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東京2020大会「有明体操競技場」完成!

東京2020組織委員会は、オリンピックでは体操競技、パラリンピックではボッチャの競技会場として建設した「有明体操競技場」が、2019年10月25日(金)に本体工事が完成しました。
2019年10月29日(火)に報道向け完成内覧会が行われましたので、お伝えします。

【内覧会の様子】

内覧会日である10月29日(火)以降、様々なテストイベントやそれに関連する工事が競技場内外で行われる為、特に館内の撮影は東京2020大会本番まで不可能という事もあり当日は多数の報道陣が来場。

まずは競技会場1階にて各担当者の挨拶と説明が。

まずは福井孝一ベニューゼネラルマネージャーから有明体操競技場の特徴について。
福井マネージャー「本競技場の特徴といたしましては、選手村から車で約5分と非常に近い場所に位置しておりまして、選手に対して非常に負担が少ないという事と、メインプレスセンター(MPC)まで距離にして2kmと、取材者の皆様にとっても非常に利便性の高い立地ではないかと考えています。建物の特徴としては御覧の通り、木を基調としており、木材の使用量では東京2020大会の競技会場中最多となっておりまして、木の香りや温もりを感じる事が出来ます。東京2020大会に向けて本競技場はアクセシビリティガイドラインという物に沿って設計されており、車椅子利用者の方にとっても配慮された施設になっております。大会まで残り9ヶ月となりました。ベニューゼネラルマネージャーとして選手の皆さんには最高のパフォーマンスを発揮して頂き、観客の皆様には最高の感動を体感して頂き、また関係者にとっても素晴らしい経験となる様今大会の成功に向けて引き続き推進していきたいと考えております。」

続いて体操の遠藤幸一スポーツマネージャー。
遠藤マネージャー「選手目線でこの会場についてお話しますと、体操競技は体操・新体操・トランポリンと3つの種目があります。団体競技を除き、基本的には個人がどれだけ良いパフォーマンスをするのかという事が非常に重要な競技となっています。1964年の東京オリンピックで体操の種目別決勝が行われている時、一人の男子選手が非常に苦悩をしていました。私は当時3歳でその会場にいたんですけども演技をして悩んでいたのが私の父、遠藤幸雄(体操男子/東京1964大会 男子個人総合・男子団体総合・種目別段違い平行棒 金メダル)です。彼は既に個人・団体で既に2つのメダルを獲得していながら、種目別決勝の時には床で銀メダルを獲ったものの、吊り輪では失敗して、跳馬でもまた大きな失敗をして持ち点で優位に立ちながら、メダルを一切獲得出来ない状況でした。そんな時、平行棒の種目別の競技に入る前に会場からワァーッ!っと大きな歓声が上がったそうです。何事かとチームリーダーに聞いた所、「会場は違うが、女子バレーボール日本代表が金メダルを獲得したんだ」という話を聞いて、心がスーッと楽になり平行棒では非常に素晴らしい演技をして金メダルを獲得したというようなエピソードを後から聞きました。そんなエピソードから考えても決して選手は一人孤独では無くて、会場が一体となって支えて貰って初めて素晴らしい演技が出来るという風に考えています。この会場のこけら落としは来月11月28日から始まる「第34回世界トランポリン競技選手権大会」です。そこでは個人の選手が東京2020オリンピックの出場権を獲得する為の戦いが待っています。最初の大会が非常に大きなビッグイベントですので、是非暖かく見守って頂けたらと思います。」

最後にボッチャの齋藤保将スポーツマネージャー。
齋藤マネージャー「先日、パラリンピック観戦チケットの一次販売分の申込が39万人あったという事で非常に多くの方に感心を持って頂いているという事、そういうニュースがありました。パラリンピックの単独競技であるボッチャもリオ大会以降、年々人気が高まって来ておりまして、メダルの期待と共に競技そのものの期待感も準備をしている者として感じております。本競技場は設計段階から体操に引き続いてボッチャが行われるという事で、それを前提としてこの会場を設計するにあたり、私もボッチャの選手にとってどのような形が使い易いのか色々とヒアリングを受けてきました。それが今、正にこの形として完成したという風に感じております。この会場を満員にして、ボッチャの選手が最高のパフォーマンスを発揮出来る場所となります様に私自身パラリンピックまでの残り10ヶ月、準備を更に進めて行きたいと思っております。」

