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東京2020オリンピック聖火リレー 大阪府、万博記念公園を封鎖し開催。

東京2020組織委員会(以下、組織委)は、東京2020オリンピック聖火リレーを2021年4月13日(火)、
4月14日(水)に大阪府吹田市の日本万国博覧会記念公園にて開催しました。
初日となった4月13日の模様をお伝えします。

【大阪府DAY1の様子】

2021年3月25日(木)に福島県双葉郡樽葉町のナショナルトレーニングセンターJヴィレッジを
グランドスタート聖火ランナーの「なでしこジャパン」のメンバーによって出発した東京2020オリンピック聖火。
これまで9つの県を19日間をかけて走行を行ってきました。途中、4つ目の開催地である長野県内にて、
県内開催1日目の4月1日(木)に長野市内で一部無観客での走行や、セレブレーションが行われましたが、
これまで各地を繋ぎ着実に歩みを進めて来ました。そして10番目の開催地となったのが大阪府。
4月13日・14日の2日間に渡り、当初の予定では17市1町を約180人の聖火ランナーが駆け抜ける筈でした。

しかし、2021年3月1日(月)に新型コロナウイルス感染症の感染拡大緊急事態宣言が解除されて以降、
感染者数が増加に転じ、4月5日(月)に吉村洋文大阪府知事は新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づいた
「まん延防止等重点措置」を5月5日(水)までの約1ヵ月間、大阪府全域に適用し、4月7日(水)には、
府内の新型コロナいウイルス感染症重症患者急増による医療体制ひっ迫に伴い「医療緊急事態宣言」が発出。
府内全域での不要不急の外出の自粛が呼びかけられました。同日夜、組織委は大阪府実行委員会より、
大阪府全域において公道における聖火リレーを中止し、万博記念公園内で聖火リレーを実施したい、
との要請を受け、大阪府における東京2020聖火リレーの大幅な内容変更に踏み切りました。

当日は中央口を含む万博公園の4つの入り口全てに入園規制がかけられました

リレー開催まで一週間を切るという切迫したスケジュールの中、白羽の矢が立ったのが、
吹田市に位置する日本万国博覧会記念公園(以下、万博公園)内の自然文化園・日本庭園。
本来、開催一日の13日の最終走行区間であり、セレブレーション会場に設定されていた万博公園を
公園のシンボルである巨大モニュメント「太陽の塔」を含む公園敷地内を完全に閉鎖し、
ランナー及びその家族等、報道陣及び関係者のみを入場可能とした代替策が取られました。
その公園内を太陽の塔、及びお祭り広場を中心とし、変則8の字型に1周約3㎞、
15区画のスロット(走行区間)に区分けし、169名の聖火ランナーが一人あたり約200m、
2日間総計約33kmを駆け抜けました。

DAY1の13日は堺市・東大阪市・門真市・枚方市・豊中市・池田市・箕面市・茨木市・吹田市の
9市内を走行予定であった82名が走行。その大阪府の第1ランナーを務めたのが、堺市出身で歌舞伎俳優の片岡愛之助さん。
緊張の面持ちでランナーバスから降車し、トーチへの聖火の点火を行います。

Photo by Tokyo 2020

そして午前9時15分、愛之助さんはブロック1の第一走行区間をゆっくりとスタート。
沿道の拍手に応えながらトーチを掲げ169名が走る大阪府の第1ランナーの重責を見事に果たします。

太陽の塔を背景にした報道陣からの撮影リクエストに応える寺川さん

続く第8ランナーには大阪市出身でロンドン2012大会で競泳女子100m背泳ぎと400mリレーで銅メダルを獲得した
オリンピアンの寺川綾さんが登場。太陽の塔をバックに颯爽と駆け抜けていきます。

太陽の塔脇のコースを行く聖火リレー車列

ランナーバスからの声援を受けて手を振るブロック2第16ランナーの松本小百合さん

今回の万博公園内の走行で採用されたリレー隊列は、通常、公道での聖火リレーで採用される
全長約750m、車両約30台の「親の火」隊列や、遠隔地または車両通行不可の開催地で
ランタンから点火し車両伴走を伴わない「子どもの火」のどちらの隊列でもない、
今回独自となる、ランナーバス・カメラカー・組織委車両2台・警察車両の5台隊列で走行。
およそ30名体制(沿道配置のスタッフ・警察官等を含まず)の、車両伴走を伴う隊列では最小サイズでの実施となりました。

