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舞台「海辺のカフカ」開幕

2002年9月に新潮社より発行された小説家村上春樹の長編小説『海辺のカフカ』。
ニューヨーク・タイムズ「年間ベストブック10 冊」( 2005 年)や、世界幻想文学大賞( 2006 年)に選出され、その傑作長編小説を世界のニナガワ、蜷川幸雄が演出し注目を集めた舞台作品が舞台『海辺のカフカ』 (2012 年 初演)。2015年には蜷川幸雄生誕80周年を記念しロンドン・ニューヨーク・埼玉・シンガポール・ソウルの5都市 を巡る世界ツアーを行い 、観客の度肝を抜く視覚的な仕掛けと繊細な演技で大旋風を巻き起こしました。その本作がフランス からの熱烈なオファーを受け、日仏友好160年を記念し開催される日本文化の祭典「ジャポニスム 2018 」を締めくくる演目として、2019 年 2 月パリの 国立コリーヌ劇場で上演されました。
そして 2019年5月、約5年ぶりとなる東京での凱旋公演が決定。
古畑新之、柿澤勇人、高橋努、鳥山昌克、木場勝己といった前回公演で観客の心を鷲掴みにした座組みに今回、新たに寺島しのぶ 、岡本健一、木南晴夏ら人気と実力を兼ね備えたキャストが加わり、盤石の布陣で日仏公演に臨みます。日本を代表する才能が集結し、世界を震わせた『海辺のカフカ』。2019年公演をもって、遂にラストステージとなる本作が遂に凱旋。
初日の公演に先駆け2019年5月20日(月)、東京都港区のTBS赤坂ACTシアターにて公開舞台稽古が行われました。

 【公開舞台稽古の様子】

15歳の「僕」は、父親と二人で暮らす東京の家を出る。
自分の分身ともいえるカラスに導かれて「世界で最もタフな15歳になる」 と心に誓って。
名前は田村カフカ。そう名乗ることにした。

四国・高松を目指す長距離バスでは、若い美容師のさくらが旅の友となる。
カフカには目的の場所があった。旧家の邸宅を改装した甲村記念図書館だ。

そこでカフカは、司書を務める大島、当主の親戚にあたる佐伯と巡り合う。

一方、東京の中野区に住むナカタさんは、猫と会話ができる不思議な老人だ。
戦時中に事故に遭って以来、自分の影が半分なくなってしまったらしい。

近所の迷い猫を探すナカタさんの前に、ジョニー・ウォーカーなる男が現れた。
男はナカタさんにある取り引きを持ちかける。
そしてナカタさんもまた、何かに導かれるように四国へと向かう。

トラック運転手の星野は、そんなナカタさんを放っておけず、高松まで乗せていくことにした。
どうやらナカタさんが探しているのは「入り口の石」というらしい。
星野の前に突如現れたカーネル・サンダーズは、すべてお見通しのようだ。

そしてカフカは、『海辺のカフカ』という歌にまつわる佐伯の過去を知る。
重なるはずのない時間、出合うはずのない人々は、いつしか一つの点を結びつつあった。

公開舞台稽古で披露されたのは、四国・高松の甲村図書館で図書館の館長である佐伯の
過去について語る司書の大島とカフカのシーン、
そして、「会わなければならない人」である佐伯を探して迷宮の森の中を彷徨うシーン。
どちらも短いシーンではありますが、緊迫感と質感に溢れていました。

【囲み取材の様子】

公開舞台稽古終了後、囲み取材が行われました。
登壇したのは、佐伯役の寺島しのぶさん、大島役の岡本健一さん、カフカ役の古畑新之さんの3名。

パリでの公演はいかがでしたか。

岡本さん「やっぱり村上春樹さんのファンが非常に多くてですね、本当に原作を理解しているんですよね。それを舞台化するという事に物凄く興味を持っていたみたいで、凄く盛り上がりましたね。結構、哲学的な言葉のやり取りがあったりするんですけども、其処で客席から笑いが出て。本当に可笑しいんでしょうね。カーテンコールでは皆立ち上がって、泣いている人も居たり、声援を上げる人もいたりでびっくりしましたね。」

