企業、団体、個人が障がいの有無を超えてつながるオンラインイベント『LIVES TOKYO 2021』開催
認定特定非営利活動法人ハンズオン東京は、障がい者の「就労」を促進するための日本初のプロジェクト
「LIVES」の活動を共有し・繋がり・気づく機会として、2021年9月26日(日)13:00より
オンラインイベント『LIVES TOKYO 2021』を開催しました。東京ミッドタウンにて行われた
配信現場での様子の後半部分をお伝えします。
【配信の様子】
2017 年よりLIVES プロジェクトの当事者・企業・団体等を繋ぐイベント「LIVES TOKYO」を、
東京ミッドタウン、またはオンラインで開催しているハンズオン東京。
LIVESプロジェクトでは、障がいの有無にかかわらず、すべての人が自分自身の力で人生を選択し、
社会進出が出来る社会を目指す活動を通年で展開しています。
今年のテーマは「Collaboration!」、サブタイトルを「Diversity が生みだす力を信じて」とし
コロナ禍により社会が急激に変化し、世界中がひっ迫する今、障がいの有無とは無関係に、
お互いの個性を尊重しながら様々な気づきや繋がりを得る機会を提供しています。
【TALK:コラボレーションでアップデート!】
16時頃より始まったのがトークショー「コラボレーションでアップデート!」。
日本一パラを語れるアナウンサーとして知られるフリーアナウンサーの久下真以子さんがMCを務め、
車いすテニスプレーヤーでスポーツフォトグラファーの本間正広さん、
元車いす陸上選手でアテネ2004パラ大会でマラソン男子(T54クラス)6位入賞、
ロンドン2012パラ大会ではマラソン男子(T54クラス)5位入賞を果たしたオリンピアンであり、
日本パラ陸上競技連盟副理事長を務める花岡伸和さん、
そして東京2020パラリンピックにて、男子400m自由形(S11クラス)にて銀メダル、
男子100mバタフライ(S11クラス)で銀メダル、男子200m個人メドレー(SM11クラス)にて
銅メダルを獲得した水泳のパラリンピアンの富田宇宙選手と柔道女子70kg級において
パラリンピック初出場ながら銅メダルを獲得した視覚障害柔道のパラリンピアンの小川和沙選手が登壇。
登壇者の面々に東京2020パラリンピックを振り返っての感想が問われます。
本間さん「自国開催もあり、リアルタイムで競技を見れた事がよかったと思います。
びっくりしたのが、僕の家族を含めて「凄くよかったね」とパラリンピックに対して
声をかけてもらうという機会が増えた事でした。リアルタイムに見ている方は多いかなと
思ったんですけども、自分の想像以上で嬉しいです。」
花岡さん「(パラの陸上競技全日程をNHKで解説した自身が)自分はそんな熱い喋りだったつもりは
ないんですけども、中々の好評を頂いたようで。オパラは自分が解説する為に有力選手の情報を
ネットで調べながら、徹夜でホテルに籠りっきりにだったので、余り他の競技を見れなかったです。
仕事をしながらも一観客として競技を見ている所がありまして、そこで感動するのは、
何の競技の誰のどのシーンというよりも、日本でパラリンピックが行われて、沢山の人が観てくれて、
そこに自分も関われていて、という事に勝手に感動していたんですが、
選手のパフォーマンスが素晴らしいので、どのレースも、沢山の人に観て貰えて良かったという毎日を過ごしていました。」
富田選手「僕にとっては本当に最高の時間でしたね。非常に困難な状況の中で(大会を)
開催して頂いて自分のパフォーマンスを本当に多くの方々の前で発揮する事が出来て、
沢山の祝福を頂いて、これまで東京に向けて少しでも多くの方に見て頂きたいと思って
僕自身も発信をして来ましたし、今回、色んな思いや考え方というのを、世の中に向かって
パラアスリートが発信をする機会になったと思い、僕にとってはこれ以上ないパラリンピックだったと思います。」
MCから大分涙脆くなった?と問われ、
富田選手「(配信視聴者からの)コメントの度に涙腺がゆるくなってしまい、昨日(25日)も某アニメ
