世界のエンターテイメントの“今”をお届け!

News

『ブロードウェイ・ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」』ステージ公開!

幾多の名演・伝説を生み出してきたミュージカルの歴史に燦然と輝く、名作中の名作
「ウエスト・サイド・ストーリー」。初演から60年を経てもなお色褪せる事はありません。

そして2019年8月、360度回転する座席を巨大なスクリーンとステージが取り囲む
アジアでは唯一の特殊劇場、東京都江東区の「IHIステージアラウンド東京」にて世界初演となるウエスト・サイド・ストーリー来日公演版が2019年8月22日(木)に開幕しました。ブロードウェイ・ミュージカル作品がステージアラウンドで上演されるのは初であり、今まで誰も観た事が無い「ウエスト・サイド・ストーリー」が開演以来、多くの観客を魅了。
そして公演も最終盤に迫った2019年10月21日(月)、報道向けにステージ取材会が行われました。

【取材会の様子】

10月21日の14時の回の公演終了後に行われたバックステージ取材会。

先ず最初に報道陣が通されたのは、その造り込みに誰もが驚くドクのドラッグストア。

店内に置かれているジュークボックス、椅子、電話、レジ等の大物類をはじめ古新聞、オモチャ、壁面の写真、そして肝心の薬を含む小物に至るまで実際に当時の物を探して手に入れたり、可能な限り当時に近いものを配置する等、目に入るもの全てに完璧な時代考証が行われ映画のセットと言っても過言ではないレベルの精巧さに目を奪われます。

今回、時間の都合上2階に上がる事が出来なかったのが悔やまれますが、この1ブロックだけでもセットデザインをアナ・ルイゾスさんの桁違いのこだわりを随所に感じる事が出来ます。

続いてはジェット団とシャーク団の決闘が行われ、トニーがベルナルドを刺してしまう高速道路の高架下。
放置されている部品の寂れ具合が驚くほど本物の自動車部品と酷似しており、報道陣は目を丸くするばかりでした。

そして、ジェット団が劇中使用するバイクも置かれており、こちらは全て電動との事。
元なった型式の存在しない完全なオリジナルモデルとの事ですが、タンク部分にはバイク好きのスタッフが「洒落」で貼り付けたのではないかという、某米国大型二輪車メーカーのロゴステッカーが。

なお、あの「飛び込みシーン」で使用されているプールは温水だそうで、二日に1回の頻度で水を取り替えているそう。

3つ目は2幕で「Somewhere」が歌われ、象徴的な群舞が行われるメインステージ。客席側から見る以上に広く、また舞台側から見る客席は大きく感じられます。客席からは隠れる舞台足元は多数の照明と音響機材が。

そして、ステージアラウンドの設計者、ロビン・デ・レヴィータさんのこの360度回転劇場ならではのこだわりとして、客席天井部分にかけられた大きな紗幕が挙げられます。
これは、客席に座った鑑賞者がふと上を向いた時に天井が見えてしまうと自分がどれだけ回ったか、今どの位置にいるのかが分かってしまう為、作品への没入感を上げる為に設置されたとの事でした。

ところで、本作を観た多くの鑑賞者から出るであろう疑問の一つが「オーケストラピットは一体どこ?」と思う方も少なくないはず。
本編中、客席が一周しても舞台上のどこにも指揮者や演奏者の姿が見当たりません。
実はこのメインステージの上手側の舞台袖の一番奥の場所に、完全な個室としてオーケストラ用のサウンドルームが設置され、ここで魅力的な劇中音楽が奏でられています。

他にも様々な細やかな部分にまで全く手を抜かないセットの数々に感心は尽きません。

特にこの「CAMEL」の巨大広告は当時の広告の写真を本に、一度、新品を制作した後わざと汚し、破損させて風合を出す凄まじい手間のかけ方がされています。

続いては、女性陣が「America」を歌う屋上のセット。
報道陣の撮影時、スクリーンが背面にあった為写真では狭く感じられますが実際はスクリーンが開け、十分な広さが有ります。

隣り合うセットのレンガの壁のモルタルの処理具合が舞台セットというレベルを超えています。

そして最後はマリアが務めるブライダルショップとシャーク団の溜り場。

市中の洋服店と同等以上の店内装飾と品揃えがされたブライダルショップは圧巻です。
2階のマリアの部屋に関しても同様ですが、実はこの部屋の端部に張られている安全ワイヤーの部分はセットの建設当初、隣の階段部分やバスルームの様にフレームが形取られていたそう。しかし、マリアの部屋には見栄えが宜しくないとの事で完全に撤去……したかったそうですが、流石に危険なので、ワイヤーが一本張られたという説明がありました。

