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東京2020復興のモニュメント 福島県お披露目式開催

東京2020組織委員会(以下、組織委)は、東日本大震災の被災地と世界が結び付き
復興を後押しする事を目的として東京都、東京藝術大学、岩手県、宮城県、福島県、
及び株式会社LIXILと連携し制作した「東京2020復興のモニュメント」を被災地3県へと寄贈します。
2021年12月15日(水)に岩手県へのモニュメントの贈呈が行われ、16日に宮城県と続き、
3箇所目の最後の寄贈自治体となった福島県での「復興のモニュメント」のお披露目式の様子をお伝えします。

【「復興のモニュメント」お披露目式の模様】

明治神宮外苑聖徳記念絵画館前に設置されていた「東京2020 復興のモニュメント」Photo by Tokyo2020

「東京2020復興のモニュメント」は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)の
コンセプトのひとつである東日本大震災の「被災地の復興」を象徴するプロジェクト。
被災地からのメッセージを載せたモニュメントを、大会本番時に多くのアスリートが目にする場所に設置し、
そのメッセージによって力を得たアスリートが見せるパフォーマンスが再び被災地の復興に向けた
原動力になるという、被災地と世界を結びつけ被災地の復興を後押しするプロジェクトです。

2021年12月15日大槌町文化交流センター「おしゃっち」にてお披露目された岩手県の東京2020復興のモニュメント

2021年9月5日の東京2020パラリンピックの閉幕後、3つのモニュメントは被災3県である、
12月15日に岩手県上閉伊郡大槌町の大槌町文化交流センター「おしゃっち」へ、
12月16日に宮城県宮城郡利府町の宮城総合運動公園「グランディ・21」へと
それぞれ寄贈がなされました。そして3つ目となる福島県内のモニュメント寄贈地となったのが
福島県双葉郡樽葉町のナショナルトレーニングセンターJヴィレッジ。

2021年3月25日Jヴィレッジ内全天候型練習場を出発するグランドスタート聖火ランナーの「なでしこジャパン」Photo by Tokyo 2020

2020年4月には、ギリシャより聖火特別輸送機にて日本の地へとやってきた
東京2020オリンピック聖火の展示会場となり、2021年3月26日には、
東京のオリンピックスタジアムまでの121日間、約2,000kmをの道程を
約10,500人の聖火ランナーで繋いだ、東京2020オリンピック聖火リレーのグランドスタートの地として
東京2020大会に深く関わった同地にてモニュメントのお披露目式が行われました。

聖火リレーのスタート地点となった全天候型練習場近くには
ベールが被された福島県の復興のモニュメントが鎮座しています。

最初に関係者挨拶として、最初に伊藤学司組織委企画財務局長の後、
続いて渡邉知秀東京都オリンピック・パラリンピック準備局理事からの挨拶が。
渡邉理事「東京2020大会の原点は復興オリンピック・パラリンピックです。
東京都といたしましても、被災地の復興なくして開催の成功無しというのを大方針としてやってまいりました。
例えば、被災地の子供達にスポーツの力で元気を届けるような授業や、
あるいは福島県の名産品を都内で販売促進をする事業に、この10年間に約3万人の職員を
福島の各地に派遣をさせて頂いております。大会本番中にこのモニュメントが
世界との懸け橋となった様に、この場所で我々が復興オリンピックでやった事、
皆さんが思いを籠めた事を未来に繋いで後々まで伝えてくれる事を心より願っている次第です。」

そして出席者10名によるモニュメントのアンベールが行われます。素材である再生アルミ地が特徴的だった
岩手県・宮城県のモニュメントと異なり、白を基調とした福島県のモニュメントは眩しい位に輝いています。

アンベール後、寄贈地福島県を代表し、小笠原敦子福島県文化スポーツ局長からの挨拶が。
小笠原文化スポーツ局長「今年の3月25日にここ、Jヴィレッジをスタートした聖火は47都道府県を巡り、
7月23日に東京の聖火台へと運ばれ灯されました。7月21日~28日は県内のあずま球場におきまして、
野球とソフトボールの試合が開催されました。コロナ禍と向き合う厳しい状況の中での開催となりましたけども、
それでも思いを籠めた聖火リレーやオリンピアンの白熱したゲームは
私達福島県民に沢山の元気と勇気と感動を与えて下さいました。今年の県民が選ぶ10大ニュースに
上記の2つが入っている事が全てを物語っていると思います。ここを訪れる方に是非、
このモニュメントを見て頂いて、私共の感謝の思いと、東京2020大会で私達が感じた感動を
再び思い起こして頂くレガシーとして継承してまいりたいと思います。」

続いては、MCから出席者の赤沼潔東京藝術大学美術学部教授と福島県のモニュメントの製作を担当した
東京藝術大学美術学部卒業生の岡つくしさん、そして2019年開催のワークショップに参加した
福島県立郡山北工業高校3年生の伊藤楓真さんに質問がなされます。