(興行収入日本一の劇場版アニメ)をTVでやっていたんですけど、僕は音で聴いているだけなんですけど、
それでも大号泣をしてしまって、改めて自分の涙腺の緩さを確認する事になってしまいました。」
小川選手「パラリンピックに出場して、緊張も全くしないで楽しむ事が出来ました。
初めて出場したのでイメージが湧かなかったんですけど、富田選手も言っていた様に
オリンピックを見て、楽しんでいた人が凄く輝いていたので、
私も楽しんで行こうと思って戦いました。」
準決勝で敗退し、3位決定戦の間に昼寝をした事について問われると、
小川選手「準決勝で負けて気持ちが落ち着かなくて、如何してよいか分からなくて。
考え事をしていたら、15分間昼寝をしていて、起きたら意外とすっきりしていて、
直ぐに着替えて打ち込みして試合に挑みました。何時もは昼寝をしないで
ウロチョロしているんですけど、今回はそれも出来ない位落ち込んでしまったので。
(銅メダルは)凄く皆さんに喜んで頂けて私も嬉しかったです。」
今回の東京パラ大会は注目を浴び、障害の有無や障がいを乗り越えて、というのではなく、
ごく普通にカッコいいスポーツであるという風な見方が増えた事に対して
自身が感じる”アップデート”された瞬間が登壇者に質問されます。
小川選手「7歳の時に神経膠腫という脳腫瘍の摘出手術をしました。その時の傷口があるんですけど、
今回の試合でもあえてそこを出して、私の今までの証を皆に見て貰えたらなと思って。
周りからは最初はおしゃれだと思っていたと言われて、実は手術の痕だと説明したら、
大号泣でしたし、よく頑張ったねと言って頂きました。今までこの傷口を女の子だから、と
髪の毛で隠して来たんですけど、隠す必要ないと自分の中で気づいたので出していきました。」
富田選手「僕は水泳を始める前に競技ダンスの選手だったんですけども、大学時代に
一般の競技ダンスの部活に弱視で参加していました。僕は部活も勉強も何でも一所懸命に
やるタイプだったので、部活内でもどちらかというと活躍をする選手だったんですね。
ただ、目が見えない事で、色んな出来ない事だったり周りの手を借りなきゃいけない事がある。
そういった中で部活動を続けていくと、周囲の人達が少しづつ変わってきたのを感じたんですね。
宇宙が頑張って結果を出しているから自分達ももっと頑張ってみようとか、僕の元に皆が集まって来てくれて
部活全体がどんどんと強くなり、関東の33の大学部中30位という、本当に最底辺だったのが
僕が4年生で主将を務めた代で全体で10位まで上がって、初めて団体で全国大会出場
という目標を達成できました。その時に僕が感じたのが、目が見えないという事は
出来ない事が増えていくだけの兎に角、悪い事だと思っていたんですけども、
それを自分が努力して乗り越えようとする事で、周りがそこに力を加えてくれる。
周りの人が集まって来て一緒に頑張れるようになる。そういう風に感じて
僕が障害を持っても努力し続ける事で周りに何かを与えられるんじゃないかなと。
このパラリンピックが終わって、ダンス部時代に一緒に頑張っていた後輩から
連絡が来て言われたのが「宇宙さんが人前で号泣をしているのを見たのは2回目です。
初めてが皆で全国大会を決めた時、次がパラでメダルを獲った時です」。
そうやって僕は皆に自分の障害を越えて何かメッセージを届ける、
それを努力で行う事をずっと生きがいにしてきたので、その時のアップデートが
今回のパラリンピックにも繋がって、力をくれたのかなと感じてます。」
花岡さん「今回、オリもパラもパンデミック下で開催された訳じゃないですか。
パラリンピックが始まる前、自分が解説の仕事をする、メディアの前に出ていくという事に
不安があったんです。経済的にしんどい人も多い中でこんな時にスポーツ大会どころじゃない
という声も実際にある中で、自分自身がどうやって前向きに仕事をしていくかと悩んでいたんですけど、
オリンピック終了後に僕の故郷の大阪で居酒屋をやっている同級生から久しぶりに電話がかかってきて、
緊急事態宣言でウチもめちゃ大変やけど、オリンピック見て元気出たわ。パラリンピックも絶対に見るから
