東京2020「復興のモニュメント」お披露目!
東京2020組織委員会(以下、組織委)は、2021年7月13日(火)に、東京都新宿区の聖徳記念絵画館前にて
「東京2020復興のモニュメント」のお披露目式を開催しました。
【お披露目式の様子】
東京2020大会のメイン会場であるオリンピックスタジアム(国立競技場)の真隣に位置する、
明治神宮外苑を象徴する建物である聖徳記念絵画館前、東京2020大会の開閉会式で選手達が
入場行進前に通過するウォームアップエリアの出入り口付近に鎮座するのはベールを被った3つの大きなモニュメント。
開式後、会場内モニターに震災復興の感謝とアスリートへの応援のコンセプトームービーが流れた後、
主催者を代表し、山本隆組織委副事務総長が挨拶をします。
山本副事務総長「東日本大震災からの復興というのは、東京2020大会の重要な開催意義であります。
この招致以来の源流であった訳でございます。今、コロナ禍の中での大会という事になりまして、
一つのスタジアムに大勢集まって、アスリートに声援を届けるという事は叶わない訳でありますけども、
このモニュメントを通じて、皆様の感謝と応援の気持ちは必ずや、アスリートの皆さんに
届いて行くものと思っております。私達は更に努力を続けまして、安全安心な多くの困難を乗り越えた
心に残る大会という物を実現すべくさらに力を尽くしていかねばならないと思っております。」
そして中村倫治東京都オリンピック・パラリンピック準備局⻑の挨拶の後、
モニュメント製作を担当した東京藝術大学の澤和樹学⻑が挨拶をされました。
澤学長「昨年1月からの新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、本学の学生もこの1年余り、
大きな苦労と試練の連続でした。試練を克服する事がアスリートや芸術家にとっては、
大きな可能性を秘めている様で、私は、試練は芸術を育てるという言葉を信じています。
被災地と世界を結び付け、復興を後押しする大会レガシーとして、将来ある若い学生達の希望や願いが、
世界に向けて発信されていく事を切に願っております。」
そしていよいよ復興のモニュメントのアンベール。登壇者12名が一斉にベールを引くと、大きなモニュメントがお目見え。
アンベール後、モニュメント制作に関わった東京藝術大学関係者よりコメントがなされます。
最初に福島県の復興モニュメントをデザインした、同大学の美術部卒業生の岡つくしさん。
岡さん「私は、被災地の学生と支援者を繋ぐというテーマでコンセプトを考えました。
真ん中の空洞に顔をはめて頂いて、撮った写真をSNS等、何らかの形で発信する事で、
モニュメントに書かれた被災地の学生の感謝の言葉に対する「会話のキャッチボール」が
出来ると考え、フォルムに関しては、母体をイメージした安定感のあるデザインで、
下に重みを置く事によって安心感が出るのでは、と考えました。
モニュメントのポーズが応援団のポーズになっているんですけど、これは選手への応援と、
復興への応援の思いを込めてこのポーズにさせて頂きました。現地の方がこれを見て、
少しでも笑顔になって頂いたり、制作したが学生達にモニュメントを作って良かったなと、
思って貰える様に、沢山の方に見て頂きたいと思います。」
続いて、岩手県および宮城県のモニュメントをデザインした同大学大学院美術研究科の福井汐音さん。
福井さん「カットされたダイヤモンドをモチーフに形をデザインさせて頂いたんですけども、
テーマとしては、被災地の学生、子供達の応援を宝石の原石に例えて、世界のアスリートの皆さんに
届けられるような輝く宝石にしたいなという思いを込めました。
作る上で苦労した点は、面で構成されたシャープな形を作っていく段階で、面を綺麗に合わせていく事に
精密さが必要だったりして、制作面では一番大変だったと思います。」
そして同大学の美術学部教授の赤沼潔さんからのコメントが。
赤沼教授「東北の学生達は(3県共)全部感じが違っていまして、独自のコメントがいっぱい出て来た
という経緯の中で展開をしてきました。本学の学生も震災に対してあまり、リアルな感覚を
持っていなかったんですけども、日毎に自分の中で受け入れて変わっていくという所が
見えましたので、本学学生と私共々成長する事が出来ました。
この規模のモニュメントの鋳造って、あまり大学ではしないものですから、試行錯誤をしながら。
意外と大変だったのがモニュメントに書かれている文字。綺麗に出ないんですよね。
綺麗に文字が出るまでかなり時間が掛かりました。最終的にしっかりと安定したモニュメントになったので、
本当に感謝感謝です。」
続いて2019年夏に東北被災三県(岩手・宮城・福島)でワークショップ参加学生からのメッセージ紹介。
