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「東京2020表彰台レガシープロジェクト」福島県にて表彰台贈呈式を開催!

表彰台贈呈式が行われた福島県立ふたば未来学園中学校・高校の正門

東京2020組織委員会(以下、組織委)は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会
(以下、東京2020大会)で使用した表彰台を、東京2020大会の日本代表選手団のメダリストの出身校
および会場所在自治体等に譲渡する「表彰台レガシープロジェクト」を実施しています。
その初となる表彰台の贈呈式が2021年1月17日(月)に福島県の福島県立ふたば未来学園中学校・高校において行われました。

【表彰台贈呈式の様子】

オリンピック用表彰台(最小構成)Photo by Tokyo 2020

パラリンピック用表彰台(最小構成)Photo by Tokyo 2020

東京2020大会の開催期間中、計878回行われた各競技の表彰式。
その表彰式にて使用されたのが、東京2020大会の表彰台を製作する「みんなの表彰台プロジェクト」にて
事業協力者であるP&Gジャパン合同会社の協力を得て、日本全国のスーパーマーケットの店頭や学校、
企業関連団体より集められた、使い捨てプラスチック24.5トン(900g入り洗剤ボトルおよそ40万個分)と
廃ガラスを使用し、東京2020大会エンブレムのデザインも手がけた美術家の野老朝雄氏がデザインを行い、
慶応義塾大学環境情報学部の田中浩也教授のサポートを経て、大会初となる3Dプリンタにて製作がなされた合計98台の表彰台。

2021年6月3日に有明アリーナにて行われた表彰式アイテム発表会 Photo by Tokyo 2020

東京2020大会では、オリ・パラ合わせて109個のメダルを獲得した日本代表選手団をはじめ、
各国の代表アスリートが鎬を削り、名勝負の末に表彰式にて手にした輝くメダルと共に
様々な思いで踏みしめていた姿が多くの人の記憶に残る藍色の表彰台を次世代に向けた大会のレガシーとして
子供達をはじめ、多くの人に身近に見て触れて貰える存在とする為、譲渡先の学校・自治体等で
表彰台の製作過程について紹介をし、持続可能な社会の実現に向けた使い捨てプラスチック活用の
新しい取り組みを発信する「表彰台レガシープロジェクト」における最初の表彰台の譲渡先となったのが、
2015年4月に福島県双葉郡広野町に開校した福島県立ふたば未来学園。

復興のモニュメントと東京2020オリンピック聖火リレーのグランドスタート地点となったJヴィレッジ内の全天候型練習場

東京2020オリンピック聖火リレーのグランドスタート地となったナショナルトレーニングセンターJヴィレッジから
約5㎞程の場所にあるこの学園は、福島県双葉郡内にあった5つの県立高校(休校中)
(双葉高校、浪江高校、浪江高校津島校、富岡高校、双葉翔陽高校)の生徒達は東日本大震災発生後、
県内の複数個所のサテライト校にて分散教育がなされてきましたが、元の校舎での
授業再開の目途が立たない中、「福島 県双葉郡教育復興ビジョン」により、
中高一貫教育校として開校。その学園内のアリーナにて表彰台贈呈式が行われました。

贈呈式の会場となった学園内のアリーナ1には、中・高合わせて518名の生徒が整然と座り、
福島県・組織委・ふたば未来学園の関係者の登壇の後、主催者を代表し小谷実可子組織委スポーツ局アドバイザーの挨拶から。

小谷アドバイザー「東京2020大会で使用された表彰台は皆さんや子供達にとっては、自分達の学校から
メダリストが出たんだという事を誇りに思うと共に夢の実現に向けて、困難な中で常に前を見続ける事の素晴らしさ、
大切さを感じる事が出来る等、大会のレガシーとして残されていくものであります。また、表彰台が
学校現場に届けられオリパラ教材として使用される事は教育的意義を与えてくれるものだと思います。
復興を実現し、先進的な教育を実現する、新たに創設された県立ふたば未来学園への贈呈式を
本プロジェクトのシンボルイベントとして実施させていただく事になりました。
表彰台はアスリートにとって特別な場所です。この学園から第二、第三のメダリストが誕生をする事を切に願っています。」

そして小谷アドバイザーから橋本聖子組織委会長からのメッセージが代読されます。
「表彰台は高さこそ、40㎝程しかありませんが、全てのオリンピアン・パラリンピアンが何時かそこに立ちたいと
夢見る特別な場所です。この場にいる皆さんが将来、表彰台の様に目指すべき場所に出会える事を祈っています。
本日は、直接お会い出来ず残念ですが、きっとまたスポーツの力が私達を繋いでくれる筈です。
そしてこの表彰台が皆さんの夢を後押ししてくれる事を心から願っています。」