そのまま質疑応答へ。

客席ベンチは大会期間終了後に撤去されるとの事ですが
その木材の行方はどうなるのでしょうか。

福井マネージャー「全部の行き先が決まっている訳ではないんですが、学校の下駄箱等に
使用されると聞いております。」

この競技場は日本らしいと表現がされていますが、具体的はどのあたりでしょうか。

福井マネージャー「先程の説明の通り、非常にふんだんに木を使っているという所で室内分に関しては全て国産の木材を使用しております。また、設計段階から様々なアスリートから使い勝手の意見等を多数ヒアリングしアスリートファーストという観点で設計を進め、完成に至ったという形になります。」

『競技場内観及び外観』

東京2020の立候補ファイルでうたわれた「施設の木質化」「サスティナビリティ」を体現し、東京2020 大会に向けて新設する会場内で最も多い約2,300㎥の木材を使用した会場です。
かつては木材集積の貯木場という有明地区の場所特性も鑑み、「湾岸エリアに浮かぶ木の器」をコンセプトに、無駄のないシンプルな構成を目指した日本の木文化を象徴する建物で、日本らしい簡素な美しさを体感いただけます。
観客席と競技エリアが近く、体操競技の技の美しさや躍動、ボッチャ選手の緊張感や息遣いといった臨場感をお楽しみいただけます。

東京2020大会後には展示場として活用予定の有明体操競技場。
こちらの写真は北側観客席の1階部分を写した物ですが、画面中央の黒い扉がある所から手前側は全て仮設となっており、仮設部屋の撤去、客席の撤去、ウォームアップ施設の撤去、そして敷地内の盛土の撤去等を行うと見事に展示場に変身するとの事です。

そして1階アリーナ面の仕様に関しては設計段階で東京都の産業労働局より展示場としての要求として、東京ビッグサイトの東1~6展示棟と仕様を合わせているとの事。
集中耐荷重は1㎡あたり5t、搬入口の大きさ高さも含めてほぼ同仕様との事です。

会場は、鉄骨等を使わない、世界最大級の全長約90mの木アーチ状屋根(木構造梁)を採用し、会場中央に柱のないシンプルな大空間を実現しました。高さ約30mの競技エリア天井は、
長野県産と北海道産のからまつ材の木架構が現れ、格子状の木目デザインと屋根架構にはりつけた黒い吸音材が美しいコントラストを奏でます。競技エリアをとりまく観客席には三重県産の杉材の木製ベンチを採用、会場内は屋根から観客席まで連続して木材を使用することで、選手と観客が木に包まれるような、木のぬくもりを感じる空間に仕上げました。

2階エリアに広がる約1万2000席の木製座席。シートピッチは80cm、座面幅は45cmとの事。
最大5人区切りとなる明るい色合いと肌触りの良さが特徴です。角に面する部分にはお一人様席も。

車いす席としては現時点で140名以上、館内写真に映る黒い椅子は介助者席との事でした。

会場内への観客動線となる2階コンコースは外部化し、打ち水の蒸散効果による冷却効果を狙った木チップ舗装を施しました。奥行きのある大きな庇部分には、断熱性能と遮熱性能のある杉材(静岡県産、宮崎県産、秋田県産)を使用。夏の日射しから守られ、運河からの心地よい風を呼び込む縁側空間をイメージしています。

競技場建物北側には出番となるその日までシートをかぶせられた五輪マークが。

約2年間の工事期間を経て完成した「有明体操競技場」。大歓声が場内に響き渡るまでもう間も無くです。

【有明体操競技場概要】

<名称>
有明体操競技場

<所在地>
東京都江東区有明一丁目10番ほか

<構造>
鉄骨造一部木造 地上3階建

<敷地面積>
約96,000㎡

<延床面積>
約40,000㎡(内競技場部分は36,000㎡)

<階数>
地上3階

<収容人数>
12,000人(NET値・グロス値では約1万人)

<建物高さ>
最高約30m

<実施競技>
オリンピック:体操競技(体操・トランポリン・新体操)
パラリンピック:ボッチャ

<設計>
基本設計・実施設計監修:日建設計
実施設計・施工:清水建設

<建設費>
約205億円

<スケジュール>
基本設計:2015年6月~2016年1月
実施設計:2016年11月~2017年10月
施工:2017年11月~2019年10月

<主な木材使用箇所>
大梁:約1,500㎡(長野県産、北海道産のカラマツ材)
外装材・座席他:約800㎡(外装材:静岡県産・宮崎県産 座席:三重県産)
合計:約2,300㎡

©Tokyo2020

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