東京2020組織委員会 東京2020オリンピック聖火リレー開始に伴う記者会見を開催
東京2020組織委員会(以下、組織委)は、2021年3月24 日(水)に、翌日からはじまる東京2020オリンピック聖火リレーの
グランドスタートに先立ち、都内某所にて記者会見を開催しました。
【会見の様子】
会見には組織委の橋本聖子会長、武藤敏郎専務理事・事務総長、そして翌25日(木)より、福島県双葉郡樽葉町の
ナショナルトレーニングセンター・Jヴィレッジをスタートする東京2020オリンピック聖火リレーの
第一走者「グランドスタート聖火ランナー」を務める、
2011FIFA女子ワールドカップ日本女子代表チーム「なでしこジャパン」を2016年まで監督として率い、
現在は女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」大宮アルディージャVENTUSの総監督である佐々木則夫さんが登壇。
最初に登壇者より挨拶が。
橋本会長「東京2020オリンピック聖火リレーが、明日、福島県のJヴィレッジをスタートします。
スポーツ界にとっての2011年はなでしこジャパンのFIFAI女子ワールドカップドイツ大会の優勝無しには語れません。
本日お越し頂いている佐々木監督にも当時のエピソードとして、東北の映像をチーム全員で見て
決勝戦に臨まれたという話を伺った事があります。そしてチームは結束し、激闘を制して
優勝され、日本の多くの方や東北の皆さんに元気を届けて頂きました。
この頃から本当にスポーツの力という言葉が語られるようになったと思っております。
やがてスポーツの力は当時の招致活動の大きなテーマとなり、復興への貢献は東京2020大会の
源流となります。7月23日にオリンピックスタジアムで聖火が聖火台に点火された時、
世界から集うアスリートの心にも、何よりも代えがたい勇気を沸かせる事を確信しております。
最後に改めて東京2020聖火リレーは参加するランナーだけでなく、受け入れて頂く地元の皆さまにとっても
安全を最優先で進めてまいります。スタッフは勿論、沿道やセレモニー会場の観客の密集回避にあたっては、
自治体とも緊密に連携をして万全の態勢で運営をしてまいります。」
武藤事務総長「史上初の大会延期の決定から今日で丁度丸一年となりました。
国民の民様におかれては、東京大会の開催に不安をお持ちの方も少なくないと理解をしております。
しかし一方で社会が一歩一歩リカバリーに向けて歩みを進めている事、大会準備も着実に
成果を挙げてきた事に目を向ければ参加者を受け入れて頂く都民の皆様にとって安全安心な大会は
必ず実現できると思っております。いよいよ明日、聖火リレーのスタートとなりました。
時間が再び動き出すという事に大きな期待を膨らませています。
聖火リレーは121日間に跨る大規模事業であります。緊急事態が発生した場合の対応については、
今月初めには私がトップを務める「聖火リレーコロナ事態対応チーム」を発足させた所であります。
昨日も密・コロナ・地震の3つのケースについてシミュレーションに基づく訓練を幹部を交え行いました。
万全の体制で臨み大会本番にしっかりと繋げていきたいと思います。」
佐々木さん「2011年ドイツワールドカップは東日本大震災が起こった年であり、本当にドイツ大会に
参加出来るのだろうか?と、準備もままならない状況の中ではあったんですけども、
そんな中で選手達が一所懸命に本当に日本の思いを込めてドイツで戦い、そして一戦一戦で成長をし、
なんと皆さんも予想が出来なかった様な優勝という快挙を成し遂げる事が出来ました。
そして我々なでしこジャパンの聖地でもあった、Jヴィレッジからのスタートは勿論、
復興五輪という事にも繋がり、我々が選考されたという事は本当に名誉として選手共々感謝をしております。
コロナ禍において一年間の延期となり、まだまだ順風満帆な状況ではないかもしれませんけども、
2011年に我々が優勝した時にスポーツの力というのを本当に強く感じました。
非常に大変な五輪になる事は間違い無いと思いますけども、やはり日本人の気質のすばらしさを全うし、
一丸となってこの東京2020五輪を成功させるそのスタートの一助になれる事に幸せを感じております。」
佐々木さんが挨拶をされている中、ここで氏の口から明日の聖火リレーに参加する
なでしこジャパンメンバーの澤穂希さんについて残念なお知らせが話されます。
佐々木さん「実は澤穂希選手が2~3か月前より体のコンディションを崩しておりまして、
本当に彼女は参加したいという思いの中で準備をしてまいりましたが、昨日に電話がありまして、
「三半規管の調子が良くなく、どうしても歩いたり走ったりすると方向がブレてしまう」と
参加を断念する連絡がありました。それは2012年のロンドン五輪を準備している我々のキャンプ中にも
この様な症状があって中々活動が出来なかったという記憶があります。
この様な事があり、彼女は参加出来なくはなりましたが、以下の選手達が澤さんの分も
一所懸命やりたいという思いで明日、Jヴィレッジのピッチに立ちたいと思っています。」
続いて会場モニターになでしこジャパンのメンバーである熊谷紗季選手からのビデオメッセ―ジが流されます。
熊谷選手「明日いよいよ聖火リレーが始まります。なでしこジャパンの2011年優勝メンバーとして
最高の仲間達と走る事を私自身も楽しみにしていましたが、入国制限措置や所属クラブでの試合の日程状況から
参加を断念する事になりました。この様な光栄なイベントに参加出来ない事はとても残念ですが、
オリンピックに向けた最高の準備を引き続き続けていきたいと思います。
新型コロナウイルスの感染拡大が収束し、無事に東京オリンピックが開催される事を願っています。」
続いて質疑応答へ。
Q:海外観客の受け入れを断念したが、聖火リレーを通し、どの様に今回の復興五輪を世界に伝えていくのか?
