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東京2020大会開会式・閉会式に向けたオペレーション訓練を公開

東京2020組織委員会(以下、組織委)は、2021年6月19日(土)深夜から翌朝にかけて
東京2020大会の開会式・閉会式に向けたオペレーション訓練を行いました。
その中の訓練項目の一つである選手のバス輸送の様子が報道陣に公開されました。

【当日の様子】

ひっそりと静まり返った江東区晴海の選手村

東京2020オリンピックの開会式まで後30日余りに迫った6月19日の深夜、
東京都江東区の月島警察署前交差点には報道陣の姿が。
東京2020大会の開会式及び閉会式の本番を想定しての事前オペレーションテストの内、
選手・関係者の輸送訓練を伝えようと国内メディアはもとより、海外メディア(駐在員)も来場し、
テストの様子を見守ります。2019年8月以来となる大会本番想定のオペレーション訓練ですが、
前回がバス75台(25台隊列×3)による物なのに対し、今回はバス143台という
輸送訓練では過去最大規模での実施となり、メディアからも感心が寄せられています。

『選手村出発』

選手村のバス乗り場へと向かう選手役の組織委職員

Photo by Tokyo 2020

都道484号線豊洲大橋上で待機する選手輸送バス

選手役の組織委スタッフがバスに乗り込むと、6月20日0時30分過ぎ、開閉会式の会場となる新宿区霞ヶ丘町の
オリンピックスタジアム(新国立競技場)方面へ向け、観光バス16台からなる第一梯団の隊列が
選手村を出発。続く第2~第5悌団までの計80台が選手輸送を想定し、順次オリンピックスタジアムを目指します。

選手村を出発する第一艇団

様々な着席形態がとられる各輸送バス

バスに乗車する人数は夫々の車両によりバラバラ。本番に1台あたり何人を乗せるかという
想定基準探しの意味も有る、と後述の囲み取材で明らかにされました。
そして時を同じくし、都内のホテル等より大会関係者役を乗せたバス約50台が、
MPC(メインプレスセンター)となっている東京ビッグサイトより
報道関係者役を乗せた12台のバスがオリンピックスタジアムへと向かいました。

『青山通りでの隊列走行』※写真は割愛させて頂きます。
選手村を出発したバスの隊列は一路、オリンピックスタジアムへと向かう途中に、
東京1964大会でも選手・関係者の輸送の舞台となった国道246号線の通称:青山通りを走行しました。
梅雨時の土曜日の深夜とはいえ、都内屈指の交通量と車道幅を有する大通りを、上下線共に
約5時間以上に渡る大規模な交通規制が敷かれ、開閉会式本番でも規制範囲となる国会議事堂周辺や
オリンピックスタジアムを含んだ明治神宮外苑エリアを含めると今回のオペレーション訓練で規制された
道路の総距離は実に約8.5km。その東京のど真ん中を、整然と輸送訓練のバスがひた走ります。

『降車想定場所での選手役誘導の様子』

Photo by Tokyo 2020

選手村を出発したバス隊列は約30分程で開閉式の選手降車想定場所の一つである、
オリンピックスタジアムに隣接する聖徳記念絵画館前に到着。

Photo by Tokyo 2020

そして選手役の組織委スタッフがバスを降車後、ウォームアップトラックを通り、
選手団毎にオリンピックスタジアムに向け誘導される様子が公開されました。

(写真左)中村英正メイン・オペレーション・センターチーフ(MOC)(写真右)齋藤勝久輸送局輸送企画部長 Photo by Tokyo 2020

第一梯団の輸送訓練終了後、中村英正メイン・オペレーション・センターチーフ(MOC)と
齋藤勝久輸送局輸送企画部長による囲み取材が行われました。

Q:今日のオペーション訓練で見つかった課題は?

中村MOC「出発地である選手村のバス乗車場は暗くてちょっと心配をしたんですけども、
出発自体は非常に順調にいきました。各所が全体的に暗いのでそこが課題だと思います。」

齋藤部長「私共は晴海の選手村からバスに乗ってやってまいりました。晴海からここまでは
片道約30分でとても順調なバスの走行が出来たと思います。首都高も全く混んでいる所が無く、
青山通りも交通規制でスムーズにバスが走る事が出来ました。ただ、中村さんの通り、
降車してからの場所が暗めかなという事で、選手の皆さんが実際に歩く時に、
雨も降っているせいもありますが、足元が悪い感じがした次第でございます。
カラーコーンやバリケードなどの誘導用具は適切に配置がされていたと思う次第です。」

Q:本番の開閉会式は20時スタートとなり、都民生活が動いている時間帯となるが、そこに向けた課題は?