寺島さん「初日は、こちらが感動したカーテンコールで5.6回位、呼んで頂いて、「ブラボー!!」ってやって下さったので、ああ、良かったなと。フランスに着いてから二日位で初日が開いて、ゲネプロとかも出来ない状態で。凄く大掛かりなセットなので、間に合うかな…っていう感じだったけど、初日は感動しました。良い劇場も御蔭様で出たので、これを自信にして明日から頑張りたいと思います。」

古畑さん「初日は緊張しました。(岡本さんから今の方が緊張してんの?と突っ込まれ)今、手汗が凄いです。」
また自身はパリ育ちだが?との質問にも
「町並みとか何年か経ってみて、「あ~、僕はこんな所で育ったんだな」と感慨深く育った家とか行きながら思いました。」
とコメントされました。

村上さんも観に来たそうだが、会ってみていかがでしたか。

岡本さん「パリ公演の千秋楽の前に学生達とのトークショーの時間が有って、それを拝見させて頂いて、村上さんが本編を観劇して終わった後、楽屋の方に来て下さいまして。僕は物凄く村上春樹さんのファンで、初めて台本にサインを貰いました。断られてもいいと思ったんですけど、人にサインを貰うというのはこういうシーンなのかなと初めて思って。物凄く嬉しかったです。」

寺島さん「私は凄くシャイな方なので、あまり眼を見てお話した記憶がなかったんですけど、パーティとかにはあまりいらっしゃらない方なんだけど、最後のドリンクパーティの時とかも結構、長く居て下さって、東京公演も見て下さると良いんですけどね。本人から直接聞いた訳では無いんですけど、とても気に入ってらしたという噂は聞きました。」

古畑さん「会った印象は変な人だと思います。目茶目茶変な人ですよ。(マイクを持って村上さんの真似をしながら)独特のテンションで来られるとあっあっ……ってなるんですよ。シャイな感じだけど優しい人だなと思いました。」

蜷川さんに本作を観て欲しかったという思いはありますか

岡本さん「稽古場や劇場の楽屋に蜷川さんの写真が置いてあって、それが物凄く存在感があるというか、今まで一緒に居た時以上に”見られてる感”というか、それはありますね。だから、このままじゃ多分ダメなんだろうな、物凄く怒られてるんだろうな…という事は凄く感じながら、未だなんだな未だなんだなと思いながらやってますね。でも村上春樹さんの舞台に蜷川さんの演出というのは、何年にもわたって此れまで世界中でやってきたというのが分かる、人の想像力を超えた凄い世界を感じますね。それに負けない様にこの物語の中でしっかりと生きて行ければ良いと思うんですけど。」

寺島さん「この作品自体がどういう解釈も出来る話なんですね。結論の無い話というか。舞台上でやっていても結論が無いままやらなきゃいけなくって、やっぱりこう、蜷川さんが見ているとその結論に私達は導かれていくんですけど、「これは中々厳しいな…今、このお芝居を如何見てくれているんだろうな…」とか、考える事はありますけれど、兎に角、あの長編の作品をこの3時間の舞台に蜷川さんがしたという、ゾクゾクする位、美しい舞台なので、私達はそれに負けない、蜷川さんの作ったセットにも負けない様に一生懸命その世界観を表現したいなと思います。」

前回、蜷川さんに言われた事で気をつけている事はありますか

古畑さん「10m位、距離が離れている所から、蜷川さんが「お前は自分の問題から逃げてるんだよ!」と猛烈な勢いで言われたのは覚えてます。」

寺島さんはアクリルボックスの中であの姿勢で歌うのは辛くないか?