花岡も頑張って解説しいや、って。これはなるべく多くの人に自分達がこれまで頑張って来た
スポーツの良さというものを伝えるのが自分の役割なんや!と思う事が出来て、そこで自分自身も
アップデート出来たし、オリパラを通じて同級生との付き合いもアップデートされたと思うんですよ。」
本間さん「僕はカメラを車いすテニス競技等で撮っているんですが、大きな大会とかで
プロのカメラマンの方と一緒に撮るんですが、東京で「ワールドチームカップ」という大会が有って
そこで顔見知りの方も数名いらっしゃって、私は車椅子なものですから、中々車いすでプロフォトグラファーは少なくて。
大会の表彰式の際にフォトセッションというのがあって、沢山のカメラマンの方がいらっしゃって。
カメラマンというのは自分の撮影位置の取り合いが結構ありまして、僕は後ろの方になるだろうなと
思っていたんですけど、知り合いのカメラマンの方がここで撮りなよと、僕を真ん中に招き入れてくれて
一番の特等席で撮らせてもらったというのがあったんですけど、私を認めてくれているというか、
そういう形で周りのカメラマンの方達がアップデートをして頂いて私を迎えてくれたのかなという風に感じています。」
そしてスポーツだからこそ出来る、交じり合うコラボレーションのキッカケとは?とMCが問うと、
富田選手「僕が感じるのは、スポーツを一緒にやるだけでも、障がいのある人ない人、
例えばボッチャのようなアダプティブなスポーツは皆関係なくやれる訳ですよね。
そういったアクティビティを一緒になってやる事で、今まで見えていた障がいだとか、
性別、国籍の壁が無いものになるんです。僕も学校訪問とか沢山してきましたけど、
最初はおっかなびっくりだった子供達が一緒にプレーをしたら直ぐにそういうものは
無くなっているんですよね。それは見ている人も同じで、画面の向こうから応援をして下さった
皆さんの頭の中に、このアスリートは障がい者だ、何処の国の人だという壁が取り払われて、
一人の選手としてエキサイティングプレーを一緒に応援してくれたんだと思うんですよ。
スポーツにはそういう力が有るんだと、今回僕自身も凄く学ばせて頂いたので、
この力が更に大きなムーブメントになって続いて行けば良いなと思っています。」
【Entertainment エンターテイメント】
17時過ぎより「LIVES TOKYO 2021」の最後を飾るのがLIVE SONG。
ステージ上にはバイオリニストで陸上三段跳びのアスリートでもある白井崇陽さんと
シンガーのBeverlyさんが登壇。2017年のLIVESプロジェクト立ち上げ時に
音楽家のつんく♂さんがサウンドデュースしたプロジェクトテーマソング「Happy now」を
スペシャルバージョンでパフォーマンス。
そしてコラボレーションとして映像参加したのは、東京2020パラリンピック閉会式で
演奏を行った7本指のピアニストの西川悟平さん、同じく閉会式でドラム付き車いすで出演された小澤綾子さん、
そして、「東京2020 NIPPONフェスティバル ONE -Our New Episode-
Presented by Japan Airlines MAZEKOZEアイランドツアー」内にて
映画「グレテスト・ショーマン」の「This is Me」を熱唱し、閉会式内にて
国歌斉唱を担当したシンガーソングライターの佐藤ひらりさん等、自信の特性を活かすアーティスト7名。
力強くもとても柔らかい歌声で東京ミッドタウンを包み込むBeverlyさんと
そこに寄り添う白井さんが奏でるバイオリンサウンドに関係者はしばし聞き入ってました。
そしてパフォーマンス後には
Beverlyさん「何時も「LIVES TOKYO」で私をこんなに素敵な曲を歌わせて頂き本当にありがとうございます。」
白井さん「本当に素晴らしい歌姫と一緒に音楽を奏でられてとても幸せです。
沢山の皆さんが(配信を)見て下さっていると思いますけども、コロナで中々繋がりが
感じられない中で、歌や音楽、皆様の声という物がインターネットを通して、繋がっています。
