東京2020オリンピック聖火リレー いよいよスタート!
東京2020組織委員会(以下、組織委)は、2021年3月25 日(木)、東京2020オリンピック聖火リレーの
グランドスタートセレモニーを福島県ナショナルトレーニングセンターJヴィレッジで実施しました。
2020年3月20日(金・祝)に宮城県東松島市の航空自衛隊松島基地に聖火が到着してから1年と5日、
遂に121日間に渡る、日本全国47都道府県を巡る約1万人の聖火リレーがスタートしました。
第5区間いわき市、第11区間南相馬市と合わせ、当日の様子をお伝えします。
【東京2020オリンピック聖火リレーグランドスタートセレモニー】
2020年3月12日(木・現地時間)にギリシャ古代オリンピア市のヘラ神殿で採火され、
ギリシャ国内聖火リレーを経て日本に引き継がれ、3月20日(金・祝)に日本に到着した東京2020オリンピック聖火。
その後、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、3月24日(月)に東京2020大会は1年の延期が決定されました。
その間、聖火は灯り続け、2020年11月から2021年3月にかけて全国14道府県で展示が行われ、
出発の地、福島県双葉郡樽葉町のJヴィレッジでのグランドスタートを迎えました。
会場となったのは、Jヴィレッジ内の全天候型練習場。当初の予定ではこの練習場に隣接している屋外フィールドの
9番ピッチがグランドスタートセレモニーの会場となる予定でしたが変更に。
コロナ禍前のプランでは、関係者や報道陣の他に地域住民や地元の小学校に通う児童等、一般参加者を含め
3000人を超える大規模な式典となる予定でしたが、新型コロナウイルス感染症対策として、
来賓も含め、都内から現地に向かう関係者の数を大幅に削減し、セレモニーのプログラム・出演者についても
縮小簡素化。一般観覧者を入れず、約160名の関係者のみでセレモニーが行われる事となりました。
『福島県オープニングパフォーマンス』
グランドスタートセレモニーの開催に先立ち、午前8時30分より県主催のプログラムとして、
福島県オープニングパフォーマンスが行われました。
福島県を代表する国指定重要無形民俗文化財である相馬野馬追(標葉郷騎馬会)12名による法螺貝の演奏。
太鼓祭北日本大会で4連覇を成し遂げ、和太鼓日本一を決める全国大会でも好成績を収める名門
會津田島太鼓保存会「白鼓」16名による、練習場が音圧で振動する程のド迫力の和太鼓とお囃子の演奏。
いわき市常磐地区に位置する温泉レジャー施設、スパリゾートハワイアンズより、
2011年5月から10月にかけて「フラガール全国きずなキャラバン」を展開し、
日本中に笑顔を届けたダンシングチーム「フラガール」11名による豪華なフラダンス。
県内唯一のデザイン科学科である福島県立福島西高等学校デザイン科学科10名による作品披露。
そして、南相馬市立原町第一小学校のマーチングバンドが前身の小学生から大学生までの
マーチングバンド「Seeds+(シーズプラス)」27名によるパワフルな演奏とフラッグパフォーマンスが。
以上、東京2020オリンピック聖火リレー延期前に出演を予定していた5団体が約25分間に渡って
ステージパフォーマンスを行いました。
『グランドスタートセレモニー』
そして午前9時よりグランドスタートセレモニーが始まります。
最初にオリンピック賛歌、国歌「君が代」の斉唱ですが、新型コロナウイルス対策の為、清聴となりました。
次にセレモニー登壇者の挨拶が
最初に主催者を代表し、橋本聖子組織委会長から。
橋本会長「約1年前、ギリシャのオリンピアで採火された聖火は日本へと繋がれました。この一年間、
世界中が困難な状況となる中、聖火は静かに、しかし力強く灯され続けました。
暗闇の先の一筋の光として正に希望の道を繋いで行く事を願っております。日本全国の皆さんの思い、
そして世界の人々の平和への願いを乗せて121日間の旅路へと出発いたします。第一聖火ランナーは
2011年サッカーワールドカップで優勝し、被災地に大きな希望を届けて下さった「なでしこジャパン」の
チームのメンバーです。今日出発する聖火が、7月23日、日本と世界の皆さんの希望が詰まった大きな光となって、
国立競技場へ到着する事を祈念し私の挨拶と致します。」
続いて来賓挨拶として政府を代表し、丸山珠代東京オリンピック競技大会・パラリンピック競技大会担当大臣の挨拶。
丸山大臣「本日、いよいよここ福島から聖火が走り出します。ここJヴィレッジはかつて原発事故の対応拠点でした。
今はサッカーの聖地として復活を果たし本日、聖火リレーのスタートを迎えました。
私達はこのJヴィレッジの様に未曾有の大災害から復興を成し遂げつつある被災地の姿を力強く発信し、