続いて、今回の贈呈式の表彰台証明書の受け渡しメダリストとして、東京2020オリンピックのバドミントン混合ダブルス日本代表で
同種目では日本初となる銅メダルを獲得したオリンピアンの渡辺勇大選手が登壇。
学生当時、福島県立富岡高校のバドミントン部のエースであった渡辺選手。2021年7月30日に行われた
バドミントン混合ダブルス3位決定戦にて、ペアであった東野有紗選手と共に香港代表との激闘を制しての銅メダルを手にした二人。
作曲家の佐藤直紀氏作曲の「東京2020表彰式楽曲」をバックにメダリストとして、また卒業生、バドミントン部OBとして
全校生徒を前に登壇した渡辺選手に小谷アドバイザーから表彰台の贈呈と表彰台証明書の受け渡しが行われます。

ふたば未来学園に贈呈された表彰台(4ユニット)

今回、譲渡される表彰台は、オリンピックではバドミントン、バスケットボール、パラリンピックでは、
自転車競技のロードの表彰式にて使用された表彰台。(4ユニット)
東京都調布市の武蔵野の森総合スポーツプラザメインアリーナにて行われたバドミントン混合ダブルスの
表彰式にて実際に渡辺選手と東野選手が銅メダルと共に立った実物がふたば未来学園に贈られます。

そして渡辺選手から柳沼英樹ふたば未来学園中学校・高等学校校長へと証明書が受け渡され、スチールカメラのシャッター音が響きます。

続いて、自治体を代表し、内堀雅雄福島県知事の挨拶が。
内堀知事「今日は渡辺勇大選手が里帰りをしてくれました。今日、皆さんが見ている表彰台は正に渡辺選手と
東野選手が銅メダルを獲得される時に笑顔で登壇した表彰台そのものであります。
渡辺選手・東野選手のお二人が世界一、ナンバーワンになりたいと努力を続けてこられました。
そして東京2020オリンピックにおいて銅メダルという形で一つの夢の形を果たし、
その際、第2の故郷・福島への感謝の思いを何度も表現をしてくれました。
今日のこの寄贈式が皆さんにとって新しい人生のスタートになる事を祈念し、
また、渡辺選手、東野選手が次のパリオリンピックで大活躍される事を心から祈念しております。」

そして渡辺選手から挨拶がなされます。
渡辺選手「僕がこの「表彰台レガシープロジェクト」というのを聞いた時に、この学校がピッタリだなと凄く思いました。
僕が経験して来た事とか、積み上げて来たものというのを、こうやって表彰台として皆さんに受け継いでもらうという事に
凄く意味を感じて今日この場に立たせて頂いております。今日僕の経験から皆さんに伝えたい事は2つ。
1つは「繋がりを大事にする事」。全ての方々に感謝の気持ちを持って、コミュニケーションをしっかりと取る事。
そうする事で皆さんの目標や夢を凄く助けてくれる仲間の繋がりが出来ます。
もう一つは僕の個人的な話ですが「長所を一番優先して伸ばして欲しい」事です。バドミントンの話になりますが、
色んな方から「ファンタステックだね」「テクニシャンだね」と言われる事が多くて。
僕自身はそれが長所だと思っていて、高校生を経て社会人になった時にその2つを貫こうと思ったんですけど、
世界にはもっと凄い奴等がすげえいっぱい居て、「これは自分のファンタスティックでは世界は獲れない」と僕は考え、
もう一つの長所であるディフェンスの部分を伸ばそうとこれまでやって来て、(昔は)「ファンタスティック渡辺」と
言われてましたが、今となっては「ディフェンスの鬼」だと。そう言われるまでに2年間全く勝てなかった期間があります。
その2年間は決して無駄ではなかったと思いますし、その結果、今皆さんの目の前でお話する事が出来ています。
これから皆さんは色々な経験があると思うんですけど、色々な意見を聞いてそれを自分の中で受け入れて、
自分の意見として前に突き進んでいって欲しいなと思っています。」