寺島さん「2月に入って、ボックスに久しぶりに入ったんですけど、股関節がもうバキバキです。かなり中は狭いんですけど、美しく見せなければいけない体制っていうんですか?中々正解が見えないんですけど、久しぶりに入ると体のあちこちが痛い。あのボックスは上が開いているんですけど、頭が出ちゃうとカッコ悪いからギュッとしゃがんでいると辛いですね。」

パリ公演と東京凱旋公演で変えた所はありますか

岡本さん「この2ヶ月ちょっとある中でもう一回東京でやるというので、稽古をしなおしたりとか、自主稽古をしたりとかというのがあると、新たな発見というのはいっぱいありましたね。それが此処で思っている事、感じる事、感じさせる事という発見ですね。目には見えない部分なんですけども、其処がより深まっていくんじゃないかなと思っています。」

最後に意気込みをお願いします

岡本さん「この物語には、世界で一番タフな15歳の少年の物語なんですけども、何故、タフになるかと言ったら、彼自身が抱えているある種のトラウマ、お母さんに捨てられ、逃げられ、父親が殺害されて…酷い事件ですよね。そういった物から逃れるのか、新しい自分を見つけるのか、というので旅が始まるんですけど、その中で出会う人は皆、抱えているモノがいっぱい有って、それって、もしかしたら今の世の中も、皆、ずっと幸せな感じじゃないとは思うんですよね。幸せじゃなくてもっと悲惨な事がいっぱいあったり、悩んでいる事とか、抱えている問題みたいな事があったり。でもそれが出会う人出会う人によって、癒されていくというか、発見されていく。そういう物語な感じがするんですよね。だから、「楽しくてサイコー!ハッピー!」という作品では全然無いんですけど、皆さんの心の中に何かを提示していく様なそんな舞台になるんじゃないでしょうかね。劇場に来ないと体験出来ないから記事や映像を見ても絶対に伝わらない。劇場に来ないと。」

寺島さん「この世には居なくなっちゃったけど、蜷川さんの作品自体はこうやって残っていくし、蜷川さんが作り上げた舞台なので、この先、時間が繰り返して生で見る事というのが、もしかしたら無いかもしれないし、という事を幸せに感じながら、千秋楽まで行きたいなと私達は思っていますし、お客様も一度、蜷川さんという日本を代表する世界的な演出家が残した舞台ですから、それを是非、観て頂きたいなと思っています。」

古畑さん「頑張ります。観に来て下さい。」

【舞台「海辺のカフカ」公演概要】

公式サイトはこちら

<公演期間>
フランス公演:2019年2月15日(金)~2月23 日(土)
東京凱旋公演:2019年5月21日(火)~ 6月9日(日)

<会場>
フランス:国立コリーヌ劇場
東京凱旋:TBS赤坂ACTシアター

<公演時間>
約3時間20分(20分間の途中休憩を含む)

<料金>
東京凱旋:S席10,800円 A席7,000円
(全席指定・税込)
※未就学児童入場不可

<出演者>
佐伯:寺島しのぶ
大島:岡本健一
カフカ:古畑新之
カラス:柿澤勇人
さくら:木南晴夏
カーネル・サンダーズ:鳥山昌克
星野:高橋努
ナカタ:木場勝己

新川將人
妹尾正文
マメ山田
塚本幸男
堀文明
羽子田洋子
多岐川装子
土井ケイト、
周本絵梨香
手打隆盛
玲央バルトナー

<STAFF>
原作:村上春樹
脚本:フランク・ギャラティ
演出:蜷川幸雄
演出補:井上尊晶
翻訳:平塚隼介
美術:中越司
照明:服部基
衣裳:前田文子
音響:高橋克司、鹿野英之
ヘアメイク:河村陽子
音楽:阿部海太郎
舞台監督:平井徹
技術監督:小林清隆
プロダクション・マネージャー:金井勇一郎
フランス公演主催:国際交流基金/国立コリーヌ劇場
フランス公演共催:TBS/ホリプロ
東京凱旋公演主催:TBS/ホリプロ
協力:新潮社/ニナガワカンパニー/ANA
メディアパートナー:朝日新聞社
企画制作:ホリプロ

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