復興オリンピック・パラリンピックとして世界中に希望と勇気をお届けする最高の大会にしたいと考えております。
本日より聖火は希望の灯火として日本全国47都道府県、854市区町村を巡り7月の開会式まで繋がっていきます。
この聖火が人々の心を繋いで大会本番を迎えられます事を心から願っています。」
次に開催地の東京都を代表して小池百合子東京都知事。
小池都知事「東日本大震災から10年が経過いたしました。今回の大会の原点は「復興オリンピック・パラリンピック」でございます。
そして、復興なくして大会の成功なし。この思いの下におきまして東京都はこれまでも被災地の復興支援に
のべ3万人の職員を送り、また、大会の開催準備に取り組んでまいりました。災害を乗り越え、一昨年の四月に
全面再開を致しました、ここJヴィレッジは正に復興の象徴言えましょう。ここから始まります聖火リレーが
国民の皆様方のご協力によりまして、安全に全国を周って大会に向けた希望の道となって復興を更に加速させ、
コロナ禍からのサスティナブル・リカバリーの一歩に繋がると確信しております。」
最後にグランドスタートの地、福島県を代表し、内堀雅雄福島県知事からの挨拶が。
内堀知事「福島の復興のシンボルであるここJヴィレッジから聖火リレーがスタートをする事は、
復興に向けて挑戦を続ける県民を大いに勇気づけてくれます。東日本大震災と原発事故から10年が経過をする中、
今も尚、多くの県民の皆さんが避難生活を続けておられます。避難地域の復興再生、被災者の生活再建、
根強く残る風評と加速する風化の問題など、様々な重い課題を抱えており、本県の復興は途上にあります。
こうした中開催される聖火リレー、そして復興五輪は私達福島県民にとって特別な物です。
「世界中に方々に元気な姿を見せて恩返しがしたい」、これは聖火ランナーに選ばれた本県の若者の言葉です。
私達の復興の歩みはどんな困難も乗り越えられる、という力強いメッセージとなって、聖火を希望の灯火として輝かせます。」
登壇者の挨拶が終わると、合唱王国福島を代表し、2019年の第72回全日本合唱コンクール全国大会で
日本一の文部科学大臣賞を受賞した郡山市立郡山第五中学校と、金賞を受賞した
郡山市立朝日が丘小学校の児童25名によるNHK制作の東日本大震災のチャリティーソング「花は咲く」の合唱が行われます。
「花は咲く」の合唱後は聖火の入場。
お笑いコンビのサンドウィッチマンの伊達みきおさん・富澤たけしさんを先頭に女優の石原さとみさん、
射撃のパラリンピアンである田口亜希さん、柔道のパラリンピアンの野村忠宏さんの4人の
東京2020聖火リレー公式アンバサダーが入場。伊達さんの手には1年前に松島基地へと到着した聖火が納められたランタンが。
各アンバサダーより挨拶が述べられます。
伊達さん「今日、こうして聖火リレーの出発式という事ですから、東京2020大会をやるという事でございますのでね、
東北の被災地も聖火リレーで周ります。是非、綺麗になった被災地も見て頂きたいですし、まだ立ち入る事も
出来ない所も実際にございます。そういった所も素直に見て頂きたいなと思います。そして世界中の方々に
感謝の気持ちを込めて我々は被災地を走りたいなとおもいます。」
富澤さん「今日、森さんは居ないのかな?」
伊達さん「森さんはテレビで見ていると思います。」
富澤さん「今日をきっかけに東京2020大会をやるんだという気持ちに火が点けば良いなと思います。」
伊達さん「日本代表のアスリートを皆で応援しましょう。」
石原さん「今回、一年ぶりに聖火ランナーの皆さんから今のお気持ちを伺いました。筋肉の病気と戦っているランナーの方は
リレーの日は必ず自分の手でトーチを掲げるんだと決意されていました。また、ある方は「自問自答の一年だった。
だからこそ自分の気持ちが定まった状態で走れるのは楽しみだ」と仰っていました。また、ある方は、
「母の命日が走れる日になった。意味が有る事だから恩返しが出来る様に頑張りたい」と語っておられました。
他にも多くの方が今の気持ちを伝えて下さいました。聖火リレーに対する意見や願いは様々で良いし、決断は間違い無いと私は思っています。
でも一つ思うのは、目標があるという事は生きる希望になるんだ、と。ランナーの方達だけではなくて、
多くの方が目標を持って、明るく前向きに生命力を高めて生き抜いていって欲しいなと心から思います。」
田口さん「今日、この福島から聖火リレーがスタート致します。聖火リレーは、聖火だけではなく、皆の思いが
込められていくものだと私は思っています。7月23日、オリンピックスタジアムで皆様の思いと希望が込められた
聖火が灯る事を私は楽しみにしています。」
