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東京2020オリンピック聖火リレー東京都 東村山市に志村けんさんの兄、知之さんが登場!

東京2020オリンピック聖火リレー開催104日目となる2021年7月13日(火)、東京都の開催5日目の
点火セレモニーの舞台となった東村山市の国立療養所多磨全生園に同市出身のコメディアン、
志村けんさんの兄、知之さんが登場しました。当日の点火セレモニーの様子と合わせてお伝えします。

【東京都DAY5の様子】

国立療養所多磨全生園東門

7月9日に世田谷区の駒沢オリンピック公園総合運動場の陸上競技場を出発し、15日間に渡る
都内を巡る東京2020大会開催都市の聖火リレーも行程の3分の1となるDAY5まで到達。
都内西部地域を走行予定であった365名の聖火ランナー達が繋いだ聖火が開催5日目にやって来たのは、
東村山市青葉町に位置する国立療養所多磨全生園。慢性感染症の一つであるハンセン病の公立療養施設として
明治42年9月に創設され、ハンセン病患者の治療、社会復帰へ力を注ぐ場が東京都DAY5のセレブレーション会場に。
DAY5は本来であれば、午前9時25分に国立駅の南口ロータリー入口をスタートした聖火は、
途中、小平市、国分寺市、東大和市を通り、午後7時に多磨全生園の人権の森のセレブレーション会場にて
ゴールをする予定でしたが、7月6日に東京都は新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の為、
島しょ部を除く、都内全区間の公道での聖火リレーは中止とすると発表。各日のゴール地点である
セレブレーション会場にてランナー同士が聖火を繋ぐ点火セレモニーが行われる事となりました。

永見理男国立市長の点火棒よりトーチに点火される女子ソフトボールのオリンピアンで
北京2008大会では金メダルを獲得した第1グループ第1ランナーの佐藤理恵さん

様々な応援グッズを手にランナーを応援する関係者

大きな肖像入りのフラッグを持ち込む関係者も

そんな中、DAY5は走行各市毎に5グループに分かれ、午後3時から第1グループの国立市より
点火セレモニーがスタート。1グループあたり約10分をかけて、各市内を走行予定であった
ランナー達が聖火を繋ぎ、思い思いのトーチキスポーズを披露します。

国分寺市の記念撮影でポーズを決める聖火ランナー等

東大和市の記念撮影でトーチを掲げる聖火ランナー等

最終ランナーのトーチキス後には各グループの全ランナーによる集合撮影が行われるのですが、
その中でいくつかのグループは事前にランナー同士で話し合ったのか、はたまたその場の「ノリ」なのか、
登壇全員でオリジナルのトーチキスポーズを披露。これは通常に行われる聖火リレーのセレブレーションでは
実現不可能なシーンであり、その大がかりなポーズに報道陣やランナーの家族観覧エリアから無数のシャッター音が響きます。

途中、第3グループの小平市には元プロレスラーの佐々木健介さん、北斗晶さん夫妻が登場。
東京2020オリンピック聖火リレーでも極めて珍しい、夫婦でのランナー参加に会場後方からはどよめきが。

北斗さんのトーチキスをスマートフォンで撮影する健介さん

公式カメラにメッセージを伝える佐々木健介・北斗晶夫妻

北斗さんに至ってはリングネームではなく本名で申請され、ランナーリストに記載されていた為、
報道陣も気づかず、突然の北斗さんの登場にびっくり。健介さんは北斗さんのトーチキスの瞬間を
自身のスマートフォンで撮影される等、楽しそうな様子。トーチキスを終えた北斗さんは、
報道エリア横にて、健介さんと共に「最高の体験でした。選手の皆さん、大会も頑張ってください」と
公式カメラに向けてメッセージを送っていました。

時刻は17時40分。この日最後となる第5グループの東村山市を走行予定であった22名のランナーが
トーチキスを行います。その東村山市第1ランナーを務めるのは、同市出身でバンド「ザ・ドリフタ―ズ」のメンバーであり、
日本を代表するコメディアンであった故・志村けんさん(以下、けんさん)の兄、志村知之さん。
東村山市を題材とした楽曲「志村けんの全員集合 東村山音頭」で同市の名を一躍全国に知らしめ、
延期前の東京2020オリンピック聖火リレーでは、2020年7月14日(火)に東村山市内を
聖火ランナーとして走行予定であったけんさん。しかし、2020年3月29日深夜、
新型コロナウイルス感染症を原因とする肺炎により70歳でけんさんがこの世を去るというニュースは、
日本は元より世界中に大きな衝撃を持って伝えられ、新型コロナウイルス感染症の恐ろしさを
日本国民が改めて思い知らされた出来事となりました。
東村山市は生前のけんさんの功績を称え、同年6月に志村けんさんを東村山名誉市民に選定。
翌2021年6月には西武鉄道東村山駅東口に市民のクラウドファンディングにより銅像が設置され、
東村山が生んだスーパースターの在りし日の姿に市民は思いを馳せています。

そのけんさんの実の兄である知之さんは、弟に代り、聖火ランナーを務めるにあたって
以下のランナー志望動機を出されています。
「2020年7月14日に行われる予定だった東京2020オリンピック聖火リレーにおける
東村山市の聖火ランナーの一人として走る予定であった弟の志村けんの代わりに
兄である志村知之が聖火ランナーとして走ることで、弟の東村山への想いや多くの人々を
笑顔にしたいという気持ちをしっかりと受け継ぎ、多くの皆さんに笑顔と元気、
そして未来に向かって希望の光を届けていきたい。」