そして残念ながら体調不良の為、贈呈式を欠席となった渡辺選手とペアを組む富岡高校バドミントン部OGの
東野有紗選手からのメッセージが渡辺選手より代読されます。
「ワタガシペアこと、ガシ担当の東野有紗です。(僕が勝手に言いました(笑))この度は表彰台を
私達の母校に贈呈頂きまして誠にありがとうございます。今でも表彰台の上に立った瞬間の喜びは忘れられません。
東京オリンピックの表彰台はもう目にする事は無いと思っていましたので、福島の母校で何時でも見れる様になるなんて、
夢にも思っていませんでした。ふたば未来の生徒達がこの表彰台を目にする事でより強い気持ちで切磋琢磨し、
皆さんの目標に活かし、日本のバドミントンのレベルを更に上げてくれる事を願っています。」

続いて、メダリスト2選手の恩師である、齊藤亘ふたば未来学園中学校バドミントン部監督、
本多裕樹ふたば未来学園高等学校バドミントン部監督の2名から渡辺・東野選手へとメッセージが話されます。

渡辺選手にめっせーじをおくる(前列左端)本多祐樹監督(前列左から2人目)齊藤亘監督

斉藤監督「勇大君、有紗さん、銅メダルおめでとうございます。今にしてみれば、二人と共にスタートした富岡時代には
この結果は想像すら出来ませんでした。今回日本初の混合ダブルス銅メダルという偉業を達成し、
ここに居るふたばの後輩達に素晴らしい道標になったと思います。世界の道を切り開き、日本のバドミントン界の変革者となり、
そしてこのチーム富岡の一員として誇らしい気持ちでいっぱいです。パリオリンピックの表彰台の展示スペースも
空けて待っていますので、これからもどんどんと頑張って欲しいなと思います。」

本多監督「勇大、有紗、本当におめでとう。諦めないその姿に感動しました。富岡高校から16年、
この歴史を迎える形でメダルを獲得された事を本当に誇りに思っています。またこの表彰台は
生徒にとってオリンピックを身近に感じる事が出来るものになっていると思います。
私は当時、渡辺選手が1年生の時に彼に鮮烈なイメージを持ち、2年・3年生の日本トップの選手が居る中で
あの頃の事は強烈に覚えています。偉業を成し遂げた2人から私自身が学んだ事「成功をする人間には
成功をするための考えを持って行動している」。」

在校生代表からの挨拶にOBとして緊張の様子の渡辺選手

そして在校生代表者2名の渡辺選手へのメッセージの後、最後に柳沼英樹ふたば未来学園中学校・高校校長の挨拶が。
柳沼校長「こうやって目の前で渡辺勇大選手を拝見すると、あのオリンピックの銅メダルをかけたあの試合が
思い出されてきます。あの日、バドミントン部の生徒と共に応援をしておりました。
試合が終わって勝利した時のあの感動と興奮をまざまざと思い出しています。改めてこの表彰台を寄贈頂く時に
本校に、と両選手からお話を頂けたという事が本当に嬉しいなと思っています。今回の表彰台は
世界を意識するきっかけになるものだという風に感じています。変革者たれという教育理念の下、
6年間の学びで世界に羽ばたく人材を育成していく取り組みをこの表彰台は背中を押してくれる物だと感じています。」

そして贈呈式の最後に渡辺選手の音頭により、全校生徒との記念撮影が行われ、式典は終了しました。

【囲み取材】

贈呈式終了後、渡辺選手と在校生代表としてふたば未来学園高校バドミントン部男子キャプテンの武井凛生さん、
ふたば未来学園高校2年次生徒会長の中島一葉さんの囲み取材が行われました。

Q:今回の表彰台の贈呈のキッカケと、今、贈呈式を終えての感想は?

渡辺選手「先ず、組織委から話を頂いて、贈呈をするならふたば未来だなと思ったので。
実際に僕が立った表彰台を組織委の方がちゃんと最後まで追っていてくれて、今回レプリカとかじゃなくて
ちゃんと本物という事で認定をして頂きましたし、そういう物が学校で見られる位置にあるというのが
僕にとっても生徒達にとっても凄く有意義になるんじゃないかなと思っています。」

Q:表彰台を見た生徒達にどんな思いを胸に抱いて欲しいか?また、この表彰台が今後どの様に活用されて欲しいか?

渡辺選手「大会が(ほぼ)無観客でしたので、オリンピックを表彰台を通して生で感じて頂けるというのは
凄く意味があると思いますし、僕自身、この表彰台に立つ時にめちゃくちゃ鳥肌が立ったんですよね。
そういう思いって中々感じづらいとは思うんですけど、実際に表彰台という現物があるというのは
僕にとっても嬉しいですし。僕から何かを感じて欲しいというのは凄くおこがましいですけど、
生徒達自身が何かを感じ取ってくれれば僕は嬉しいなと思います。
見て先ずは感じて欲しいし、実際僕が一番、思いが分かりやすいんじゃないかと思うんですけど、
これを通じてオリンピックが東京であって、メダルを獲った奴がいるというのを忘れてもらわない様に
僕自身もまだまだ精進し続けますけど、表彰台を通じて生徒達自身が何かを感じ取ってくれれば
大成功のプロジェクトなんじゃないかなと思います。」

Q:自身にとって福島はどんな存在か?