野村さん「昨年3月20日、宮城県の松島基地で私自身がギリシャから届きましたこの聖火を手にし、
素晴らしい聖火到着式を迎える事が出来たんですけども、コロナ禍で一年の延期となりました。
しかし、多くの方の尽力の御蔭で今日この様に素晴らしい素晴らしい形で聖火リレーのグランドスタートを
迎える事が出来て本当に嬉しく思います。オリンピックのシンボルであり、希望と平和の象徴でもある
聖火が多くの皆さんの心・気持ち・希望、本当に色んな物と共に繋がれていって7月23日に
東京2020オリンピックの開会式で灯され、多くの笑顔や希望と夢に繋がっていったら幸せだなと思います。
スポーツの力を信じて我々も頑張っていきますので心を一つに一緒に進んでいきましょう。」
続いてランタンから点火棒へと移された聖火が石原さんと田口さんによって聖火皿へと点火されます。
そしてステージ上手より、約1万人に及ぶ聖火ランナーの最初の走者であるグランドスタート聖火ランナーを務める
サッカー日本女子代表 FIFA女子ワールドカップドイツ2011優勝チーム「なでしこジャパン」のメンバー15名が
当時、彼女等を率いた監督であった佐々木則夫さんを先頭に入場。
ランナーを代表し佐々木さんから挨拶が。
佐々木さん「2011のなでしこジャパン、チーム一丸となってやってまいりました。本日、東京2020オリンピック・パラリンピック、
そして国立競技場へ聖火を、希望の光を届けたいと思います。日本の皆さん、チーム一丸となって頑張ってまいりましょう。
みんな、スタート頑張るぞ!おーっ!」と、気合十分なランナー一同。
聖火リレー公式アンバサダーの野村さんよりランナーを代表し石清水梓さんへと、聖火リレートーチが授与されます。
そして聖火皿より岩清水さんの手により聖火リレートーチへと1年の時を経て聖火が点火され、時刻は9時42分。
いよいよ121日間、日本全国を約1万人のランナーで繋ぐ、東京2020オリンピック聖火リレーがスタート。
グランドスタート聖火ランナー16名が岩清水さんを先頭に列をなし、関係者やオープニングパフォーマンスを終えた
出演者に見送られながらステージを後に一路、トーチキスポイント(聖火受け渡し)までの約200mを走行します。
全天候型練習場を出たなでしこジャパンは福島県内スポーツ少年団等子供達の応援を受けながら
大きなV字陣形をとりながら最初のトーチキスポイントへ。待ち構えている第一区間第2スロットのランナー、
地元出身の高校1年生の大和田朝斗さんと岩清水さんがトーチキスを成功させ、グランドスタートは無事終了しました。
最後に東京2020聖火リレー公式アンバサダーの面々より感想が述べられます。
富澤さん「(一年前の)石巻の時は本当に消えちゃったんだよね?」
伊達さん「消えちゃったって言うな!室外だったから2回程ね。あんなに(ランナーが)ゆっくり走るんだなって思いました。
でも楽しみですね。全国の方が聖火を観たいと思いますので、是非、しっかり見せながら走って頂きたいと思います。
テレビやインターネットで中継されていると思うので、そういうのでも見て頂ければと思います。
被災地の様子が伝わるのを凄く僕等は期待しています。全てを見て頂きたいですね。本当に世界中から沢山協力を
していただきましたので。」
石原さん「天気が良くて良かったです。本当に晴れやかな気持ちでスタートされたのかなと思いますし、
直接見れなくても、どういう気持ちで走っているのかという思いが画面越しでも絶対に伝わるので、
是非皆さん、何かあった場合は一時中断や止まったりしても良いと思うんです。
でも、それでも最後まで灯をを灯し続け、繋いでいく事に意味が凄くあると思うので、
その両立を世界の方に見て頂きたいと凄く思いますね。」
田口さん「私達は今まで何回も聖火のトーチを見てきましたが、本当に聖火が点いたのを初めて見ましたので、
ここで先ず、石原さんと聖火を灯した時に暖かくなりまして、火の暖かさもありますけど、
心のこもったギリシャからの思いが届いたんだなと凄く伝わってきたんですね。
是非、福島から駆け抜けていって、日本全国各地に暖かさを繋げていけたらと思います。」
野村さん「本当に待ちに待ったスタートでなでしこジャパンの皆さんが聖火が灯ったトーチを持って走られる姿を
見ている我々も誇りに思うというか、背筋がピンと伸びて感動が湧いてくるような気がしました。
実際に走られる時にランナーの皆さんは色々な思いが有ると思います。勿論、コロナの収束も願い、
大会の成功も願い、平和を願い。それは走られる方の表情に出てくるんですよね。
それは聖火リレーを応援して下さる皆様も走るランナーの表情を見ながら、夫々の思いが
7月23日へと繋がって、素晴らしい東京オリンピックの成功を願いたいなと思います。
