳凰図転生物語』開催中

岩松院本堂天井絵「鳳凰図」マスターレプリカ (実物大)

NTT東日本グループは、2020年12月に文化芸術分野の専門会社「NTT Arttechnology」を設立し、
アセットや先進テクノロジーを活用し、地域の価値ある文化芸術のデータ蓄積・発信を通じ、
新しい形の文化芸術伝承・地方創生に取り組んでいます。
日本の文化芸術の象徴である葛飾北斎の作品については、2019年10月に美術展「Digital×北斎」【序章】、
2020年12月に「Digital×北斎」【破章】を開催し、20億画素の浮世絵のデジタルデータを活用した、
新たな芸術鑑賞体験の提供、これを通じた地域活性化への貢献を推進してきました。
この取り組みの一環として、北斎が晩年に描いた作品、岩松院天井絵「鳳凰図」(長野県小布施町)の
デジタル化プロジェクトを進めており、この過程で当作品が未完成であることが判明するなど新たな発見もありました。
そして今回、300億画素のマスターレプリカによる原寸大での「鳳凰図」完全再現展示と、
CG・プロジェクションマッピング等の最新テクノロジーを活用した本来の完成した姿の展示などを行う、
『「Digital×北斎」特別展 「大鳳凰図転生物語」 − 小布施と HOKUSAI 神妙に達していた絵師 –』が
2022年6月2日(木)より、東京都新宿区のNTT インターコミュニケーション・センター[ICC]にて開催されています。
2022年6月1日(水)、翌日からの会期の開始に先駆けて同施設にて報道向け内覧会が行われました。

【内覧会の様子】

最初に主催者を代表し、NTT Arttechnology 代表取締役社長の国枝学氏から今企画の概要説明が。

国枝学NTT Arttechnology 代表取締役社長

特別展記者向内覧会プレゼン資料より

特別展記者向内覧会プレゼン資料より

特別展記者向内覧会プレゼン資料より

国枝社長「今回は「Digital×北斎」シリーズの第3弾となります。昨今、文化財をどの様に保存していくかが課題になっています。
そこでデジタル技術を用いて文化財を保存し、NTT東日本データセンターから配信、様々な地域、配信先で
VR、XR等の鑑賞方法で文化財を鑑賞してもらい、最終的には世界に向けて日本文化を発信するものです。
今回協力していただいた株式会社アルステクネ(以下、アルステクネ)は自社が持つ立体データを取得して一つのファイルに纏める技術と、
そのデータを紙やモニターに出力する際にあたかも立体である様に表示する技術の2つの特許技術により
山梨県立美術館やフランスの国立オルセー美術館より絵画のマスターレプリカ(※1)の公式認定を受けています。

特別展記者向内覧会プレゼン資料より

特別展記者向内覧会プレゼン資料より

これをどの様に発展させていこうかという事で今回のテーマとして選んだのが長野県の小布施の岩松院の鳳凰図です。
小布施に注目した理由としては、北斎の晩年の人生の中で重要な場所である事に加え、小布施の街が
文化・芸術を活かした街づくりに熱心に取り組んでいらっしゃる所に感銘を受け、学ばせていただこうとプロジェクトに取り組みました。

特別展記者向内覧会プレゼン資料より

私共はこの鳳凰図の展覧会が一つの大きな成果になるんですけども、やはり今回が出発点であると考えております。
決して今回の展覧会をやって終わり、という訳ではなく、今回デジタルデータ化した物を活用して
北斎の偉業をなるべく多くの方に知ってもらい、それがひいては世界への日本の文化発信に繋がり、
どれだけ小布施の活性化のお役に立てるか、そこまでやり切って初めて今プロジェクトの意義があったという風に考えております。」

『NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)ギャラリーAでの展示』
2019年10月に行われた「Digital×北斎」【序章】のおよそ3倍の空間で行われる今回の展示。

原図は似鳥美術館所蔵の「雲龍図」(左)「詠歌美人図」(右)

北斎と鴻山の関係を表す年表

ギャラリー内は大きく4つの展示区画に分かれており、
75歳を迎え、自身最後の画号「画狂老人卍」を名乗った北斎がライフワークであった浮世絵版画を離れ、
画家人生の集大成である肉筆画をメインに描くようになった様と
小布施の豪商で文化人の高井鴻山からの依頼により、火災で焼失した岩松院本堂の天井絵を描くに至った
北斎と鴻山との関係を紐解く『北斎 新たな旅』。

マスターレプリカ 岩松院本堂天井絵「鳳凰図」(八方睨み鳳凰図)[原図と同寸の縮小版」(左)
岩松院に原図が残るマスターレプリカ 岩松院天井絵原図「鳳凰図」(右)

北斎は生涯で4つの鳳凰図を描いており、その4作品に存在するある関係性を描いたパネル
hotograph © 2022 Museum of Fine Arts, Boston