橋本会長「復興をしていく姿を世界の皆様に見て頂くという事で、復興五輪というのはこの東京2020大会の
柱のひとつでありました。特に選手に対してのヴィクトリーセレモニーでは、東北産の花きが選手に
渡される事になっていたり、福島産の素晴らしい食材が選手村で選手達に振舞われるという事もありますので、
事ある毎に復興の素晴らしさ、また復興を遂げていくと同時に未来に向かって明るい希望が灯される様な
聖火リレーと共に東京大会を通じて世界に発信をする事に努力をしていきたいと思っています。」
Q:気になる明日のなでしこジャパンメンバーのラインナップは?
佐々木さん「僕自身も揃う選手がどの選手なのか確認をしていないんですが、今回は海外に行っている
選手もいるので私を含めて16人となります。澤さんが今回参加されなくなったという事を
他のメンバーは今夜知る事になるんじゃないかと思います。そんな中で彼女達がどの様に連携をとって
走るのか、久々に10年ぶり位にミーティングを開こうと思っています。」
:明日始まる聖火リレーを楽しみにしている福島県民へのメッセージを。
橋本会長「一年間の延期という事で、スタートを1年待っていただきました。今までの復興を遂げていく姿というのを
発信するという事と同時に、東北の皆さんの力強さという物を強く感じております。
そういった今までのご苦労が向かわれる様な聖火のスタートになっていければと思っております。
このグランドスタートは本来ですと多くの皆さんにお越し頂く予定でありましたけども、三密回避の為、
様々なコロナ対策を講じて頂くというお願いを福島県の皆様に聞き入れて頂いて、万全の体制をとっての
準備をして下さいました。聖火が希望の灯となる様に皆様の心を121日間しっかりと繋いでいく
素晴らしいスタートにしたいと思います。」
佐々木さん「福島の復興のシンボルであるJヴィレッジは復興作業の前線基地となっていました。
それが素晴らしい復活を遂げ、なでしこジャパンの聖地である場所からスタートを切れる事に
僕自身も誇りを持っています。復興の課題はまだまだ多いと思いますが、
福島の復興のシンボルであるJヴィレッジからなでしこジャパンが走らせて頂く事に感謝しております。
是非、福島県民の皆様にもこれを機にまた元気を出して頂いて、更なる復興に繋げて頂ければと思っております。」
Q:住民帰還、廃炉作業等、福島の復興は道半ばだが、聖火リレー責任者としてどの様な思いがあるか?
橋本会長「まだまだ復興は道半ばだという風に思っております。地域によっては
故郷に帰れていない大変な思いをされているという状況にあります。オリパラ大臣の時代にも
そういった声を被災県の知事を始め、地域の皆様からお聞きを致しました。
やるべき事をしっかりやっていくと同時に少しでも心の復興に繋がっていく事に
なれないかなとずっと考えておりました。Jヴィレッジをスタートする聖火の灯が
一人でも多くの福島の皆さんの心に灯る様に全力で聖火リレーを成功させたいと思います。」
Q:明日福島を出発する自身の名前の由来となった聖火に、個人的どのような思いを重ねているか?