4月3日(土)〜4月25日(日)の期間、自然文化園で開催されているチューリップフェスタの中を行く聖火リレーの一団

お手製の横断幕を手に応援するランナーの家族

伴走者と共に太陽の塔を背に駆け抜けるブロック1第15ランナーのふぅたんさん

沿道での応援模様も様々で、お揃いのスタッフジャンパーを着込んだり、手作りの横断幕を持ち込む家族や、
アイドルの応援団扇のようなグッズ、果ては全身着ぐるみなど、大声を出せない応援環境ながらも
多様な表現方法でランナーを応援しています。

ブロック1の終盤、第30ランナーとして登場したのは、池田市在住の落語家の桂分枝さん。

ブロック1第29ランナーの田中正一さんとの「新婚さんいらっしゃい!」のトーチキスポーズを披露する桂分枝さん

約50年間、池田市に住んでいる分枝さんは「小学生の時は合唱部、中学生の時は絵画部 、高校生の時は演劇部、
大学生の時は落語研究会、子供の時から全く運動神経とは無縁でした。こんな私が唯一オリンピックに参加できるとすれば、
聖火ランナーだけなのです。」というランナー志望理由を出されており、トーチキスポーズは、
2015年に同一司会者によるトーク番組の最長放送としてギネス世界記録に認定された朝日放送テレビ制作の番組「
新婚さんいらっしゃい!」のタイトルコールという分枝さんらしさ全開です。

Photo by Tokyo 2020

聖火を掲げ走り出す分枝さん。しかし、喜寿を迎えたとは到底思えないその走行速度と整ったストライドに
思わず沿道のペン記者や観覧者から驚きの声が上がります。そして先に待ち構える女性ボーカルグループ
「Little Glee Monster」メンバーのかれんさんへと聖火が受け継がれます。

走行を終えた分枝さんは記者からの走りの力の源は何なのか?という問いかけに
「大阪の梅田辺りを走ってましたね。人のいない所でトーチの代わりになる物を掲げたりして。」と答え、
また、走行しての完走を問われると「良かったです。凄く万博の景色を見る間も無かったですね。皆若い人ばかりで
多分、年齢的にも今日のランナーの中では上だし、繋ながなきゃという気持ちでいっぱいでした。
トーチキスポーズを作らないといけないんですけど、”いらっしゃい!ポーズ”どうですか?と僕から提案したら、
それをやりたかったんですって言うて頂いて嬉しかったですね。」と、いらっしゃい!トーチキスポーズの
秘話を話されました。

Photo by Tokyo 2020

Photo by Tokyo 2020

ブロック2の第1ランナーは大阪市在住のタレントのハイヒールリンゴさん。

Photo by Tokyo 2020

Photo by Tokyo 2020

そして第8ランナーには、ランニングタレントとして名を馳せる森脇健児さんが登場。

Photo by Tokyo 2020

「オリンピックとは天才が努力をしてさらに運を呼び込んでさらに神風が吹かないと出れるものではありません。」
と高校時代に陸上競技でインターハイ出場経験を持ち、あの全国大会の緊張感とお祭り感は今も忘れることは無い、と
東京2020オリンピック聖火リレーの1年間の開催延期の際にコメントを出している森脇さんは、
人一倍この聖火ランナーにかける思いがある様で、それを走りで体現し、後述の囲み取材の中でそれを話されました。

【囲み取材の様子】

各ブロックの全ランナー走行後、万博公園内某所にて囲み取材が行われました。前述のランナーのコメントを抜粋してお伝えします。

『片岡愛之助さん』

Q:大阪府の第一走者として走行を終えた感想は?

愛之助さん「今日は雨と伺っておりまして、朝方も雨が降っており「これどうなるんだろうな?雨の中を走るのかな?」と
思っておったのですけれども一筋の光が差し込んで来まして、あれっ、お日様が出て来た!晴れるんじゃないかな?と思ってから
見る見る内に晴れてきまして、その晴れた中で皆さんに聖火の火を繋げられて嬉しく思っております。」

Q:本来の走行場所と異なる上、一般無観客での聖火リレーではあったが、気持ちの面で寂しさを感じたか?