これが来年以降、色んな新しい形で広がっていけばよいなと思います。」
と話し「LIVES TOKYO 2021」は終了しました。
【LIVES プロジェクトについて】
「毎日仕事をし、毎日ごはんを食べて、毎日楽しく笑う。」そんな毎日の繰り返しを、
あたり前と思って暮らしています。 しかし、そのあたり前の毎日を容易に過ごせない人たちがいます。
日本においては、まだまだ社会に出て、生活をする事が難しい環境です。
障がいなど多様な個性を持つ人たちは、みんなと同じように社会に出て働きたいと思っても、
まだ日本では環境が整っていません。みんなが一緒になって「はたらく」環境をつくり、
美味しくごはんを「たべて」、楽しく「わらい」あえる社会をつくりたい、という想いから
日本初の試み「LIVES プロジェクト」を始動しました。
障がい者が健常者と変わらずに自身の力で人生を選択するために、「就労」に焦点をあて、
日本における障がい者の個性を活かした就労ができる環境を整えていけるように、
様々な企業、団体を交えて、社会へ働きかけを行ってまいります。
障がい者&健常者の共同イベント・PR チームを結成し、障がい者の気持ちを理解した
イベントをつくり上げるために、それぞれの強みを活かして協力しながら準備を進めています。
障がいなど多様な個性を持つ人たちの中には、個々の能力を活かし、可能性を広げている人たちもいます。
◎http://hataraku-taberu-warau.jp
【ハンズオン東京について】
認定NPO法人ハンズオン東京は、世界37カ国で208のボランティア団体を統括する
「Points of Light 財団」の傘下団体として、2006年に活動を開始しました。
国際交流から生まれたボランティア団体であるハンズオン東京は、
コミュニティ(地域社会)のニーズに合った有意義なボランティア活動の場を
二か国語で提供することにより、社会へ貢献し、ボランティアリズムを浸透させ、
リーダーたちを育成することをミッションとしています。スペシャルニーズの方、
障がいのある方を支援する団体、NPO 法人、社会福祉法人、教育機関、医療機関などと協力し、
地域社会のニーズに合ったボランティアの機会を企画・提供しています。また、コロナ禍では、
医療機関や社会福祉施設(児童養護施設、シニアホーム、スペシャルニーズの団体など)へ、
必要としている物資支援のサポートをするなど、「コミュニティのニーズ」に重点を置き、
「いま、私たちにできることは何か?」を常に考え、新しい取り組みで活動をしています。
◎https://www.handsontokyo.org/
【LIVES TOKYO 2021配信概要】
公式サイトはこちら
<配信日時>
2021年9月26日(日)13:00開始
<会場>
東京ミッドタウン
<配信サイト>
【無料配信】LIVES TOKYO 2021 “Collaboration!〜多様性が生み出す可能性を信じて…” | Peatix
※視聴には申し込みが必要
<登壇者>
米倉誠一郎:ハーバード大学博士PhD
乙武洋匡:作家
成澤俊輔:経営コンサルタント
酒井春菜:立命館大学障害学生支援室 支援コーディネーター(社会福祉士)
松井春花・石井里穂 :LIVESキッチンカーOOPEN!スタッフ
落合啓士:元ブラインドサッカー日本代表、松本山雅B.F.C.監督
伊藤太郎:studio COOCA所属/アーティスト
Moeka:スマイルウォーキング倶楽部所属/ファッションモデル・女優
花岡伸和:一社)日本パラ陸上競技連盟副理事長
本間正広:車いすテニスプレーヤー / スポーツフォトグラファー
小川和紗:パラリンピアン/東京2020パラリンピック 柔道女子70kg級 銅メダル
富田宇宙 パラリンピアン/東京2020パラリンピック 水泳男子400m自由形(S11クラス) 銀メダル
男子100mバタフライ(S11クラス)銀メダル、男子200m個人メドレー(SM11クラス)銅メダル
久下真以子(MC):フリーアナウンサー
Beverly:シンガー
白井崇陽:バイオリニスト