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東京2020復興のモニュメント、岩手県お披露目式開催

東京2020組織委員会(以下、組織委)は、東日本大震災の被災地と世界が結び付き復興を後押しする事を目的として
東京都、東京藝術大学、岩手県、宮城県、福島県、及び株式会社LIXILと連携し制作した「東京2020復興のモニュメント」を
被災地3県へと寄贈します。2021年12月15日(水)、その最初の寄贈自治体となった
岩手県での「復興のモニュメント」のお披露目式の様子をお伝えします。

【「復興のモニュメント」お披露目式の模様】

明治神宮外苑聖徳記念絵画館前に設置されていた「東京2020 復興のモニュメント」Photo by Tokyo2020

「東京2020復興のモニュメント」は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)の
コンセプトのひとつである「被災地の復興」を象徴するプロジェクト。
被災地からのメッセージを載せたモニュメントを、大会本番時に多くのアスリートが目にする場所に設置し、
そのメッセージによって力を得たアスリートが見せるパフォーマンスが再び被災地の復興に向けた
原動力になるという、被災地と世界を結びつけ被災地の復興を後押しするプロジェクトです。

大槌町文化交流センター「おしゃっち」外観

そして、最初の復興のモニュメントのお披露目式が行われたのが岩手県上閉伊郡大槌町の
大槌町文化交流センター「おしゃっち」。2019年8月22日に行われたワークショップの実施校である
岩手県立大槌高等学校の所在自治体であり、その大槌町内に2018年10月に開館した同地が
東京2020復興のモニュメント/岩手県のモニュメントの展示の場となりました。

左から順に7月13日の聖徳記念絵画館前でのモニュメントお披露目式、8月1日のトーマス・バッハIOC会長の訪問時、
8月27日のアンドリュー・パーソンズIPC会長の訪問時の写真

文化交流センター1階エントランスロビーにはベールをかぶったモニュメントと、大会期間中にパネルにサインをした
日本代表選手団のメダリスト等182名の(オリ114人・パラ64人・大会要人4人(後述))サインパネルが設置され、
お披露目式には、平野公三大槌町長をはじめ、組織委や関係者が参加。

最初に伊藤学司組織委企画財務局長の挨拶。

伊藤学司組織委企画財務局長

伊藤企画財務局長「私達、東京2020大会の源流は「復興五輪」である、これを心に刻んで取り組んで参りました。
復興から10年、まだまだ道半ばではございますが、復興時に世界から寄せられた声に対する感謝の気持ち、
「今、ここまで元気になって来ているよ」と、世界から来るアスリートに「頑張れ!」というエールを
送って頂くと共に、そのエールを受け取ったアスリートが「声援ありがとう、また復興に向けて頑張っていきましょう」と
(モニュメントに)サインを頂き、この被災地に戻ってくるという事業を進めさせていただきました。
東京2020大会は終了しましたがこのモニュメントに携わった皆様の心のレガシーという形で将来に引き継いで頂きたいと思います。」

荒井俊之東京都オリンピック・パラリンピック準備局技監

続いて荒井俊之東京都オリンピック・パラリンピック準備局技監からの挨拶が。
荒井技監「被災地の復興なくして大会の成功はない、そういう認識の下、東京都はこれまでも
一丸となって様々な取り組みを展開してまいりました。2016年にはオリンピック旗を手に小池知事が
ここ大槌町を訪問させて頂きました。折しも今年は東日本大震災発生から10年という節目の年でもありました。
このモニュメントが世界との懸け橋として、将来に渡り、復興五輪を伝えていくレガシーとなる事を祈念します。」

登壇者挨拶が終わると、いよいよ出席者総出のモニュメントのアンベールへ。
会場後方からMCの呼び込みで登場したのは東京2020大会マスコットのミライトワとソメイティ。
15日の大槌町に続いて、宮城県、福島県でもそれぞれ復興のモニュメントのお披露目式が行われるのですが、
その中で唯一の登場機会とあり元気の良い2人の登場に平野町長以下、関係者も手を振って応えます。

フォトセッション終了後、モニュメントを囲むマスコットの二人

そして出席者がMCの合図でベールのロープを引っ張ると、東京2020復興のモニュメント/岩手県のモニュメントがお披露目。

一様にその大きさに驚く大槌町関係者。そのまま平野町長の挨拶へ。

平野町長の挨拶に聞き入るソメイティ

平野町長「東日本大震災の津波により甚大な被害を受けた、ここ大槌町は日本のみならず、
世界中の皆様から多くのご支援を頂き、10年の歳月を経て今、ここまで復旧・復興をする事が出来ました。
復興五輪と銘打たれた東京2020大会は被災したこの地でも聖火リレーが行われました。
人形劇「ひょっこりひょうたん島」のモデルとされる宝来島をバックにスタートした大槌区間では、
「苦しいこともあるだろさ 悲しいこともあるだろさ だけどぼくらはくじけない 泣くのはいやだ わらっちゃおう すすめ」
の歌詞の下、あの悲惨な状況からここまで復旧・復興した姿を発信する事が出来ました。
被災地岩手県から支援への感謝の気持ちや応援メッセージを届け、アスリートからサインを頂いた
復興のモニュメントは世界広しといえど、ここ大槌しかない唯一無二の存在です。
東京2020大会のレガシーとして、町民に限らず多くの皆様に触れて頂き、しっかりと継承して参りたいと思います。」