開催を信じて頑張っているアスリート達の素晴らしいパフォーマンスを心から応援して欲しいなと思います。」
【DAY1 第5区間いわき市】
午前9時40分にJヴィレッジを出発した聖火リレー。午前中に双葉郡の樽葉町、広野町、川内村を走行し、
迎えた第5区間はいわき市の市営いわき陸上競技場からスタート。
場内の観戦スタンドには事前応募に当選した約500人の観覧者がソーシャルディスタンスを取った座席位置から
ランナーの登場を待ちわびます。
午前11時過ぎよりピッチに設けられたステージにて行われたスタートセレモニーでは
和太鼓の演奏や聖火ランナーと併走する市内のスポーツ少年団、福島県立平支援学校の生徒ら20名の紹介などが行われました。
その第5区間の第一スロット(※ランナー走行区間)を走るのは、お笑いコンビ「南海キャンディーズ」の
ボケ担当で2006年に公開された常磐ハワイアンセンター誕生を描いた映画「フラガール」に
フラガールを目指す炭鉱の娘、熊野小百合役で出演した女優のしずちゃんこと山崎静代さん。
「私は、2006年に常磐ハワイアンセンター(現:スパリゾートハワイアンズ)を舞台にした映画
『フラガール』に出演し、日本アカデミー賞で新人俳優賞を受賞しました。撮影中は厳しいダンスのレッスンで、
肉体的にも精神的にもとてもつらい日々でしたが、たくさんの福島の人たちに支えてもらいました。
その後、2011年3月11日に東日本大震災が発生。「第2の故郷」であるいわき市が、地震・津波に加え、
原子力発電所事故、さらには風評被害の四重の複合災害に苦しんでいる姿を目の当たりにし、
「今度は自分が少しでも福島の人たちの役に立ちたい」、「『フラガール』で温かく助けていただいた恩返しをしたい」との思いで、
炊き出しやいわき市産農産物のPRをしたり、さらには、ルミネTHEよしもとでチャリティー募金活動を行うなど
自分にできることでお手伝いさせてもらいました。東日本大震災から10年の節目の年を前に、
私が福島県を聖火ランナーとして走行することで、「第2の故郷」いわき市の復興した姿を
全世界に発信できればと思いますし、お世話になった皆さんへの恩返しにもなればと考えています。」
という意気込みを聖火ランナーの志望理由に挙げている山崎さん。
控え室より山崎さんが登場するとスタンドから暖かい拍手がおくられます。ステージに登壇し、サポートランナーの子供達に囲まれる中、
「福島の方々が選んで下さってメチャクチャありがたいです。私は14年前に「フラガール」という常磐ハワイアンセンター、
今のスパリゾートハワイアンズが出来るきっかけとなった映画をいわきで撮影させてもらって出させて頂いたんですけど、
そこからずっといわきに呼んで頂き、第二の故郷と思わせて頂いています。この私が聖火ランナーをやらせてもらえるなんて
一生に一度も絶対に無い様な事なので、本当に精一杯楽しんで皆さんと走らせて頂きたいと思います。」と笑顔で嬉しそうな山崎さん。
山崎さんがステージから降壇し、サポートランナーの子供達と一緒にスタート地点に着くと、聖火が灯された
ランタンが競技場内に登場。清水敏男いわき市長の手により、ランタンから点火棒に火を移し、山崎さんのトーチに点火を完了。
時刻は12時9分、市内中に聖火の出発を告げる8発の音花火の号砲が競技場内に響く中、トラックの第2レーンを
スタンドの観覧者からの大きな拍手に答えながら、颯爽と山崎さんが笑顔で第一スロットを駆け抜けていきます。
そして山崎さんらが向かうトラックのゴール先にで待ち構えている第二スロットのランナーは、
東京2020オリンピック聖火リレーサポーティングパートナーである全日本空輸株式会社代表取締役社長の平子裕志氏。
「航空会社の最大の魅力であり使命でもあるのは、人やモノの移動をお手伝いすることです。2011年の11月は
「福島復興応援フライト」と称して小学生に遊覧フライトを楽しんでいただくなど、自然災害によって
被害を受けた地域の復興支援活動を始め、これまでも地域創生について積極的に取り組んできました。
福島空港を発着する航空便を通じてこれからも福島県の魅力を多くの方々に届けられるようにいたします。」
と、意気込みを語られた平子社長。山崎さんとのトーチキスを一発で成功させ、山崎さんとスタンドからの応援を背に
陸上競技場を後にし一路、市中心街へと向かって出発。
その後、予定には無かった山崎さんとサポートランナーの子供達、及びステージ登壇者の写真撮影が行われていました。
【DAY1 第11区間南相馬市】
いわき陸上競技場を出発した聖火はその後いわき市内を完走し、富岡町、葛尾村、双葉町、大熊町、浪江町を巡り、
迎えた福島県DAY1の最終区間である第11区間となったのは南相馬市。
16時40分に南相馬市役所を出発した聖火は区間内の10スロットを19人の聖火ランナーによりリレーがなされ、