中村MOC「このオペレーション訓練の交通規制は、何週間も前にチラシを作って、
「夜中ですがこういう事をさせて頂きます」とビラを配ったり、説明会を開かせて頂きました。
本番はご指摘の通り、生活時間帯で規模も大きく、規制時間も長いという事で、
アナウンスメント(チラシ、テレビや新聞での告知)をしますし、
また、地元の方々には丁寧に説明会を開いていきたいと思います。」

Q:今回のオペレーション訓練で新型コロナウイルス対策として踏み込んだ部分はあるのか?

中村MOC「選手まわりでは、今日の訓練では極力、ディスタンスを取る様にとの事でした。
屋外の所は距離も取れますし換気も問題ないです。スタジアムに入った所にコーンがあって、
5つの列に分かれて下さいと分かり易くしてあり、最後、人流がストップする所に
足元に2m毎にマークがありまして、きちんと海外の選手にも分かって頂ける様に
説明をする事が大事だと思いました。」

齋藤部長「バスのコロナウイルス対策に関してですが、参加したバス会社は全社
日本バス協会のコロナ対策のガイドラインに準じた対応を行っています。
バスの運行前日・当日には車内の消毒、乗車時の手指消毒、走行時のマスクの常時着用、
乗車時の私語禁止等が指示されております。また常時エアコンを稼動させ換気を行っています。」

Q:開閉会式本番では、どの様な選手・関係者輸送を目指して行きたいか?

中村MOC「本番は生活時間帯の最中でもありますし、多数のアスリートが来るという事で、
まずは、近隣住民の方にきちんと何が起こるかという事を説明して混乱をしないというのが一つ。
もう一つはやはり安全な大会というのが使命ですので、しっかりとコロナ対策をして、
ディスタンスを取ってマスクをして、大会全体で安全だというメッセージを出せば、
これから2週間、選手の方も、観客も安全だというメッセージの下で楽しんで頂けると思いますので、
そこが大事な部分だと思います。」

齋藤部長「輸送について申し上げますと、7月23日のオリンピック開会式というのは、
このオリンピックスタジアムの一箇所に全ての関係者が集まるというとても大きな
輸送の需要が集中する場所でございます。そのオペレーションを着実に行う事が
我々の責務でございます。23日以前に一部競技はスタートしていますが、
やはり開会式という華々しい式典において輸送を確実かつ安全に行うことを
一所懸命に努力していきたいと思っています。」

Q:テロ対策は?

齋藤部長「選手輸送につきましては、特に安全性が確実でなければいけないという事になっていますので、
例えば、デポ(車両基地)自体が頑丈なフェンスで囲まれていて、安全対策がとられた中で、
バスが駐車され、運行シートが出されているという形になっています。
デポから発車し、例えば交差点で止まった時に爆弾などを仕掛けられる、あるいは
投石等を受ける事の無い様に十分に配慮しながら選手村まで運行する形です。
デポ、選手村の両方がセキュリティが確保されたゾーンの中にあり、安全対策がとられていると思っています。」

Q:143台参加との事だが、車両故障および事故を想定した予備車両が一台も無いのは何故か?

齋藤部長「この規模で予備車を付ける付けないというのは我々のバスの運営チームの判断で、
もし本当になっていなかったらそういう事もあったかと思います。
実際の大会本番の時には、選手・関係者の為の予備車というのは用意をしておきます。」

聖徳絵画館前に駐車する輸送バス

約1ヶ月後、開会式に向け都内をバスの大隊列が走り抜けます。

【東京2020大会開会式・閉会式に向けたオペレーション訓練実施概要】

東京2020組織委員会の公式サイトはこちら

<日時>
2021年6月20日(日)0:30開始

<場所>
選手村~オリンピックスタジアム・明治神宮外苑エリア一帯等

<参加車両数>
45人乗り観光バス143台(内、選手輸送用80台、関係者輸送用約50台、プレス輸送用12台)

<交通規制総距離>
約8.5km(選手村周辺の交通規制は行わず)

<参加者数>
選手役の組織委職員:約750人
オペレーション:約1,500人(警察関係者含まず)

©Tokyo 2020

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