客席から見ると華奢に見えるマリアの部屋のバルコニー。劇中ではトニーとマリアが二人の世界へと飛び立つ、劇場のスクリーン目一杯を使ったあのシーンで大きく客席方向へせり出すゴンドラとなる部分ですが、近くで見るとがっしりとしたフレームで出来ており安全そうです。

【質疑応答の様子】

僅か30分というステージツアーが行われ、貴重な体験をする事が出来た報道陣。
最後にIHIステージアラウンド東京副支配人の加藤雅拡さんへ質疑応答が。

:ブロードウェイ・ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」in STAGE AROUNDの
総制作費は約35億円。ブロードウェイの新作ディズニーミュージカル等の大型作品でも制作費が20億円程度という事を考えると、どれだけ破格コストがかけられている作品か分かる。

:日本でのセットの制作が始まったのが公演開始の約2ヶ月前。実際にはその更に1年以上前から海外チームが試行錯誤や打ち合わせを繰り返しており、総準備期間は恐らく一年半近くになるのではないか。大型コンテナで多量のガラクタが劇場ロビーやステージ上にやって来た時は驚いた。

:今回の作品で最も苦労したのは「字幕」。特殊構造の劇場である為、字幕をどの位置に表示するか最後まで決まらなかった。制作チームから映像を崩さないでくれとの注文があり、本当に必要な部分だけ字幕で入れるという様に映像を邪魔しないような形で苦心したとのこと。

:ステージの円周は126m、マリアの部屋のバルコニーのせり出し長は3.7mである。
劇中の小道具の点数としては、セットの中で飾りとして置いている小道具が約750個、キャストが手にする持ち道具が約150個で合計約900個。

:マルチチャンネルサウンドなのか?という質問には、映像などでよく使われる5.1chや7.1chのサラウンドという意味では、今回の公演ではそういった使い方はしていない。基本は客席前方左右1か所ずつと真正面の合計3か所のスピーカーから音を出しているが、これに加え、バイクが走る際などの音効によっては客席横左右1か所ずつのスピーカーも使用し、合計5箇所のスピーカーから音を出すこともある。また、舞台上に設置したスピーカーから音を出すケースもあり、単純に音を出しているチャンネル数だけをみると8つの場面(舞台)で使用しているのは相当な数になる。劇場のもともとのシステムとしては、客席をぐるっと囲むように、外周上に30度の間隔で合計12か所のスピーカー&サブがあり、すべて独立したチャンネルで音を出すことも可能ですので、サラウンドとして使用することも可能。

:稽古を含め公演期間が3ヶ月以上、それもこの特殊な劇場で、という事自体が来日公演作品で初めてであり、長きに渡るTBSの海外招聘公演の中でも一番大変だった。制作陣も実際にセットを立てながら試行錯誤を繰り返している為、そこかしこで意見の違いで喧嘩がおきていた。

:オーディションを勝ち抜いた精鋭キャスト達も、いざ本番に近づくと、踊りと歌の稽古が相当に大変だった様でキャストのケアマネージャーが、コレ以上の稽古続行はキツ過ぎるので皆を帰してくれ!と言わざるをえなかったり。通常、ブロードウェイの新作は、実際の劇場に入って稽古する時間はせいぜい4~5日程度が多い中、今回はその3倍近くの稽古期間をかけて、この特殊劇場に馴染んでいった。

:8月の一番熱い時期にキャスト陣が来日した為、劇場近辺を半日かけて案内した時でも「こんなに熱い経験は無い」というキャストが多かったし、来日してから今日まで3ヶ月間、体調の維持に非常に気を使っていて、食事に関してや、体調を整える為のスポーツジムの契約はマストであると言われたりした。3ヶ月間の長期公演となると、家族や友だちが本国から遊びに来るキャストも多く、生き生きとやっている。オフはディスニーランドに行ったり、南アフリカ出身のキャストがラグビーワールドカップの日本対南アフリカ戦を観に行っていたりもしていた。

:ステージアラウンド東京の最大の特徴は、やはり回転劇場でしか表現不可能な場面の広さ。例えば、第一幕の最後に決闘に向かうシーンでは、複数のセットを跨いでいくが、あの広さは他の劇場では無理。音楽的にも重唱が利いてくるシーンなので、高さのある本格的なセットを組めるという意味も含め、ここでしか表現できない。