岩手県立大槌高等学校3年:雁部英恵さん
「新型コロナウイルス感染拡大にともない大会が 1 年延期され、すっかりモニュメントのことを
忘れていましたが、先日大槌町でも聖火リレーが行われ、やっとオリンピック・パラリンピックが
開催される実感が湧いてきました。各競技で素晴らしい物語が繰り広げられることを楽しみにしております。」
宮城県気仙沼向洋高等学校3年:高橋空さん
「コロナ禍に入って初めてのオリンピックとなりましたが、地域の方々からの支援の感謝や出場する
選手の皆さんを応援する気持ちを持ちたいと思いました。また、出場する選手の皆さんの頑張りで
被災地に「元気」を届け世界中のありがとうの気持ちが開花して欲しいと思いました。」
福島県立安積黎明高等学校3年:三條愛子さん
「東京オリンピック・パラリンピックに、モニュメント作成という形で関わることが出来て
とても嬉しく思います。作成したメッセージには「世界中の人々が、思い描いた夢を叶えられるように」
という思いを込めました。アスリートの方々は夢に向かって、被災地の皆さんは復興へと、
希望を持って進んで行けるよう心から願っています。」
そして最後にゲストアスリートから目前に迫った東京2020大会や復興への思いのコメントがなされます。
高橋礼華さん「先ず、震災から10年が経ちましたが決して忘れてはいけない出来事だと私は思っています。
今回の東京2020大会が被災地の方々や、今コロナで苦しんでいる沢山の方々の勇気や希望の光となる
大会になれば良いなと私自身も願っています。」
そしてにほん障がい者バドミントン連盟強化指定選手で所属のLIXILでは技術社員として働く長島理選手からは
「東日本大震災で被災された東北被災3県の仮設住宅で役割を終えた窓、ドア部材のアルミを集め、
LIXILの工場に持っていって再生材料として活用し、東京藝術大学の学生さんや被災3県の学生によって、
メッセ―ジを書いて頂きました。そう考えますと、このアルミの材料も色々と循環をしてくると同時に、
そこにメッセージも添えて頂いて、思いも循環しているのかなと思っております。
私はアスリートとしてその思いを胸に思い切り頑張っていきたいと思っております。」
【東京2020復興のモニュメント】
「東京2020復興のモニュメント」は、被災地と世界を結び付け復興を後押しすることを目的として、
組織委が、東京都、東京藝術大学、岩手県、宮城県、福島県、および株式会社LIXILと連携して行う事業で
モニュメントの材料には、株式会社LIXILからの提供により、被災3県の仮設住宅で使われていた窓や
ドアなどを再生したアルミが使用されています。また、岩手県、宮城県、福島県の各県で
2019年夏に開催したワークショップにて、各県の中学生・高校生と東京藝術大学の学生が協力し、
デザインのイメージや、モニュメントに載せるメッセージを制作しました。
『コンセプト』
「被災地から世界へ 感謝・応援〜⽀援への感謝や選手への応援の気持ちを伝える〜
世界から被災地へ 感謝・感動〜応援への感謝やスポーツのもつ⼒を被災地に届ける〜」
被災地からは、復興に際し世界中からご⽀援いただいたことへの感謝の気持ちと共に、
東京 2020 大会に出場する選手への応援の気持ちを伝え、世界からは、東京 2020 大会に出場した選手を
応援いただいたことへの感謝や、スポーツが生み出す感動や⼒を被災地に届ける。
「素材」
東日本大震災の東北被災3県の仮設住宅で使用されていた再生アルミを使用
「福島県デザイン」
デザイン:岡つくし
高さ:約2.3m
重量:約400㎏
「岩手県・宮城県デザイン」
デザイン:福井汐音
高さ:約2.1m
重量:約390㎏
【東京2020復興のモニュメントお披露目式概要】
東京2020大会の公式サイトはこちら
<日時>
2021年7月13日(火)10:00開始
<会場>
聖徳記念絵画館前
<出席者>
山本隆:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会副事務総⻑
中村倫治:東京都オリンピック・パラリンピック準備局⻑
澤和樹:東京藝術大学⻑
赤沼潔:東京藝術大学美術学部教授
熊谷正則:岩手県 文化スポーツ部部⻑
千葉章:宮城県東京事務所⻑
松本雅昭:福島県東京事務所⻑
佐竹葉子:株式会社LIXIL東京2020オリンピック・パラリンピック推進本部⻑
岡つくし:東京藝術大学美術学部卒業生
福井汐音:東京藝術大学大学院美術研究科修士1年
『ゲスト』
高橋礼華:オリンピアン(バドミントン女子ダブルス)/リオ2016大会金メダル
⻑島理:日本障がい者バドミントン連盟強化指定選手/LIXIL所属
©Tokyo 2020