先ず、2019年に地元福島の高校生達と行ったワークショップの感想を問われると、
岡さん「最初は、先ずどうやって会話をしようとか、どんな話題で仲良くなろうかなと、
不安な気持ちでいっぱいで福島に着いたんですけど、皆さんが凄く仲良くして下さいましたし、
誰かが誰かに任せっきりというのではなく、一人一人がちゃんと感謝の気持ちを籠めて
メッセージを送ろうという本当に一所懸命な姿勢でワークショップに取り組んでくれたので、
本当に嬉しかったですし、私も福島へこれてワークショップに参加出来て良かったなと思いました。」

伊藤さん「福島県の震災から復興にかけての様子を県内のみならず、色んな所で
皆様に知って欲しいという思いを籠めてモニュメントやメッセージの製作に関わる事が出来て
とても光栄に思います。」

そして福島のモニュメントのデザインコンセプトは?との問いには
岡さん「実はモニュメントは置くだけではなくて、折角なので選手への応援の気持ちだったり、
復興への世界からの気持ちを福島に送って、福島人達とのメッセージの交流が出来る様な、
そういうシステムが作れたら良いなと。(観光地等にある)顔はめパネルをモデルに政策をしたんですけども、
見に来て下さった方には、是非、顔を入れて頂いて写真を撮って頂いて、
福島への復興の応援のエールを送って頂けるとメッセージのやり取りが出来て、
このモニュメントの意味が出ると思うので、是非参加をして頂きたいなと思います。」とコメント。

次に、今日、このJヴィレッジに復興のモニュメントが設置された感想を問われると、
赤沼教授「福島県のモニュメントは岡さんによる、他と違うデザインなんですけども、
さっきまでベールを被っていた時には、ちょっと周りの景色に負けちゃっているかな?
という感じも思ったんですけど、実際にベールが取れて陽の光を浴びると、
こんなに明るいモニュメントだったんだなと改めて感じまして、ここのシンボルとして
長く皆さんに大切にされそうだなという感じがしました。それと私は(モニュメントの)鋳造の方を
ずっと担当をしていたんですけども、(被災地仮設住宅の)窓枠のサッシをそのまま溶かして鋳造しても、
鋳物にならないんですけども、LIXILさんの方で調整をしてもらって相当にお金がかかっていると思うんですけども、
その原材料で出来ましたので、貴重な作品になっていると思います。」

最後にこの復興のモニュメントにどんな存在になって欲しいか?との問いには、
赤沼教授「顔はめ型ですので、親しみを持ってくれれば良いかなという事と、
私なんかがデザインをするとこういう風な顔を入れるとか、絶対にこういうのは作らないんですよ。
こういう発想をやっちゃうのが凄いですよね。」

岡さん「皆さんが笑顔になれる様な明るい象徴になって頂きたいなと思いますし、
このモニュメントを見てちょっとでも元気になれる様に、ぜひ見に来て下さると嬉しいなと思います。」

伊藤さん「これからの福島県の復興の象徴として、アスリートの皆さんや福島県の皆様に
元気を与える物であり続けて欲しいと思います。」と3人は話しました。

そして今回のお披露目式のゲストとして、東京2020オリンピックにおいて、柔道男子100kg級にて金メダルを、
混合団体にて銀メダルを獲得したオリンピアンのウルフ・アロン選手が来場。
MCより自身のサインが刻まれたモニュメントを目にした感想を問われると、
ウルフ選手「改めて東京2020大会が沢山の応援や支えがあって成り立っていたものと感じましたし、
僕自身も、東日本大震災の時は中学校3年生で今でもその時の事は鮮明に覚えています。
今回のオリンピックが少しでも被災地の方々の心に元気を与えられたら僕としてはとても嬉しいので、
そうだったら良いなと切に願っています。アスリート全員を代表して僕の方から感謝を述べたいと思います。」

次に東京2020大会は自身にとってどんな大会となったかを問われると、
ウルフ選手「僕は今回のオリンピックで優勝する事を目標にやっていたので、中止になるか延期になるか
分からない状況の中で、気持ちの部分で少し大変な部分もありましたけど、延期という形で開催をしてくれたので、
とても感謝していますし、僕の柔道人生の集大成を出せてとても良かったです。
自分自身の試合も印象に残っているんですけど、それ以上にボランティアスタッフの方達が印象に残っていて、
「本当にボランティアスタッフなのか?」という位、沢山仕事をしてくれて、凄い支えになったなと今でも覚えてます。」

最後に次なる目標は?との問いには
ウルフ選手「3年後にパリオリンピックが控えているので。最近はテレビとかにばかり出ているんですけども、
年が明けたら少し控えて、本業の柔道にしっかりと力を入れていきたいと思います。」と話しました。

そしてお披露目式の最後には地元の歓迎アクトとして、福島県立小名浜海星高等学校の生徒等11名による、
いわき市を中心に約400年続く市の無形民俗文化財に指定される「じゃんがら念仏踊り」が披露されました。

プロジェクト開始から約3年の時を経て、学生達が様々な思いと願いを籠めて製作した
東京2020復興のモニュメントがアスリート達のサインを新たに加えて大会レガシーとして被災3県の夫々の地にて展示されます。