:この劇場の元となったオランダの360度回転劇場よりも新しいテクノロジーを使っていると
ロビン・デ・レビータ氏は言う。加藤さんが技術チーフに聞いた所、スクリーンの移動と音楽、回転する客席を完全に常時一致させるテクノロジーを使っており、オランダの劇場では手動操作されている物がステージアラウンドではボタン一つで全てが同期する。そのシステムが最新であるという話との事。極端な話、指揮者の振る指揮棒以外はほぼオートマチックであり、それは本劇場の初演作品「髑髏城の七人」の時よりもアップデートされている。

と、様々な裏話を聞く事が出来ました。

いよいよ迫る来日公演終幕を是非お見逃し無く。

 

【ブロードウェイ・ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」来日公演 公演概要】

公式サイトはこちら

<公演期間>
2019年8月19日(月)~10月27日(日)
※8月19日・20日はプレビュー公演

<会場>
IHIステージアラウンド東京

<公演時間>
約2時間30分(20分間の途中休憩を含む)
※生演奏/英語上演/日本語字幕あり

<料金>
プレビュー公演:14,000円
本公演:15,000円
(全席指定・税込)
※未就学児童入場不可
※特殊な劇場のため、途中入退場が難しいシーンが多く、お座席にご案内できない時間がございます。
長時間お入り頂けない場合もございますので、開演時間には余裕を持ってお越しください。
※カーテンコールのみ写真撮影が可能です。フラッシュ撮影はご遠慮ください。

<出演者>
トニー:トレヴァー・ジェームス・バーガー
マリア:ソニア・バルサラ
ベルナルド:ジョージ・アクラム
アニータ:エイドリアナ・ネグロン
リフ/ダンスキャプテン/振付助手:マシュー・ステリティ
チノ:クリストファー・アルヴァラード
ベビー・ジョン/A-ラブ代役:ケイシ―・バグナル
フアナ/スウィング/ダンスキャプテン/フェルナンダ代役/振付助手:オリヴィア・バ―ビエリ
フェデリコ/ペペ代役:ジョン・バッチャン・IV
アクション/リフ代役:スティーヴィー・ボヴォ
マグジー/ヴェルマ代役/ザザ代役:ヴェロニカ・ソフィア・バート
スノーボーイ/アクション代役:デール・エルストン
ドク・クラプキ代役:マーク・フィッシュバック
ティオ:ネイサン・フィスター
インカ/ベルナルド代役/ペペ代役:クリスチャン・ヘズース・ガルヴィス
スウィング/ヴェルマ代役/ザザ代役:サラ・ゴールド
A-ラブ/ベビー・ジョン代役:マイケル・ホール
ボロ/チノ代役:マシュー・キー
クラプキ/シュランク代役:マシュー・クロブ
エニィボディズ:リジ―・マークソン
グラッドハンド/ドク代役/アソシエイトディレクター:マイケル・マストロ
アリシア:キャラ・メネンデズ
ディーゼル/ファイトキャプテン/リフ代役:ローガン・モーティア
ロザリア/マリア代役/サムウェアソリスト代役:アリア・マンチ
コンスエロ/アニータ代役/ロザリア代役:レベッカ・モリロ
ペペ/ベルナルド代役:オマー・ネーヴェス
グラジェラ:ケイトリン・ニーワーナー
フェルナンダ/コンスエロ代役/サムウェアソリスト代役/マリア代役:ナタリー・ペレズ・デュエル
シュランク/グラッドハンド代役:ブレンダン・ライアン
スウィング/トニー代役/A-ラブ代役:ロバート・セラノ
ザザ/グラジェラ代役:キラ・ソース
ホッツィ/エニィボディズ代役:ジュリア・スピッジチーニ
ベベシタ/アシスタント ダンスキャプテン/エニィボディズ代役:キャロリナ・ヴィララオス
ヴェルマ:シャノン・ウィエア
ビッグ・ディール/トニー代役:マレック・ズラウスキー
アイス/スウィング:タイラー・ザイデル

<STAFF>
原案:ジェローム・ロビンス
脚本:アーサー・ローレンツ
音楽:レナード・バーンスタイン
作詞:スティーブン・ソンドハイム
初演時演出&振付:ジェローム・ロビンス
エグゼクティブ・プロデューサー:ケヴィン・マッコロム(Alchemation)、ロビン・デ・レビータ(Imagine Nation)、
吉井久美子(John Gore Organization)