渡辺選手「競技は勿論ですけど、人間的に右も左も分からない中、育ててくれた場所だと思っていますし、
人間力や競技力はここで基礎を作られて、ここで育って来なかったら今の僕は居ないと思うので、
感謝の気持ちでいっぱいですし、バドミントンをするにあたって、これまで環境とか与えて貰うばかりだったので、
これから少しづづ母校とか支えて貰った人達に何かを与えられる様な存在になりたいなと思っています。」

Q:改めて、自身はどの様な❝レガシーのバトン❞を繋いでいきたいか?

渡辺選手「レガシーという言葉も最近知ったので、調べてみて色んな意味があるんだなと感じましたし、
世代から世代へという事で今回、母校へ寄贈をさせて貰いますけども、まだ僕がめちゃくちゃ何かを
与えられる存在ではないと思うんですよ。なので、どちらかというと一緒に頑張っていって、
一緒に成長をしていって、いずれは競技を続けているのか引退した後なのかは分からないですけど、
オリンピックの素晴らしさや、バドミントンの素晴らしさ、バドミントンをされている方だけではなくて、
日本中、世界中に渡辺勇大が経験した物を伝えていける様な物になってくれれば、僕のレガシーは達成されたかなと思ってます。」

Q:表彰台が学校に寄贈されて、改めてどの様な思いがあるか?

武井さん「この話を聞いた時に表彰台はどんなものなのかと凄く気になっていて、渡辺選手から貰ったんですけど、
「この表彰台、上る時に凄い鳥肌が立つぞ」と言われて、自分もこの舞台に立ちたいなって、その時に改めて思いましたし、
今回、こうやって表彰台が来てくれた事で、オリンピックを少し身近なものに感じる事が出来たのかなと思います。」

中島さん「初めにこの表彰台を本校に頂けると聞いた時に、本当に世界が見えている学校なんだなと実感をして
本校からオリンピック選手がいるというのを改めて実感をする事が出来ました。夢を見つめる事を
この表彰台を通して感じる事が出来たなと思います。」

Q:バドミントン部のキャプテンとして今後の夢は?

武井さん「ロサンゼルス2028大会で金メダルを獲る事…とは言ったんですけど、最終的な目標はその後もバドミントンを
続けたいなと思いますし、これから世界を見据えて一つ一つの大会で優勝をしていけたら良いなと思っています。」

この日、ふたば未来学園に贈呈されたものを含め、「表彰台レガシープロジェクト」ではこれまでに
日本代表メダリスト出身校3校への表彰台の贈呈を完了しているとの事でした。
アスリートにとって特別な場所である表彰台。次なる表彰台に上る未来のアスリートの誕生を期待したい所です。

【東京2020表彰台レガシープロジェクト表彰台贈呈式概要】

東京2020組織委員会の公式サイトはこちら

<日時>
2022年1月17日(月)13:15開始

<会場>
福島県立ふたば未来学園1階アリーナ1

<寄贈品>
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会表彰台(4ユニット)
オリンピック/バドミントン(武蔵野の森総合スポーツプラザ)・バスケットボール(さいたまスーパーアリーナ)
パラリンピック/自転車競技「ロード」(富士スピードウェイ):上記3か所にて使用
ピース番号:080/380・168/380・281/380・301/380

<出席者>
小谷実可子:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会スポーツ局アドバイザー
内堀雅雄:福島県知事
遠藤智:双葉地方町村会長(広野町長)
青木淑子:双葉のオリンピック選手を支援する会会長
柳沼英樹:ふたば未来学園中学校・高等学校校長
本多裕樹:ふたば未来学園高等学校バドミントン部監督
齋藤亘:ふたば未来学園中学校バドミントン部監督
武井凛生:ふたばみらい学園高等学校3年次バドミントン部前男子キャプテン
中島一葉:ふたば未来学園高等学校2年次生徒会長
福島県立ふたば未来学園中学校・高等学校生徒518名

渡辺勇大:オリンピアン/東京2020大会バドミントン混合ダブルス(渡辺勇大・東野有紗ペア)銅メダル
※東野有紗選手は体調不良の為、贈呈式を欠席

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