橋本会長「前回の東京1964大会の開会式で名前を父が付けてくれて、聖火の「聖」を取って
聖子と名前になりました。その名前を父に付けてもらえなければ、オリンピックを目指すという事は
無かったという風に思います。本当に運命的な物を今感じております。
ギリシャのオリンピアから採火された聖火が1年間、ずっと灯っていてくれたという力を
東北の方々の元気に繋がればという風に思っております。私はアスリート時代に冬と夏両方の
オリンピックを見て来た身としまして、夏のオリンピック聖火は非常に情熱的な炎の強さを感じ、
冬の聖火を見た時には大変な奥深さの中の暖かい炎というのが感じ取る事が出来ました。
今回福島をスタートする聖火に私が期待をしているのは、その両方の力強い炎を持ちえた物に
なってくれているんだろうという期待感を持って、明日、聖火に出会いたいなという風に思っております。」
Q:聖火ランナーのジェンダー平等の推進等についてはどうなっているのか?
武藤総長「ランナーにつきましては、出来る限り男女平等を心がける様にお願いをしてまいりましたが、
ランナーの選考主体が各都道府県やスポンサー、組織委であったりしますので、
全体としてどのようなバランスになっているのかという事は、必ずしも明確ではありません。
しかし当然、組織委の発足当初からジェンダー平等を前提にダイバーシティインクリュージョンを含め
我々の基本コンセプトでありましたので、その考えに立って人選を進めています。」
Q:なでしこジャパンの聖地であるJヴィレッジでの思い出や、明日はどのような願いを込めて走行するか?
佐々木さん「なでしこジャパンの活動においては、私がチームを指揮する前からJヴィレッジで
キャンプをするという事が数多く、選手達も地域の様々なコミュニティ活動をさせて頂いたり。
Jヴィレッジに隣接する川に鮭が登ってくるんですね。その鮭が登る所を選手皆で見に行ったりとか、
ましてサッカーのみならず、地域の皆様に非常に支えられたという経緯があります。
我々の聖地でもあるJヴィレッジが震災に見舞われ、本当に大変な状況を見させていただきました。
そして復活を遂げたJヴィレッジの姿も見させて頂きました。明日、10年ぶりになでしこメンバーと共に
スタート出来る。そして先程の通り、スポーツの力が日本に、世界にファイトを与えてくれるという事は、
コロナ禍で大変ではあるんですが、本当に希望の道が有るならば、そこを皆で前を向いて
ポジティブにオリンピックというものを皆で支えながら参加するとふくいう事は安全に見る・聞く・行動するという
事も含めて、この東京2020オリンピックを成功させるという事が世界に期待している事だと思っています。
是非、皆さんの力で東京2020オリンピックを成功させたいという思いで、私達はスタートを切りたいと思っています。」
1年間の延期を経て、明日、いよいよ福島の地より聖火が走り始めます。
【東京2020オリンピック聖火リレー水素トーチ】
東京2020大会では脱炭素社会の実現に向けて、可能な限り省エネルギーや再生可能エネルギーの利用など
持続可能性に配慮した運営に取り組んでいます。水素はその利用段階でCO2を一切排出しないため、
脱炭素化に向けた切り札として期待されているエネルギーです。既に水素を活用した
燃料電池車両約500台の導入を進めていますが、この度、大会史上初めて聖火台および
聖火リレートーチの燃料に水素を使用することとしました。ここで使用する燃料には世界最大級の
再生可能エネルギー由来水素製造施設が設置される福島県浪江町で製造される水素も活用します。
『水素トーチ』
東京2020オリンピック聖火リレーでは、愛知県、東京都の一部において、大会史上初めて
水素を燃料としたトーチ(以下、「水素トーチ」)を使用します。この水素トーチの燃料は、
水素カテゴリーの東京2020ゴールドパートナーであるJXTGエネルギー株式会社より供給を受けます。
・聖火は、東日本大震災からの復興の象徴でもある「持続可能社会に向けた水素
研究拠点」にて太陽光発電で生成された水素を燃料とするトーチに灯る。
オリンピックスタジアムの聖火台燃料も「太陽から作った持続可能水素」であり、
ギリシャで採火した太陽の炎が水素を燃料とする聖火台に点火され、
「被災地の復興」と「環境に優しい次世代エネルギー水素」の可能性を世界に発信します。
※現時点(2021年3月24日現在)で福島県DAY1第10区間の浪江町を走る3名、及び福島県内の
各日最終ランナーの3名が水素トーチを使用予定。愛知県・東京都での使用区間は未定。
【東京2020オリンピック聖火リレー開始に伴う記者会見概要】
東京2020オリンピック聖火リレーの公式サイトはこちら
<日時>
2021年3月24日(水)13:30開始
<会場>
都内某所
<登壇者>
橋本聖子:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長
武藤敏郎:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会専務理事・事務総長
佐々木則夫:サッカー指導者/2011FIFA女子ワールドカップドイツ優勝チーム「なでしこジャパン」監督
© Tokyo 2020