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新しい国立競技場 完成!

独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC:JAPAN SPORT COUNCIL、理事長:大東和美)において整備を行ってきた新しい国立競技場は、2019年11月30日(土)に竣工を迎え同日正午、大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所共同企業体より引き渡しを受け新しい国立競技場の竣工引き渡しが完了しました。
2019年12月15日(日)同競技場において竣工式と内覧会が行われましたのでお伝えします。

『内覧会の様子』

2015年1月の旧国立霞ヶ丘陸上競技場の解体工事開始から約5年、2016年12月の本体着工開始から約3年の工期を経て遂に完成を迎えた国立競技場。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会におけるメインスタジアムであり、日本陸上競技の聖地として位置付けられるこの大舞台の完成を伝えようと、大変多数の報道陣が来場しました。

【竣工式の様子】

内覧会に先立ち、11:00より競技場内のフィールド内にて竣工式が行われました。

来賓を代表し安倍晋三内閣総理大臣より挨拶が。

安倍総理「私は今から約4年半前、国立競技場を国民、アスリートから祝福される物にする、そして世界の人々に夢と感動を与える場にするとお約束致しました。そこから整備計画を見直し、新しい競技場はアスリートを第一に世界最高のユニバーサルデザイン、周辺環境等との調和や日本らしさを兼ね備え、ナショナルスタジアムとして本日ここに完成を祝う日を迎える事が出来ました。2020年、東京オリンピック・パラリンピック競技大会のシンボルとなる国立競技場の竣工に至るまでに、様々なご苦労があった事と思います。このスタジアムは正にその舞台として相応しく、世界最高レベルのアスリート達が集まり自らの限界に挑戦し様々なドラマを繰り広げ、世界中の人々に感動を与えてくれるものと思います。これからオリンピック・パラリンピックの開催に向けていよいよ、”本番モード”となります。令和元年の新しい時代に完成したスポーツの新たな拠点がこれからのスポーツの歴史を刻んでいく事を祈念致します。」

竣工式前にVVIP席を視察する総理一行

続いて出席者全員によるスイッチセレモニー。

ステージ上に置かれた2つの白いスイッチに登壇者10名が集まり、スイッチを押すと、競技場4Fの大型ビジョン、そして場内を約640mに渡って取り囲む、LED映像装置、「リボンボード」に映し出された赤いベルベットがテープカットの様に剥がれてゆき、大型ビジョンには「HELLO’ OUR STADIUM」の映像と文字が流れます。

続いて主催者祝辞として独立行法人日本スポーツ振興センター理事長の大東和美氏からの祝辞が。

大東理事長「5年前、国立競技場はスポーツ史に残る名シーンを数多く生み出して来た聖地として多くの国民の皆様に惜しまれつつ、56年の歴史に幕を閉じました。2016年12月に本体工事が着工され、新しい国立競技場は来年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、整備を進めてまいりました。私共としましては、この競技場を日本におけるスポーツ振興の中核拠点として、多くの皆様がトップレベルスポーツに触れ、スポーツへの感心や参画意欲を高める機会を提供して行く事が使命であると考えてます。本日、新しいスタートを切った国立競技場を選手と観客が一体となって奇跡や感動を共有出来る舞台とする事で、競技場を訪れた全ての皆様がここから新たに次の自分に向かって、アクションを始める「はじまりの場所」になればと思っています。」

次に来賓からの祝辞、先ずは萩生田光一文部科学大臣。

萩生田大臣「2013年のIOC総会で東京大会が決定されて以降、国立競技場の完成は関係者の皆さんの悲願でありました。今後の我が国のスポーツ界にとって、象徴的な施設となるものです。文部科学省としては、この新たな聖地がレガシーとして次世代に着実に受継がれ、国民に末永く愛される施設と成る様、積極的にその意味等をアピールして参ります。」

続いて橋本聖子東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣。

橋本大臣「私はこれまで選手として、またオリンピック日本選手団長として、数々の競技場のフィールドに立ってまいりました。木材がふんだんに使われ、温かみを感じるこの施設は選手目線から見ても、観客目線から見ても、世界に誇るべき競技場だと思っております。2020年東京大会の開催まで後、7ヶ月余りとなりました。私としても東京都、組織委員会と共に成功に向けてしっかりと取組んで参りたいと思います。」