生涯で計4つの鳳凰図を描いた北斎。その4つの作品に存在するある関係性を説明する『四つの鳳凰図の謎』。

今回の調査で判明した「鳳凰図」の秘密の一端

未完成作品である天井絵「鳳凰図」がもしも完成していたら…という推定完成復元図

謎多き巨大天井絵の約3年がかりでのデジタル解析作業の結果判明した驚くべき秘密を説明する『巨大天井絵デジタル化プロジェクト』。

岩松院本堂と同じ天井高に設置された天井絵「鳳凰図」を見上げながらのプロジェクションが行われる「3Dダイブシアター」

展示順路の最後に設置されているフローティングギガビューワー

そして岩松院本堂を再現した「3Dダイブシアター(※2)」で現代の最先端技術により北斎が目指していたであろう、
天井絵「鳳凰図」の推定完成復原版を体感出来る『天井絵転生物語』を観覧する事が出来ます。

【「鳳凰図」完全再現展示】

マスターレプリカ 岩松院天井絵原図「鳳凰図」(八方睨み鳳凰図)「実物大」

江戸時代、ひいては日本を代表する芸術家の一人として世界にその名を轟かす画家、葛飾北斎。
その北斎が90歳で亡くなる直前の嘉永元年(1848年)に長野県上高井郡小布施町にある
曹洞宗の寺「岩松院」の本堂に奉納したのが「鳳凰図」(通称:八方睨み鳳凰図)。
畳21畳分(縦5.5m×横6.3m)の天井いっぱいに描かれた霊鳥の鳳凰がどこから見ても
こちらを向いて睨みを効かせている、現存する北斎の作品としては最大規模となる迫力の逸品。
印象的な鮮やかさを極める色彩は岩松院への奉納から約170年が経過する現在も
大規模な塗り直し等の修復が施されておらず、美術館の様な良環境下ではない場所に存在する
北斎作品としては屈指の保存状態の良さを誇る晩年この大作をNTT Arttechnology及びアルステクネが
先端技術を投入し約3年の歳月をかけて再現を行った物。

鳳凰の羽の縁をマクロレンズで極端に接近して撮影してもプリント画像だと全く分からない完成度

2019年5月の岩松院本堂現地での調査に始まり、2021年3月には岩松院を封鎖し、足場を組み
スキャナーを設置しての天井絵のスキャンニングを実施。縦5.5m×横6.3mの天井絵は
大きく24分ブロックに分割されて1,200dpiという読み取り解像度でスキャニングされ、
約300億画素(最終的には約1,000億画素)という巨大データを500dpi
(1,200dpiを直接出力可能なプリンタが存在しない為)の解像度でマット紙に出力。
アルステクネ社の特許である高品位3次元質感画像処理技術(DTIP)により、
天井絵のマスターレプリカに顔を近づけて見るどころか、虫眼鏡等を使用して鑑賞しても
プリント画像と分からない程の極めて高い再現性を誇っています。

※1:マスターレプリカ
アルステクネが有する特許技術「高品位三次元質感画像処理技術(DTIP)」を用いて制作された、所蔵元認定の公式複製作品。
※2:3Dダイブシアター
正面、左右、床面、天井等に投影された動画を通じて作品の持つ世界に没入した感覚で鑑賞する体感型作品。
※3:フローティングギガビューワー
空中に投影された操作画面を非接触で操作し、作品を拡大してモニターで鑑賞するシステム。

【「Digital×北斎」特別展 「大鳳凰図転生物語」 − 小布施と HOKUSAI 神妙に達していた絵師 – 開催概要】

公式サイトはこちら

<開催期間>
2022年6月2日(木)~7月3日(日)の期間中の木曜日~日曜日開催

<会場>
NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)ギャラリーA

<開催時間>
11:00~18:00(入場は17:30まで)

<料金>
一般・大学生 1,500円(税込)
※身体障害者手帳をお持ちの方、および付添1名、65歳以上の方と高校生以下は無料(当日身分証明書のご提示をお願いいたします。)
※特別招待券お持ちの方は無料(当日特別招待券のご提示をお願いいたします。)

<入場方法>
※コロナウィルス感染症対策のため、原則HP上での事前予約をお願いしております。【チケット購入はこちら】
※入場の際は予約時に発行されたQRコードを入り口でかざして入場してください。
※当日入場の場合は券売機でチケットをお買い求めください。
※但し入場人数を制限しているため、お越しいただいたお時間でご案内ができない可能性がございますのでご了承ください。

<展示物>
◆マスターレプリカ 岩松院天井絵原図「鳳凰図」
◆マスターレプリカ 岩松院天井絵原図「鳳凰図」(八方睨み鳳凰図)「実物大」
◆マスターレプリカ 岩松院本堂天井絵「鳳凰図」(八方睨み鳳凰図)「原図と同寸の縮小版」
◆マスターレプリカ 「詠歌美人図」(原図:似鳥美術館所蔵)
◆マスターレプリカ 「雲龍図」(原図:似鳥美術館所蔵)
大型3Dダイブシアター

<実施体制>
主催:東日本電信電話株式会社
企画・運営:株式会社NTT Arttechnology
監修:久保田巖(株式会社アルステクネ 代表取締役社長)
企画協力:市村次男(北斎館 理事長)
協力:株式会社アルステクネ/岩松院/北斎館/高井山記念館/似鳥美術館/ローランド ディー.ジー.株式会社/株式会社Goolight

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