愛之助さん「本来ならば、やはり地元の堺を走りたかったんですけども、今回それが叶わなかったので、
堺を感じながら走らせて頂きました。このご時勢ですからね。大阪も(感染者数の急増で)大変な事になっておりますので。
やはり、この私達が走らせて頂く事により、東京2020オリンピック・パラリンピックをやると
決めた以上は皆でそこへ向かって一丸となり、良い形で成功をさせたいたいじゃないですか。
それを願いながら走らせて頂きました。」

Q:聖火リレートーチの重みは感じたか?

愛之助さん「最初、見た目も凄く美しいですし、意外と軽いのかな?と思ったら、
実際、本当に重いんですね。女性の方なんか大変じゃないかなと思ったんですけれども、
部材の重みだけではなく、歴史やギリシャからずっと伝わって来た聖火を受け継ぎ、
そして今回はそれを繋ぐという意味のある聖火ランナーですから、色々な重みを感じましたね。」

Q:他の聖火ランナーとの交流はあったのか?

愛之助さん「非常に嬉しかったですね。最近、人との交流というのがやはり少ないので
そういう意味では皆さんとお話が出来て良かったです。実はこの聖火リレーのランナーに
本名(片岡寛之)で応募をさせて頂きまして、それで当選をしましたというお話を頂けたので、
今日は片岡愛之助ではなく、片岡寛之で走らせて頂きました。」

Q:最後に聖火ランナーとして大阪府民へのメッセージを

愛之助さん「今日、私が走らさせて頂いて、沢山の方にパワーを頂きましたし、
パワーといえば、先日、プロゴルファーの松山秀樹さんがマスターズ・トーナメントで優勝をされて、
水泳の池江選手も白血病からの復活と、やはりスポーツというのは沢山の「頑張れ!凄いな!」
という前向きなパワーを頂けるじゃないですか。それが東京2020大会につながっていくと思いますので、
そういう意味では、やはり皆さんの心を一つにして、良い形でオリンピック・パラリンピックが出来る様に
向かっていければ良いんじゃないかなという気持ちで、今日自分も走らせて頂きました。」

『寺川綾さん』

Q:走行を終えての率直な感想は?

寺川さん「先ずはどんな形であれ、この様に聖火リレーが行われた事に対して感謝の思いでいっぱいですし、
一オリンピアンとして、オリンピックに出場するのとはまた違った形でオリンピックに関わらせて頂いて嬉しいです。

Q:コロナ禍という事も有り、本来の走行場所ではない、万博公園での走行となったが?

寺川さん「勿論、沿道にお客さんが沢山居ないというのは、寂しさもあるんですけど、
でもライブストリーミングやニュースの映像を通して沢山の方がこの瞬間を
見て下さっていると思うので、皆が思うような形では無かったかもしれないですけども、
出来たという事実が本当に素晴らしいなと思います。

Q:今日は誰の顔を思い浮かべながら走ったのか?

寺川さん「あまり顔は浮かぶ事はなかったんですけど、この皆で繋ぐ聖火が国立競技場に灯る日が
来るんだなと思って、ちょっと感慨深い気持ちでした。

『ハイヒールリンゴさん』

Q:走行を終えての感想は?

囲み取材に臨むハイヒールリンゴさん。囲み取材前に行われたランナーブリーフィングにて、
森脇健児さんと共に組織委スタッフの頑張りを称え、思わずスタッフが涙ぐむ場面も

ハイヒールリンゴさん「私、そんな事はないだろうと思っていたんですけど、感動してしまいました。
最後にトーチキスをして次のランナーの方に聖火を渡した時には本当に感動しました。」

Q:聖火ランナーとしての実感が湧いた感じか?

ハイヒールリンゴさん「そうですね、実感というか、世界の祭典に参加できているんだという。」

Q:繋がれていく実際の聖火を見ての印象は?

ハイヒールリンゴさん「思っていたよりも大きい炎やったんですよ。ニュースで聞いている話とかでは、
そんなに気安い物なのかと思っていたんですけど、本当にしっかりした炎で感動しました。」

Q:今回は万博公園での無観客開催だが、やはり地元枚方で走りたかった?

ハイヒールリンゴさん「思っていましたけど走ったら一緒でした。枚方ですけど大阪出身でもあるし、
大きな意味で言ったら大阪に育てていただいているし、伏見隆枚方市長が沿道で応援をして下さっているのを見て、
枚方や、と思いました。沢山の方に見て貰えたら嬉しかったですけど、これはこれで一つの
「大阪モデル」として、全国の密集地を走る都道府県がこれからも有ると思うんですが、
こういう形でもランナーには十分、感動があるし、少ないですけど、沿道に来られた方は感動してくださって、
走り終わったランナーバスの中は仲良くなっていて、皆で写真を撮ったりとか、
同じ事をやり遂げた仲間みたいな、凄い連帯感が生まれるものだなと思いました。」

Q:どんな気持ちで200mを走ったのか?