この日のセレブレーション会場(ゴール地点)である雲雀ヶ原祭場地へとやってきます。
1000年以上の歴史を誇り、国の重要無形民俗文化財に指定されている毎年7月に行われる相馬地方の平和と安寧を祈る神事、
「相馬野馬追」が行われる雲雀ヶ原祭場地に設けられた会場には事前応募に当選した約490人の南相馬市を中心とした
福島県民の観覧者が集い、お祭りのような雰囲気に。
東京2020オリンピック聖火リレープレゼンティングパートナー4社を中心に自治体や各団体が場内にブースを展開。
サンプル品の配布や様々な体験が出来るブースが来場者を楽しませます。
セレブレーションステージでは聖火ランナーの到着前に相馬野馬追執行委員会による騎馬武者による出迎えと、
Jヴィレッジでの福島県オープニングパフォーマンスで行われた法螺貝の吹奏が行われ、場内の雰囲気を盛り上げます。
17時を少し回った頃にランナーバスにて雲雀ヶ原祭場地に現れたのは、福島県DAY1の最後11区間第11スロットのランナーを務める、
レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップでアジア唯一の参加選手で2017年に年間総合優勝を納め、
2019年の最終戦千葉で見事優勝を勝ち取り、同年にその功績を称え県民栄誉賞を受賞した、アクロバティックス・パイロットの室屋義秀さん。
大空にプロペラ機でスマイルマーク(ニコちゃんマーク)を描く取組「Fly for ALL #大空を見上げよう」をこれまで
全国で行ってきた室屋さん。2021年3月23日(火)にも栃木県内の8箇所において快晴の空にスマイルマークを描き、
多数の人々を笑顔にした事でも話題となりました。
トーチキスポイントに着くやいないや、20名のサポートランナーと記念撮影に勤しむ室屋さんの旺盛なサービス精神に
テンションが上がる祭場地入り口付近。
そして17時9分、南相馬市の第10スロットのランナーであり、東京2020聖火リレートーチの桜の花型のデザインの
原型となった桜の絵を描いた地元中学生の早坂優一さんが祭場地へと到着。
早坂さんから推奨トーチキスポーズを行って聖火を受け継いだ室屋さんは
121日間の全行程中、福島・愛知・東京の3都県のみ使用(予定)される通常のLPガスを使用した
聖火トーチの代わりに水素を燃料とした特殊聖火リレートーチを手に、20機の騎馬隊がセレブレーション会場の
リレールートの両脇で出迎える中、サポートランナーを従え、セレブレーションステージへと高くトーチを掲げながら走ります。
観覧エリアの応援を受けながらステージへと到着し聖火皿へ一発で点火を成功させた室屋さんに
この日一番の大きな拍手がおくられ、およそ100人のランナーで繋がれた121日間の聖火リレーの最初の一日が終了しました。
【囲み取材の様子】
グランスタートセレモニー終了後、そしてセレブレーション会場でのステージ終了後に囲み取材が行われました。
【なでしこジャパン】
Q:およそ10年ぶりにメンバーが集まり、グランドスタート聖火ランナーを務めた感想は?
佐々木さん「本日、海外でプレーをしている選手、ならびに澤選手が聖火リレーの第一走者として
思いもあったんですが、その彼女達の思いも含めて皆で走らせて頂きました。
ここJヴィレッジはなでしこジャパンの聖地でもあり、そして福島県の復興の証のような施設でもあると思います。
そんな所からスタートをきれるという、そしてこれが日本の皆さんの心や思いも含めて、
なんとかこの聖火の灯火を国立競技場まで無事に届けて頂ければと願っております。」
岩清水さん「数多くの先輩がいる中でトーチを持つという大役を務めさせて貰って本当に恐縮でしたし、
大変に光栄でした。岩手や東北の皆さんに喜んでもらえたら嬉しいなと個人的には思っていて、
10年ぶりに皆と再会が出来た事に話が盛り上がり、とても楽しい時間を過ごせたので、
凄く素敵な機会を設けさせて貰って嬉しかったです。」
丸山桂里奈さん「今日は、なでしこの皆さんと一緒に走れたのは凄く嬉しかったのと、私は福島が第二の故郷だと
思っているので、走った時に私の感謝の気持ちを伝えたら、福島のアスファルトもそれを受け取ってくれて、
なおかつ、なでしこの皆さんとも”足の裏”が凄い繋がってもっと厚い絆が出来たと思います。」
高瀬愛実さん「凄く緊張しました。久しぶりに先輩方に会って、本来なら岩淵が居て、彼女が最年少だったんですけど、
30歳で最年少を経験する事も中々無いので、そういう緊張感を持ちつつ、この大役を務めさせて頂いたのはとても嬉しかったです。」
Q:24日の前日会見で10年ぶりにミーティングをして臨みたいと話されていたが、今日は事前に何か話したのか?