続いては、ゲストトークとしてMCから出席者の赤沼潔東京藝術大学美術学部教授と岩手県及び宮城県の
モニュメントを制作した東京藝術大学大学院美術研究科修士1年の福井汐音さん、
そして2019年8月に行われたワークショップに参加した岩手県立大槌高等学校3年の小國尚人さんと臺美咲さんに
復興のモニュメントに関する質疑応答がなされます。
最初に福井さんへ、当時、大槌高校の生徒とワークショップに参加した際の感想が問われると、
福井さん「約2年前にワークショップに参加させて頂いたんですけども、学生の皆さんと一緒に出来て
すごく楽しかった記憶があるんですけども、それと同時にこのモニュメントを皆さんが一所懸命に考えている姿を見て
このモニュメントをより一層良い物にしなければならないなという責任を実感したのを覚えています。」と話し、

続いて、東京2020大会にて実際に展示されたモニュメントがこの大槌町にやって来た気持ちは?との問いに
福井さん「ここ大槌町で見たのは勿論初めてなんですけども、先ず私はデザインの方から携わらせて頂いて、
製作をしていく中で、東京2020大会が延期になってしまったり、本当に長い時間を経て漸く完成をした、
という所で、ほんとうに感慨深いものがありますね。コンセプト的にも原石を輝かせたいという思いから
このデザインを考えたので、選手達のサインが入った今が一番輝きを放っているのではないかなと思います。
このような素敵な空間に設置して頂いて本当に光栄に思います。」とコメントし、

赤沼教授は「このお話を頂いてから3年以上が経って。今日いらしている大槌高校の2人は
あの当時はまだちょっと幼さがあった感じもしましたけど、かなり逞しくなって
時間の経過というのも感じさせていただきました。東京2020大会が延期となり、3年目へと入った訳ですけども、
裏話をすると、ちょっとこれは延期がないと完成しなかったかもしれない程、手間が結構かかりました。
大元を大槌高校の生徒の皆さんに決めて貰って、やっとここに完成させる事が出来ました。
本当に遠い話かなと思っていたのが今日、実現をして頂きまして本当にありがとうございました。」と話し、

最後に、これから大槌の人達をはじめ、沢山の方がモニュメントを見るかと思うが、その人達に向けて一言、と問われると、
赤沼教授「3つの内の1つのモニュメントではあるんですが、ここに全部が凝縮されています。
最初の段階では、アスリートのサインはあまり貰えないのではないかなと思ってみていたら、
こんなにも沢山、サインを頂けまして、これも全部この中に籠めてあります。
この中に凝縮出来ておりますので、是非、今後とも大切にしながら温めて育てて頂ければと思います。」

福井さん「先生と同じ様に製作を一所懸命にやってきたので、皆さんに見て頂けたら嬉しいです。」
と、二人共、大切な作品に籠めた思いを話します。

次にワークショップに参加した小國さんと臺さんに当時の感想と、今日初めて実物のモニュメント見た感想を聞くと

小國さん「とても楽しかったのを覚えています。今まで友達とどんな風にしようかと、
自分達が考えていたのを覚えてます。実物のモニュメントは凄く存在感があって好きです。」

臺さん「1年生の頃なんですけど、各グループに分かれて岩手県の色々な地域の方々が
考えてくれたメッセージを自分達の願いを込めてデザインを出来た事は、凄く楽しかったし、
それぞれのグループの個性が出たデザインになったかなと思って楽しかったです。
色々な人達の思いがこのモニュメントに詰まっているなと思うし、カラフルで元気が出る様な
モニュメントだなと思いました。」と緊張しながらもコメントをし、

最後に小國さんからは「先ず、復興に関わってくれた方々への感謝の気持ちと
東京オリンピックの思い出が伝わって貰えれば良いのかなと思います。」

臺さんからは「このモニュメントが大槌町に来てくれた事が凄く嬉しく思います。
このモニュメント見た人達が元気づけられたり、世界の方々にも復興の感謝の気持ちを伝えられたらいいなと思います。」
と話していました。

プロジェクト開始から約3年の時を経て、学生達が様々な思いと願いを籠めて製作した
東京2020復興のモニュメントがアスリート達のサインを新たに加えて大会レガシーとして被災3県にて展示されます。
なお、16日には宮城県にて、18日には福島県にて残る2つの復興のモニュメントのお披露目式が開催予定となっています。