けんさんの遺志を継いで点火セレモニーの壇上に立つ知之さんは渡辺尚東村山市長から
点火棒により聖火をトーチに点火されると、市長と共に弟けんさんの代表的なギャグである
「アイ―ン」のポーズを披露。その渾身のポーズに大きな拍手が観覧エリアから巻き起こります。

続く第2ランナーの宮下忠三さんとのトーチキスポーズも2人で息の合った「アイ―ン」を披露。

公式カメラに感想を述べる志村知之さん

やりきったという表情でステージを降壇する知之さん。ステージ裏へと直ぐには向かわず、
トーチキスを終えた後続のランナーを温かく迎えていました。

「アイーン」ポーズを披露する第5グループのランナー等

知之さんと宮下さんの他にも4組のランナーが「アイ―ン」のトーチキスポーズを披露している所からも
けんさんが如何に市民に愛されているかが伺えます。

平沢保治さん

そして21名のランナーが順調に聖火を繋ぎ、続く22番目、最終聖火ランナーとして17時50分頃に
ステージに登壇したのは国立療養所多磨全生園入所者前自治会長の平沢保治さん。
14歳の時に多磨全生園に入所し長きに渡り療養所の生活改善に努め、昭和44年に入所者自治会を再建。
ハンセン病の語り部として子供達に生きる力を注ぐ東村山市民栄誉賞受賞者がDAY5の最後を飾ります。

ステージ上の点火セレモニーを見守る多磨全生園の入所者の皆さん

報道エリア後方にはこの第5グループの点火セレモニー開催時のみ、会場である多磨全生園の
入所者約60人がセレブレーション会場へ足を運び、東村山市のランナー、そして平沢さんへ拍手をおくります。

そして17時59分過ぎ、介助者と共に平沢さんが聖火皿へトーチを掲げると見事に大きな炎があがり、
DAY5の全81名のランナーの思いが繋がれました。点火の大役を果たした平沢さんにMCが今の気持ちは?と問うと、
「かつて昭和39年の東京オリンピックの時は「らい予防法」に阻まれて、国立競技場に行く事も出来ませんでした。
電柱の陰でマラソンのアベベ(ビキラ)選手を応援し、常に罪人の様な感じで生きてまいりましたが、
まさか今日、私がこの市を代表し最終聖火ランナーに選ばれるとは夢にも思っておりませんでした。
人間はどんな事にも負ける事はありません。今、世界はコロナによって分断されようとしています。
しかし、東京オリンピックを通してこの分断を必ず人間らしく生きる人権の相応しさを尊ぶ、
そういうオリンピックになるだろうと私は確信をしております。」と話されました。
そして、残る10日間の走行を待つ聖火ランナーへのメッセージとして、
「世間では新型コロナで分断社会が生まれようとしておりますけども、この東京2020大会を通して
一つの心になってコロナに立ち向かえば人間は決してコロナなどに負けない。私達は「らい予防法」のもとで
何世紀も苦しんで来た、そういう歴史を戦ってきた身としてそう信じています。
どうかこれからも聖火ランナーの皆さん、自分の思いを胸に走り続けて東京スタジアムの聖火台に
火を灯してください。」と、力の籠ったメッセージに多磨全生園に大きく響き渡る拍手が送られます。

最後に自治体を代表し、渡辺尚東村山市長からの挨拶が。
渡辺市長「今こうして平沢保治さんから希望の炎を赤々と灯して頂きました。そして聖火ランナーでは、
昨年の3月に新型コロナウイルスによって残念ながら急逝された志村けんさんのお兄様である
志村知之さんにも第一走者として私からこの聖火の炎を付けさせて頂いた次第です。
22名のランナーの皆さんに聖火を繋いで頂く事で人権侵害と人間回復という二つの歴史を刻む
この多磨全生園から人間の命の尊厳、命の大切さ・掛け替えのなさを世界の皆さんに
お伝えする事が出来たのではないかと確信をしております。
私達は皆、時代を繋ぐランナーなのです。どうかこれからも皆で頑張っていきましょう。」

最後のフォトセッションにおいて、知之さんを筆頭に22名の東村山市のランナーが
「アイ―ン」のポーズを披露。2つ目のグループは「アイ―ン」の後、
天国から今日の様子を見守っているであろう、志村けんさんに向って天を指すポーズがとられ、
会場からの暖かい拍手と共に東京都DAY5の点火セレモニーは幕を閉じました。

途中、通り雨に降られたものの、最終的には青空をのぞく好天に

約3か月半に及んだ聖火の旅もいよいよ佳境に。15日間の開催都市の聖火リレーは
島しょ部を周った後、いよいよ23区へと向かいます。

【東京2020オリンピック聖火リレー東京都 DAY5開催概要】

東京2020オリンピック聖火リレーの公式サイトはこちら

<日時>
2021年7月13日(火)15:00開始

<会場>
国立療養所多磨全生園

<参加ランナー数>
国立市・小平市・国分寺市・東大和市・東村山市を走行予定であった
聖火ランナー81名(内、車椅子ランナー4名(介助者を除く))

<走行距離>
点火セレモニーの為、無し

<実施体制:
主催:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
共催:東京2020オリンピック聖火リレー東京都実行委員会

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