『くまのプーさん展 WINNIE THE POOH EXHIBITION』を観る~第2章 ディズニーとの出会い~
8月6日(水)~25日(月)、東京・銀座松屋で開催されている『くまのプーさん展 WINNIE THE POOH EXHIBITION』(主催:NHKサービスセンター 協力:ウォルト・ディズニー・ジャパン他)の貴重な展示を徹底紹介するシリーズ。
第2章はディズニープーの誕生と『完全保存版』の制作風景をご紹介します。
ここからが本当の「くまのプーさん展」。
日本では一般的に、原作版を「クマのプーさん」、ディズニー版を「くまのプーさん」と表記し分けられています。
ウォルト・ディズニーとの出会い
ディズニープーの誕生がウォルト・ディズニー年譜とともに説明されています。
ウォルト・ディズニーは娘ダイアンの愛読書だったクマのプーさんの映画化を決意。
しかし、知名度の低さと英国独特の世界からアメリカ人は簡単に受け入れてくれないと判断したウォルトは、中編を公開し、それをまとめて長編にする方式を採用しました。
しかしウォルトの寿命は近付いており、1966年『プーさんとはちみつ』が公開された年にウォルトはこの世を去りました。
プーはナイン・オールド・メンによって描かれました。
さらに音楽はシャーマン兄弟が担当。
ウォルト晩年を支えた伝説のクリエイターたちによってプーは作り続けられ、1977年『完全保存版』として長編化されたのでした。
プーさんとはちみつ
『プーさんとはちみつ』 “Winnie the Pooh and the Honey Tree” (1966年)
ウォルト・ディズニーが直接手掛けた唯一のプー作品。
プー、クリストファー・ロビン、ラビット、オウル、カンガ、ルー、ゴーファーなどが登場します。ピグレットがほとんど登場しないほか、ティガーは全く登場しません。
絵本をそのままアニメ化するコンセプトで生まれたディズニープー。
アッシュダウン・フォレストの美しい自然から生まれた美しく繊細な背景とその上に重ねられ、スポットライトを浴びたように動くセルのキャラクターが見どころです。
シリーズを通して登場する各キャラクターの家。
家の背景画だけでも、ラビットの家に詰まるプーや、ハチを見つけて喜ぶプーの姿が浮かんできます。
キャラクターのセル画たち。
白目のないプーは顔全体を使って目線を示しています。目・鼻・口の位置関係に注目すると、プーの表情が見えてきます。
また、プーは正面を向かないのも特徴のひとつです。
黒目だけで表現するプー・クリストファー・ロビン・オウルと、白目があるイーヨー・ラビットの表情を比べてみましょう。
プー・イーヨーがぬいぐるみなのに対し、オウル・ラビットは動物。
彼らを比較すれば、プー作品におけるぬいぐるみらしさの描写も分かります。
プーがぬいぐるみであることを示すシーンのひとつ。
無理をするとほころびてしまうお尻はしばしば商品化のモチーフにもされています。
第一作らしく、プーの基本的な作品として扱われる『プーさんとはちみつ』
90年代に流行ったクラシック・コレクションなど精巧なフィギュアでもその世界が表現されています。
プーと100エーカーの森の仲間たち
彼らが揃うのは『プーさんと大あらし』になります。
ディズニーオリジナルキャラクターとしてゴーファーが登場しました。
アメリカにも親しみやすいように登場した彼は、作中で自ら「原作には登場しない」と名乗ります。
この作品にピグレットがほぼ登場しないため、ピグレットがゴーファーに差し替えられたという誤解が起きたのも原作改変批判の原因のひとつとなりました。
プーさんと大あらし
『プーさんと大あらし』 “Winnie the Pooh and the Blustery Day” (1968年)
ウォルト死後も制作が続けられ、2年後に2作目『プーさんと大あらし』が公開されました。
この作品はアカデミー短編アニメ賞を受賞。製作総指揮がウォルト・ディズニーでクレジットされているため、彼が獲得した最後のオスカーとなりました。
ティガーが初登場。ピグレットも事実上ここで初登場となります。
後に主役映画を持つことになる両キャラクターが加わったことで、物語が広がります。
ティガーがより活発でアメリカンなキャラクターとなったことで人気に火がつき、プーは誰からも親しまれる作品へと成長していきました。
プーの夢に登場するはちみつ泥棒「ズオウとヒイタチ」。
2005年には、彼らを元にしたオリジナルキャラクター、ズオウの「ランピー」が登場する映画も制作されました。
公開時に発売されたズオウとヒイタチのぬいぐるみ。
当時人件費が安くこのような商品を多く手掛けていた日本で作られました。
今では滅多に見ることができない、非常に貴重な資料です。
ズオウとヒイタチはプーの夢に登場するキャラクター。
100エーカーの森の世界観とは離れた、へんてこおかしなデザインのキャラクターは、終始ほのぼのとしたプーの世界に大きなメリハリをつけることになりました。
プーの夢らしく、プーらしさを残しつつも、普段の100エーカーの森では見られない奇抜さ。
このような、プーの世界観を保ちながらもアニメーションらしさを出していく姿勢が『プーさんと大あらし』の大きな特徴です。
『完全保存版』(原題”The Many Adventures of Winnie the Pooh”)(注:『プーさんの大冒険』は誤り)ビデオ化時のプロモーション用アート
プーさんとティガー
『プーさんとティガー』 “Winnie the Pooh and Tigger Too” (1974年)
前作で大人気となったティガーを大きく打ち出し、プー作品の人気を確固たるものにした作品。
ティガーのアニメーションらしい伸びのある大きな動きに注目。
彼が見せる多彩な表情・大きな喜怒哀楽は、後の『ティガームービー』制作のヒントにもなりました。
こうして3作品が揃い、『完全保存版』として完成したディズニープー。
大人気キャラクターの座を獲得したプーは、その後も作品を出していきます。
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東京展[松屋銀座]
<会期>
2014年8月6日(水)~8月25日(月) 10時~20時(最終日17時迄,入場は閉場の30分前迄)
<会場>
松屋銀座8階 イベントスクエア
<主催>
NHKサービスセンター
<協力>
ウォルト・ディズニー・ジャパン、日本航空
<企画協力>
エイチ・ツー・オー カンパニー
<入場料>
一般1,000円
高大生700円
中学生500円
小学生以下無料
<問い合わせ>
松屋銀座 03-3567-1211(大代表)
【投稿者】
プーや
Blog:舞浜横丁
ウォルト・ディズニー・アーカイブス所蔵
(c)Disney Based on the“Winnie the Pooh” works,by A.A.Milne and E.H.Shepard
(c)Disney