『クリエイティブスタッフ』
演出:デイヴィッド・セイント
振付リステージング:フリオ・モンへ
セットデザイン:アナ・ルイゾス
照明デザイン:ケン・ビリングトン
音楽監督・指揮:マイケルダフ
プロジェクションデザイン:59プロダクションズ

『日本スタッフ』
プロデューサー:白石久美、池田登希子(TBSテレビ)
アシスタントプロデューサー:加藤瑛美(TBSテレビ)
マーケティングディレクター:加藤雅拡(TBSテレビ)、富樫幸久、岩崎香織(TBSテレビ)
物販:高木理恵子、渡邊陽子(TBSテレビ)
票券:大貫史子、大場さと子(TBSテレビ)
デスク:大竹広志、庄田友美(TBSテレビ)
NY映像:藤谷毅
宣伝映像:青柳朋子、鈴木貴晴、渡部織映(TBSスパークル)
田部恵、内田愛麻、佐脇基之(TBSスパークル)十川利春(SevenSource inc.)
宣伝:雲林院康行、佐藤知子、唐金裕美(キョードーメディアス)、下間ゆかり(ワールド・ワイド)
取材:三浦真紀
国際税務アドバイザー:桜井健一郎、園田香子(櫻井公認会計事務所)
海外運送・通関:奥井義則(カーゴライブジャパン)
国内輸送:マイド
移動:日新航空サービス/東武トップツアーズ
招聘・制作:宇治重喜、近田香代、佐々木美菜(ビザビジョン)
音響デザイナー:山本浩一(サウンドクラフト ライブデザイン)
技術監督:小林清隆(キーストーンズ)
舞台監督:倉科史典(キーストーンズ)
照明スーパーバイザー:日下靖順(アート・ステージライティング・グループ)
通訳スーパーバイザー:伊藤美代子
ステージアラウンド・スーパーバイザー:芳谷研
照明:渡邊雄太、伊藤直子、鳥山健二、大里美和(アート・ステージライティング・グループ)
大道具:谷平真二、平井康将、古口幹夫、小林等、渡辺哲三、遠藤利彦、岡田透(金井大道具)
リギング:村上舞台
音響:瀬谷正夫、堤真紀子、黒川真英由、広長のぞみ、山崎高道(サウンドクラフト ライブデザイン)
映像:栗山聡之、森谷真義、山田高志、邱暁蕾、樋口歩実(マグナックス)
電飾:小田桐秀一(イルミカ)
舞台(キューマン):野島結
舞台:柴田浩平、鈴木修、加藤剛、熊代浩児、小知和恵一、川村誠之、高橋太郎、清水重光(ACTIVE)、向井雅幸(ACTIVE)、佐藤信之(ACTIVE)、黒田治良、山本克治郎、小畑由美子、前原修一、片田芽衣、萬賓浩男
舞台(小道具):高橋克典、坂上朋彦
字幕:岡田哲(G・マーク)、横尾優美子
衣裳:米田三枝子、杉原朗子、押見陽子、松村美幸、沼田千穂、植田和子、西那結美、田淵えな、坂本美和子、馬場晶子、斉藤恵子
ヘアメイク:綿貫尚美、白石有梨奈、野口範子、渡邊章子
特殊効果:磯田壮一、武井沙織(酸京クラウド)
水効果:山本喜久雄、山本淳二、山本麻未(スイコウシャ)
バイクメンテナンス:榊文博(輪屋BUN)
特殊小道具:土屋工房
小道具協力:徳永泰子(コルテ)
楽器:岸拓央、塩屋貴嗣
オーケストラマネージメント:松倉信弥(ダット・ミュージック)
通訳:大島万友美、兵頭愛子、福井彰子、三田池里穂、仲川節子、石井園子、寺田ゆい、天沼春子、
加藤優貴、平田恵愛
制作協力:長澤弥生(キーストーンズ)
ケータリング:島村楓、宮内杏菜(Ask)、古谷一乃
Specal Thanks:金井勇一郎(金井大道具)
主催:TBS / ディスクガレージ / ローソンエンタテインメント / 電通 / BS-TBS
後援:TBSラジオ
企画・製作:TBS
招聘:TBS / VIS A VISION

©1995-2019, Tokyo Broadcasting System Television, Inc. All Rights Reserved.

 - Stage