3人目は小池百合子東京都知事の祝辞が。

小池都知事「丁度、今日から222日後になりました、東京オリンピックの開催に今からその姿が目に見える様でございます。そして大会が終わりますとこの神宮の森は国立競技場を中心と致しまして、更なるスポーツの様々なレガシーの場として、そして緑がふんだんな地域となって参ります。これからの益々の国民の、そして都民の皆様方と機運を醸成して世界の皆様方をおもてなしの心でもってお迎えをし、東京大会が素晴らしい記録と記憶に残る大会となります様に準備をしっかりと進めて参りたいと思います。」

次に遠藤利明公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長代行。

遠藤会長代行「素晴らしい競技場が出来上がりました。大変感慨深い物があります。短い工期の中での建設は当初、IOCから2020年の1月まで。そうしないと大会の準備が出来ないと言われ、私達の計画ではどんなに速くても2020年の4月までにしか出来ない…こんな指示がありました。隈研吾さんや梓設計さん、そして何よりもあれだけの熱い夏も、雪の降る冬も働いてくれた全国から来てくれた作業員の皆さんとその御家族の苦労を思うと、改めて感謝の気持ちしかありません。改めてこの工事に携わって頂きました皆様に心から感謝を申し上げます。」

最後に山内隆司大成建設株式会社代表取締役会長からの祝辞。

山内会長「省みますと、国民の皆様からのご注目や期待が非常に高い重要な国家プロジェクトを遂行するにあたり、設計・施行・工事管理を一貫して実施する利点を十分に活かし、私共の持てる技術の英知を結集して、誠心誠意、事業の完成に向けて邁進して参りました。1964年の東京オリンピックが開催されました旧国立競技場に引き続き、私共が担当させて頂き、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮し、新時代のスポーツと文化を発信するスタジアムとして我が国はもとより、世界の人々との交流の場になり、利用される皆様に愛される施設になると確信いたしております。」

以上で竣工式は終了し、内覧会開始の為、移動…というその時「トラック上を誰かが走っている」と一部の記者から声が上がります。

慌ててカメラマン達がレンズを向けたその先には、竣工式への参加を終え、スーツを脱いでワイシャツ姿で400mトラックの第2レーンを疾走する鈴木大地スポーツ庁長官の姿が。

トラックの感触を確かめながらランニングをする鈴木長官は報道陣にこのVポーズでした。

【内覧会の様子】

続いて13:00より競技場の内覧会が行われました。

『1F スタジアム外観・外溝部』

明治神宮内苑から皇居へと繋がる緑の神宮の杜。エリア一帯の貴重な緑を未来に残す為に、大地に根ざす「生命の大樹」として周辺の自然と調和し、市民に開かれた「杜のスタジアム」として国立競技場は生まれ変わりました。

建物高さが約47.4mと、6万人を超える収容能力を持つスタジアムとしては低く抑えられ、周辺の景観に配慮し巨大建築物特有の視覚的圧迫感が低く感じられる外観の最大の特徴は、奈良県・法隆寺の五重の塔を強く意識した、日本の風土・気候に適した日本の伝統建築を想起させる軒庇(のきびさし)のデザイン。

最も特徴的なのは、3層スタンドの後方最上段部に設置された「風の大庇」と呼ばれる、木目の焼付塗装がなされたアルミ材による長さ約15mの導風板(ルーバー)。

国立競技場に吹く四季折々の風を競技場内へ導き、下方気流として客席に風を呼び込み、そしてその風の一部はフィールドからの熱により上昇気流となってスタジアム内の熱と湿気を排出します。一方でフィールドに流れ込んだ風で風下の客席に熱や湿気が流れ込む事を抑制する為、また夏の季節風を取り込む為や、冬の北風を受け流す為、ルーバーの配置間隔(開口率)を30%~60%の間でシミュレーションを経て設定。
下層階の軒庇は全国47都道府県の国産のスギ材が使用され、スタジアムの方角に合わせて北側には北海道や東北の、南側には沖縄、九州の杉が使用されています。