佐々木さん「走り方は私が指示しようと思ったんですけど、関係者の指示に従わなければならなかったので、
その様にさせて頂いて、コメントの際に最後の締めで皆で声を掛け合うという所を一応皆でミーティングを
したんですが、私がすっかり忘れていまして、後ろからの指示の下にやらせて頂きました。」
Q:復興五輪と言われている今大会だが、復興にむけオリンピックが果たす役割とは?
また、今回のランナーフォーメーションはどうやって考えたのか?
佐々木さん「我々も2011年の東日本大震災の時にドイツでのW杯にいけるかどうか、という事もあったんですが、
皆さんからしっかりと応援をしていただいて、選手達も本当に日本への思いというもの、
そして被災地への思いというもの、それをしっかりと受け止めて、皆頑張って何とか優勝にこぎつけられました。
そういった意味では、競技者もこういった状況の時にスポーツの力というものが、ファイトが湧きまして、
その表現者である選手達が日本の皆さんに元気を送るという事があった。そういった事がスポーツの力であったと
確かに思います。このコロナ禍、そしてまだまだ復興半ばの東日本の皆さんにも必ずや元気と勇気を送ることは
間違いないと私は信じています。それを選手達が2011年に与えた事だと思います。日本だからこそ出来る
東京2020オリンピック・パラリンピックに成って頂ければと思っております。
スポーツの力を何とか表現するにあたり、日本全国の皆さん是非応援を宜しくお願いします。
そして規範の下にオリンピックを成功させましょう。フォーメーションについては、ランナーのメインは
勿論選手達ですので、僕自身は後ろからそっと後押しをするという意味で最後尾になったんだと思います。」
Q:震災発生時、東京電力女子サッカー部マリーゼの選手であり、原発事故で
活動自粛となった自身の経緯を踏まえ、今、Jヴィレッジで聖火ランナーとして走った思いは?
鮫島さん「マリーゼ時代に5年間福島で過ごしたんですけども、その期間は本当に毎日の様に
ここで仲間達とボールを蹴って走っていました。また、なでしこジャパンの活動としても
多くの期間をこちらで過ごさせて頂いた、本当に思い入れのある場所なので、
そこを希望の光の聖火ランナーのスターターとして走らせて頂けた事が非常に光栄に思いますし、
また、今中々明るいニュースが無い中で、それがポジティブなニュースとして広がっていったら
良いなという思いがあります。」
【丸川珠代オリ・パラ担当大臣】
Q:グランドスタートセレモニーに政府代表として出席しての感想は?
丸川大臣「一年間の延期、そしてコロナ禍での聖火リレーというこれまでにない聖火リレーのスタートセレモニーが、
今、無事に行われました。政府としては、これからも感染対策に万全の支援をして、安全安心な大会にむけて
先ず、聖火リレーでしっかりとコロナ対策が取られているという事を国民の皆様に御理解頂ける様に
しっかりと取り組んでまいりたいと思います。本当にこの日まで沢山の皆様がこの大会の実現の為に
御尽力をして下さったという事、このJヴィレッジも復興のシンボルとして皆様に受け止められている中で
無事にスタートを迎えられた事を本当に感謝の思いでむかえさせて頂きました。
今日、これから121日間がスタートする訳ですので、残り120日の間、しっかりと大会を無事に安心して
迎えられるという気持ちを国民の皆様に持って頂きたいと思います。」
Q:聖火リレーが始まる事により、国内の東京2020大会を巡る空気や機運がプラスの方向になるという期待はあるか?
丸川大臣「聖火を見て頂いて、皆様の受け止めが希望を感じて頂けるものに成れば大変ありがたいと思います。
私自身も、トーチに火が点いたのは初めて拝見をしました。聖火はトーチに灯って、はじめて聖火なんだな、と
実感いたしました。そしてこれを一人一人リレーをして下さる方夫々の思いが灯火によせられていくのだと思います。
これが重なる事によって大会を迎える気持ちというのが、国民の皆様の中で次第に盛り上がっていくというのを願っております。」
Q:今日の印象的な赤い衣裳を選んだ理由は?