【東京2020復興のモニュメント/福島県のモニュメント】

東日本大震災の被災者向け仮設住宅にて、窓や建物の建材として使用されたアルミ材を回収し、
東京2020大会のゴールドパートナーである、株式会社LIXILの協力により同社の茨城県下妻工場にて
被災地より回収したアルミを溶解、再生し、約2トンに及ぶ再生アルミとしてモニュメントに使用。
組織委、東京都、被災3県、株式会社LIXIL、そして次世代を担う若手芸術家を輩出する東京藝術大学が連携して行う事業です。

自身が考案した「Power of Smile」のプレートを指さす伊藤楓真さん

伊藤さんのメッセージが刻まれたプレート

モニュメントのプレートに転写された東京2020大会の金メダリスト37名のサイン

2019年7月にプロジェクトがスタートし、同年8月19日に福島県では県立安積黎明高等学校にて
東京藝術大学美術学部の学生十数名と、福島県内の高校生86名が参加しての
ワークショップが開催され、同年9月より東京藝術大学にてモニュメントの制作が開始されました。
モニュメントには、株式会社LIXILより提供がなされた再生アルミを用い、東京藝術大学美術学部の
赤沼潔教授や、当時美術学部の学生であった岡つくしさん等の手によりモニュメントを製作。
しかし、2020年初頭より世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症の脅威が日本でも拡大し、
東京2020大会の開催の1年延期に伴い、復興のモニュメントの製作も一時中断に。
そこから約1年半、様々な困難を乗り越えて2021年7月に東京都新宿区の明治神宮外苑聖徳記念絵画館前にて
「東京2020復興のモニュメント」がお披露目され、ほぼ無観客開催となった東京2020大会期間中も、
オリ・パラ開閉会式の選手入場の待機エリア、またオリンピックスタジアムでの競技前ウォームアップエリアとして
機能した神宮外苑軟式球場との行き来の際に選手や関係者の目に触れ、SNS等で発信がなされていました。

そして9月5日の東京2020パラリンピック閉幕後、聖徳記念絵画館前に設置されていたモニュメントには、
展示に先んじてモニュメントに刻まれていた安積黎明高校でのワークショップ参加生徒が作成した
デザインやメッセージに加え、東京2020大会で金メダルを獲得した日本代表選手団のアスリートの内
37名(オリ26人・パラ11人)、そして橋本聖子組織委会長、山脇康組織委副会長、トーマス・バッハIOC会長、
アンドリュー・パーソンズIPC会長の4名の大会要人を含む、計41名のサインがモニュメントの表面へと転写がなされ、
その特徴的な外観に大会や復興五輪への思いが綴られています。

顔はめを実演する岡つくしさん

復興のモニュメントと東京2020オリンピック聖火リレーのグランドスタート地点となったJヴィレッジ内の全天候型練習場

顔はめ型と呼ばれる、モニュメントの上部中央に穴が開けられ、そこから顔を出せるのが特徴で
観光地等に置いてある顔出しパネルをヒントに生み出されました。
モニュメント制作を担当した岡つくしさんは「普段なれない自分になるものと言いますか、
そのパネルの中に一体化できるというのが、すごくいいところだと思います。皆さんもこのモニュメントで
(本体に散りばめられた)応援メッセージと一体化して、選手や被災地の応援に一丸となって貰えればと思います。」
と話し、岡さん自身もこのパネルが好きで顔をはめて楽しむ自身の思いを語っています。

<原材料>
東日本大震災の利用を終えた被災者仮設住宅より回収され、溶解・再生されたアルミ材約2トン

<製造方法>
鋳造

<大きさ>
約2.3m

<重量>
約400㎏

<設置場所>
東京2020大会期間中:明治神宮外苑聖徳記念絵画館前
大会終了後:ナショナルトレーニングセンターJヴィレッジ9番ピッチ付近

【東京2020復興のモニュメントお披露目式福島県開催概要】

東京2020組織委員会の公式サイトはこちら

<日時>
2021年12月18日(土)14:00開始

<会場>
ナショナルトレーニングセンターJヴィレッジ

<出席者>
伊藤学司:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会企画財務局長
渡邉知秀:東京都オリンピック・パラリンピック準備局理事
赤沼潔:東京藝術大学美術学部教授/東京2020復興のモニュメント制作監修
小笠原敦子:福島県文化スポーツ局長
佐竹葉子:株式会社LIXIL取締役会室長
岡つくし:東京藝術大学美術学部卒業生/福島県のモニュメント製作者
伊藤楓真:福島県立郡山工業高等学校3年生/福島県ワークショップ参加学生
ウルフ・アロン:オリンピアン/東京2020大会・柔道男子100kg級金メダル、複合団体銀メダル

チームじゃんがら:福島県立小名浜海星高等学校生徒等11名

<実施体制>
主催:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会/東京都/東京藝術大学/
福島県/株式会社LIXIL

©Tokyo 2020

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