施設名板は格子状になっており、見る角度や歩きながら見てみると揺らめいたり様々な表情をみせます。

軒庇面から外壁を約9m後退させる事により生まれた「縁側空間」はランニングコースや雨宿り空間、イベント時の入場滞留スペースに。
場内には多数の木製ベンチが据え付けられています。

スタジアム南側、外苑門の右手にあるギャラリー室は旧国立競技場に存在した、秩父宮雍仁親王殿下の遺品展示をそのままこのスタジアムに移設したもので、「秩父宮記念ギャラリー」という名で展示を予定しているとの事です。

そしてスタジアム東側の青山門の入り口の両隣には旧国立競技場のメインスタンド上段壁面にあった、画家の長谷川路可氏制作の「野見宿禰像」と「ギリシャの女神像」がそのまま移設され厳重なガラス張りの中から来場者を迎え入れています。

敷地内緑地は神宮外苑の「杜」と、市街地部分の「里」に接する場所にあるという特徴から、スタジアムの北・東側を落葉高木や低木を中心に立体的な樹木構成で周囲との調和を図る「深緑の杜」。

広いオープンスペースを有する南側には、日本を代表する大樹種を植え、大きいスケールの緑で人々を迎え入れる「大樹の里庭」。

写真提供:(独)日本スポーツ振興センター

そして今回は公開されませんでしたが、市街地部分と接するスタジアム西側には、1964東京オリンピックの前に、同地にかつて存在した渋谷川の流れを再現した全長約140mの「せせらぎ」が流れ、多数の落葉樹や水生植物を配置した「水辺の里庭」の3つのゾーンを有する「大地の杜」が人々の憩いの場として機能します。

『5F 空の杜』

大地の杜とを階段・エレベーターで接続し行き来出来るスタジアム最上部、地上約20mの高さに位置する円周約850mの屋上空中庭園が「空の杜」。

39100鉢の植栽が並び、梅、桜、椿等、四季折々の花や草木が目を楽しませ、19箇所あるベンチで一休みも可能。8箇所にトイレが設置され、利便性を向上させます。

そしてその見晴らしの良さから好天日には南西方向には富士山、北西方向に新宿副都心、北東方向には東京スカイツリー、そして南東方向に東京タワーを臨む事が出来ます。

写真提供:(独)日本スポーツ振興センター

東京2020大会以降は一般にも解放される予定の空の杜。今の所、夜間の解放予定は無いとの事ですが、実現すれば恐らくこんな夜景が楽しめるのかも。

『3F・4F』

4Fで撮影が許されたのは3層スタンド南側の大型ビジョンの真下エリア。

3つの層の約62,000席に及ぶ座席は森の木漏れ日をイメージしたアースカラー5色(白・黄緑・グレー・深緑・濃茶)に彩られ、フィールドに近い低層部には濃い色を、屋根に近い高層部には薄い色を配置。一見するとランダムな彩色の様に見えますが、全ての座席の配色を隈健吾氏が決めているとの事。客席傾斜は約20~34度と、このクラスのスタジアムとしては急角度ではありますが、その甲斐もあり、陸上トラックを有するサッカースタジアムとしてはかなりピッチが近い方だと関係者は語ります。シートの座面幅は約46cm程でシートピッチは約81cm。ドリンクホルダーが各座席の前に据え付けられています。

東京2020大会では、国賓が使用するVVIP席は2層スタンドに配置。

長さ約60m、重量約20,000の大屋根を支えるトラスは鉄骨を貴の集成材で挟み込んだ、ハイブリッド構造で強度の必要となる下弦部分には国産のカラマツ材が、それ以外の部分には全国から広く集められるスギがラチス材として使用され樹形状の立体的な構造と相まって、大きな視覚的要素となっています。

4機の可動式メンテナンスゴンドラが配備され点検補修体制も万全。

そしてフィールドの天然芝の育成環境向上の為、大屋根の南東側に屋根面積の約13%分をガラス張りにし、冬至のフィールド面への日射量を確保するトップライトを採用しています。