丸川大臣「日の丸の赤、という思いで着てまいりました。福島県はまだまだ復興の途上ですが、
福島からスタートするという喜びの思いも込めました。世界の人達にこの道のりを見て頂く上でも
今日は大事な日だと思います。」
【室屋義秀さん】
Q:先ず、走り終えての感想を
室屋さん「トーチを持って走るという事は知っていたんですけど、これ程、沿道の皆さんと一体感があって、
盛り上がって。また一緒に走らせて貰ったサポートランナーの皆とチームワークがあって、とても楽しかったです。
Q:20機の騎馬隊と約490人の来場者が出迎える中を走った気持ちは?
室屋さん「最後のセレブレーション会場を走らせて頂いたので、本当に多くの人と世界的に有名な相馬の野馬追、
そういう所を世界中の人に見て頂いて、とても盛り上がる中は走らせて頂いて良かったですね。」
Q:DAY1最終走者という事で通常のLPガストーチに代わり水素トーチが使用されたが、掲げた重みを含め手にした観想は?
室屋さん「浪江町にある水素ステーションは世界最大の規模のものが出来上がりましたよね。今も浪江町は
厳しい状況な部分が多いと思うんですけども、そういった世界一のものも生まれて来て、これから新しい時代が生まれる
インフラは整って来ているんだと思います。特にこれから原発周辺の自治体というのは震災から10年経ったこれからが
本当に復興が進んでいく時期だと思います。我々も出来る事は協力していきたいと思っています。」
Q:以前、福島の地で受けた恩や人々の顔を思い出しながら走りたいと話されていたが、それは出来たのか?
室屋さん「我々が活動しているのは福島県の皆さんの御蔭ですし、”チーム福島”として世界に挑戦をし、
世界一を獲って来たというのもあるので、今日の聖火ランナーのスタートも福島の勝利だと思います。」
Q:空を舞台とし、福島県民や国民を笑顔にして来た自身が今日、ランナーとして陸上を走って福島の人達に伝えられたと思うものは?
室屋さん「私から何か伝える事は、実は無いかな…と思っているんですけど、福島県民って、
これだけ厳しい状況から復興して来たので、皆、本当に強いハートを持っていると思います。
これから基礎復興が終わったので本当に良い時期に入ってくると思うので、これから皆で楽しんでいけたら良いなと思います。」
Q:そういったキッカケに今日の聖火リレーのスタートはなったという事なのか?
室屋さん「今日の聖火リレーは新しい時代の幕開けというのを肌身を持って感じたので、
これから新しい時代を迎えていくんだと思います。」
福島県DAY1の日程が全て終了した後、東京都内某所にて組織委の武藤敏郎専務理事・事務総長が出席し、
聖火リレー初日のメディアブリーフィングが行われました。
その中で、第3区間の広野町、第6区間の富岡町のリレーの最中にトーチの火が消えたという 記者からの質問に
武藤総長は「現在原因を究明中。ただ、こういう事は当然起こる。ギリシャから持って来た聖火が入ったランタンを
常に同行させているので手順に従い直ぐに再点火し続行させる」と回答。
(後にトーチ下部にセットされるボンベの捻じ込み不足によるガス圧低下が原因と発表)
実際に火を灯しての初日ならではのトラブルも出た東京2020オリンピック聖火リレー、
7月23日(金)の国立競技場ヘ向けて残り120日の長い旅路がいよいよ始まりました。
【東京2020オリンピック聖火リレー グランドスタートセレモニー開催概要】
<日時>
2021年3月25日(木)9:00開始
<会場>
ナショナルトレーニングセンター Jヴィレッジ 全天候型練習場
<参加来賓・関係者数>
約160人
<参加報道媒体数>
非公表
<登壇者>
橋本聖子:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会⻑
丸川珠代:東京オリンピック競技大会・パラリンピック競技大会担当大臣
小池百合子:東京都i知事
内堀雅雄:福島県知事
ホルヘ・ガルドゥニョ:日本コカ・コーラ株式会社代表取締役社長
早川茂:トヨタ自動車株式会社代表取締役副会長
清水博:日本生命相互会社代表取締役社長
園田勝一:日本電信電話株式会社執行役員
野村忠宏:オリンピアン・聖火リレー公式アンバサダー/柔道男子60kg級、アトランタ1996大会・シドニー2000大会・アテネ2004大会金メダル
田口亜希:パラリンピアン・東京2020聖火リレー公式アンバサダー/パラ射撃女子・アテネ2004年大会、北京2008大会、ロンドン2012大会
石原さとみ:女優/東京2020聖火リレー公式アンバサダー