【東京2020復興のモニュメント/岩手県のモニュメント】

東日本大震災の被災者向け仮設住宅にて、窓や建物の建材として使用されたアルミ材を回収し、
東京2020大会のゴールドパートナーである、株式会社LIXILの協力により同社の茨城県下妻工場にて
被災地より回収したアルミを溶解、再生し、約2トンに及ぶ再生アルミとしてモニュメントに使用。
組織委、東京都、被災3県、株式会社LIXIL、そして次世代を担う若手芸術家を輩出する東京藝術大学が連携して行う事業です。

ダイヤモンドカットの様な多数の面に記された岩手県内全33市町村から
集められた言葉を大槌高校のワークショップ参加生徒が紡いだメッセージ

2019年7月にプロジェクトがスタートし、同年8月22日に岩手県では県立大槌高等学校にて
東京藝術大学美術学部の学生十数名と、大槌高校の生徒90名が参加しての
ワークショップが開催され、同年9月より東京藝術大学にてモニュメントの制作が開始されました。
モニュメントには、株式会社LIXILより提供がなされた再生アルミを用い、東京藝術大学美術学部の
赤沼潔教授や、当時美術学部の学生であった福井汐音さん等の手によりモニュメントを製作。
しかし、2020年初頭より世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症の脅威が日本でも拡大し、
東京2020大会の開催の1年延期に伴い、復興のモニュメントの製作も一時中断に。
そこから約1年半、様々な困難を乗り越えて2021年7月に東京都新宿区の明治神宮外苑聖徳記念絵画館前にて
「東京2020復興のモニュメント」がお披露目され、ほぼ無観客開催となった東京2020大会期間中も、
オリ・パラ開閉会式の選手入場の待機エリア、またオリンピックスタジアムでの競技前ウォームアップエリアとして
機能した神宮外苑軟式球場との行き来の際に選手や関係者の目に触れ、SNS等で発信がなされていました。

モニュメントの表面には東京2020大会の日本代表選手団の金メダリスト、大会要人のサインが転写されています

そして9月5日の東京2020パラリンピック閉幕後、聖徳記念絵画館前に設置されていたモニュメントには、
展示に先んじてモニュメントに刻まれていた大槌高校のワークショップ参加生徒が選び仕上げた、
岩手県内全33市町村から集められた復興支援への感謝やアスリートへの33個の応援メッセージに加え、
東京2020大会で金メダルを獲得した日本代表選手団のアスリートの内37名(オリ26人・パラ11人)、
そして、サインパネルと同じく橋本聖子組織委会長、山脇康組織委副会長、トーマス・バッハIOC会長、
アンドリュー・パーソンズIPC会長の4名の大会要人を含む、計41名のサインがモニュメントの表面へと転写がなされ、
そのダイヤモンドのような、面で構成された体躯に余す所なく大会や復興五輪への思いが綴られています。

間近でモニュメントに触れる大槌町関係者

制作を担当した福井さんは沢山の面がデザインを思い浮かべた時、「ダイヤっぽいかも」と、この形が閃いたそう。
また、コンセプトとしても、被災地からのメッセージを散らばめたこのモニュメントが
「みんなの目に入るようなキラキラとした存在になれば」という思いを籠めた、としています。

<原材料>
東日本大震災の利用を終えた被災者仮設住宅より回収され、溶解・再生されたアルミ材約2トン

<製造方法>
鋳造

<大きさ>
高さ約2.1m

<重量>
約390㎏

<設置場所>
東京2020大会期間中:明治神宮外苑聖徳記念絵画館前
大会終了後:大槌町文化交流センター「おしゃっち」1階エントランスホール

【東京2020復興のモニュメントお披露目式岩手県開催概要】

東京2020組織委員会の公式サイトはこちら

<日時>
2021年12月15日(水)14:00開始

<会場>
大槌町文化交流センター「おしゃっち」

<出席者>
伊藤学司:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会企画財務局長
荒井俊之:東京都オリンピック・パラリンピック準備局技監
赤沼潔:東京藝術大学美術学部教授
平野公三:大槌町長
北田竹美:大槌町副町長
沼田義孝:大槌町教育委員会教育長
熊谷正則:岩手県文化スポーツ部部長
佐竹葉子:株式会社LIXIL取締役会室長
福井汐音:東京藝術大学大学院美術研究科修士1年/岩手県・宮城県モニュメント製作者
小國尚人:岩手県立大槌高等学校3年生/岩手県ワークショップ参加学生
臺美咲:岩手県立大槌高等学校3年生/岩手県ワークショップ参加学生
小林保幸:復興庁復興五輪推進官

ミライトワ:東京2020オリンピックマスコット
ソメイティ:東京2020パラリンピックマスコット

<実施体制>
主催:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会/東京都/東京藝術大学/
岩手県/株式会社LIXIL

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