スタンドへ繋がるコンコースにはデジタルサイネージや売店、大型エレベーターが完備され6万人の大観衆に対応。

そして3階コンコースの一角には「情報の庭」と呼ばれるスペースが。休憩スペースとしての他、ギャラリーやイベントスペースとして活用可能。天井には蛍をイメージしたLED照明のラインが引かれます。

その他、通気口としての意味合いもある「風のテラス」の存在も。

1層スタンドと2層スタンドには気流創出ファンが185台設置され、スタジアム外部の風が微風、または無風時、屋根開口部からの直射光が客席に当たる等、温熱環境が悪化する場合にはファンを稼動させて体感温度を下げる工夫が取られています。

また車椅子席は同伴者席が隣に設置され、各階のコンコースから段差無くアクセス可能。
車いす利用者の着座時眼高を100cmと想定し、車いす席前の一般席で175cmの人が立ち上がっても車椅子席の視界を妨げない観戦環境が整備されているのもポイント。

なお、館内に存在する水飲み場には日本では非常に珍しい、ボトルへの給水口を供えた物も。

『2F客席・フィールド B2F』

スタジアムの花形、陸上400mトラックは9レーンを備えた全天候型。1948年創業のトラックメーカー、イタリアのモンド社製「Mondotrack WS」がトラック面に採用され、国際陸上競技連盟(IAAF)のクラス1認証を取得。

写真提供:(独)日本スポーツ振興センター

サッカーフィールドの芝は牧草のペレニアルライグラスで冬芝として使用され、夏場はティフトン419が夏芝として用いられる予定。芝の長さは21.3mmとの事です。
尚、芝の下には約25kmという長大な配管が設置され夏季には冷水、冬季には温水を流し芝の育成環境を整える「地温コントロールシステム」が整備されています。

大屋根開口部付近に取り付けられた約1300台のスタンド内照明は、行われる競技やイベントによって複数の点灯パターンを持ち、それぞれに最適な配光を実現。

フィールドとスタジアム外を結ぶゲートの内、ゲート1・2・3は横幅約10m高さ約6m、ゲート4・5は幅4.7m高さ4.1mを誇りその内のゲート1・2が東京2020大会におけるメインゲートとなる予定。

西側メインスタンドにはメディア席が。記者席、インタビューゾーン、カメラマンエリアが設けられ感動と興奮を世界中に伝えます。

そして1層メインスタンドの中央下部、B2Fにはフラッシュインタビューゾーンが存在し、競技に向かう、または競技を終えたアスリートにメディアがインタビューをする場として機能します。

最後にトイレ等の紹介。
トイレに関しては「8万人モード」での利用キャパシティを想定して作られており、竣工時定員である約6万人の利用時でも余裕が有るとの事。
そして女性来場者が多いイベントでは男子トイレ入り口にあるトイレサイン上部に取り付けられたブラインドを下ろすと女子のサインが現れ、女子トイレに早変わりする発想が取り入れられ、充実のトイレ対策が施されています。

一層スタンドコンコース内にある授乳室は車椅子対応で、扉の付いた健常者用とカーテンによる仕切りの車椅子用のが用意されています。

その隣にはベビールームも。

今回公開されたのは多目的シートを設置した車いす使用者用トイレ。
十分な広さと機能的な配置がなされています。
男女トイレ共に写真の様にトイレの入退場動線が記され、動線確保の徹底ぶりが伺えます。

写真提供:(独)日本スポーツ振興センター

遂に完成した世紀の大舞台。日本スポーツ界の新たな聖地が一歩を踏み出します。

【国立競技場(NATIONAL STUDIUM)概要】

日本スポーツ振興センターの公式サイトはこちら

 

【国立競技場竣工式開催概要】

<日時>
2019年12月15日(日)11:00開始

<会場>
国立競技場 1Fフィールド

<出席者>
安倍晋三:内閣総理大臣
萩生田光一:文部科学大臣
橋本聖子:東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣
赤羽一嘉:国土交通大臣
小池百合子:東京都知事
遠藤利明:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長代行
山内隆司:大成建設株式会社代表取締役会長
杉谷文彦:株式会社梓設計代表取締役社長
隈研吾:隈研吾建築都市設計事務所代表
大東和美:独立行政法人日本スポーツ振興センター理事長

©JAPAN SPORT COUNCIL

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