ハイヒールリンゴさん「私ブロック2の第一走者だったので、ランタンから聖火を貰うじゃないですか。
その聖火を貰った時に”お笑いの血”で一回、コケようかなっと思ったんですよ。
でもそれをさせる空気では無かった。それをしたらあかん空気があって本当に神聖な感じで。
でも走る時は楽しんでいました。ちょっと速すぎる位。スタッフの皆さんが何よりも凄いと思って、
こんなに急な変更なのにここまでやられて。私に感動をくれたのは聖火もそうですけど、
やらなきゃいけない事をちゃんとやってくれたスタッフも感動をくれたと思います。」

『森脇健児さん』

Q:走行を終えての感想は?

森脇さん「いやぁ、緊張しましたね。これは緊張しました。200m弱だったと思うんですけども、
1年間延期されたのと、枚方市を走る予定が急遽、こういう形になったという事で。
一瞬、諦めたんですけども、スタッフが努力して頂いて万博公園を走らせて貰えるという事で
走れる事に感謝しかなかったですね。今日は凄い大役だなと思いましたね。」

Q:どんな事を考えながら走ったのか?

森脇さん「僕ね、実は東京2020オリンピックに母校の洛南高校の陸上競技部の後輩、
丸尾知司選手が50km競歩の日本代表に決まりまして、100mリレーで桐生祥秀が
オリンピック出場を決めていますけども、後輩が出る東京2020オリンピックですから、
そういう意味でも僕もこういう形でオリンピックに参加出来て、感無量でしたね。
しかも万博って言うたら、中学の時の陸上競技の大会はほぼ万博陸上競技場でしたから、思い出の地ですから。」

Q:聖火の重さは感じたか?

森脇さん「いやぁ~、重かったですね。もう、これが聖火か!と。ギリシャから来たやつかと。
今僕は東京オリンピックの聖火ランナーをやっているんだと、何度も何度も叫びながら
走らせて貰いましたね。これが聖火ランナーかと。」

Q:森脇さんでも緊張はされたのか?

森脇さん「緊張しましたね~。やっぱりスタッフがここに至るまで凄い努力があったと思うので、
ここはキチッっとほんの200mかも分からないけど繋げないと、僕の中では、この200mは、たかが200m、
されど200mでしたね。観客も無観客という事で、本来ならばという事やったんですけど、
でも、今回は走らせて頂く事に感謝しかなかったですね。中学で陸上競技部に入った時の
枚方一中の監督が言っていた言葉ですけどね。」

Q:無観客という事で寂しいと思った部分はあったか?

これまでの思いが込み上げてきたのか、カメラも憚らず目に涙を浮かべる森脇さん

森脇さん「それよりも感動でしたね。走りながら涙が・・・・・・(声を詰まらせながら)よくやってくれたなと思いましたね。」

Q:聖火リレーの中止という話も出たりした中、こうして大阪府の開催に辿り着いて踏み出した一歩は感慨深いか?

森脇さん「1年間待ちましたから嬉しかったですし、トーチの重みは凄かったですね。オリンピックに僕は憧れていましたからね。
中学・高校と箸にも棒にもかからない選手で全然出れませんでしたから。でもこういう形でオリンピックに関われて凄く嬉しかったです。」

Q:最後に東京2020大会への期待は?

森脇さん「世界に向けて東京オリンピックが成功して、今色々な意見が有ると思いますけども、
僕は大成功を願っていますね。オリンピックはずっと指導者も関係者も選手も夢で、これに向けて
ずっとやってきたと思いますから、全世界の選手達に頑張ってもらいたいと思いますね。」

大幅な開催内容変更を伴った開催20日目の大阪府の聖火リレー、日本中が注目しています。

 

【東京2020オリンピック聖火リレー大阪府 開催概要】

東京2020オリンピック聖火リレーの公式サイトはこちら

<日時>
2021年4月13日(火)9:15スタート
2021年4月14日(水)10:00スタート

<会場>
日本万国博覧会記念公園

<ランナー数>
169名(内車椅子ランナー8名。介助者を除く)

<走行距離>
約33㎞(2日間合計)

©Tokyo 2020

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