サンドウィッチマン(伊達みきお・富澤たけし):お笑い芸人/東京2020聖火リレー公式アンバサダー
平沢勝栄:復興庁復興大臣
亀岡偉民:復興庁復興副大臣
室伏広治:スポーツ庁長官
御手洗富士夫:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会名誉会長
遠藤敏明:公益財団人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会副会長
山下康裕:公益財団法人日本オリンピック委員会会長
福島県郡山市立郡山第五中学校、郡山市立朝日が丘小学校の総勢25名の児童:チャリティーソング「花は咲く」合唱
<東京2020オリンピック聖火リレー グランドスタート聖火ランナー>
【サッカー日本女子代表 FIFA女子ワールドカップドイツ2011優勝チーム「なでしこジャパン」】
佐々木則夫:サッカー指導者/サッカー日本女子代表 FIFA女子ワールドカップドイツ2011優勝チーム監督/代表者
安藤梢:オリンピアン・プロサッカー選手/サッカー日本女子代表 FIFA女子ワールドカップドイツ2011優勝チームメンバー/アテネ2004大会・北京2008大会・ロンドン2012大会銀メダル/チームランナー
岩清水梓:オリンピアン・プロサッカー選手/サッカー日本女子代表 FIFA女子ワールドカップドイツ2011優勝チームメンバー/北京2008大会・ロンドン2012大会銀メダル/チームランナー
宇津木瑠美:オリンピアン・プロサッカー選手/サッカー日本女子代表 FIFA女子ワールドカップドイツ2011優勝チームメンバー/北京2008大会/チームランナー
大野忍:オリンピアン・サッカー指導者・元プロサッカー選手/サッカー日本女子代表 FIFA女子ワールドカップドイツ2011優勝チームメンバー/北京2008大会・ロンドン2012大会銀メダル/チームランナー
海堀あゆみ:オリンピアン・サッカー指導者・元プロサッカー選手/サッカー日本女子代表 FIFA女子ワールドカップドイツ2011優勝チームメンバー/北京2008大会・ロンドン2012大会銀メダル/チームランナー
上尾野辺めぐみ:プロサッカー選手/サッカー日本女子代表 FIFA女子ワールドカップドイツ2011優勝チームメンバー/チームランナー
近賀ゆかり:オリンピアン・プロサッカー選手/サッカー日本女子代表 FIFA女子ワールドカップドイツ2011優勝チームメンバー/北京2008大会・ロンドン2012大会銀メダル/チームランナー
阪口夢穂:オリンピアン・プロサッカー選手/サッカー日本女子代表 FIFA女子ワールドカップドイツ2011優勝チームメンバー/北京2008大会・ロンドン2012大会銀メダル/チームランナー
鮫島彩:オリンピアン・プロサッカー選手/サッカー日本女子代表 FIFA女子ワールドカップドイツ2011優勝チームメンバー/北京2008大会・ロンドン2012大会銀メダル/チームランナー
高瀬愛実:オリンピアン・プロサッカー選手/サッカー日本女子代表 FIFA女子ワールドカップドイツ2011優勝チームメンバー/ロンドン2012大会銀メダル/チームランナー
福本美穂:オリンピアン・プロサッカー選手/サッカー日本女子代表 FIFA女子ワールドカップドイツ2011優勝チームメンバー/アテネ2004大会バックアップ・北京2008大会・ロンドン2012大会銀メダル/チームランナー
丸山桂里奈:オリンピアン・タレント・元プロサッカー選手/サッカー日本女子代表 FIFA女子ワールドカップドイツ2011優勝チームメンバー/アテネ2004大会・北京2008大会/チームランナー
宮間あや:オリンピアン・元プロサッカー選手/サッカー日本女子代表 FIFA女子ワールドカップドイツ2011優勝チームメンバー/アテネ2004大会・北京2008大会・ロンドン2012大会銀メダル/チームランナー
矢野喬子:オリンピアン・サッカー指導者・元プロサッカー選手/サッカー日本女子代表 FIFA女子ワールドカップドイツ2011優勝チームメンバー/アテネ2004大会・北京2008大会・ロンドン2012大会銀メダル/チームランナー
山郷のぞみ:オリンピアン・サッカー指導者・元プロサッカー選手/サッカー日本女子代表 FIFA女子ワールドカップドイツ2011優勝チームメンバー/アテネ2004大会/チームランナー
<実施体制>
主催:東京2020組織委員会
共催:東京2020オリンピック聖火リレーふくしま実行委員会
MC:阿部渉(NHKアナウンサー)
©J-VILLAGE
©Tokyo 2020